トップ > アメリカ > アメリカの注目生産者 > オー・ボン・クリマ

オー・ボン・クリマ

Au Bon Climat

フランス語で「よく露出しているブドウ園」を意味するオー・ボン・クリマ(Au Bon Climat)。その頭文字をとって、通称「ABC」と呼ばれるワイナリーです。三角形のラベルが特徴的な、ブルゴーニュ・スタイルのワインです。

ブルゴーニュ・スタイルのワイン造りのはじまり


オー・ボン・クリマのオーナー兼ワインメーカーで、ピノ・ノワールの伝道師ことジム・クレンデネン。1976年にカリフォルニア州立大学サンタ・バーバラ校法学部を卒業したものの、卒業後に1ヶ月間フランスのブルゴーニュ地方とシャンパーニュ地方に滞在したことがきっかけで、法律ではなく、ワインの仕事を志すようになりました。

そして、カリフォルニアのサンタ・バーバラのザカ・メサ・ワイナリーで3年間修行を積み、ワイン造りを学びました。

その後、フランスのブルゴーニュ地方で、低温浸漬法などを編み出し、「ブルゴーニュの神様」と呼ばれるアンリ・ジャイエに師事しました。彼に大きく影響を受けたジムは、当時はボルドー・スタイルのワインが主流であったカリフォルニアで、ブルゴーニュ・スタイルのワインを造ることを決意します。

そして1982年、ジムはカリフォルニアのサンタ・マリア・ヴァレーにオー・ボン・クリマを設立しました。

高品質なピノ・ノワールやシャルドネの産地、サンタ・マリア・ヴァレー


オー・ボン・クリマのあるサンタ・マリア・ヴァレーは、カリフォルニアの中でも最もワイン造りが盛んなセントラルコーストの最南部、サンタ・バーバラの北西部にあります。

サンタ・バーバラは、西から南にかけて海に向かって開けているため、海から冷たい風や霧が大量に流れこむ冷涼な地域ですが、中でもその北西側に位置するサンタ・マリア・ヴァレーは非常に風が強くて特に冷涼な気候で、年間降水量も少ない地域です。

このような気候を活かし、ジムはブルゴーニュのワインの主要品種であるピノ・ノワールとシャルドネを中心に栽培し、ブルゴーニュ・スタイルの繊細かつ優美なワイン造りに徹しました。

この取り組みが世界的にも評価され、サンタ・マリア・ヴァレーは世界のワイン地図にその名を連ねることになり、ジムはカリフォルニアにおけるブルゴーニュ・スタイルの先駆者になりました。

そして現在、サンタ・マリア・ヴァレーはカリフォルニアの中でも最も高品質なピノ・ノワールやシャルドネの産地として知られています。

輝かしい名声を博するオー・ボン・クリマ


オー・ボン・クリマは1989年と1990年には、世界で最も影響力のあるワイン評論家として知られるロバート・パーカーによって「世界のベストワイナリー」と評価され、LAタイムスなどでは2度も「ベスト・ワインメーカー」に、2001年にフード&ワインマガジンで「ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」に選出されています。

このような卓越した評価と、190cm以上の身長を持つその外見から、ジムは「サンタ・バーバラの怪人」や「アメリカのアンリ・ジャイエ」などと呼ばれ、人々から畏怖の念を抱かれています。

しかし、ジムのポリシーは、評論家に受けるのではなく、食事と共に楽しめる飽きのこないワインを造ること。高い評価や輝かしい名声に甘んじることなく、ジムは自身のポリシーに従って良質なワイン造りを続けています。

ワイン造りへのこだわり


ブルゴーニュのワインをお手本としているオー・ボン・クリマでは、ワインの醸造法にもこだわっています。

まず、アルコール度数を高めるためにブドウ果汁に糖分を加える「補糖」や、味のバランスを整えるためにクエン酸等の酸を加える「補酸」などは一切行いません。

また、現代ではワインを発酵させる際は培養酵母を使用するワイナリーが大多数を占めていますが、オー・ボン・クリマでは、その土地の環境をより反映できるよう、基本的には培養酵母は使用せず、開放タンクで自然酵母による発酵を行っています。

このように、余計な手を加えることなく、自然の力を最大限に引き出してワインを造るというスタイルは、まさに師匠であるアンリ・ジャイエのスタイルそのものです。こうして、エレガントでスムーズな味わいと長い余韻が魅力的な、ブルゴーニュ・スタイルのワインが生み出されています。

日本人アーティストとのコラボレーション


オー・ボン・クリマのオーナーであるジムは、これまで何度も来日するほどの親日家です。日本の文化に親しんだジムは、京都造形芸術大学の教授でもあり、日本における現代アーティストの第一人者でもある椿昇氏をラベルのデザイナーに迎え、日本限定の「椿ラベル」をリリースしています。ラベルに描かれているのは、可愛らしい動物のようですが、実は酵母をイメージしたものです。特別に厳選したブドウをブレンドした「椿ラベル」のシリーズは、サンタ・バーバラのテロワールがよく表現された繊細な味わいで、繊細な日本料理ともよく合います。

また、「ミッション・ラべル」のシリーズは、日系墨絵画家のドリュー・タカオカ氏によってデザインされています。