カリフォルニアワインはなぜ人を惹きつけるのか?おすすめワイン10選と共に紹介!

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ヒロンデル・ヴィンヤード

ワイン業界では、フランスやイタリアなどヨーロッパの歴史あるワイン産地を「伝統国」。アメリカやニュージーランドなど、比較的ワインの歴史が新しい産地を「新世界」と呼んでいます。その中でもアメリカは、ワイン産地として世界に知られるようになったのが1960年代以降と、まだ60年ちょっとしか経っていません。しかし、カリフォルニアワインに代表されるように、今では伝統国に全く引けを取らない品質を誇ります。今回は、そんなカリフォルニアワインの歴史やその魅力、そして是非おすすめしたいワインを10選紹介したいと思います!

なぜ人はカリフォルニアのワインを求めるのか?

ナパの畑

アメリカ合衆国の西、太平洋に面する州「カリフォルニア」。日本の約1.1倍の大きさの面積の中に、約5,500のワイナリーが存在し(2020年3月現在)、アメリカのワイン総生産量の約80%を占めている、一大ワイン産地です。ちなみにアメリカのワイン生産量は、スペインに次いで世界第4位です!

カリフォルニアの気候は、結論から言うと非常にワイン造りに適した凄い場所なんです!

カリフォルニアは、太平洋岸を北から南にアラスカからの冷たい寒流が流れています。この影響で、海側は冷涼、内陸ほど乾燥して熱くなります。夏場は40℃を超える気温の影響で暖かい空気が上に流れ、その下に海からの冷たい空気が流れると「霧」が発生します。これはカリフォルニア名物と言われており、この霧がクーラーの役割を果たして、ブドウを非常にゆっくりと成熟させるんですね。

さらに夏場に雨がほとんど降らないため、毎年安定した気候のなかでブドウが理想的に成熟し、収穫することができるんです!

ゴールデンゲートブリッジ

霧に包まれる、ゴールデン・ゲート・ブリッジ


霧の畑

霧に包まれる、カリフォルニアの畑

また、土壌に関して言うととてもバリエーションに富んだ場所!1200メートル級の海岸山脈から、さらに内陸に入ると4000メートル級のシエラ・ネヴァダ山脈まで、非常に起伏の激しい地形です。1億年以上前に起きた火山の噴火や地殻変動の影響で、様々な種類の土壌が堆積し、多様性に富んだ地形を作っているんです。

土地の人は、「石ころを投げて、その石が落ちた辺りは既に土壌もマイクロクライメット(微気候)も違う」という程、少しの距離で土壌が変わります。

こういった気候と地形の様々な要素が組み合わさって、今のカリフォルニアワインを生む良質なブドウが造られているんですね!

ブドウにとって理想的な環境で造られるカリフォルニアワイン。そこから造られる高品質なワインが、人々を惹きつけているんですね!

実は、歴史は浅い?ある大事件で急速に発展!

パリテイスティング

実際のパリ・テイスティングの写真

カリフォルニアの気候風土について少し説明させて頂きましたが、こんなに素晴らしい場所なのに、ワインの銘醸地として大成したのはまだほんの半世紀ほどなんです。

ブドウは1700年代後半、アメリカがちょうど独立戦争を行っていた頃に、フランシスコ修道会の神父によって持ち込まれました。元々、コロンブスが大陸を発見したころからブドウは自然に生っていたと言われていますが、その種類はワイン用には適さないものでした。

その後、1900年代初頭までの間に少しずつワイン産業は発展していきますが、1919年に悪夢の時代がやってきます。「禁酒法」が制定されたのです。

1800年代後半から起き始めていた反アルコール運動が遂に法律化し、多くのワイナリーは閉鎖を余儀なくされました。禁酒法は1933年に撤廃されましたが、その後のアルコール産業に対する被害は甚大なものでした。

禁酒法撤廃後は、カリフォルニア大学にワイン醸造科が置かれるなど、アメリカにおける醸造の最新技術を研究する動きが活発化します。さらにヨーロッパから優秀なワインメーカー(ボーリュ―のアンドレ・チェリチェフが特に有名)を雇い入れ、高品質なワインを生産。あのロバート・モンダヴィや、シャトー・モンテレーナのマイク・ガーギッチなども彼に教わり、伝説的なワインメーカーとなりました。

世界を驚かせた「パリ・テイスティング」

さて、紆余曲折があったアメリカのワイン産業ですが、1976年に起きたある「出来事」をきっかけに、一気に飛躍していきます。それがあの有名な大事件「パリスの審判」と呼ばれるパリ・テイスティングです。

大まかに言うと、フランスの超有名ワインVS新進気鋭のカリフォルニアワインという対決。それをワイン業界の超有名人が、ブラインドテイスティングで順位を付けるというものでした。

企画したのは、日本でも有名なワイン学校「アカデミー・デュヴァン」の創設者スティーブン・スパリュア。彼がワイン学校の面白企画の一つとして発案したものでした。

今では信じられませんが、当時カリフォルニアワインは欧州ではほぼ知名度無し。そんなカリフォルニアワインに対して、ボルドーの格付1級やブルゴーニュの特級クラスのワインを対決させるというのですから、欧州の人々は全く関心を示しませんでした。

なにせ、かつての銀河系軍団レアル・マドリードに、日本の社会人サッカーチームが挑むようなものです。

詳しくはこちらの記事もどうぞ!↓
パリスの審判はワイン史の流れを変えた!?

しかし結果は驚くことに、カリフォルニアワインの圧勝。赤白部門共に、カリフォルニアワインが1位となったのです。

そして、この事件を唯一取材していたTIME誌の記者がこの記事を載せたところ、世界中に衝撃が走りました。この事件をきっかけに、カリフォルニアワインの知名度は急上昇。さらに、醸造技術などに関しての情報交換が世界規模で行われるようになったため、世界のワイン品質を大きく上げることとなったのです。

世界中の人々から崇拝されるワイン?

カルトワイン

1990年代に、優秀なワインメーカーが脚光を浴びるようになると、彼らが造る極少量生産で高品質のワインを求める人が殺到しました。さらにワイン・アドヴォケイト誌において、ロバート・パーカーが100点満点形式で付ける点数も、ワインに大きな付加価値を与えました。

そういった、もはや「普通の人では買えないほど高額で、幻の様なワイン」を、いわゆるカルトワインと呼びます。

カルト宗教のように、熱狂的なワイン愛好家に崇拝される神の様なワインと言えるでしょうか。我々ワイン専門店でも、なかなか取り扱うことが難しいものが多いのが現状です。

有名なのは、スクリーミング・イーグル(推定価格60万円)、ハーラン(推定価格20万円)、コルギン(推定価格10万円)など、目を疑うような価格のワインばかりです。

こういったワインが生まれるのも、アメリカという大国のマネージメント力の凄さを感じますし、もちろんカリフォルニアという産地がいかにワイン産業に適した地であるかを示していると言えるのではないでしょうか。

アメリカのワイン法は自由!?

アメリカのワイン法は、2003年からアルコール・アンド・タバコ・タックス・アンド・トレード・ビューロー(通称TTB)という部署が管理をしています。

TTBが定めているのがAVA。米国政府認定ブドウ栽培地域の略称です。しかしAVAはフランスのAOCや、イタリアのDOCGと大きく違い、特定のブドウ品種や栽培方法を規定するものではありません。

例えば、ブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネ村ではピノ・ノワールから造られる赤ワインのみが認められ、さらにその内のロマネ・コンティの畑はDRC社が独占して造っています。つまり、これと名乗るためにはこの畑でこの品種で、この生産者がこういった造りをしないとダメという縛りがあります。

比べて、アメリカのAVAはいささか自由です。このAVAではこのブドウを使いなさい、こういう造りをしなさいという規定はないので、醸造家にとっても自由にワイン造りが出来るのが魅力的です。

もちろん、一つのAVAを名乗るための基準があるので、それをクリアしたものだけがラベルに表示できます。

またフランスと違い、AVAごとの「格」が存在しないので、どのAVAが特級などといった分類も存在しないのです。

有名なAVAの例

ナパ・ヴァレー

カリフォルニアワイン好きの方なら、必ず知っているのがナパ・ヴァレーです。約450ものワイナリーが軒を連ねる一大ワイン産地で、特に高品質なカベルネ・ソーヴィニョンは世界的な評価を得ています。

しかしその生産量はカリフォルニア全体のたった約4%。大量生産では無く、良いものを少しずつ丁寧に作り上げるワイナリーが多く存在します。

ナパ・ヴァレーには16のサブリージョンが存在し、それぞれの地形の特徴を生かしたワインが作られています。いくつかご紹介すると…

オークヴィルAVA

温暖ながら、霧の影響を強く受ける産地。おかげで酸味のしっかりした品質のカベルネ・ソーヴィニョンは、ナパ随一の評価です。ロバート・モンダヴィワイナリーや、あのオーパス・ワンもオークヴィルにあります。

スタッグス・リープ・ディストリクトAVA

ヴァカ山脈の裾野に広がるAVA。鹿が跳躍しているようにも見える断崖絶壁の岩山から、そう名付けられました。豊富な日照量と、涼風による昼夜の寒暖差が激しく、酸が豊富で優良なカベルネ・ソーヴィニョンを生み出します。パーカー満点の常連シェーファーや、パリスの審判で1位となったスタッグス・リープ・ワインセラーズなどがあります。

ソノマ

太平洋に面したソノマ・カウンティ。特に海側は非常に冷涼で、シャルドネやピノ・ノワールの生産に注目が集まっています。ナパ・カウンティの2倍の面積を持ち、多様な気候風土のもと、550以上のワイナリーが存在しています。

ロシアン・リヴァ―・ヴァレーAVA

サン・パブロ湾から吹き込む霧の影響を強く受けた、冷涼な産地。良い酸を持ったシャルドネやピノ・ノワールが栽培され、複雑な味わいを生むワインを造り出しています。ピノ・ノワールでパーカー100点を取った、ロキオリ・エステートが有名です。

アレキサンダー・ヴァレーAVA

マヤカマス山脈に近い温暖な気候を持つAVA。ナパ・ヴァレーにも並ぶカベルネ・ソーヴィニョンの銘醸地です。内陸にあるため、海からの影響を受けにくく、かつ日照量が豊富で、水はけのよい土壌から素晴らしい品質のブドウが生まれます。日本でもファンの多い、シルバー・オークがあります。

おすすめカリフォルニアワイン10選


さて、カリフォルニアの気候から歴史などのご説明をして参りましたが、ここからはおすすめワインのご紹介!あなたとってお気に入りの1本が見つかりますように!

カリフォルニア・シャルドネの起源!?

ウェンテ・シャルドネ

ウェンテは、1883年の創業。カリフォルニアの中では非常に歴史あるワイナリーです。禁酒法時代も生き残り、特に彼らが最初に植えたシャルドネのクローンは「ウェンテ・クローン」と呼ばれ、コンクスガードやキスラーに伝わっています。

コスパ抜群と言えば、キャッスル・ロック!

キャッスル・ロック


ピノ・ノワール ロス・カーネロス キャッスル・ロック

Pinot Noir Los Carneros / Castle Rock

コスパ抜群の生産者と言えば、やはりキャッスル・ロック。自社で畑や醸造設備を持たない運営で極限までコストを削減。ワインの品質に全てをこだわった異色の生産者です。1000円~2000円台がほとんどですが、その品質は驚く程高く、素晴らしいものばかりです。

日本でも大人気、ジョエル・ゴット!

ジョエル・ゴット

ソーヴィニョン・ブラン カリフォルニア ジョエル・ゴット

Sauvignon Blanc California / Joel Gott


日本でも大人気のジョエル・ゴット。ロバート・パーカーが「世界一のバーガー」と絶賛するナパのレストラン「ゴッツ・ロードサイド」を運営。ここには多くの醸造家が足繁く通います。樽を一切使わずクリーンな味わいに仕上げるソーヴィニョン・ブランは、有名ワイン誌でも絶賛されています。

アメリカのアンリ・ジャイエ!?

オーボンクリマ

オー・ボン・クリマ ピノノワール

Au Bon Climat Tsubaki Pinot Noir

頭文字を取って通称「ABC」と呼ばれる、オー・ボン・クリマ。神様アンリ・ジャイエに師事したジム・クレンデネンが造るピノ・ノワールが、あまりにも有名です。ロバート・パーカーによって「世界のベストワイナリー」に選ばれるなど、卓越した技術で高い評価を得ています。

品薄必須!パーカー満点の実力者ロキオリ!

ロキオリ


ロシアン・リヴァー・ヴァレー ソーヴィニョン・ブラン ロキオリ・エステート

Russian River Valley Sauvignon Blanc / Rochioli Estate


ソノマ、ロシアン・リヴァー・ヴァレーの代名詞ともいえるワイナリーが、ロキオリ。カリフォルニア最古のソーヴィニョン・ブランの畑を持ち、ピノ・ノワールではパーカー満点の実力。ワイナリーのテイスティングルームでさえ、人気の為に品切れで飲めないこともあるほど、世界中から引き合いの強いワイナリーです。

パリスの審判白ワイン部門1位!

シャトー・モンテレーナ


シャトー・モンテレーナ シャルドネ ナパ・ヴァレー

Chateau Montelena Chardonnay


1976年、前述のパリテイスティングにて、見事白ワイン部門で1位となったのがこのシャトー・モンテレーナ。当時、初リリースからわずか4年で世界一に上り詰めました。豊満な果実味や樽香が特徴のボリューミーな味わいながらも、生き生きとした明るい酸が全体を引き締めている、上品で凛とした味わいです。

第二回パリ・テイスティング1位!

クロデュヴァル


クロ・デュ・ヴァル ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン

Cabernet Sauvignon / Clos du Val


パリスの審判から10年後の1986年。リターン・マッチにおいて赤ワイン部門1位となったのが、クロ・デュ・ヴァルです。その後3度も年間最優秀ワイナリーに選出されるなど、カリフォルニアの最高峰ワイナリーとして君臨しています。特に、スタッグス・リープで造られるカベルネは最高品質と言われています。

レア過ぎて、メーリングリストでしか買えない?

リース


リース シャルドネ ホースシュー・ヴィンヤード サンタ・クルーズ・マウンテンズ

Rhys Chardonnay Horseshoe Vineyard

リース・ヴィンヤーズのワインはメーリングリストのみで販売され、そのまま完売してしまうことも。アメリカ国内でも少量しか現れず、高い評価とレア度が高いワイナリー。まだその全貌があまり明らかになっていない、無限の可能性を秘めるサンタクルーズ・マウンテンズに拠点を置き、標高の高さと複雑な地形から、ミネラルを多く含むワインを算出しています。

過去に7度もパーカー満点を獲得!

シェファー


シェーファー カベルネ・ソーヴィニヨン ヒルサイド・セレクト

Shafer Cabernet Sauvignon Hillside Select / Shafer Vineyards

シェーファーは、1970年代に創業した家族経営のワイナリー。2001年に初めてパーカー100点を獲得すると、2002年、2007年と受賞し、過去7度の満点を獲得!2012年にはワインスペクテイター誌が選ぶ年間トップ100ワインで、見事に1位を獲得しました。間違いなく、ナパで最も成功したワイナリーの一つと言えます。

カルトワインの元祖!?グレース・ファミリー

グレースファミリー


グレース・ファミリー カベルネ・ソーヴィニヨン

Grace Family Vineyards

価格が非常に高価なカリフォルニアワインの代名詞、いわゆる「カルトワイン」という呼ばれ方は、このグレースファミリーのワインから始まったと言われています。カベルネソーヴィニョン100%で造られ、リリース後は瞬く間にワイン愛好家を虜にしました。年産200ケース程と、非常に少量生産の為、同社のメーリングリストには4000人ものウェイティングリストがあり、非常に入手困難なカリフォルニアワインです。

結びに

ナパのワイナリー

いかがでしたでしょうか。なぜ、カリフォルニアワインは人を惹きつけるか?という疑問から、気候や歴史などを踏まえてご紹介して参りました。カリフォルニアワインの急速な発展は、まさに自由の国アメリカだからこそ成しえたことなのではないかと、思うことがあります。歴史や伝統に縛られず、最新技術をどん欲に取り入れて、いかに素晴らしいワインを造るかということに全力を傾けた結果が、今のカリフォルニアワインの質の高さだと言えます。

パリテイスティングで歴史が大きく動きましたが、それは単なる偶然ではなく、その質を高めた彼らの努力の結果ではないでしょうか。とかく高級ワインにばかり目が行きがちですが、リーズナブルな価格でも、素晴らしいワインは沢山あります。合わせて、ワイナリーのバックストーリーや、歴史も感じて頂きながら、楽しんで頂けたらと思います。

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