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ウィリアム・フェーヴル

William Fevre

シャブリを代表する生産者の一つ、ウィリアム・フェーヴル。シャブリのグラン・クリュの最大面積を所有する大ドメーヌでありながら、安定した品質を誇ります。現在はシャンパーニュのアンリオ家が所有しています。

シャブリ最大の畑の所有者


ドメーヌの歴史は1850年代にまで遡りますが、1950年にドメーヌの名前となっているウィリアム・フェーヴル氏が父親からドメーヌを引き継ぎ、ドメーヌ・ウィリアム・フェーヴルが誕生しました。250年以上にも渡ってシャブリの地に住んできた一族から受け継いだ7haのブドウ畑から、その歴史はスタートしました。

その後ドメーヌは、シャブリに新しいブドウ畑を次々に獲得し、拡大していきました。今やウィリアム・フェーヴルは、15.9haのプルミエ・クリュ、15.2haのグラン・クリュを含む卓越したブドウ畑78haを持つ、シャブリで最大のブドウ畑所有者になりました。そして、シャブリ随一のワインメーカーとしての名声をも確立しました。

ウィリアム・フェーヴルはまた、キンメリジャン土壌ではない地域のワインをシャブリと名付けることへの異議、新大陸産の白ワインのシャブリ名称の使用禁止等、シャブリの原産地呼称の保護と確立に尽力しました。

しかし、残念ながら、後継者がいなかったため、1998年、彼はドメーヌを売却することを決断します。彼の所有畑の素晴らしさゆえ、多くの買い手が手を上げましたが、結局、ブルゴーニュのドメーヌ・プシャール・エ・フィスを復活させた実績を持つアンリオ家が、ウィリアム・フェーヴルを獲得しました。

アンリオ家のジョゼフ・アンリオ氏は、ウィリアム・フェーヴルのポテンシャルを最大限に生かしつつ、今までのやり方にこだわらない、独自のやり方を採用し、ウィリアム・フェーヴルの評価に、さらなる高評価を書き加えました。今や、「最もピュアで、最もエレガントな白ワインを作る生産者の一つ」と評されています。

アンリオ家の買収による変革


フェーヴル氏から受け継いだ畑は、シャブリの中でも特に素晴らしいもので、ブドウの木の平均樹齢は、30〜50年でした。

アンリオ家がドメーヌを取得して最初にしたことが、今なおウィリアム・フェーヴルの醸造チームのリーダーとして辣腕を振るう、ディディエ・セギエ氏の採用でした。当時、セギエ氏は、弱冠31歳でしたが、彼の才能とセンスを見込んでのことでした。

彼が最初にしたことは、収穫方法の変更でした。当時、シャブリの大きなドメーヌでは、機械での収穫が広く行われていましたが、それをあえて手摘みに変更しました。この大きな決断を、就任後たった1週間でやり切りました。

その後も彼の強力なリーダーシップが発揮されます。それは、それまでの樽熟成との決別でした。これは、彼が目指すシャブリ本来の姿、つまり、シャブリらしいフレッシュネスとミネラリティが生かされたワインを思い描いたうえでの実行でした。これらの実践が、今あるウィリアム・フェーヴルのゆるぎない評価につながったのです。

そして、今や、所有する畑を80に分割し、それぞれの区画ごとに、収穫日、それぞれにあった醸造法を決め、熟成までそれぞれを別々に管理しています。また、2008年からビオロジックを採用し、2011年には、すべての畑で行っています。

このような手間暇かかる方法は、ひとえに、それぞれのクリマの特徴を明らかにし、シャブリのテロワールをいかんなく発揮し、重んじるためです。

ウィリアム・フェーヴルの評価


ウィリアム・フェーヴルの畑が元々持っているポテンシャルと、卓越した能力とセンスを持つ天才醸造家セギエ氏が結びついたとき、世界中の評論家から、「シャブリで最高」との評価を得るのは、ごく自然なことでした。

とりわけ、辛口評価で有名なフランスのワイン評価本「ル・メイユール・ヴァン・ド・フランス」が、「世界で最もピュアで、最もエレガントな白ワイン」と、大絶賛しました。「ワインスペクター」誌、「ル・クラスマン」誌はじめ、他のワイン雑誌も大注目しています。

2007年には、クラスマンを監修していたミッシェル・ベターヌ氏とティエリー・ドゥソーヴ氏が選ぶ、その年にリリースされた「世界最高の白ワイン」に、ウィリアム・フェーヴルのレ・クロ2005年が選ばれました。モンラッシェやコルトン・シャルルマーニュではなく、シャブリが選ばれた事に、当時業界関係者の中でも驚きの結果として話題となりました。