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エトナ

Etna


エトナは、イタリア最南端に位置するシチリア島東部にある活火山の名前です。標高3330mもの高さのエトナ山は、地中海の島の中で最も高い山。そして今でも継続的に赤い溶岩を噴き出している現役の活火山です。

エトナ山の山すそには、真っ黒な溶岩に覆われた部分と緑の草原の部分のコントラストが興味深い肥沃な大地で、はるか紀元前の昔から土着のブドウが栽培されています。

シチリアのワインと言うと、いかにも南の赤、どっしりとした野暮ったいイメージもありましたが、最近では、シチリア島の人気と共に、ピエモンテ州やトスカーナ州に並ぶイタリア有数のワイン産地として再評価されています。

特に、火山性の肥沃な大地で生まれるDOCエトナロッソは、新しいワイン造りの可能性を目指したワイン醸造家たちの試みが功を奏して、注目度が高いワインです。

エトナのワインの歴史


エトナ山の近郊にあるカターニアは、紀元前8世紀にギリシア人によって拓かれた植民地に端を発する街です。エトナ山の肥沃な大地のもとで、ギリシア人によってもたらされたブドウ栽培の技術を活かし、かなり古くからワインが造りが続けられてきました。

1900年の初めには、エトナ山の山すそに収穫したブドウを運ぶための周遊鉄道まで敷設されたほどですが、山の斜面を利用してのブドウ造りは、20世紀の大量生産には向かず、徐々に衰退していきます。

1968年にシチリア島で初めてエトナロッソはDOCに認定されますが、昔ながらの伝統的な製法によるワイン造りが続けられます。

ところが90年代後半になると、シチリアが観光地としてスポットを浴びるのと並行して、伝統的なワイン造りの方法に新しい技術を用いたワインの醸造方法を模索する意欲的なワイナリーたちが登場します。

エトナ独自の持ち味を真に生かすワイン造りが認められ、シチリアだけではなくイタリアを代表する良質なワインの産地として、注目されています。

エトナの気候、土壌


シチリアのワインと一言で言うことができないほど、エトナのワインは、例外中の例外と言ってもいい特徴を備えています。ブドウが生育しているエトナ山の斜面は、400mから1000メートルまでの高地にあります。

また、寒暖の差が昼と夜では非常に異なり、夏、多いときは最高で約30度もの違いが生じます。この温度差が、エトナ独特のブドウを育てるのです。

それから、なんといっても活火山の存在。数百年も前から度重なる噴火によって、エトナの土壌には、溶岩が幾層にも積み重なっていて、豊富なミネラル分が蓄積されています。また、ほんの少し離れただけで、その場所の噴火の歴史が異なるために、土壌の構成が全く変わってきます。

面白いことに乾燥したシチリアの中で、エトナの周辺は雨が多い地方です。シチリアの平均の6倍から10倍と言うのですから、全くシチリアの中では異質の気候です。特に、収穫期のころに多く雨が降ります。地中海の輝く太陽の光をたっぷり浴びたエトナのブドウは、ヨーロッパの中でも最も遅い収穫期を迎えます。

このように、独特の特徴を備えたエトナのワインですが、不思議なことに赤ワインの王さまとも称されるブルゴーニュのワインによく似ていると高く評価されています。

エトナのブドウの品種、ワインの特徴


エトナのワインを代表するエトナロッソは、ネレッロ・マスカレーゼが80〜100%、ネレッロ・カップョが0〜20%で作られます。これらの黒ブドウは、どちらもエトナ土着のブドウの品種です。エトナ山の中腹で栽培されるこれらのブドウは熟するのが遅く、10月の下旬から11月の上旬にかけて収穫を行います。程よいタンニンとエレガントさを備えたエトナ土着のブドウは、赤ワインを代表するブドウ品種ネッビオーロやピノ・ネーロと似たような味わいを生み出します。

フレキシブルな可能性を持つエトナロッソは、毎日の普通の食事にもぴったりです。トマトのスパゲッティのようなシンプルな料理から、肉料理や魚料理にもよく合います。ポルチーニ茸のフリットのような独特な料理との組み合わせもおすすめです。
また、2011年にDOCに認定された白ワイン、エトナビアンコは、これも土着のカッリカンテ、カタッラット、インゾーリア、グレカーニコ、ミンネッラなどのブドウ品種によって作られます。フレッシュな果実の香りとしっかりした酸味、そしてミネラル分が特徴的です。

エトナワイン周遊鉄道


ブドウを運ぶために使われていた周遊鉄道が、現在、春から秋まで期間運行しています。各停車駅からは、ワインバスが運行されワイナリー観光の一環として役立てています。

エトナの主な生産者


リングアグロッサ

シチリオ(Scilio)
ヴィーヴェレ(Vivere)

カステリオーネ・ディ・シチーリア

ベナンティ(Benanti)
フランク・コルネリッセン(Flank Cornelissen)
カンティーネ・ルッソ(Cantine Russo)
コッタネラ(Cottanera)
フィリアート(Firriato)
パルメント・コスタンツァ(Palmento Costanza)
プラネータ(Planeta)

ランダッツォ

アルカンターラ(Al Cantara)
デストロ(Destro)
フェウド・ヴァリアシンディ(Feudo Vagliasindi)
テヌータ・デッレ・テーレ・ネーレ(Tenuta delle terre nere)
テレッツァ・デッレトナ(Terrazze dell’Etna)

パッソ・ピッシャロ

ヴィーニ・フランケッティ(Vini Fianchetti)