オー・ボン・クリマのイザベルを生産者と一緒に飲んでみた!

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このご時世にアメリカの生産者と一緒にワインを!?

ご安心ください、今流行りのオンラインセミナー(ウェビナー)でインターネットを介して、セミナーを受けてきたという話です。

今回はインポーターの方に通訳してもらい、オー・ボン・クリマのオーナー、ジム・クレンデネンさんの解説を聞きながら、プレミアム・キュヴェ「イザベル」を試飲する、というなんとも贅沢なセミナーの報告です!

オー・ボン・クリマ

オー・ボン・クリマについて

まずはオー・ボン・クリマをざっと説明したいと思います。

いまやカリフォルニアでブルゴーニュ・スタイル、といえばオー・ボン・クリマ。というほどの生産者の始まりは、オーナー兼ワインメーカーの「ピノ・ノワールの伝道師」ジム・クレンデネン氏が大学卒業後、フランスのブルゴーニュ地方やシャンパーニュ地方に滞在したことで、ワインの仕事を志すようになったことに遡ります。

そしてサンタ・バーバラのワイナリーで3年間の修行後、なんと当時まだ存命であった、アンリ・ジャイエ氏に師事するために、ブルゴーニュへ渡ります。「ブルゴーニュの神様」の影響を多大に受けたジム・クレンデネン氏は、1982年にサンタ・マリア・ヴァレーにオー・ボン・クリマを設立します。

1989年、1990年にかの有名なロバート・パーカーによって「世界のベスト・ワイナリー」と評価され、世界にその名を轟かします。フランス語で「よく露出しているブドウ園」を意味する「Au Bon Climat」の頭文字をとって「ABC」という通称は、いまやカリフォルニアのブルゴーニュ・スタイルの代名詞となっています。

プレミアム・キュヴェ イザベル

そんなオー・ボン・クリマのラインナップは実に多彩。息子の名前を冠したピノ・ノワールのキュヴェや、日本のファンであるジム・クレンデネン氏がブレンドした日本限定品など、実にバラエティに富んだラインナップの中でも、フラッグシップの一角に位置するのがこの「イザベル」

1995年に誕生した、長女イザベルの名を冠したこのフラッグシップは、あのアンリ・ジャイエ氏の代表作「クロ・パラントゥ」を目指して造られたとも言われており、「ノックス・アレキサンダー」「ヒルデガード」「ニュイ・ブランシュ」とともに、ワイナリーのフラッグシップシリーズ「ブルーシリーズ」に属しています。

セントラル・コーストから、北カリフォルニアまでの地区にある優れた畑から、さらに厳選を重ねた、極上の区画のピノ・ノワールから作ったワインで構成されるこのイザベルは、その性質上「畑」という意味においてのブレンドワインになります。

そのようにして造られるこのフラッグシップは、オー・ボン・クリマの中で最も凝縮感のあるワインですが、バランスが絶妙でワインの中にある香りや味わい、ボディの一体感が素晴らしいワインです。

インポーター資料によると「オーク、タンニン、アルコール、果実味、酸味が、繋ぎ目がわからない布地のようになめらかな完璧なピノ・ノワール」とのこと。凝縮感があるということは長期熟成にも向き、ワイナリーの人は15年以上(!)寝かせたものを通常飲むそうです。

ツバキラベル

もうひとつセミナーに登場したのが、日本限定品「ツバキラベル」のピノ・ノワールとシャルドネ。この特徴的なエチケットを見たことある方は多いでしょう。
京都造形芸術大学の教授、椿昇氏がデザインした「酵母の精霊」をあしらい、日本のためにジム・クレンデネン氏が造り上げたワインです。

ピノ・ノワール、シャルドネともに、日中は温暖ですが夜間は気温が低くなる、理想的な気候条件の、サンタ・バーバラで採れたブドウを主に使って造られるこのワインは、ジム・クレンデネン氏曰く「コストパフォーマンスに自信」があるそうです。実際、改めて飲むと、驚異的なコストパフォーマンスだな、と感じました。

またピノ・ノワールのツバキラベルにはフランス・サヴォワ地方の珍しい品種、モンドュースが使われていることに話が及ぶと、ピノ・ノワールがとっっっっても高価な事にも触れ、色調や複雑味を出すためのもの、と説明。かつ若い樹齢の木において単一品種が最良の方法か、と言われると非常に疑問。との考えを示してくれました。

なんとも贅沢なセミナー

セミナーの内容はごくシンプル。そのワインの説明を生産者から受けながらワインを飲む、以上です。ですがこれ以上に贅沢なことがありますか?

はじまり

まず驚いたのが、キュヴェ名にもなっているイザベルさんが日本語をしゃべられること!そしてよく日本の記事なんかを読むと、「イザベルちゃん」なんて表現を見るけど、いやいや皆さん情報は更新しましょう。もはやイザベルさん、です。

実は日本のインポーターにインターンに来ていたこともあるようで、日本語が堪能です。ジム・クレンデネン氏も日本がとても好きなようで、ワインの説明にも日本食とのマリアージュを提案してみたり、かなりの日本通のご様子。

まずはワイナリーの概要から。基本的な情報は上に書いたので割愛しますが、より詳しいことを教えて頂きました。乾燥で涼しいというのは、もちろんブルゴーニュ品種にとって理想的ですが、冬の間は比較的暖かくて、ブドウの冬眠期間が短いそうです。生育期間で言うと平均100日ほどですが、ここでは130日ほど、とのこと。

ジム・クレンデネン氏は特にサンタ・バーバラをホーム、と思ってピノ・ノワールやシャルドネなどのブドウを作っているそうで、悪い青っぽさを生む水はけの悪い土壌ではよいブドウは育たない、と。その点サンタ・バーバラは灌漑が重要、というくらい雨が少ないそうです。

質問コーナー

挑戦してみたいブドウ品種は?との質問に対し、ジム・クレンデネン氏は「クレンデネン・ファミリー」というプライベート・シリーズを持っており、そこではグルナッシュやアリゴテ、シュナン・ブラン、ガメイ、ネッビオーロやガメイも造っているそうです。特にグルナッシュはセクシーで、ネッビオーロはイタリア人に褒められたんだよ!といっていました。とっても楽しそうでした。

その他、質問として挙がっていたのがクローンの話。どんなブドウのクローンを使っていますか?との質問に対し、昔からあるオールド・クローンと言われるものと、1970年代に開発されたディジョン・クローンを使っているとのことでしたが、クローンよりも植えられている場所の方が大事、とジム・クレンデネン氏。この考え方はやはり「ブルゴーニュの神様」の影響を色濃く感じますね。

またコルクの話も出ました。試飲に使われた、2018年のピノ・ノワール・ツバキラベルは、天然コルクを破砕して造られた、ディアムのコルクを使っています。(気づきませんでした・・・)ブショネが出づらいとの事で使ったようですが、伝統を重んじるジム・クレンデネン氏は2019年以降は天然コルクに戻す、と言っています。

テイスティング

まずはツバキラベルのシャルドネから

ジム・クレンデネン氏の口からはまず、明るいワインという表現が聞こえました。また背反的な表現になるかもしれませんが、フレッシュかつクリーミー。フレッシュな柑橘系のアロマにクリーミーなアロマも混じっています。そして少しスワリングすると、ミネラルも若干感じられますが、アプリコットやメロンの香りが立ち上ります。

味わいはパイナップルや白桃などのフルーティなニュアンス、最後のかすかな苦みが余韻に導きます。エレガントでしっかりとしたテクスチャを持ち、香り高い余韻が非常に長く続きます。

ジム・クレンデネン氏がおススメするマリアージュは、ミル貝やハマチのお寿司(クレンデネン氏自身はハマチが苦手らしいです)など、生魚によく合うそうです。
若いうちにもちろん楽しめますが、熟成させた場合にはクリーミーなテクスチャがより顕著になり、合わせる魚介類としては、カキやウニなどが合うとの事です。

次にツバキラベルのピノ・ノワール。


まず現行のヴィンテージは2018年で2015年、2016年と同じく良い年だ、とのこと。2015年に若干感じられた、というヨモギのような緑っぽい香りがなくなり、ジム・クレンデネン氏が言うには、「より完成形に近づいた」ピノ・ノワール。

こちらも明るいワイン、という表現がまずあり、たくさんのラズベリーやブラックチェリーの芳醇なアロマ、スパイシーなニュアンスも感じられ、複雑性を生みます。味わいはエレガントでベリー系のフルーティさ、アーシーな風味、柔らかなタンニンが複雑性を持たせます。

具体的なマリアージュ例にまで話は及びませんでしたが、フードフレンドリーであるということは言っていました。私個人の感想としては濃い肉料理よりは、焼いたチキンや赤身のお寿司なんかが合うんじゃないかな、と思います。

最後に満を持して登場のイザベル。


なんとイザベルさんが、日本語でワインの特徴を説明してくれました!びっくり!イザベルさんの説明を聞きながら、イザベルのワインを飲む。なんてこった。
先述したように、様々な畑の優良区画を集めて造ったワインだから香りも味わいも複雑性が段違い。まさにイザベルさんが説明してくれたように、リッチ。

樽香もしっかりありつつ、それに負けないくらいベリー系の香り。存在感がありながらもバランスに優れた酸、シルキーなタンニンに凝縮した果実味。かすかな苦みが余韻を導き、バニラ香を伴ったとてつもなく長い余韻。

「オーク、タンニン、アルコール、果実味、酸味が、繋ぎ目がわからない布地のようになめらかな完璧なピノ・ノワール」

ほんとに非の打ち所の無いピノ・ノワール。長期熟成が可能な造りながらも、早く飲んでもおいしい。熟成を経たらどんな魅力的な姿になってくれるのか・・・

ちなみに2018年VTはイザベルさんが、ニューラベルを作成したとのこと。ブレンディングにも挑戦している、なんて話もあったので、いつかイザベルさんが造った、イザベルが飲めるかもしれません!

最後に

とっても楽しいセミナーでした!筆者自身オンラインでのセミナーが初体験だったのですが、結構スムースに行くものですね。これで生産者との距離がもっと近くなれば、ワインの楽しみ方ももっと増えるかもしれません。

「サンタ・バーバラの怪人」なんて言われているジム・クレンデネン氏ですが、セミナー中に冗談を飛ばす、などとても気さくで親しみやすい方でした。そしてイザベルさんの日本語、とっても上手でした!

ワインは知識や味わいも重要ですが、改めて生産者の方がいてこそ我々がワインを楽しむことができるのだ、ということを実感しました。

最後にオー・ボン・クリマの詳しい説明ページと、今回試飲したワインのページを置いておきますので、気になった方は見に行ってみて下さい!

■オー・ボン・クリマのページはこちら

オー・ボン・クリマ ピノ・ノワール イザベル 2015

オー・ボン・クリマ ピノノワール TSUBAKIラベル 2018

オー・ボン・クリマ シャルドネ TSUBAKIラベル 2017

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