全ての発泡性ワインの頂点に君臨するシャンパン(シャンパーニュ)。フランスのシャンパーニュ地方で造られるその華やかなワインは、世界中のワイン好き、セレブリティを魅了し続けています!
シャンパンと言えば、象徴的なのはその黄金色!まるでゴールドのように綺羅びやかな液体の中に、細かな泡立ちがずーっと続く様子は、見ているだけで優雅な気分にさせてくれます!
発泡性ワインの生みの親と言われているドン・ペリニヨン氏は、初めてそのワインを飲んだ時に「まるで星を飲んでいるようだ!」と言ったとか(かなりキザなので、恐らく後づけの神話だと思いますが…)。
そんなシャンパンの黄金色を造る元となるブドウ品種は主に、
ピノ・ノワール(Pinot Noir)
シャルドネ(Chardonnay)
ピノ・ムニエ(Pinot Meunier)
の3つ。この3つのブドウ品種をどのような比率でアッサンブラージュ(ブレンド)するかによって、シャンパンの味わいが大きく違ってきます!
普通の赤ワインの色は皮の部分から染み出るんだけど、シャンパン用のワインを造る時は、ブドウを優しく潰して出た果汁だけを使って造るから、黒ブドウを使っても出来るワインは白ワインみたいな色になるんだよ。
ちなみに、黒ブドウを使った発泡してない白ワインもあるから、泡は関係無いけど…
有名なモエ・エ・シャンドンやヴーヴ・クリコのスタンダードクラスのシャンパンなんかは、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネといったブドウ品種をブレンドして造られています。大手のシャンパンハウスのスタンダード品は、こうしたブレンドで造られているのが殆どです。
一方で上級のキュベになると、黒ブドウだけで造られたモノや、白ブドウだけで造られたモノが出てきます。そうしたシャンパンの事を、次のように呼びます。
POINT
ブラン・ド・ノワール(Blanc de Noir)
「ブラン」はフランス語で「白」を表し、「ノワール」はフランス語で「黒」を意味しますので、直訳すると「黒の中の白」という意味になります。つまり、黒ブドウ品種だけで造られたシャンパンを、「ブラン・ド・ノワール」と呼びます。
ブラン・ド・ブラン(Blanc de Blanc)
一方で「ブラン・ド・ブラン」は「白の中の白」という意味ですので、白ブドウ品種だけで造られたシャンパンの事を指します。
殆どが3大ブドウ品種(ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネ)で造られているシャンパンですが、その他にも使用できるブドウ品種があります。生産量はシャンパーニュ全体の1%未満と非常に少ないですが、「古代品種」とも言われ、ここ最近注目度が高まりつつあります。ちなみに、全て白ブドウ品種です。
ピノ・ブラン(Pinot Blanc)
ピノ・グリ(Pinot Gris)※別名フロモントー(Flomonteau)
アルバンヌ(Arbanne)
プティ・メリエ(Petit-Meslier)
では、希少品種は一旦置いておいて、主要品種であるピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネの特徴を見ていきましょう!
ピノ・ノワール
ブルゴーニュに代表される、華やかさという点では黒ブドウの中でも頂点に位置する高貴な品種。モンターニュ・ド・ランス地区の主要品種で、シャンパーニュで栽培されるブドウの約40%がピノ・ノワールです。シャンパンに使われると、持ち前のエレガントさと、黒ブドウならではのコクが生まれます!
ピノ・ノワール100%のオススメシャンパン
ポテンティア 2012 ルー・ベアティトゥディネム (シモン・ドゥヴォー) 白
Potentia / Simon Devaux & Lou Beatitudinem
生産者情報「天・地・人」ラベルでお馴染み、メゾン・ルー・デュモンを本場ブルゴーニュで運営し、高い評価を受けている日本人醸造家の仲田晃司さん。その仲田さんが新たに造り始めたシャンパンがこれ。
古くから親交のあるコート・デ・バール地区のシモン・デュヴォーというメゾンの葡萄を分けてもらい、長年の念願を叶えることが出来ました。
シャルドネ
3大品種の中では唯一の白ブドウ品種。こちらもブルゴーニュに代表されるブドウ品種で、産地や製法によって様々な表情を見せる万能選手。シャンパーニュの中ではコート・ド・ブラン地区がシャルドネの銘醸地として有名です。シャンパーニュの石灰質土壌で造られたシャルドネは、まるでシャブリのように溌剌とした酸味としっかりしたミネラル感があります!
シャルドネ100%のオススメシャンパン
ラリエ ブラン・ド・ブラン グラン・クリュ NV 白
Lallier Blanc de Blancs
生産者情報1906年にアイ村で創業されたメゾン。2004年に、ポメリーやランソンで醸造を行い、それまでラリエの醸造コンサルタントをしていたフランシス・トリボー氏がメゾンを購入し、新しいステージに入りました。フランス・アルザスにある伝説的な三ツ星レストラン、オーベルジュ・ドゥ・リルのシェフソムリエであり、1989年世界最優秀ソムリエでもあるセルジュ・デュプス氏の協力の下、美食家に愛される繊細なシャンパーニュ造りを行っています。
ピノ・ムニエ
ピノ・ノワールと同じ黒ブドウ品種で、シャンパーニュ全体の栽培量の約30%を占めます。ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区のマルヌ川沿岸地域で多く造られています。霧が多いマルヌ川沿岸では、遅霜が度々見られますが、ピノ・ムニエは発芽が遅くて収穫が早いため、霜の被害にあいにくい事もあって重宝されています。
ちなみに最近ではピノ・ムニエではなく、単に「ムニエ」と言うのが正しいようです。2017年頃からソムリエ協会の教本でも「ムニエ」の表記に替わっています。
ピノ・ムニエ100%のオススメシャンパン
タルラン ラ・ヴィーニュ・ドール ブリュット・ナチュール 2003 白
Tarlant La Vigne d’Or
生産者情報ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区で1687年にぶどう栽培をスタート。代々家族経営で続いている歴史ある生産者で、ブドウ栽培からワインの醸造までを手がけるレコルタン・マニピュラン(RM)の先駆者として名高いタルラン家。栽培は環境保全とテロワール第一の考えを元に厳格なリュット・レゾネを実践し、土をしっかりと耕す事により根を地中深く這わせる事に注力。「醸造の70%が圧搾にかかっている」と細心の注意を払い、天然酵母発酵を行っています。
グラスに注いだ見た目は殆ど変わらないシャンパンの三大品種ですが、それぞれに違った特徴があるのがお分かり頂けたでしょうか?
大手のシャンパンハウスが造るノン・ヴィンテージ品のシャンパンは、こうしたブドウ品種だけでなく、違う畑や違うヴィンテージのワインを絶妙にアッサンブラージュして、いつリリースされても一定の品質を保つように見事に調節されています。
では最後に改めて、ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエがバランスよくブレンドされたシャンパンを飲んでみましょう!
ブレンドのオススメシャンパン
ブルーノ・パイヤール ブリュット プルミエール・キュヴェ NV 白
Bruno Paillard Premier Cuvee Extra Brut
生産者情報1981年創業と、数百年続く老舗が多いシャンパンメゾンの中では最も新しい部類に入る生産者。歴史は浅いものの、伝統的な手法と最新鋭の設備を組み合わせ、今やシャンパーニュの中でも確固たる地位を気づいています。ワイン本来の姿を大切にする為、ドサージュは最低限に控えられています。また、全てのボトルにデゴルジュマンの日付を明記した最初のシャンパンハウスとしても知られています。