ラインガウ

Rheingau

ラインガウは、ドイツ南西部に位置するドイツワインの生産地の一つです。その名前を聞いただけでも、母なる大河、ラインの恵みを存分に享受している地域であることが想像できます。ラインガウは、高級なワインを生み出す生産地として、ドイツのみならず、世界中のワイン生産地の中においても、最高峰に君臨しています。

今や、世界中で白ワインの品種として最も注目されるリースリングですが、ラインガウでは、リースリングの栽培比率が高く、そのリースリングの評価はとても高いです。また、輸出率も高く、世界中のファンの元に、ラインガウの気品あふれる最高級ワインは届けられています。

ラインガウのワインの特徴

ラインガウでは、リースリングがその栽培面積の90％を占めています。ドイツの代表的品種であるリースリングは、フランスのシャルドネに匹敵するブドウ品種です。しかし、栽培条件が限定され、比較的栽培が難しいのですが、ラインガウの気候風土に適しているようで、非常に高品質なリースリングが収穫されます。リースリングのワインは、キリっとシャープな酸味が特徴です。酸味同様、果実味溢れる甘みも感じられます。リースリングの他には、シュペートブルグンダーや、ミュラー・トゥルガウも栽培されています。

また、ラインガウの貴腐ワインは、フランスのソーテルヌ、ハンガリーのトカイと並ぶ世界三大貴腐ワインの一つといわれています。

以上のような特徴を持つラインガウのワインですが、ドイツワインの中にあって、最も華やかなで、ハイクオリティなワインであるという評価が確立しているといっていいでしょう。

ラインガウの歴史

ラインガウの歴史は8世紀、カール大帝がライン川をはさんだインゲルハイムの居城からラインガウを見て、その雪解けの早さから、ラインガウの暖かさを知り、ブドウ栽培を奨励したという有名な歴史の逸話に始まります。その後この地では、修道院や貴族たちがリースリングを栽培し、そのワイン造りを洗練させてきました。

また、ドイツのQmPワインと呼ばれる特級ワインに認められた肩書の一つ、「カビネット」は、この地域が発祥だといわれています。

ラインガウのロケーション

フランクフルト空港からアウトバーン（高速道路）で1時間弱で、エストリッヒ、ヴィンケル、リューデスハイムなどのワイン畑が広がる、ラインガウの村々に着きます。

ラインガウはライン地溝帯の中心部、ライン川中流近くのロルヒとマイン川に面したホーホハイムの間に位置しています。この地で北上していたライン川が直角に向きを変え、西進します。ラインガウの北側はタウヌス連山に囲まれ、南側がライン川に面しています。ブドウ畑は、すべて南面し、太陽の熱と光を十分に受けることができるだけでなく、ライン川の川面からの反射光と蓄熱によって、ブドウ栽培にベストなコンディションを提供しています。これらの気候条件が、リースリングはじめ、ラインガウのブドウを最上級のものにするのです。

ラインガウのブドウ畑

ラインガウのブドウ畑は約3,200haで、全栽培地域の8番目の大きさです。ヨハニスベルクが、ラインガウの唯一のベライヒ（地区）で、グロースラーゲ（総合畑）が12、アインツェルラーゲ（単一畑）が118あります。この地域の土壌は、黄土層、粘板質微粒砂土、風化した粘板岩から成り、リースリングには理想的な環境を提供しています。

また、ラインガウ全体が一つの長い丘の斜面になっており、土壌の恵みにとどまらず、ライン川が日中吸収した太陽の熱を、気温が下がる夜間から明け方にかけて徐々に放出し、それが暖かい湿った霧となり、ブドウ畑を包むという自然環境がこの地のブドウを上質なものにしています。ラインガウのワインは、ベストなテロワールの個性をいかんなく発揮したワインとなっています。

ラインガウの著名生産者

ロバート・ヴァイル

シュロス・ヨハニスベルク

シュロス・フォルラーツ

ゲオルグ・ブロイヤー