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サンペレイ

Saint Peray


ローヌ川の右岸、コート・デュ・ローヌ北部の8地区のうち最南端にあるのが、サン・ペレイです。

15世紀ころサン・ペレイの中心のクルソル城周辺で、村人たちが谷間の土地を整備しブドウ栽培を始めたのが起源とされ、サン・ペレイの町とトゥルノンの町の一部がエリアに含まれます。アペラシオンが認定されたのは1936年で、Harvest statement 2016によると現在約85haの地域で3068hlを生産しています。

サンペレイのテロワールとワインの特徴


サンペレイはローヌ川のはずれの谷間にある冷涼な地域で、土壌はおもに花崗岩と石灰岩。火山のマグマからの花崗岩、ジュラ紀の石灰岩、クルソル城の丘がかつて海に囲まれていた古代の海洋堆積物、ローヌ川がもたらす沖積層などが、長い歴史の中で多様性を持つ地質と豊かな土壌を作りました。

白ワインとヴァン・ムスー(スパークリングワイン)を作っているため、この地区には「サン・ペレイ」と「サン・ペレイ・ムスー」のふたつのAOCがあります。

サン・ペレイのヴァン・ムスーは、シャンパンと同じく瓶内で二次発酵を行う製法で作られており、ロシア皇帝やヴィクトリア女王が愛飲し、モーパッサンやボードレールなど多くの作家や詩人に愛されその著作にも引用されています。

栽培される品種はルーサンヌとマルサンヌのみで、品種の特徴としては、マルサンヌは比較的若飲みに向いたブドウ品種で、ピーチや柑橘類などの香りにジャスミンやアカシアのアロマも感じられるエレガントなワインを生み出します。ルーサンヌも果実と花のニュアンスがあり繊細さが際立ちますが、力強さもあわせ持ち、長期熟成に向いています。

サン・ペレイの白ワインとヴァン・ムスーはこの二つを混醸することで、非常にバランスの取れたものになり、フルーティーで程よい酸味は和食などにもよく合います。

日本人が立ち上げたドメーヌ


サン・ペレイの生産者のうち、日本でも著名なのが気鋭の醸造家・大岡弘武氏のドメーヌ「ラ・グランド・コリーヌ」です。

大岡氏は明治大を卒業後に渡仏し、ボルドー大学で醸造学を学びジャン・ルイ・グリッパやギガル社の栽培責任者を経て、自然派ワインの造り手として著名なティエリー・アルマンに師事、彼のもとで栽培や醸造を徹底して学んだのち、「大岡」をフランス語訳した名前を付けた自身のドメーヌ「ラ・グランド・コリーヌ」を立ち上げました。

畑での作業が非常に過酷といわれる北ローヌの地を敢えて拠点に選んだ大岡氏は、除草剤や化学肥料は使用せず、農薬のかわりに硫黄を使うなどビオロジックにこだわってブドウ栽培をしています。

自然のなかで育つブドウそのものの繊細でピュアな果実味を引き出すため野生酵母を使って発酵を行い、ワインに酸化防止剤は一切使用していません。現在、所有畑と借りている畑のブドウのほか、確かな生産者から購入したブドウを用いて「ル・カノン」「サン・ペレ」など13種類のワインを生産しています。

サン・ペレイの主な生産者


ドメーヌ・ティエール

代々この地域で農業を行ってきたティエール家はブドウの栽培も行い、地元のネゴシアンに卸していましたが、1980年にはブドウの販売を辞め元詰めワインの生産に取り組み始めました。

ジャン・ルイ・ティエールがドメーヌを立ち上げてからまだ30年ほどですが、ティエールが作るマルサンヌ100%のヴァン・ムスー「ティエール・サン・ペレイ・ブリュット」は洗練された味わいの食前酒としてミシュラン3つ星を獲得したヴァランスほか、多くのレストランで採用され、ドメーヌ・ティエールはサン・ペレイ屈指の生産者として知られています。

タルデュー・ローラン

ミシェル・タルデューとドミニク・ローランが、それぞれの名前をとって創業したタルデュー・ローランは1994年創業、メゾンを設立したのは1996年で、現在はローヌの12アペラシオンで多くのキュヴェを生産しており、サン・ペレイで生産されている「サン・ペレ・ヴィエイユ・ヴィ―ニュ」もその一つです。

ヴィエイユ・ヴィ―ニュとは「古樹」の意味で、年数を経た樹は深く根を張っているため土壌の養分を十分に吸収する一方で、実の数は少なくなるため、凝縮した風味をもつ良質なブドウが収穫され、豊かな味わいを持つ品質の高いワインになるとされています。

マルサンヌとルーサンヌの古樹から収穫されたブドウを50%ずつ使ってつくられる「サン・ペレ・ヴィエイユ・ヴィ―ニュ」は、口当たりはなめらかでクリーミー、果実のふくよかな香りを楽しめるバランスの良いワインです。

ミカエル・ブール

ミカエル・ブールは1999年にそれまで勤務していた工場を辞めてワイン作りを学び始めた異色の生産者です。

専門学校を経て、ドメーヌ・デュ・クレやマチュ・バレの元で働きながら学び、2004年からコルナスでビオロジックによるシラーの栽培を始めて赤ワインを生産、現在もコルナスに居住していますが、2006年にコルナスとの境界にあるサンペレイの畑をティエリー・アルマンから譲り受けマルサンヌを栽培、マルサンヌ100%の白ワイン「サン・ペレ・ブラン」を生産しています。

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