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シュヴェルニー

Cheverny


シュヴェルニー(Cheverny)は、フランス中央部のロワール=エ=シェール県に属するロワール渓谷沿いのコミューンです。ロワール地方は「フランスの庭園」とも呼ばれており、中でも、このシュヴェルニー周辺は多くの観光客で賑わうシュヴェルニー城のある風光明媚な町でもあります。深い森の中に小さな湖が点在し、昔から狩猟が盛んな地域でもありました。ブドウ畑も森の中にあり、美しい自然が特徴です。

全体にロワール川流域は温和な気候と肥沃な大地に恵まれているのですが、このシュヴェルニーの土壌は非常に痩せているのが特徴です。俗に「シュヴェルニー」と「クール・シュヴェルニー」とに分けられ、「シュヴェルニー」では赤、白、ロゼと3種が造られており、化学肥料や殺虫剤を一切使用しないのが特徴で、「シュヴェルニー」に囲まれて中央部に位置する「クール・シュヴェルニー」では、土着品種である「ロモランタン」という非常に珍しい、希少なブドウを使った白ワインのみを造っているのが特徴です。両方ともに、かなりマニアックなワインと言えるでしょう。

様々なブドウが入り乱れる「AOCシュヴェルニー」


AOCシュヴェルニーでは白ワインはソーヴィニョン・ブラン種がメインで、シャルドネ種、シュナン・ブラン種、オルボワ種がブレンド用で造られています。赤ワインも、ガメイ種、ピノ・ノワール種をメインに、カベルネ・フラン種、マルベック種がブレンド用で、ロゼにはピノ・ドーニス種がブレンド用に造られています。赤ワインは色鮮やかでフルーティな味わいなのが特徴です。ロゼと白ワインは豊かな香りと辛口なのが特徴となっています。そして、ブドウの栽培には化学肥料や殺虫剤を一切使用していません。

AOCシュヴェルニーは食事とともに


AOCシュヴェルニーと言えば食事とともに味わいたいワインが多く、芳醇で青っぽい香りが広がり酸がよく効いた味わいの白ワインは、魚介類の前菜やムール貝などの貝類、白身魚のカルパッチョetc、食事とよく合うワインとして日本でも数多くのレストランでも提供されています。もともとロワール川で獲れる川魚を食べることが多かったからか、赤ワインもガメイ種がメインなので肉料理というよりは魚料理との相性が良さそうです。

希少なブドウ、ロモランタン種が使われる「AOCクール・シュヴェルニー」


AOCシュヴェルニーには24の村があり、この村の半数で構成されているのが1993年にAOCとして認定された「AOCクール・シュヴェルニー」です。このAOCでは土着品種である「ロモランタン種」という品種のみで、ほかの品種を一切ブレンドせずに白ワインを造っています。

この「ロモランタン種」は16世紀に国王フランソワ1世がこの地に持ち込んだというブドウの品種で、数百年前にはロワール地方で広く栽培されていましたが、現在ではこのAOC以外では栽培されておらず、非常に希少なワインとなっています。味わいは辛口でフルーティ。若飲み、熟成共にOKで、若い時は香りが際立ち、成熟すると優しい口当たりに変化。レモン、蜂蜜の風味が現れ独特のトロミも現れます。飲みごろまでの熟成期間は5〜6年と言われています。

この「ロモランタン種」、現在ではフランス全土でも60ヘクタールほどでしか栽培されておらず、非常に希少な品種となっています(AOCクール・シュヴェルニィではアペラションの指定品種になっていますが、アンリ・マリオネのドメーヌがあるAOCトゥーレーヌでは指定品種になっていないため、ワインのカテゴリーはヴァン・ド・ペイになっています。)。

AOCクール・シュヴェルニーの白ワインは果実の削ぎ落とされたキレのある酸と、ミネラルが特徴です。ミネラルのエキスをそのまま口に含んだような心地よさを感じられます。素材の味わいを活かした魚料理や野菜料理との相性は抜群で、和食との相性も抜群です。開栓直後は酸が強いのですが、次第に果実感が増し熟成されたシャルドネのような味わいに変化します。