アリゴテ種とは、フランス・ブルゴーニュ地方を中心に栽培されているブドウ品種です。このブドウからは、白ワインのみが造られます。ブルゴーニュは栽培面積の80%余にシャルドネとピノノワールが植えられていますが、白ワイン用品種に限って言えば、アリゴテ種は、シャルドネについで2番目に多く植えられていて、ブルゴーニュ全体の栽培面積の6%にあたります。
アリゴテ種は房は大振りで密生して実り、シャルドネより粒が大きく、やや軽めのワインとなります。そのため常にシャルドネと比べられ、シャルドネより格下、二級品種のようなイメージが付きまといますが、良年の成熟したアリゴテは、際立った酸と果実味を持った、バランスが取れた魅力的な辛口白ワインになります。
また、病害虫に対して丈夫なので、ブドウ農家にとっては栽培しやすい品種です。また、発芽が早く早熟で、8月には収穫されます。
アリゴテ種を詳しく見ると、「アリゴテ・ヴェール」と「アリゴテ・ドレ」という異なる品種に分かれます。アリゴテ・ヴェールのヴェールは緑色を意味し、文字通り緑の大粒の酸味が強いブドウです。一方、アリゴテ・ドレのドレは金色という意味で、成熟すると黄金色になる小粒のブドウで、酸っぱさだけが際立つということのないふくよかなワインになります。
アリゴテのワインの特徴
今までアリゴテ種で造られたワインは、他のブドウ(特にシャルドネ)から造られたワインより一段下に見られがちでした。確かに酸味が強く、厚みのないワインと言うイメージで見られる傾向がありました。
しかし、アリゴテ種から造られたワインは、フレッシュで透明感のある香り、エッジのきいた酸味、シャープな味わい、すっきりとした後味を特徴としています。ミネラル感たっぷりで、頑固ともいえる古風な酸味、これこそがアリゴテのワインの特徴であり、長所でもあるのです。
特に、ブーズロンがAOCと認められてからは、酸味だけが際立つことのない、ふくよかな厚みのあるワインとして、世間の注目を集めるようになりました。
アリゴテの主な産地
ブルゴーニュ全域で栽培されているアリゴテ種ですが、その中でも、コート・シャロネーズにあるブーズロンは、小さな村ながらも、アリゴテ100%のAOCである、AOCブーズロンを産出しています。また、モレ・サン・ドニもアリゴテ種の栽培で有名になってきています。
ブルゴーニュ地方以外では東欧諸国で人気があり、ブルガリアやルーマニアの肥沃な土地で栽培されています。また、ロシアでも人気が高く、ウクライナ、モルドバ、グルジアなどでも栽培されています。少し意外かもしれませんが、チリやカリフォルニアの一部でも作られています。
アリゴテの畑の特徴
ブルゴーニュ・アリゴテはブルゴーニュ全域で栽培されたアリゴテ種を使った白ワインで、その畑の総面積は1655haに及びます。栽培地が広いため、地質は様々ですが、アリゴテ種に適した畑は主に石灰岩をメインに、泥灰土や粘土が混ざっている丘陵の斜面で、標高の高低は問題になりません。
また、アリゴテ種は、シャルドネやピノノワールが育てにくいところでもよく育ちます。病虫害に強いので、栽培農家にとっては育てやすいぶどう品種です。
アリゴテにマッチするお料理
アリゴテの最大の特徴は酸味。強すぎるとされる酸味ゆえに、かつてブルゴーニュでは食前酒にキール(クレーム・ド・カシスでアリゴテを割ったカクテル)として飲むようにブルゴーニュ市長が推奨していた時代もあります。
アリゴテの酸味は、日本食との相性にも優れています。和食の典型、天ぷら、刺身といった素材の味そのものを楽しむというお料理には相性がいいです。また、魚介類ともマッチしますので、アクアパッツァ、魚の塩焼きにも、それぞれがそれぞれの持ち味を引き立てあうことでしょう。ビネガーをかけて楽しむような、サラダや前菜ともよくマッチします。