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ヴァルポリチェッラ

Valpolicella


ヴァルポリチェッラは、イタリア東北部ヴェネト州にあるワイン地域で、最も有名な赤ワイン生産地の一つです。千年を超える歴史を持つこの地域は、240平方キロメートルの土地を持ち、北部の国境となっているアルプス山麓の丘にあります。

この地域で生産されるワインは、イタリアのワイン格付けにおいてDOCやDOCGを獲得しており、まさにイタリア国内においてトップクラスの実力を持つ生産地です。

ヴァルポリチェッラの歴史


ヴァルポリチェッラのワイン造りは、少なくとも古代ギリシャ人がこの地で生活をしていた時代から存在していました。1950年代、この地域は独自のDOCを獲得し、1960年代後半には質の高いワインを生産するという公式認知を得ていました。

しかし、この認知により、ヴァルポリチェッラDOCワインを生産することが許可されたブドウ畑の地域が拡大し、さらにより品質の低いブドウ品種の栽培が増加したことによって、ワインの品質は全体的に低下し、国際的なワイン市場における評判だけでなく、販売および価格にも悪影響を及ぼしました。

1980年〜1990年代には品質を向上させ、ヴァルポリチェッラのワインは再び人気を集めました。この地で生産されるアマローネは1990年にかけて急増し、さらに野心的なワインメーカーたちは高品質のワインを生産するために、先進的なブドウ栽培技術やワイン製造技術へ投資するようになったことから、21世紀にはヴァルポリチェッラのワインの評判が世界のワイン市場で拡大し続けました。

2009年、ヴァルポリチェッラで生産されるアマローネとレチョートの両ワインは、DOCGゾーンとしてイタリア最高品質の称号を獲得しました。

ヴァルポリチェッラの気候とぶどう栽培


ヴァルポリチェッラは、西部にはガルダ湖、南東にはアドリア海という2つの水域に近接していることから、穏やかで冷たい大陸性気候となっています。成長期の平均気温は、通常約23.6°Cで、平均降水量は34インチ(860 mm)です。

最も好条件を持つブドウ畑は、490〜1500フィートの位置にあります。ヴァルポリチェッラでは、地元で栽培される4つのブドウ品種コルヴィーナ、コルヴィノーネ、ロンディネッラ、モリナーラに基づいてワインが生産されています。中でもコルヴィーナは、DOCワインにおいて45%〜90%使用されることが法律で決められています。コルヴィノーネをコルヴィーナの代わりに50%以下で使用することも可能であり、それは丸みを帯びたチェリーの香りを提供します。ロンディネッラは、ブレンドの5%〜30%を占めていなければならず、それは緑豊かな花の記憶を提供します。最近では、モリナーラは控えめに使用され、ヴァルポリチェッラのワインに酸味を提供します。

ブレンドの細かい割合に関しては、それぞれのワイナリーに任されていますが、このようにして造られるワインは明るく活気があり、チェリーの香りと風味がバランス良く取れています。

ヴァルポリチェッラのワイン生産


この地域で生産されている赤ワインは4つのスタイルに分かれています。1つ目が乾燥した素晴らしいアマローネ、2つ目がスパイシーなチェリーの魅力が漂うリパッソ、3つ目が甘いレチョート、そして4つ目が活発で親しみやすいヴァルポリチェッラです。

最も標準的なヴァルポリチェッラは、軽くボジョレーのワインに似た特徴を持ち、しばしば酸っぱいチェリーの味で知られています。テーブルワインとして親しまれ、収穫後わずか数週間でリリースされます。アマローネとヴァルポリチェッラ・リパッソは、15〜16%のアルコール含有量に達しますが、それに比べてヴァルポリチェッラは11%ほどです。

レチョートを造るために、生産者たちはブドウ畑から熟したぶどうを選び、それをマットの上や垂木に吊るして乾燥させます。この乾燥したブドウを発酵させ、すべての糖類がアルコールに変わる前に、発酵を停止させます。この甘いデザートワインは、良い酸味と口当たりを持っています。

一方アマローネは、同じ乾燥したブドウを完全に発酵させることによって造られています。数週間または数か月間ブドウを乾燥させ、その間に天然の糖および風味は、より深くアルコール度の強いワインを生産するために十分に濃縮されていきます。

リパッソは、標準的なヴァルポリチェッラを、レチョートとアマローネから残ったブドウの皮(搾りかす)と共に再発酵させることによって造られます。この二重に加工されていることから、その名前は「リパスre-pass」を意味しています。この方法によって、リパッソはヴァルポリチェッラの酸っぱいチェリーの風味と、アマローネとレチョートのやわらかく苦い風味を併せ持ち、より深い味わいのあるワインに仕上がっています。

この地域で最も評価の高いワインは、DOCGのステータスを持つ強力なアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラと、レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラです。ワイン生産者は最も熟したブドウを選び、特別な乾燥室で3〜4か月間保管されます。ブドウは干しブドウのように、水分の3分の1以上が取り除かれます。

こうして乾燥されたブドウを完全に発酵させることで造られるアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラは、少なくとも14%以上のアルコール度を含み、それらは大きな木製の樽で約2年間熟成させます。

デザートワインとしてその香りと甘さを誇るレチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラに対し、アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラは甘味の中に苦みを含んだ、味わい深い豊かなフルボディのワインとなっています。