エミリア地方

エミリア地方はルネッサンス期にエステ家が支配したフェッラーラ県を筆頭に、モデナ、レッジョ、パルマ、ピアチェンツァ県などが公国を築き、洗練された宮廷文化が花開いた地域です。 エミリア地方の大半はポー川流域の肥沃な平地なため、高品質なブドウ栽培には向かず、量産できるランブルスコ種から造られる微発泡性の赤ワインが主流となりました。

この地域の食事はこってりとした脂肪分が多めの料理が特徴ですが、ランブルスコ種はタンニンが少ない品種なため、そのままスティルワインにするとボディが弱く、料理とは合いません。そのため微発泡性のワインに仕上げることで、程よい泡が口の中の油を切り、料理と共に楽しめるスパークリングワインとして定着していきました。 ちなみに日本でランブルスコと言うと、甘口のものが有名ですが、現地では辛口の方が主流です。前菜の生ハムやサラミに始まり、パスタ、メインの肉料理、そしてチーズ（ここでは特産品のパルミジャーノ・レッジャーノを）まで、全ての料理に合せることができる、万能なワインなのです。

ランブルスコの生産地域は、モデナ県とエミリア県にまたがる広域なエリアで、クローンの違いや地区ごとに異なった味わいのランブルスコが生まれます。 DOCとしては以下の5つが認められています。

DOCランブルスコ・ディ・ソルバーラ
DOCランブルスコ・グラスパロッサ・ディ・カステルヴェートロ
DOCランブルスコ・サラミーノ・ディ・サンタ・クローチェ
DOCレッジャーノ
DOCモデナ

ランブルスコの他に、北西部に位置するピアツェンツァ県とパルマ県の「コッリ」と呼ばれる丘陵地帯では、ボナルダ種、バルベーラ種をつかった赤ワインや、マルヴァジア種をつかった白ワインが造られています。 特に「DOCコッリ・ディ・パルマ」のエリアは砂質土壌で、ここで生まれるマルヴァジア種は繊細でアロマティックなワインとなり、パルマ産の生ハムの最高の友とされています。

ボローニャ県の丘陵地帯には「DOCコッリ・ボロニェージ」と呼ばれる産地があります。生産地域は狭いですが、赤・白の2タイプあり、様々な品種からワインが造られています。 また、白ブドウのピニョレット種から造られるワインは2010年に単独でDOCGに昇格し「DOCGコッリ・ボロニェージ・クラッシコ・ピニョレット」となりました。

ロマーニャ地方

ロマーニャ地方はもともと教皇の領土であったことから「ロマーニャ」と名付けられたと言われています。エミリア地方の華やかな宮廷文化とは対象的に、ロマーニャ地方は素朴な農民文化です。

代表的な産地は、アペニン山脈沿いの丘陵地帯で生産される白ワイン「DOCGロマーニャ・アルバーナ」です。1987年、エミリア・ロマーニャとしては初めてDOCGに認定された産地で、中世にはこの地にアルバーナ種が栽培されていたと言われているほど、古い歴史をもちます。 辛口から甘口の白ワインまであり、桃やアプリコットなどのアロマと豊かな果実味が特徴です。辛口であればミートソースを使ったパスタやメインの魚料理に、甘口であれば食後のデザートに向きます。

また同地域で赤ワインが生産されており「DOCロマーニャ・サンジョヴェーゼ」として認定されています。多くのクローンを持つサンジョヴェーゼ種ですが、ここで栽培されているのはサンジョヴェーゼ・ディ・ロマーニャ種です。 スミレの様な上品な香りと調和のとれた味わいで、熟成すると深みのある味わいになります。