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シャトー・ボーセジュール・デュフォー・ラガロース

Chateau Beausejour Duffau-Lagarrosse

1990年、2009年、2010年とパーカーポイント100点を獲得している、サンテミリオン第1特別級Bの格付けシャトー。単に「シャトー・ボーセジュール」と呼ばれることもあります。近年安定して評価を高めているサンテミリオンで最も注目のシャトーです。

シャトー・ボーセジュール・デュフォー・ラガロースの歴史


1847年、シャトー・ボーセジュール・デュフォー・ラガロースは、現在もサンテミリオン第1級特別級Bに格付けされているシャトー・ボーセジュール・ベコの一部でした。

1869年に14haだったシャトー・ボーセジュール・ベコは、ピエール・ポーリン・ドゥカーペが入手し、その後、ピエールの2人の子供に分割相続され、娘が50%を引き継ぐと、夫の名前であるデュフォー・ラガロースをシャトーの名に加え、シャトー・ボーセジュール・デュフォー・ラガロースは誕生しました。

この時の分割相続で、残った50%はシャトー・ボーセジュール・ベコとして、現在も高い評価を受けています。

2007年から、クリストフ・レダードとヴィンセント・デュフォー・ラガロースが共同で運営しています。

1990年ヴィンテージがパーカー100点満点を獲得し、一気にスターダムに


シャトー・ボーセジュール・デュフォー・ラガロースは、サンテミリオン第1級特別級Bの中では比較的地味な存在でした。しかし、1990年、ロバート・パーカーが100点を付け、その評判は一気にワイン愛好家の間に広がりました。

この1990年の100点は、ボーセジュール・デュフォー・ラガロースにとっては、想定外のことでした。1990年は収穫のスケジュールや準備が間に合わず、結果として意図しない収穫となったためです。しかし、このことでブドウがより凝縮し、良い結果をもたらしました。

2009年からは更なる品質向上を目指して改革を実施。2009年、2010年と連続でパーカー100点満点を獲得。


この後も高い品質を維持し、2009年、人気コンサルタント、ミシェル・ロランに加えヴュー・シャトー・セルタンやシャトー・ルパンで有名な二コラ・ティエンポンやステファン・デレノンクールを迎え、更なる品質の向上を目指しました。

二コラ・ティエンポンとステファン・デレノンクールが最初に行った改革は、畑の排水システムの構築とトレリゼーションの大幅な改善でした。醸造にもオープントップの発酵槽で全果実発酵を採用し、収穫量も低く抑えました。また、収穫時のブドウの熟度も以前よりも高く設定し、選別にも厳しい基準を設けています。

2009年にはこの改革成果が早速現れ、収穫の開始時点から高い評価を垣間見ることが出来ました。2010年は、更に洗練され、両ヴィンテージで2年連続パーカーポイント100点を獲得しました。

現在は、シャトー・ペトリュスで有名なムエックス社がシャトーの管理をしています。

シャトー・ボーセジュール・デュフォー・ラガロースの土壌、ワイン造り


ここまで高い品質と高い人気を誇るシャトー・ボーセジュール・デュフォー・ラガロースですが、生産数が少なく、あまり市場に出回らないのが現状です。

畑は、僅か6.75ha。南向きに緩やかに傾斜していて、土壌は石灰岩の上に堆積物を伴う粘土が混ざっています。サンテミリオンの村の西側で、シャトー・ボーセジュール・ベコやシャトー・カノン、シャトー・アンジェリュス、シャトー・クロ・フルテ等と隣接した好立地です。この畑には、メルロー81%、カベルネ・フラン16%、カベルネ・ソーヴィニヨン3%が作付けされています。

土壌の大部分が粘土質が強く、この場所にメルローを植えることで、ワインの密度を高め官能性をもたらします。また、カベルネ・フランは近年に植えられ、ワインにスパイス感とミントのような清涼感をもたらし、カベルネ・ソーヴィニヨンは、最も日照を得られる場所に植えることで、ワインにボディを与えます。

ブドウの樹の平均樹齢は35年。1ha辺り7,200本の高密植を行い、収穫量は20hl/haと極端に低い低収穫を実施しています。収穫は全て手摘み。収穫後、光学選別を行い、100%除梗され、その後、低温でのプレ・マセレーションを行い、49hl〜83hlまでの温度コントロールができる小さなタンクで発酵されます。タンクはブロックごとに管理され、醸造は25日〜28日間行います。

マロラクテック発酵にはバリックを用い、6か月は撹拌されません。その後、約18か月、新樽比率75%の樽熟成を行い瓶詰めされます。

生産量は非常に少なく、1ヴィンテージで約800〜1200ケース程度といわれています。

シャトー・ボーセジュール・デュフォー・ラガロースの味わい


シャトー・ボーセジュール・デュフォー・ラガロースの熟成には、最低でも12年〜15年が必要です。若いビンテージを楽しまれたい場合は、2、3時間のデキャンタージュをすると良いでしょう。

シャトー・ボーセジュール・デュフォー・ラガロースは、果汁の凝縮感だけでなく、芯の通ったミネラル感がその最大の特徴です。ヴィンテージによっては、シャトー・ペトリュスと見紛うほどの壮大なスケール感と重厚さ、そして、ミネラルを感じるワインとなります。