リグーリア Liguria

イタリア北西部に位置するリグーリア州は、東西に細長く海に沿ってアーチを描くような形で、南はティレニア海、北はピエモンテ州とエミリア・ロマーニャ州、東はトスカーナ州、西はフランスと国境を接しています。

州都はイタリア最大の港「ジェノヴァ」です。日本ではバジルソースのパスタ「ジェノヴェーゼ」はこの都市が由来となっています。 中世にはヴェネツィア共和国と並ぶ海洋国家として名を馳せ、大いに繁栄しました。また新大陸を発見したあのコロンブスの出身地としても有名です。

地形は山岳地帯が65％、丘陵地帯が35％で、平野はありません。 そのため海に面しているといっても、砂浜が広がるビーチは少なく、断崖絶壁の海岸が殆どです。

リグーリアの地域ごとの特徴

リグーリア州は大きく2つに大別され、ジェノヴァから東をリヴィエーラ・ディ・レヴァンテ、西をリヴィエーラ・ディ・ポネンテと呼びます。

「チンクエ・テッレ」の知られざる過酷な歴史

チンクエ・テッレとは「5つの土地」という意味で、名前のとおり海岸線沿いに点在する5つの集落のことです。切り立った崖にへばり付くように建物が立ち並び、カラフルな壁がとても印象的です。どれも個性的な街並みと独自の文化をもっており、その素晴らしい景観と歴史的背景から世界遺産に登録されています。

チンクエ・テッレが誕生したのは11世紀のこと。要塞都市としてつくられましたが、村と村を繋ぐ道路がなく、交通手段は船のみという孤立した村でした。 また平地のない痩せた土地では、作物の栽培が難しく、唯一育った植物がブドウだったそうです。 人々は堅い岩盤でできた斜面を砕き、砕いた岩で石垣を築き、その際に出た砂を土壌にして段々畑をつくりました。数百年かけて築いた石垣の全長はなんと6700キロメートル。畑の斜度は、最大45度にもなります。 海のすぐそばの絶壁に切り開かれた畑は、海風や雨にやられ何度となく石垣が崩れ、その度に修復を重ねたそうです。

ブドウ栽培をするのに適しているとは言い難い過酷な環境ですが、孤立した彼らにとって生き抜く術がこのブドウ栽培だったのです。

海に突如として現る断崖絶壁の段々畑。その景観の美しさも去ることながら、1000年もの間人々が守り続けてきた畑の歴史を感じる、とても印象深い景色です。

サラダの女王「カッポン・マーグロ」

リグーリア州は北部に位置しながら、地中海性気候に恵まれており温暖です。そのため限られた土地でオリーブが栽培されており、調理法もオリーブオイルがメインです。 そして身近で手に入る香草も様々な料理に使用されており、「オリーブ」と「香草」、両方の食材を使って作ったのが、リグーリアを代表するソース「バジルのジェノヴェーゼ」なのです。

また魚介料理も豊かで、リグーリアの魚料理の代表とも言えるのが「カッポン・マーグロ」です。魚介と野菜を使ったサラダで、十数種の魚介や野菜をピラミッドの様に積み上げる豪華な料理で、「サラダの女王」との異名を持ちます。 普段の料理というよりは、クリスマスや御祝いの時など特別な日に振る舞われるおもてなし料理です。