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シャトー・ラフィット・ロートシルト

Chateau Lafite-Rothschild

メドック格付け第一級の5つのワインを指す「5大シャトー」。右岸にペトリュスやル・パン、シュヴァル・ブラン等の超高級ボルドーはありますが、これらのワインが5大シャトーに数えられるかというと、そうではありません。やはり1855年から続くメドック格付けの歴史というのは別格で、ボルドーの「5大シャトー」といえば、メドックの格付け第1級の5つのシャトーだけなのです。

5大シャトーの中でも筆頭と言われる、シャトー・ラフィット・ロートシルト


そんなボルドーワインの頂点である5大シャトー。1855年の制定当時はムートンはまだ二級でしたので、格付け制定時の第一級は4つ。当時ナポレオン三世の命令で、ボルドーの商工会議所が制定したこの格付けは、市場流通価格が大きなベースになっていました。

その当時、全てのボルドーワインの中で、最も高値で取引されていたのが、このラフィット・ロートシルト。そのことから、4つの第一級シャトーの中でもラフィットが筆頭であり、全てのボルドーワインの頂点であると評価されていました。

その後、一時的に低迷した時代もありましたが、現在も5大シャトーの中ではラフィットとラトゥールが最上という評価が一般的です。

シャトー・ラフィット・ロートシルトの歴史 〜誕生、そして「王のワイン」へ〜


ラフィットが過去の文献に初めて登場するのは13世紀の事で、「小高い丘」を意味する「ラ・イット」が変化して、現在の「ラフィット」になったと言われています。

ワインを生産するシャトーとしての歴史が本格的にスタートしたのは、18世紀に入ったばかりの頃、「葡萄の王子」の異名を持つニコラ・アレキサンドル・ド・セギュール侯爵がオーナーの時代です。ラフィットの後、ラトゥールも取得したセギュール候は、ラフィットとラトゥールを併合。この頃既にイギリスで高い評価を得ていた記録が残っています。

セギュール候の時代には、ヴェルサイユ宮殿でもその評価が急速に高まっていきます。

当時ボルドーの総督に就任したリシュリュー元帥は、ボルドーで医者から強壮剤として、ラフィットを処方されます。その後パリでルイ15世に謁見した際、「ボルドーに旅立つ前より、20歳以上も若返って見える」と言われます。それに対しリシュリュー元帥は、「ギリシャ神話の霊薬、シャトー・ラフィットを飲んだからです」と答えた事から、ラフィットは一躍有名になり、「王のワイン」として認められるようになったそうです。

ルイ15世の公妾であるポンパドール夫人も、ヴェルサイユ宮殿の晩餐会にラフィットを頻繁に登場させました。当時はボルドーよりも圧倒的にブルゴーニュが主流でしたが、このお陰で瞬く間に貴族たちの間でステータスワインとなっていったのです。

シャトー・ラフィット・ロートシルトの歴史 〜ラトゥールとの再分割、ロスチャイルドによる取得〜


セギュール候は跡取りに恵まれず、ラフィットは娘達に分割されます。その際、ラフィットとラトゥールは再び別のシャトーとして分かれます。その後競売にかけられたり、何代ものオーナーを経て、1868年にジェームズ・ド・ロートシルト男爵に購入されます。そして、最終的に現在の名称である「シャトー・ラフィット・ロートシルト」と改名されました。

その後、フィロキセラやウドンコ病、大恐慌や第二次世界大戦などで度々被害を受けました。1960〜70年代にも一時的に評価を大きく落としましたが、現在は再び名声を取り戻し、ボルドーの頂点としての地位にふさわしい、素晴らしいワインを安定して産み出しています。

シャトー・ラフィット・ロートシルトの畑、醸造について


ポイヤックの中でも最も北、サン・テステフとの村境近くに位置するラフィットの畑。「小高い丘」を意味する「ラ・イット」がシャトー名の語源になった事からも分かるように、ポイヤックでも最も標高の高い位置に畑があります。一部の畑はサン・テステフ側にありますが、特例としてラフィットの畑だけは、ポイヤックとして扱われているそうです。

作付面積はカベルネ・ソーヴィニヨンが最も多く約70%。メルローが約25%と続き、僅かにカベルネ・フラン、プティ・ベルドが植えられています。

ブドウの平均樹齢は39年。これだけでも平均としてはかなりの高樹齢ですが、ファーストラベルには樹齢10年未満のブドウは使わないので、実際には平均45年程度の樹齢を誇ります。

収穫されたブドウは、区画毎に別々にタンクに入れられて醗酵されます。これにより、区画毎の特性を把握することが出来るからです。2010年には数十台の低容量タンクを設置した醸造庫を2つ増設。こうして細かく分類することで、それぞれのロット毎に違った適切な醗酵手順を行うことが可能になります。

長期熟成を行う樽も、ラフィットでは自らの工房で自作しています。一律の品質の樽ではなく、ヴィンテージや区画毎に適した火入れ(トースト)具合が異なります。普通に買うだけでも高い樽を、わざわざ自作するとなれば、相当な費用が掛かります。ここまでコダワッた作り方をされると、小さなシャトーでは到底太刀打ち出来ません。

シャトー・ラフィット・ロートシルトのワイン


ラフィットにはファーストとセカンドの2つのワインが存在します。ラトゥールのようなサードワインは今のところありません。

シャトー・ラフィット・ロートシルト

ラフィットの造る最高のワイン。ヴィンテージによって異なりますが、カベルネ・ソーヴィニヨンが約80〜95%程度で、残りはメルロー。カベルネ・フランとプティ・ベルドはほんの少量使われます。100%新樽で18〜20ヶ月熟成。

5大シャトーの中でも最もエレガントと言われる、繊細な味わいが特徴。勿論、ブドウの凝縮感やタンニンも豊富で、飲み頃までには10年以上を擁します。

カリュアド・ド・ラフィット(セカンド・ワイン)

ラフィットのセカンド・ワイン。単なるファーストの型落ちではなく、カリュアド独自の区画から採られるブドウも使われており、その品質は第2級格付けに匹敵するほど。メルロー比率が30〜50%とファーストよりも高く、その分柔らかみのある味わいが特徴。

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