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コトー・デュ・レイヨン

Coteaux du Layon


コトー・デュ・レイヨンはフランスのロワール地方、アンジュ地区の中央部を流れるレイヨン川流域にあるAOCです。1950年に認可されました。シュナン・ブランの単一品種で貴腐ワインや遅積みの極甘口の白ワインが造られることで知られています。

古くからコトー・デュ・レイヨン地区では甘口白ワインが造られてきましたが、この白ワインが世界に広まったのは17世紀、オランダ商人の活躍によるところが大きかったと言われています。16%〜17%の高アルコールである貴腐ワインと遅積みワインは長旅に耐え、オランダの顧客の嗜好に合ったこともあり、高品質なものが多く輸出されました。現在でもカール・ド・ショームとボンヌゾーと並び「ロワール3大貴腐ワイン」の一つと称されており、面積と生産量ダントツの1位となっています。

傑出した極甘口ワインが生み出されるテロワール


このAOCコトー・デュ・レイヨンはレイヨン川の北岸の日当たりの良い斜面にあり、風通しの良い丘陵地帯にあります。レイヨン川に流れ込む数多くの小川によるクリマ(ワインにアロマや酸味などを与える地理的条件)の恩恵を受け、良質なシュナン・ブランが収穫されます。このシュナン・ブランから傑出した極甘口の貴腐ワインと遅積みワインが醸し出されています。そして白ワインにも関わらず10年〜20年の熟成を経てから出荷される長命で芳醇なワインとして有名です。ちなみに作付面積は約1400ヘクタールとボルドーのマルゴー地区に相当する面積を誇っています。そのため、生産者やヴィンテージにより評価のばらつきもありますが、全体的には高評価を得ています。

ワンランク上のAOCコトー・デュ・レイヨン+村名ラベル


AOCコトー・デュ・レイヨンの中でも高品質なワインを生産する下記の6つコミューンは、AOCコトー・デュ・レイヨン・ヴィラージュとも呼ばれ、ワンランク上の存在とされています。通常はヴィラージュとは呼ばずに、コトー・デュ・レイヨン・○○のように、コトー・デュ・レイヨンの後に村名が続けて表記されます。

ボーリュー・シュル・レイヨン(Beaulieu-sur-Layon)
ファイエ・ダンジュ(Faye-d'Anjou)
ラブレ・シュル・レイヨン(Rablay-sur-Layon)
ロッシュフォール・シュル・ロワール(Rochefort-sur-Loire)
サントーバン・ド・リュイーヌ(Saint-Aubin-de-Luigne)
サン・ランベール・デュ・ラッテイ(Saint-Lambert-du-Lattay)

中でもボーリューは長期熟成が可能で1960年代のヴィンテージも出回っており(しかも意外に安価で入手可能)誕生日プレゼントにもよく使われています。

世界で最も過小評価された甘口ワインのひとつ


フランス産の貴腐ワインというと、ボルドーのソーテルヌが圧倒的に有名で、このコトー・デュ・レイヨンはそれに比べて地味な存在。しかしながら品質は秀逸で、ワイン評論家のロバート・パーカー氏も、「まさに世界で最も過小評価された甘口ワインのひとつである」とコメントしています。

コトー・デュ・レイヨンの貴腐ワインの特徴は、強く複雑な香り。カリンや蜂蜜を思わせる甘美で優しい味わいと緑色がかった黄金色。熟成とともに琥珀色を帯び、金色となるのが特徴です。爽やかであるのに、奥行きと長く続く余韻の素晴らしさは「ボルドーのソーテルヌに劣らず大変に素晴らしい」と称されるほどのクオリティを誇っています。