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テヌータ・サン・グイード

Tenuta San Guido

12世紀に生きた先祖の聖人の名前がワイナリーの名に


「テヌータ・サン・グイード」とは、「サン・グイードの農園」の意です。ワイナリーと深い縁のあるゲランデスカ家はピサに起源を持つ由緒ある貴族で、12世紀に生きたグイド・デッラ・ゲランデスカは徳の高い聖職者でした。死後に列聖されて、「サン・グイード」と呼ばれています。

トスカーナ州はリヴォルノからグロセートに向かうエトルリア海岸沿いに、「テヌータ・サン・グイード」のワイナリーは2500ヘクタールの土地を所有しています。そのうちの75ヘクタールは、「テヌータ・サン・グイード」の代名詞「サッシカイア」専用のブドウ園となっています。

「テヌータ・サン・グイード」=「サッシカイア」


ワインに詳しい人にかぎりません。「サッシカイア」と聞けば、「テヌータ・サン・グイード」が頭に浮かぶのはもはや世間の常識となっているほどです。

イタリアの赤ワインのカリスマ、伝説とまでいわれる「サッシカイア」の歴史は、1920年代に始まります。当時、まだ学生であったマリオ・インチーザ・デッラ・ロッケッタは自分が所属する貴族階級が愛飲するボルドーのワインと比肩するイタリアのワインを作り出すことを熱望していました。

ボルゲリの領主ゲランデスカ家の娘クラリーチェを妻としたマリオ・インチーザ・デッラ・ロッケッタ侯爵は、1943年にボルゲリに隠遁、フランスからカベルネ・ソーヴィニヨンを輸入し、海岸沿いの地マレンマでフランスのブドウの木の栽培を始めるのです。

ボルドーに似た、砂利質の土壌


当時、マレンマという海沿いの干拓地でブドウの栽培をするということは、酔狂としか考えられていませんでした。しかし、マリオ・インチーザ・デッラ・ロッケッタ侯爵は、マレンマの土地とフランスのグラーヴやボルドーの相似性を当時すでに見抜いていたのです。それは、砂利だらけの地質でした。

海からの強風などで最初の収穫は失敗でしたが、あらゆる困難を乗り越えて、1944年に「サッシカイア」の生産に成功します。

1948年から1967年まで、「サッシカイア」は侯爵が家族で楽しむためだけに生産していたのです。そして、侯爵は「サッシカイア」のワインが、生産当初にはさまざまな欠点を有しているのにもかかわらず、熟成の年数を重ねるにつれてそうした欠点がワインの旨みへの変化していくことに気がつきました。

この「サッシカイア」の美味は、友人家族のあいだで評判になり、これを商業化するために友人たちも激励や助力を惜しまなかったそうです。

1968年、「サッシカイア」は初めて商品として世に出ます。初回出荷は3,000本でした。

「サッシカイア」には、マリオ・インチーザ・デッラ・ロッケッタ侯爵の従兄弟アンティノリ侯爵がその商業化のために醸造専門家を派遣するなどして、協力を惜しまなかったことでも有名です。

1978年、イギリスのワイン誌「デカンター」の試飲企画で、世界のカベルネの頂点に


1978年には、ロンドンのワイン雑誌「デキャンター」が開催した試飲会で、フランス原産のブドウとフランス産の樽を使用したイタリアワイン「サッシカイア」は、世界各地から参加した33のカベルネ・ソーヴィニヨンを打ち負かして第一位を獲得、その日のうちに「サッシカイア」は神話となったのです。

そのマリオ・インチーザ・デッラ・ロッケッタ侯爵の死は1983年。ワインとともに「馬」も愛した侯爵は、「ドルメッロ・オルジャータ」という馬と高名な調教師フェエリコ・テシオを生涯にわたって保護しており、ブドウ園も厩舎もマリオ侯爵の息子ニッコローが引き継いでいます。

現在、「サッシカイア」「グイダルベルト」「レ・ディフェーゼ」といったワイン43万本が、毎年生産されています。

テヌータ・サン・グイードのブドウ園


「テヌータ・サン・グイード」が現在、ブドウの木を植えている土地はおよそ90ヘクタール。ブドウ園は、標高200~300メートルの小高い丘と、標高80メートルほどの低地に分かれています。「テヌータ・サン・グイード」のブドウは、海に近い土地の空気、海からの風を防ぐ丘、地中海の穏やかな気候の影響を受けて理想的に熟していくという特徴があります。

近年に行われたピサ大学の研究によると、「テヌータ・サン・グイード」のブドウ園の地形は、とくにその土壌がブドウの出来に大きな影響を及ぼすことが判明しています。1ヘクタールあたりのブドウの収穫量は55〜60キンタル。低い収穫量によって、充分な糖分とタンニンが確保され、より美味のワインの生産が可能と言われています。

テヌータ・サン・グイードの主なワイン


サッシカイア

粘土質の土と砂利が混ざった土壌が生み出すイタリアワインの最高峰「サッシカイア」。西側と南西に向いた独特の地形で生まれたカベルネ・ソーヴィニヨン85パーセント、カヴェルネ・フラン15パーセントが使用されています。皮付きのブドウがステンレス製の樽で10日間浸軟、フランス製のオーク樽で24ヶ月熟成が基本です。

深いルビー色が特徴で、熟したレッドフルーツ、香草、トーストしたアーモンドの香りがほのかに漂います。厳格で濃厚な味わいにナッツ類の芳香が加わります。深く長い味と香りを楽しむことができます。イノシシやウサギといったジビエ料理、味がしっかりした肉料理、クルミ、生のポルチーニ茸、トスカーナ料理とは相性が抜群。熟成チーズともおいしくいただけます。

グイダルベルト

サッシカイアのセカンド・ワイン。サッシカイアに使うには樹齢の若いカベルネ・ソーヴィニヨン60%と、サッシカイアには使われていないメルロー40%のブレンドで造られるワイン。チェリーやプラム、タバコや甘草などの香り。タンニンは優しく、エレガントな余韻が長く続きます。ポルチーニ茸を使ったパスタとの相性は抜群。

レ・ディフェーゼ

「テヌータ・サン・グイード」が生み出すワインの中では、比較的気軽に味わえるワインです。カベルネ・ソーヴィニヨン70パーセントとサンジョヴェーゼ30パーセントから作り出される「レ・ディフェーゼ」は、気軽に味わえるといっても品質はしっかり保証されています。

フルーティーで花々の香りがかすかに漂い、フレッシュで優美な味わいです。過程でも気軽に栓が抜ける「レ・ディフェーゼ」は、鶏肉とポテトのオーブン焼きのような家庭料理とおいしくいただけます。

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