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シャトー・ラスコンブ

Chateau Lascombes

メドック格付け第2級のラスコンブは、マルゴー地区の中でも畑の規模が大きく、メルローの比率が高いワインが有名です。2001年に各国企業による投資連合がシャトーを購入し、改革を行なったことで飛躍的に品質改善しました。ワイン造りの専門家を集め、散在する葡萄畑の地質調査から醸造設備まで、幅広く改革に取り組んでいます。

幾多のオーナーの手を経て低迷期を脱出


ラスコンブは、17世紀の初代オーナー、騎士アントワン・ドゥ・ラスコンブの名に由来します。17世紀には、現在のシャトー敷地で葡萄栽培が行われていたようですが、一帯を所有していたのは14世紀からの所有者デュルフォール・デュラス家でした。

18世紀になると、ボルドー議会議員・海軍検事などの多くの肩書きを持つ、ジャン・フランソワ・ドゥ・ラスコンブが所有者となり、私財を注ぎ込んでワインの品質向上に努めていきます。

こうして1世紀に渡り、シャトーはラスコンブ家によって所有されていきました。その後も様々な所有者の手を経て、1855年のメドック格付け時には、名誉ある第2級に格付けされ、ラスコンブ家からマドモワゼル・ユーに所有者が移転します。

1867年には、弁護士会会長のショワ・デスト・アンジュの手に渡りましたが、この頃から格付け評価とは裏腹に、品質の劣ったワインを生産するようになってしまい、低迷し続けていきました。

1951年からボルドーワインに精通したアレクシス・リシーヌがオーナーとなり、ワインセラーの刷新と周辺の畑を積極的に獲得する計画を進めました。現在、マルゴー全体に40区画以上の素晴らしい葡萄畑を所有できているのは、彼の功績によるものだと称えられています。

そして1971年に、イギリスのビール会社であるバス・チャーリントンが購入しましたが、ここでも低迷期は抜けられることができませんでした。

30年後の2001年に、アメリカ、フランス、イギリスなどの各国企業による不動産投資会社コロニー・キャピタルがオーナーとなり、シャトーの評価は動き出しました。コロニー・キャピタルが再生に向け、数々の革新的な取り組みを試みたことにより、シャトーの葡萄栽培と醸造技術が大きく改善していきます。年々評価は回復していき、近年の出来栄えは、長年このシャトーで造られてきたワインの中で、ずば抜けて良い出来だと評判になっています。

コロニー・キャピタル社によるシャトー改革


ラスコンブは、マルゴーのアペラシオン全体に84haの葡萄畑を所有し、平均樹齢は40年、2001年の収穫量は29hl/haとなっています。葡萄畑の構成は、飛び地で40区画以上と広大となっており、土壌もそれぞれ異なっていた為、収穫や管理が難しく、これがワインの一貫性のなさの原因とも言われていました。

2001年に、コロニー・キャピタルがオーナーとなってまもなく、土壌と葡萄品種の相性を調べる為に徹底的に地質調査が行われました。地質調査を行ったことで、メドック地区の中でも優れた粘土質石灰岩の土壌を持っていることが判明し、カベルネ・ソーヴィニヨンから、この土壌に適したメルローを重点的に植え替えていった事例が有名です。

粘土質石灰岩の土壌を持つ区画にはメルロー、砂と粘土と石灰分の混じった土壌にはカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランといった具合に、土壌に合わせて品種を植え替えていきました。

同時に、メルローの醸造に詳しい有名なミッシェル・ロランやアラン・レイノー(シャトー・キノー・ランクロの所有者)、ブリュノ・ルモワーヌ、イヴ・ヴァトロといった、腕利きの醸造コンサルタントを招集しアドバイスを得ました。

現在、植えられている品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロー40%、カベルネ・フラン5%、プティ・ヴェルド5%という比率になっています。メドックの中でも特にメルロー種の比率が高いことが、ラスコンブの特徴の一つです。

そして地質調査以外にも、2001年からラスコンブは様々な改革を行いました。葡萄の葉の数を増やし太陽光が当たる面積を広げ、より多くの光合成を促進させようと試みました。その為に、葡萄の畝(うね)を上に伸ばすように手を加えて、植えられていたカベルネ・フランをカベルネ・ソーヴィニヨンに再度接木を行っています。

それ以外にも、収穫は手積みで10kg入りの収穫カゴを採用し、選果台の設置、選果は2回、醸造所の改造、ワインの醸造方法の変更など、実に多岐にわたってシャトーの改革に乗り出していきました。

生産量の面では1999年頃と比べて3分の1程度になりましたが、葡萄の品質にこだわって厳しく選果し、収量量を抑えたことにより、メドック第2級に相応しい素晴らしいワインが造られていくようになりました。

シャトー・ラスコンブのワインの特徴


ラスコンブの銘柄は、シャトーと同名の「シャトー・ラスコンブ」、セカンドの「シュバリエ・ド・ラスコンブ」、そしてマルゴーではなくオー・メドック地区の葡萄で造られる「ル・オー・メドック・ド・ラスコンブ」の3種類です。

ヴィンテージとしては、上記の通り2001年以降のものをお勧めします。メルロー比率の高いワインが有名で、穏やかで丸みのある舌触りとタンニンの豊かさを兼ね備えた、深い余韻のある赤ワインとなっています。

香りの特徴としては、アーモンド、 タバコの葉、ブラック・ベリー、クレームド・カシスのニュアンスが感じられます。

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