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ニュイ・サン・ジョルジュ Nuits-Saint-Georges

コート・ド・ニュイの最南端に位置するニュイ・サン・ジョルジュ。地域の真ん中を流れるムーザン川を境として、その産地は北部と南部に大別する事ができます。ブルゴーニュの宝石とも呼ばれるヴォーヌ・ロマネと、地続きとなっている北部の畑では、ワインの要素にもヴォーヌ・ロマネを彷彿とさせる、繊細でエレガンスを纏った印象が見て取れます。一方で南部の畑で育ったブドウは、濃い色調としっかりした骨格を備えた、力強く濃密な酒質のワインを産み出しています。

ニュイ・サン・ジョルジュの町は、コート・ド・ニュイにおけるワイン産業の経済的な中心地となっており、フェヴレをはじめとした有名メゾンも本拠を置いています。産地としてのポテンシャルも十分なもので、高い評価を受けているワインもたくさんあり、コート・ドールのブルゴーニュとして恥じない実力があります。地理的に見ても特に北部は、ヴォーヌ・ロマネのオー・マルコンソールやレ・シャルムといった、著名な畑とも隣接している位置関係にあり、高品質なブルゴーニュが造られていても全くおかしくありません。

過小評価されているアペラシオン!?


このヴォーヌ・ロマネをはじめとして、コート・ド・ニュイの人気アペラシオンと比べてしまうと、ニュイ・サン・ジョルジュにはどうしてもマイナーな印象があります。その理由の1つとして、グランクリュが存在しない事が挙げられるでしょう。どんなに上質なワインを生産していても、最高クラスの畑として認められたグランクリュの有無は、産地としてのイメージ的に大きく関わってくるはずです。

現地の生産者たちもこの事を感じているようで、原産地呼称の管理団体であるINAOに、ニュイ・サン・ジョルジュの秀逸な畑をグランクリュに認定してもらうべく申請を提出しています。特にプルミエクリュとして格付けされている「レ・サン・ジョルジュ」の畑は、19世紀にはグランクリュに相当する称号を経ていた歴史があり、現在もその素晴らしさは広くしられていて、グランクリュに昇格する資格を十分に備えています。

でもちょっとマイナーだからこそ、私たち消費者にとってはメリットもあります。他のコート・ド・ニュイ産と比べて、ニュイ・サン・ジョルジュでは比較的価格が抑えられているので、他より割安に美味しいブルゴーニュを入手する事ができるのです。ちょっと極端な例かもしれませんが、ヴォーヌ・ロマネでそこそこの銘柄を買おうとすれば、かなりの金額を出さなくてはならないでしょう。でもニュイ・サン・ジョルジュで探せば、同じ予算で同じクラスの銘柄が、もしかしたら2本買えてしまうかもしれません。

このようにニュイ・サン・ジョルジュには、穴場的な産地という側面があり、たくさんのお買い得品がこのアペラシオンに埋もれているはず。一部畑のグランクリュ格上げは現実味を帯びており、もしも認定となれば値上がりは必至となるので、安価に入手できる今のうちにたっぷりと楽しんでおきたいものです。

ニュイ・サン・ジョルジュの代表的な生産者


ロベール・シュヴィヨン

このアペラシオンを語る上で、外す事のできない造り手がロベール・シュヴィヨンです。ブルゴーニュという産地全体の中でも、その実力はトップクラスとされており、評論家からはニュイ・サン・ジョルジュの王様と讃えられました。ロベール・シュヴィヨンが所有する畑のブドウは、非常に樹齢が高い事でも知られています。これがニュイ・サン・ジョルジュという土地の個性に加えて、ワインに一層の凝縮感が備わっている秘密で、長期の熟成にも耐える濃厚な酒質となり、別格の評価で絶賛されています。

パトリス・リオン&ダニエル・リオン

ダニエル・リオンもまた、ニュイ・サン・ジョルジュに樹齢の高い畑を所有する造り手。当初はごくわずかな畑しか所有していなかったものの、急速に知名度を上げて人気ドメーヌの仲間入りを果たし、ヴォーヌ・ロマネやシャンボール・ミュジニーなどにも活動の幅を広げてきました。実質的にこのドメーヌを運営していた長男のパトリス・リオンは、醸造について類稀なセンスと技術を持っており、2000年になると弟たちに実家を任せて独立。新たなスタートを切ったドメーヌ・パトリス・リオンも、ニュイ・サン・ジョルジュにいくつかの優良畑を所有し、ワインの品質にはさらに磨きがかかっています。

オスピス・ド・ニュイ

ニュイ・サン・ジョルジュの町に、古くから建つ慈善病院オスピス・ド・ニュイも、この地を代表するワインの生産者。よく知られるオスピス・ド・ボーヌの一方で、少し影の薄い印象はありますが、ニュイ・サン・ジョルジュの素晴らしい畑をいくつも所有、その中にはモノポールのレ・ディディエもあります。競売会は毎年3月に行われ、ニュイ・サン・ジョルジュの豪華ラインナップを味わえるのはここならではの魅力となっています。

ドメーヌ・ド・ラルロ

クロ・ド・ラルロにクロ・デ・フォレ・サン・ジョルジュという、2つのプルミエ・クリュを単独所有するのがドメーヌ・ド・ラルロ。ビオディナミを実践する造り手としても名高く、そのワインには力強さと共に、柔らかで気品溢れる繊細な要素が備わります。またクロ・ド・ラルロからは、コート・ド・ニュイでは珍しい白ワインを産出する事で知られています。

アンリ・グージュ

このドメーヌの初代アンリ・グージュ氏は、20世紀初頭に出回っていた偽造ワインから品質を守るべく、いち早く元詰を開始した人物。ニュイ・サンジョルジュだけでなく、コート・ドールの生産者組合長を務め、その功績が今も語り継がれる伝説的な造り手です。元より濃厚な造りに定評がありましたが、現在もそのスタイルは受け継がれ、ニュイ・サン・ジョルジュらしい力強さを発揮。単独所有する1級畑クロ・デ・ポレ・サン・ジョルジュは、このドメーヌのフラッグシップとなっています。

ニュイ・サン・ジョルジュの著名な畑


レ・サン・ジョルジュ

ニュイ・サン・ジョルジュの町の名前の由来となり、同時にこのアペラシオンで最上級とされている畑です。既に述べましたが、19世紀にはグランクリュに相当する、「テット・ド・キュヴェ」に格付けされていました。東向きの斜面に広がる土壌は、小石混じりの赤みを帯びた粘土質が主体となっており、水はけがよく良質なブドウを育んでいます。濃厚さが特徴のニュイ・サン・ジョルジュでも、とりわけ凝縮感に溢れる力強いワインを産み出し、このアペラシオンの筆頭として誰もが認める文句無しの畑です。

レ・ヴォークラン

非常にやせた土地で、畑の名前は「無価値」を意味しています。しかし無価値どころか、この畑はニュイ・サン・ジョルジュの中でも指折りの銘醸畑なのです。レ・ヴォークランの位置を地図で見てみれば、レ・サン・ジョルジュから続く斜面の真上。このためワインの特徴も良く似ており、パワフルで濃厚な酒質は長期の熟成にも耐え抜きます。そして時には、レ・サン・ジョルジュすら上回るような力強さを発揮することもあって、その強健さに驚く飲み手も多いようです。

レ・カイユ

レ・ヴォークランと共に、ニュイ・サン・ジョルジュで二番手の地位を争う秀逸な畑。位置的にはレ・サン・ジョルジュと隣接しており、この一帯はニュイ・サン・ジョルジュの心臓部とも言えるでしょう。土壌もレ・サン・ジョルジュとよく似ており、力強いワインの特徴も共通するところがありますが、エレガンスも備えていてやや女性的とも表現されます。

オー・ブード

ニュイ・サン・ジョルジュで最北端に位置する畑。南東向きの斜面に広がっており、褐色の石灰質の土壌には小石が多く含まれています。ヴォーヌ・ロマネのオー・マルコンソールに隣接している事からも、そのポテンシャルについて疑いようのない立地。レ・サン・ジョルジュなど、このアペラシオンらしい力強さは少し控えめで、隣のヴォーヌ・ロマネを思わせる官能的で緻密な味わいのワインを産みます。

オー・ミュルジェ

アペラシオン北部、ヴォーヌ・ロマネから続く南東向き斜面の中腹に広がる畑で、たくさんの石を含んでいるのが特徴。ニュイ・サン・ジョルジュらしい力強さの中に、位置的に近いヴォーヌ・ロマネの繊細さが感じられるワインを産み出します。

レ・プリュリエ

レ・サン・ジョルジュなどの素晴らしい畑が集中するエリアから、斜面沿いにしばらく北上したところにある東向きの畑。小石を含んだ褐色の粘土質土壌で、力強さを特徴とするワインを産出します。プリュリエとはプラムの木の事で、かつてこの場所には多くのプラムが生えていたようです。

その他の主要な畑

レ・ポレ・サン・ジョルジュ、オー・トレ、オー・コルヴェ、レ・コルヴェ・パジェ、オー・クラ、レ・ディディエ、クロ・デ・フォレ・サン・ジョルジュ、オー・シェニョ、クロ・ド・ラ・マレシャル

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