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シャトー・トロット・ヴィエイユ

Chateau Trotte Vieille

シャトー・トロット・ヴィエイユは、ボルドー・サンテミリオン地区の格付けで、第1特別級B(Premiers Grand Cru Classes B)にランク付けされています。トロット・ヴィエイユは「小走りおばあさん」というユニークな名称であることでも有名です。

シャトー・トロット・ヴィエイユの歴史


古くから有名シャトーとして存在し、すでに15世紀にはその名前は有名でした。ヴィエイユとは数百年前に住んでいたおばあさんの名前に由来しています。当時、シャトーの近くに乗合馬車の停車場があり、馬車が到着する度におばあさんが小走りで寄ってきて会話を交わすのが名物となっていました。そのためシャトーには小走りを意味する「トロット」とおばあさんの名前である「ヴィエイユ」が組み合わさったものとなったという説が一般的です。他にも、「おばあさんが散歩していたから」「威勢の良いおばあさんだったから」など諸説があります。

1950年代に入り、ボリー・マヌー社がトロット・ヴィエイユの新たなオーナーになりました。同社はシャトー・バタイィ、シャトー・ランシュ・ムーサなどのオーナーとしても知られ、1900年代後半に数々のシャトーの復活を手掛けてきた会社です。同じくやや低迷に入っていたトロット・ヴィエイユに対しても、改革を進めていきます。1998年からはボルドー大学教授のドゥニ・ドュヴルデューがコンサルタントとして参加しています。

ワインアドヴォケイトのロバート・パーカー氏もトロット・ヴィエイユの品質向上を評価しており、ボリー・マヌー社のフィリップ・カステジャの手腕によるものだと認めています。選果の精度を上げたこと、新樽比率の改善、遅めの収穫、マセラシオン(醸し)の期間を長くしたことなどにより、最上のワインに挑む段階にまで達していると評価しました。

シャトー・トロット・ヴィエイユのワイン造り


トロット・ヴィエイユの畑は、サンテミリオンの町から東であり、他のサンテミリオンの有名シャトーは西側にあるため、やや外れたところにあります。表面には赤色の砂利、中は石灰質の粘土であり、メルロなどのブドウの栽培に適した土壌です。石壁に囲まれた10haほどの土地で、年間生産数はおよそ3万本の規模であり、小規模にコントロールされています。ブドウの樹には樹齢が古いものもあり、フィロキセラが猛威を振るった1863年以前のもので樹齢140年を超えているも存在します。

ブドウ栽培は除草剤などを極力使わないリュゾネットで行われ、夏の間にグリーンハーベストを行います。栽培しているのは、メルロ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンです。アッサンブラージュの割合はメルロ50%、カベルネ・フラン45%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%となっていて、カベルネ・フランの割合がやや高めなのが特徴です。コンクリートタンクで21日間発酵させ、樽熟成は12ヶ月〜18ヶ月ほどです。新樽比率が非常に高く、100%となっています。

セカンドワインとして、「ダーム ド トロット ヴィエイユ」と「ラヴィエイユダム ド トロット ヴィエイユ」も生産しています。

シャトー・トロット・ヴィエイユのワインの特徴


トロット・ヴィエイユは肉付きの良さ・豊潤さが印象的なワインです。多く配合されているカベルネ・フランは、若い状態だとピーマンのような青い植物のニュアンスが強く出ます。しかしトロット・ヴィエイユでは十分に熟しているため、植物のニュアンスは出ることなく、まろやかで濃厚なタンニンが感じられる仕上がりです。

酸味・タンニン分のバランスに優れ、アルコール感もちょうど良く、全体的にバランスが取れたワインと言えます。また、土壌が小粒の砂利・石灰・粘土などが複雑に交わった構成であるため、ワインにもほのかにミネラル分が感じられます。新樽比率が非常に高いことから、樽由来のスパイスの香りも十分に楽しめます。

シャトー・トロット・ヴィエイユの評価


サンテミリオンのPremiers Grand Crus Classes Bに格付けされていることもあり、価格は1本あたり15,000円前後となっています。ボルドー・メドックの3級〜2級格付けと同等の価格帯であり、高く評価されています。ブドウの収穫・ワインの生産共に小規模にコントロールされているため、日本に入ってくる数もそれほど多くはありません。古いヴィンテージは特に数が限られます。

セカンドワインである「ダーム ド トロット ヴィエイユ」と「ラヴィエイユダム ド トロット ヴィエイユ」はファーストワインの半額で、1本あたり8,000円ほどと手ごろな価格で入手することができます。気軽にトロット・ヴィエイユの味わいを楽しみたいときにおすすめです。セカンドワインも日本に輸入される数はそれほど多くなく、希少性だけではファーストと同等とさえ言われることも。興味のある方は見かけたら早めに購入を検討してみてください。