トップ > ボルドー > メドック > メドック格付け > シャトー・レオヴィル・バルトン

シャトー・レオヴィル・バルトン

Chateau Leoville‐Barton

サン・ジュリアン村のメドック格付け第2級シャトー。サン・ジュリアンで最もカベルネ・ソーヴィニョンの比率が高く、繊細なタンニンと力強さ。クラシカルなボルドー左岸の王道のスタイル。

シャトー・レオヴィル・バルトンの歴史


トーマス・バルトンは、1722年、27歳で故郷のアイルランドを離れ、フランスに渡りました。当初は、モンペリエ、マルセイユに移ります。当時、まだ彼はワインとはかかわりなく商人として生計を立てていました。

1725年、彼はボルドーに移住します。ここで、ワインに興味を持ち、ワイン商やネゴシエーションのビジネスを興業しました。彼は、故郷のアイルランドの顧客にワインを販売し、これが人気を博して、商売はおおいに繁栄しました。

しかし、当時のフランスの法律では、フランスで死亡した外国人の財産は全てフランス王の財産となると規定されていたため、トーマスは、フランスで畑やシャトーなどを購入することはありませんでした。そのかわり、故郷のアイルランドで積極的に投資を行い、事業はボルドーのみならず、アイルランドでも拡大していきました。

トーマスが1780年、85歳で生涯を閉じると、その息子ウィリアムが商売を承継します。しかし、ウィリアムは商売に消極的で徐々に、事業は低迷していきました。ウィリアムには9人の子供がおり、トーマスから継いだ事業を子供たちが承継することになりました。兄たちはアイルランドの事業を、4番目の息子であるヒュー・バルトンがボルドーでのワイン事業を引き継ぎます。

ヒューの努力で、事業は復興し、繁盛します。私生活でもアナ・ジョンストンと結婚し、公私ともに充実していました。

そんな1793年10月、突如、ヒューとアナはボルドーの他のイギリス人と逮捕・投獄され、彼らの財産は全て押収されてしまいました。しかし運よく、その年の12月21日に解放され、ビジネスを再開。投獄中もあらゆる手段でアイルランドの顧客と関係を保っていたため、事業は見事復興します。

この時期は、フランス革命により、フランスで死亡した外国人の財産はフランス王に帰属するという趣旨の法律は撤廃され、ヒューは、1821年シャトー・ランゴアを取得、シャトー・ランゴア・バルトンと改め、1826年広大なシャトー・デ・バルトンから、シュヴァリエとモンバロンの区画を取得し、シャトー・レオヴィル・バルトンを設立しました。

シャトーを持たない、珍しいシャトー。ラベルに描かれているのはランゴア・バルトンのシャトー。


ヒューがシャトー・デ・レオヴィルから畑を取得したとき、彼はシャトーの購入や新たなシャトーの建築をしなかったため、すでに持っていたシャトー・ランゴア・バルトンのシャトーを使って、ワイン作りを行わなければなりませんでしたが、そのスタイルは現代まで承継され、今日でもシャトー・レオヴィル・バルトンはシャトーを持っていません。これは、ボルドーのワイナリーとしては異例の形態です。

また、このような関係から、シャトー・レオヴィル・バルトンのエチケットにはランゴア・バルトンのシャトーが描かれ、経営もそろって移され、現在は、アンソニー・バルトンが運営しています。

また、1855年の格付け以降、オーナー一家が変わっていない格付けシャトーはシャトー・ムートンとシャトー・レオヴィル・バルトンのみで、これもまた希少な存在です。

カベルネ比率が高く力強い、シャトー・ランゴア・バルトンのワイン造り


シャトー・レオヴィル・バルトンの味わいは、実にパワフルです。その訳は栽培比率にも表れています。カベルネ・ソーヴィニョン74%、メルロー23%、カベルネ・フラン3%と、サン・ジュリアンで最もカベルネ・ソーヴィニョンの比率が高く、2011年ヴィンテージには80%ものカベルネ・ソーヴィニョンがアッサンブラージュされています。

このカベルネ・ソーヴィニョンの栽培比率の多さには、土壌が関係しています。レオヴィル・バルトンの畑は標高が高く、南向きで穏やかな傾斜を持った砂利質土壌で、まさにカベルネ・ソーヴィニョンに最適な土壌だからです。この土壌の性質で、レオヴィル・バルトンは力強く、クラシカルで重厚なカベルネ・ソーヴィニョンを存分に味わえます。

平均樹齢は、40年。最も古いプロットは1953年から引き継いでいます。1ha辺り9,300本の密植を行っています。また、2012年からは、リュット・レゾネ(減農薬農法)を採用し、有機的な栽培方法にシフトしています。

収穫後、ブドウは光学選別テーブルで選果を行い、木製バットの送られます。発酵は数日間行い、その後フレンチオーク・バレルで熟成されます。熟成期間は、約18か月。新樽比率は60%です。熟成期間中は、常にタンクを満杯に保ち、ワインが空気に接触しないように留意しています。また、新鮮な卵白でコラージュを行います。

1月には、ワインのセパージュを行うための錬金術が、シャトー・レオヴィル・バルトンのテイスティング・ルームで行われます。この、ヴィンテージの味わいが決まる重要なテイスティングはバルトン家、テクニカルディレクター、コンサルティング専門のエリック・ボワセノなどが参加し、最終的なセパージュを決定します。