アパッシメント製法のワイン、飲んだことありますか?
普通のワインでは味わえない、濃密で独特な風味は、一度飲んだらクセになる美味しさ。
実は近年、このアパッシメントワインの人気が、日本でも急激に高まっているのです。
今回は世界のワイン界に、一大ムーヴメントを巻き起こしつつある、アパッシメント製法によるおすすめワインをご紹介したいと思います!
アパッシメントワインって何?
アパッシメントとは、干しブドウを原料にしたワインのこと。
レーズンのように乾燥させたブドウを使うことで、果実のエキスを思いっきり凝縮するという、高級ワインにも使われている特殊な醸造法です。
乾燥させる方法もさまざまで、一般的には陰干しするのが普通ですが、まだ樹についている状態で自然乾燥させるなんていう荒技もあります。
どんな方法であれ、乾燥させるとブドウの成分はギュ~ッと凝縮されます。
そうすると糖度も高くなるわけですが、糖分は醸造される過程でアルコールに変化しますので、アパッシメントワインだからといって甘いとは限りません。
豊富な糖分がアルコールになるので、一般的にアパッシメントのワインは、アルコール度数が高めの事が多いです。
そして飲んで頂ければわかりますが、アパッシメントワインはどれも濃密にして個性的!
乾燥ブドウを使う事によって、ぶどうのエキスが思いっきり凝縮されるのと同時に、普通のワインでは味わえない独特の風味が産まれます。
その味わいに魅了された人の中には、「もうアパッシメントじゃないと物足りない!」なんて仰る方もいるんですよ。
本場イタリアのアパッシメント事情
干しブドウでワインを造るなんて、独創的な限られた一部の地域だけのもの…かと思いきや、実はヨーロッパ各地でその製法が使われています。
でもアパッシメントの本場と言えばやっぱりイタリア。
イタリアではブドウを乾燥させる事をPassito(パッシート)と呼び、アルコール度数が高めの辛口ワインから、レチョートと呼ばれる甘口ワインまで、様々な銘柄が生産されています。
特に「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ」をはじめ、伝統的なアパッシメントワインのいくつかは、文句無しの高級ワインとして有名ですよね。
一般的にブドウを乾燥させると、その量はおよそ3分の1程度まで減ってしまうのだとか。
そうすると単純に考えても、普通のワインと比べて原材料費は3倍になるわけで、価格が高くなるのも当然ですね。
とはいえ近年では、人気の高まりによる研究が進んだ事もあり、イタリア各地でリーズナブルなアパッシメントワインが造られるようになりました。
1,000円台で買えてしまうものも珍しくなく、気軽に飲める銘柄が増えてきたのは嬉しいことですね!
お手頃価格で飲める、おすすめアパッシメント4本
それではここから、アパッシメントワインのおすすめ銘柄をご紹介。
まずは本場イタリアより、1,000円台で飲めるリーズナブルなアパッシメントを4本セレクトしました。
同じアパッシメントワインでも、銘柄によって明確な個性が出ることがおわかり頂けると思います!
旨安の宝庫プーリア版アパッシメント
アパッシメント カーサ・ヴィニロニア ボッター・カルロ 赤
Casa Vinironia Appassimento / Botter Carlo
イタリア半島南端のプーリア州と言えば、安くて美味しいワインを数多く産出する旨安ワイン天国。このプーリア州にも、アパッシメントの波が押し寄せているのです!ぶどう品種はメルローを主体に、ネグロアマーロとプリミティーヴォをブレンド。ストレートに美味しさがわかるタイプで、多くの方に好まれる味わいだと思います。また生産者のボッター・カルロも、旨安ワイン界で大きな支持を集めており、コスパの高さに隙が無い1本と言えるでしょう!
珍しいオーガニックのアパッシメント
プラート アパッシメント オーガニック サンタ・テレザ 赤
Purato Appassimento Organic / Santa Tresa
こちらはシチリア島より、名産ブドウ「ネロ・ダーヴォラ」を使ったアパッシメントワイン。シチリア島もまた、コスパの高い銘柄を供給してくれる事で有名ですが…。なんとユーロリーフの認証つきオーガニックワインでもあり、濃厚な味わいの中にもどこか優しさが感じられます。近年はオーガニックワインも増えてきていますが、アパッシメントでなおかつオーガニック、というのはなかなか珍しいと思います。
キャンティの知られざる伝統ワイン
キャンティ ゴヴェルノ バルバネラ 赤
Chianti Governo / Barbanera
キャンティと言えば、ワイン好きなら誰もが知るイタリアワインですね。実はこのキャンティの産地には、陰干しブドウを使った「ゴヴェルノ」と呼ばれる、伝統的なワイン醸造法があるのです。キャンティ自体は有名ですが、ゴヴェルノ製法については知らない方も多く、日本に出回る銘柄もそんなに多くないと思います。普通のキャンティとは全く異なる、アパッシメントならではの濃密な味わいが楽しめますよ。
良質なカベルネで造るアパッシメント
コッレツィオーネ カベルネ・デッレ・ヴェネツィエ アパッシーテ カンティネ・ピローヴァノ 赤
Collezione Cabernet Delle Venezie Appassite
ワイン用ブドウ品種の筆頭格でもあるカベルネ・ソーヴィニヨン。アパッシメントの本場ヴェネト州で育ったカベルネ・ソーヴィニヨンを、美味しく陰干ししてしまったのがこのワインです。ダークチェリーなどの黒系果実に、コーヒーやドライフルーツを思わせる味わい。さすがはカベルネ、陰干しされてもしっかりとポテンシャルを発揮していますが、濃厚すぎるわけではなく意外と飲みやすいです。
アパッシメントの王様、アマローネのおすすめ4本
おそらく世界で一番有名なアパッシメントワインと言えば、アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラでしょう。
上述の通り世界に知られる高級ワインで、かつては貴族しか飲めないような正真正銘の銘酒でした。
アマローネを語る上で外せない名門生産者から、驚くほどリーズナブルな銘柄、さらにはその弟分まで、ここでは4本をご紹介します。
アマローネを代表する名門生産者の1本
コスタセラ アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ マァジ 赤
Costasera Amarone della Valpolicella Classico / Masi
アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラを代表する生産者、マァジのフラッグシップ的な1本。日本でもかなり昔から出回っていて、アマローネと言えばこの銘柄を思い出す方も多いのではないでしょうか。その知名度に恥じないクオリティで、まさにアパッシメントワインのお手本とも言える味わい。元サッカー日本代表の有名選手も、セリエA在籍時にこのワインに魅了された、とテレビで語っておりました。
ソアーヴェの名手がアマローネに進出
アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ ピエロパン 赤
Amarone della Valpolicella / Pieropan
こちらも名門生産者、ピエロパンが造るアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ。ご存知の方も多いと思いますが、ピエロパンはアマローネではなく、ソアーヴェという白ワインを代表する生産者です。アマローネもソアーヴェも、同じヴェネト州の名産ワインなので、実は両方造っているという生産者も多いんですよね。文字通り「違う畑」とはいえ、さすが名門と思わせてくれる完成度の高さを誇っています。
安くて美味しいハイコスパ・アマローネ
アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ リオンド カンティーネ・リオンド 赤
Amarone della Valpolicella Riondo / Cantine Riondo
正真正銘のアマローネながら、3,000円台で飲めてしまうというリーズナブルな1本。イタリアの有名ワイン誌「ルカ・マローニ」において、96点という評価を獲得しており、安いだけでなくクオリティも文句無しと言えます。アパッシメントらしい干しぶどうのアロマに、黒系果実やスパイスなどを思わせる複雑な香り。濃密ながら綺麗な味わいで、ほどよい酸のバランスも見事、もっと価格の高いアマローネに負けない味わいです。
アマローネの弟分リパッソもおすすめ
ヴァルポリチェッラ・リパッソ カンティーネ・リオンド 赤
Ripasso Valpolicella / Cantine Riondo
厳密にはアマローネではないのですが、ついでにこちらの「リパッソ」もご紹介。アマローネを造った際に残る、ブドウの絞りかすを原料として造るリパッソというワイン。絞りかすというと印象が悪いですが、元々のブドウの品質は高く、高級ワインの片鱗をリーズナブルに楽しめるという長所があります。上のアマローネと同じカンティーネ・リオンドが造っており、リパッソでもルカ・マローニ誌95点という高評価を獲得しています。
一度は飲みたい、個性派アパッシメントおすすめ4本
こちらではアパッシメントワインの中でも、一風変わった銘柄をご紹介。
ワイン上級者の方でも飲んだ事が無いかもしれない、マニアックで個性の光るワインを集めました。
どれも珍しいだけでなく、飲めば惚れ込んでしまう魅力が詰まったワインばかりです。
ピエモンテのバルベーラが陰干しに!?
イ・バルジ ピエモンテ バルベーラ・パッシート 赤
I Balzi Piemonte Barbera Passito
ピエモンテ州の名産ブドウ、バルベーラを使ったアパッシメントワイン。バルベーラは酸味に特徴があり、どちらかと言うと軽やかな味わいの傾向が強い品種。それを性格が正反対とも言える、濃厚さが魅力のアパッシメントにしてしまったという、チャレンジ精神にあふれた意欲作です。飲んでみるとこれがなかなかの完成度、バルベーラの酸味が活かされて、食事との相性も良いアパッシメントワインに仕上がっています。
ブドウの女王ピノ・ノワールまで陰干しに!?
レトロ ピノ・ノワール アパッシート ボッター・カルロ 赤
Retro Pinot Noir Appassite / Botter Carlo
ブルゴーニュを筆頭に、繊細な味わいの高級ワインを生み出すピノ・ノワール。近年のアパッシメントブームにより、いずれ誰かがやるとは思ってましたが、ついにピノ・ノワールまでが陰干しされてしまいました!おおよその想像もつかなかったけど、飲んでみればこれまた美味しいんです!ピノ・ノワールの特徴が凝縮されたような、なんとも言葉に表しづらい新体験、飲めばおわかりいただけると思いますよ。
チリのカルメネールが陰干しに!?
カルメネール グラン・レゼルバ ビーニャ・ファレルニア 赤
Carmenere Reserva / Vina Falernia
ビーニャ・ファレルニアは、チャレンジ精神旺盛なチリのワイナリー。チリの名産ブドウであるカルメネールを、なんと我流の製法でアパッシメントしてしまったという、とんでもない逸品です。飲むとカルメネールの特徴はどこかに行ってしまってるんですが、アパッシメントワインとしては素直に美味しい◎の出来栄え!濃厚かつ濃密、飲み応えたっぷりのリッチなワインとなっており、日本でも根強い支持がついているようです。
チリで今度は…シラーを陰干し!?
ドンナ・マリア シラー ビーニャ・ファレルニア 赤
Donna Maria Syrah / Vina Falernia
同じくビーニャ・ファレルニアより、カルメネールに続いて、今度はシラーを陰干ししたという1本。どことなくシラーのスパイス感が感じられますが、やはりこちらも果実味たっぷりのフルボディで、濃厚好きの方にピッタリの味わいとなっています。1000円台前半というリーズナブルな価格で、この飲み応えが味わえるのはスゴイかも。最近はオレンジワインにまで手を出しているビーニャ・ファレルニア…。これからも独自の道を突っ走ってほしいです。
とりあえずアパッシメントを飲みたいならワインセットがおすすめ
いろいろあるのはわかったけど、どれを選んだらいいかわからない…。
アパッシメントに限らず、ワイン初心者の方はまず選ぶのが大変だと思いますが、そんな時にはプロの選んだワインセットがおすすめです。
こちらの4本セットは、ワインショップドラジェのソムリエが、数あるアパッシメントワインの中から4本をセレクトしたセット。
まずはこちらを試してみて、自分の口に合う銘柄を見つけるのもおすすめですよ。