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オルヴィエート

Olvieto


古くからあるワイン産地として有名なイタリアの地方都市「オルヴィエート」は、「世界で最も美しい丘上都市」としても有名です。オルヴィエートでは古くからワインがつくられ、ウンブリア地方における最古のワインと言われています。また、ブドウ栽培の起源も古く、エトルリア時代から行われています。

世界の中でも名高いワインの産地として知られ、「ワインの流れる街」とも呼ばれているオルヴィエートは、ここでつくられた白ワインがルネッサンスの宮廷や法王の出席する食卓に登場するほど、古い歴史を持っています。

そんなオルヴィエートの町並みを歩くと、3千年もの長きにわたる歴史を肌で感じることができます。オルヴィエートに人が住み始めた最も古い記録は、なんと鉄器時代までさかのぼり、紀元前7世紀から3世紀にかけてはエトルリア人が町の発展に貢献しました。紀元前264年にはローマ人の侵入によってオルヴィエートからエルトリア人が去りましたが、町のいたるところに古墳や神殿の遺跡などがあり、今もなおエトルリアの文明が色濃く残っています。

オルヴィエートは13〜14世紀に大きな繁栄を見せます。多くの歴史的な建物や、教会や宮殿はこの時期に建てられ、中でも1290年に建設が始められた美しく有名なドゥオモが代表的です。ドゥオモとはイタリア語で、その街を象徴する教堂のことをさします。歴史の中でも重要な役割を果たしてきたドゥオモは、永い時とともに今もなお大切に扱われています。

またオルヴィエートの町は地理的にも特徴があり、凝灰岩でできた崖の上に建てられています。町の地下には、奥深く井戸と地下道や洞窟が張り巡らされ、歴史的にも評価すべき世界が広がっています。長い歴史の中で、地下のエリアは貯水場や粉挽場、ワイン貯蔵庫など、住民の暮らしに無くてはならない場所としてさまざまな形で使われてきました。

オルヴィエートの気候と風土


オルヴィエートはイタリア半島の中心にあり、ローマから北に約100kmに位置する内陸の土地です。地中海性気候の恩恵を受け、冬の寒さもさほど厳しくはないことから、ブドウ栽培をする上ではベストな土地といえます。

イタリア・ウンブリア州のオルヴィエート地区を中心とした地域はウンブリア州でもトップクラスにワインづくりが盛んなことで知られています。この州のブドウ栽培の約80%をこの地区が担っており、この周辺にある7つの村はDOC(デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・コントロッラータ)という統制原産地呼称ワインの認定を受けた「オルヴィエート」として有名です。

オルヴィエートが栽培されているエリアは、凝灰岩でできている高い崖の上に存在していることをお伝えしましたが、ワインづくりにおいてもその凝灰岩が役立つのです。ワインの発酵と貯蔵を行う際には、凝灰岩に洞窟において行われます。低温の洞窟内で発酵が抑えられることにより、糖分が残り、甘みを強める効果があるのです。 畑はパリア川の両翼に広がり、地形と土壌、岩質をあますところなく利用してブドウが栽培されています。

オルヴィエートワイン


オルヴィエートワインは、ウンブリア地方で最も古いワインと言われており、 貯蔵方法に特徴のあるこのワインは十分な甘みが特徴です。甘みの種類はアッボッカート(薄甘口)、アマビレ(中辛口)、ドルチェ(甘口)があります。

産地はオルヴィエートを中心とする7つの市町村で、トレッビアーノ・トスカーノ種を中心に、ヴエルデッロ、グレケット、マルヴアジア種などを加えてつくられる辛口から甘口までの白ワインがあります。その特徴は、やや濃い麦藁色で上品な花の香りを含み、まろやかな味わいです。以前からエレガントなスタイルの甘口ワインが多くつくられてきましたが、消費者が望むテイストの変化に合わせ、現在はクリーンでフレッシュな酸味を持つ、甘い果実の風味が特徴的な辛口のワインが増えています。

オルヴィエートでは10年ほど前から、メルロー、アリアニコン、サンジョヴェーゼ、カベルネ・ソーヴィニヨ種などの赤ワイン用のブドウも植えられるようになり、「ロッソ・オリヴィエターノ」として認められています。

また、世界的な市場のレベルに合わせてワインを醸造するつくり手が増え、醸造所は多くのお金と手間をかけて施設をより先進的なものへ変化し、徐々にクオリティが安定してきています。最高品質のワインを生み出せるエリアを「クラッシコ」ゾーンとし、オルヴィエート・クラッシコは、通常のオルヴィエートよりも工程がより厳しく定められています。

オルヴィエート地区では、その気候条件を生かして「ムッファーティ」というワインもつくられています。ムッファーティは、ボツリティス・チネレアという菌を活用して作られた、イタリアでは珍しい貴腐ワインです。表面がカビで覆われたブドウから生み出されるワインは、アルコール度が高く、滑らかで甘く、スウィートな香りなのが特徴です。

オルヴィエートの主な生産者


  • Bigi(ビジ)
  • Tenuta Le Velette(テヌータ・レ・ヴェレッテ)
  • Antinori(アンティノリ)
  • Palazzone(パラッツォーネ)
  • Castello della Sala(カステッロ・デッラ・サラ)
  • Orvieto(オルヴィエート)