家系図から見るワイン用ブドウ品種

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私たちが普段楽しんでいるワインを造るために必要不可欠なブドウ。

ブドウに品種があることは、もちろんワイン愛好家の方なら当然の常識。ではもっと掘り下げてみてブドウを農産物としてみたとき、品種ってどういう形で決められているのだろう?

興味が湧きすぎて、家系図を作ってしまいました!

今回はワイン用ブドウ品種を家系図から探ってみたマニアックなコラムです!

ブドウは農産物

ブドウは農産物。
この基本中の基本はワインを飲む人にとって、忘れてはいけないことであり、またワインの面白さでもあります。

ところで日本人にはなくてはならないお米。これも当然農産物ですね。田んぼで実を付ける秋の田園風景は、日本人だれしもの心の奥にある原風景ともいえます。

今スーパーにお米を買いに行けば「コシヒカリ」「あきたこまち」「ひとめぼれ」「つや姫」などなど様々な品種、かつ産地の違うお米が出回っているのを見たことある方も多いかと思います。

これらのお米の品種は交配で生まれることが多く、自然にできたものや人工的に交配したものも含めて、これだけの品種が今存在しているのです。

話を元に戻しましょう。
ワイン用のブドウにも同じことが当てはまります。親子、兄弟、親戚などの関係を持っているブドウ品種がたくさんあるのです。

ただワイン用ブドウ品種には人工的に交配されたモノはあまり多くなく、自然に交配してできたブドウがほとんど。ということで遺伝子を研究することで謎を解明してきました。

つまり研究が進めば進むほど、いままでの血縁関係が覆されたり、新たな関係性が発見されたりします。

筆者が独自に調査し、作成したこの家系図は2020年10月現在の情報になります。また必ずしも明確な科学的根拠に基づいたものではないということをご了承ください。

ワイン用ブドウ品種の家系図

まずは家系図全体を見てみましょう。ところどころ見たことも聞いたこともないブドウ品種があるかと思います。

なるべくシンプルにするため、複雑になりすぎる部分は一部省略しました。技量不足ですみません。

ちなみにここに載っていないブドウ品種は現時点で研究が進んでいないか、古くから形を変えていない品種ということになります。

代表的なところだと、セミヨン。調べても情報が無く、載せることができませんでした。

またイタリアやスペインの土着品種も、ほとんど載っていません。研究が進んでいないのか、そもそも行われていないのか定かではありませんが、ほとんど情報が出てきませんでした。

国際品種から研究が始まっているというところでしょうか。

ひとつひとつの品種を見ていきます。

ピノ・ノワールの直系たち

ブドウの家系図を作成していく中で、一大ファミリーを形成していたのがこのピノ・ノワール家系。
まずは直系の家族から見ていきましょう。

ピノ・ノワール
世界で一番高くなるワイン「ロマネ・コンティ」の使用品種として、あまりにも有名なピノ・ノワール。
詳しい特徴はここでは割愛するとして、家系図の中心に据えられるほど他のブドウ品種との親戚関係が多い、「ワイン用ブドウ品種の母」ともいえるかもしれません。
以前からブルゴーニュでしか育たないと言われ、他の地域にあまり植えられてこなかった為か、娘息子たちはブルゴーニュ原産のものが多いです。
そしてこのピノ・ノワールの起源は二転三転しているため、フランスのサイトなどを見ましたが、あきらめてしまいました。お許しください。
突然変異を起こしやすい性質らしく、数種類の変異種ブドウが存在します。

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マドレーヌ・ロワイヤル
マデレン・ロワイヤルとも言います。(表記の揺れ?)正直この家系図を作成するときに初めて目にしたブドウ品種です。
ピノ・ノワールの子供なのは確からしいのですが、片方はわかっていません。ブドウ品種としての特徴の情報はほぼありませんでした。

サン・ローラン
チェコやオーストリアといった、ワイン産地としてはあまり聞きなれない国でよく栽培されています。
片親はピノ・ノワールとされていますが、もう片方は不明です。
非常に香り高い品種とされていますが、飲んだことがないので、味わいの特徴は謎です。

サヴァニャン
フランスではジュラ地方の主要品種として有名で、黄ワイン「ヴァン・ジョーヌ」の原料です。そのほかにも辛口の白ワインのみならず、酒精強化ワインやスパークリングワインにも使用されます。
片親は不明です。が、このサヴァニャンの子供たちがまた一大ファミリー、そして一大銘醸地を築き上げていくこととなります。
ソーヴィニヨン・ブランとシュナン・ブランは兄弟の可能性が高いのですが、家系図の作成の都合上離れた位置になってしまい、見づらくなってしまいました、すみません。
また突然変異を起こしやすいらしく、果皮の色と特徴が変化したものが数種類あります。

コート・デュ・ジュラ サヴァニャン ブラン ヴァン・ド・ヴォワル ドメーヌ・グラン 白

主要品種としての地位を獲得しているジュラでも、辛口ワインともなればシャルドネと混ぜて造られることが多いサヴァニャンですが、このワインはサヴァニャン100%。豊かな果実味とミネラルを表す、火打ち石のようなニュアンスが感じられるワインです。

ピノタージュ
南アフリカのステレンボッシュ大学でサンソー(エルミタージュ)とピノ・ノワールの交配品種として誕生。現在では南アフリカの代表品種として有名で、酸味と果実味が豊富なフルボディタイプのワインが造られます。
一昔前はあまり評価されていない品種でしたが、最近では優秀なデイリーワインと偉大なハイクラスワイン両方で、世界的な評価を得るワインも出てきました。
ピノ(ノワール)+(エルミ)タージュ=ピノタージュ

リベルタス ピノ・タージュ ディステル 赤

南アフリカの各種で取れたピノタージュから造られる、コストパフォーマンスに優れたワイン。カシスやプラムなどの果実味とアメリカンオーク樽由来の香りが特徴の優秀なデイリーワインです。

サンソー
フランスのラングドッグ地方が原産地とされ、フランスでは古くから栽培されている品種です。
生産能力が高く、補助品種として世界各地で栽培されていますが、特に南アフリカでは「エルミタージュ」と呼ばれ、単一品種ワインとして仕立てられることもある品種です。

ミュスカデ
現在ではロワールの河口付近の産地の主要品種ですが、別名の「ムロン・ド・ブルゴーニュ」の通り、ブルゴーニュ原産でピノ・ノワールと、後述する「やんちゃな嫌われ者の父」グエ・ブランの自然交配種です。
ブルゴーニュではほぼ絶滅してしまっていますが、ロワールでは超人気品種。軽やかな味わいとリーズナブルな価格で、飲んだことのある人も多いと思います。

アリゴテ
ブルゴーニュの名脇役として有名なアリゴテも、ピノ・ノワールとグエ・ブランの交配品種です。
酸が強く厚みの無い品種と言われていますが、ブーズロンという産地では偉大なワインを生み出します。
酸が特徴、という点ではピノ・ノワールと共通点が見られますが、より線が細い印象ですね。
和食でもてんぷらや刺身、といった素材そのものを楽しむ、という料理との相性は抜群です。

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ブーズロン アー・エー・ペー・ド・ヴィレーヌ 白

ブーズロンをここまでの地位に押し上げた立役者アー・エー・ぺー・ド・ヴィレーヌ。とてもアリゴテとは思えない厚みと複雑さを備え、アリゴテやブーズロンを語るなら、絶対に飲んでおかなくてはならない1本です。

シャルドネ
言わずと知れた超人気国際品種も、ピノ・ノワールとグエ・ブランの子供です。
ブルゴーニュの他、さまざまな産地で良質なワインを造るシャルドネですが、起源として有力なのがマコンの付近。ブルゴーニュでも南の方ですね。
熟成の可能性や酸の質などの特徴は似通っていますが、土地を選ばず栽培できる点などは、ピノ・ノワールとの決定的な違いかもしれません。

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ガメイ
ヌーヴォーといえば、ボジョレー。この地区の重要な品種がこのガメイ。
その昔はボジョレー以外のブルゴーニュ地域にも植えられていたそうですが、現在はほぼボジョレーのみで栽培されています。
このガメイもピノ・ノワール×グエ・ブラン。

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グエ・ブラン
「やんちゃな嫌われ者の父」グエ・ブラン。
シャルドネをはじめとする息子たちの偉大な功績とは裏腹に、ワイン用ブドウ品種としては魅力に乏しいという悲しい品種で、一時期はフランス一部地域で栽培が禁止されていたほど。
現在のフランスでは絶滅に限りなく近い、と言われています。
それくらいしか情報がないのですが、実はこのグエ・ブラン、この家系図を作るにあたり、頭痛の種。本当に様々な交配品種を生み出しているので、やむを得ず二か所に登場しています。
そのため見たことも飲んだこともないのですが、嫌いになりました。

孫、ひ孫の世代

次にまたも大家族を形成しているサヴァニャンの家系を除いた、孫やひ孫の世代を見ていきます。

ミュラー・トゥルガウ
ピノ・ノワールの子マドレーヌ・ロワイヤルとグエ・ブランの子リースリングの交配品種。なんかちょっと複雑。
1800年代にスイスで誕生。現在活躍しているブドウの中で、最も古い人工交配品種と言われます。
ちなみに日本でも少量ですが北海道などの冷涼地で栽培されており、軽やかでフレッシュな味わいは親しみやすさを覚えます。

リースリング
ドイツを代表する高貴品種リースリング。酸味と香りに他の品種にはない独特の特徴を持ち、唯一無二の存在。
ちなみにグエ・ブランの反対側の親の情報は見つかりませんでした。
伝統的にドイツの甘口がリースリングの銘酒として有名ですが、現在の辛口ブームに合わせて、ドイツでも辛口に仕立てられるワインが出てきています。
ドイツやアルザスのほかに、アメリカやオーストラリアでも流行の兆しを見せており、これからも楽しみな品種。

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ケルナー
ドイツで人工交配によって生まれた品種。リースリングとトロリンガーの間に生まれました。
現在原産国のドイツでは栽培面積が減少しており、あまり単一品種で見かけることはありませんが、かわりに北海道、特に余市のケルナーが日本ではよく見かけられます。
特徴として、アロマティックな香りはリースリングに似たのでしょう。ですがよりフルーティな印象。ボディはリースリングよりもあり、酸味は穏やか。特に北海道産のケルナーはその傾向が顕著です。
北海道のものは、個人的に一飲の価値あり!と常々思っています。

ケルナー キャメルファーム 白

2014年に北海道・余市でスタートを切ったキャメル・ファーム。グレープフルーツなどの柑橘系や洋ナシ、ハーブのようなアロマティックな香り、余市らしいしっかりとした酸味を伴ったミネラル感溢れるフレッシュな味わいのワインです。

トロリンガー
日本に入ってくるドイツの赤ワインでたまーに見かけるかな、といった印象の黒ブドウ。比較的早くからフレッシュに飲めるという特性を持っています。

ツヴァイゲルト
ピノ・ノワールの子サン・ローランとブラウフレンキッシュの人工交配品種。ツヴァイゲルトレーベとも言われます。
なんでしょう、ドイツとかオーストリアとかこのあたりの人たちは研究熱心なんでしょうか。人工交配品種がやたら多いです。
オーストリアで最も広い栽培面積を持ちますが、日本でも北海道や新潟など寒い地域で栽培されています。
特徴としてはベリー系のアロマとペッパー系のスパイシーさを併せ持ち、トマト料理との相性は抜群です。

ツヴァイゲルトレーベ カーブドッチワイナリー 赤

日本ワイン期待の新星カーブドッチのツヴァイゲルトレーベ。新潟で育てられたツヴァイゲルトレーベは酸味が少なく、果実味が豊富。穏やかで優しく、チャーミングで出汁のような旨味を持っています。

ブラウ・フレンキッシュ
8世紀には既に存在していたと言われるとても古い品種。レンベルガーとも呼ばれます。実はあの「やんちゃな嫌われ者の父」グエ・ブランを親に持つ品種です。うーむ、ほんとにやんちゃが過ぎますね。
タンニンが豊富でスパイシーさが特徴。日本でも少量生産されていて、やはり北海道で造られています。

シラー
遺伝子の研究が進んだことにより判明。ピノ・ノワールのひ孫と推定されるシラー。
言わずもがなのローヌを代表する品種。オーストラリアではシラーズと呼ばれ、遺伝子的にはローヌのシラーと同じものの、明確に特徴の違うワインが造られるというテロワールを再認識せずにはいられない、ロマン品種。
栽培が比較的容易なうえ、濃厚な果実味とスパイシーな風味で世界中にファンがいる品種です。

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シラー ヴァン・ド・ペイ・デ・コリーヌ・ローダニエンヌ カーヴ・サン・デジラ 赤

この価格帯のローヌIGPには珍しく、北部のシラー100%で造られます。しかも銘醸地サン・ジョセフの周りの畑のブドウを使用。シラーの濃厚な果実味をもちながら、エレガントで柔らか、バランスに優れた秀逸なデイリーワインです。

ヴィオニエ
シラーと同じく遺伝子検査によって、ピノ・ノワールのひ孫と推定されるヴィオニエ。シラーとは兄弟とされています。
ヴィオニエを説明するにあたって、欠かせないのがやはりローヌ。そう、兄弟であるシラーと同じ産地にいるのです。
しかもコート・ロティを始め、北ローヌの高級産地には、強すぎるシラーの風味の緩和や発色を助ける目的で、ヴィオニエのブレンドをある程度まで許されている地域があります。
兄弟でひとつのワインを造り上げる、やはり遺伝子的に近いから阿吽の呼吸で仕事しやすいのでしょうか。

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コロンバール
「やんちゃな嫌われ者の父」グエ・ブランとシュナン・ブランを親に持つ、とされています。
コニャックやアルマニャックの主要原料とされるほか、フランスのガスコーニュやアメリカでは「フレンチ・コロンバール」としてワインに仕立てられています。
軽やかで爽やかなワインとなり、しばしば親のシュナン・ブランや親違いの兄弟シャルドネとブレンドされます。
ちなみにタイで単一品種で造られているワインは、エスニックと合うらしいです。興味深いですね。

シュナン・ブラン
家系図では別の場所に位置していますが、大家族を形成するサヴァニャンを親に持つ品種で、ソーヴィニヨン・ブランとは兄弟と言われています。
ロワールを代表するワイン用白ブドウで、爽やかな辛口から極甘口まで、対応の幅の広さはセミヨンと並んでブドウ界随一かもしれません。
ピノー・ド・ラ・ロワール(フランス)やスティーン(南アフリカ)とも呼ばれます。
テロワールを反映しやすいと言われ、生産地によって、全く違う味わいのワインができます。
南アフリカで最も成功している品種で「南アフリカの国宝」という表現も見受けられます。

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ボンヌゾー ハーフ375ml シャトー・ド・フェル 白

「ロワールのシャトー・ディケム」シャトー・ド・フェルが造る極上ボンヌゾー。シュナン・ブラン屈指の甘口ワイン銘醸地のトップに君臨、名門中の名門が造るボンヌゾーはトロリとしたテクスチャーをもち、凝縮感たっぷりな味わいながら酸味はフレッシュな最高のデザートワインです。

サヴァニャンの家系

この家系から続々とボルドー品種が出てきます。ピノ・ノワールから数えてひ孫の世代にカベルネ・ソーヴィニヨンがあるなんて、ワインを飲むだけじゃ全く想像がつかないですよね。

グリューナー・ヴェルトリーナー
近年流行の兆しを見せている、オーストリアの白ワイン用ブドウ品種。
片親はサヴァニャンと言われていますが、もう片方はわかっていません。
辛口~甘口まで様々なワインに仕立てられますが、特徴としては白コショウやハーブのような爽やかな香り、リンゴなどの果実味に軽やかな酸があり、熟成するとはちみつのような複雑な風味も出てきます。
日本の甲州に似たニュアンスを持つ、とも言われており、和食との相性は抜群とのこと。
ちょっとこだわったワインショップや、高級スーパーなら置いてあることがありますので、是非試してみて下さい。

GV ナンバー1 ワビ・サビ 白

オーストリアの自然派ワインを世界に広く紹介するために、2015年にスタートした「ワビ・サビ」シリーズのスタンダード・グリューナー・ヴェルトリーナー。レモンのような軽やかな酸とミネラル感溢れる香りで、和食との相性は抜群。

実はグリューナー・ヴェルトリーナー100%の珍スパークリングも「ワビ・サビ」シリーズ内にあります。

ソーヴィニヨン・ブラン
遂に出てきました、シャルドネと人気を二分する超人気国際品種。この品種が今のボルドーを造り上げた、と言っても過言ではないかもしれません。
グリューナー・ヴェルトリーナーと同じく、片親はサヴァニャンですが、もう片方はわかっていません。シュナン・ブランとは兄弟関係。
いまさら特徴を述べるのもおこがましいほどですが、ハーブや青草の爽やかな香り、綺麗な酸、ミネラル感を持っていて、世界各地で偉大なワインを造っています。
アメリカではフュメ・ブランとも呼ばれます。
このブドウがカベルネ・フランと交配することで、ワイン史の大きなターニングポイントが生まれます

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カベルネ・ソーヴィニヨン
世界で一番有名なブドウ品種、と言っても誇張表現ではない黒ブドウ。
世界で最も広く栽培されているブドウ品種のひとつとされ、ソーヴィニヨン・ブランとカベルネ・フランの間に自然交配で生まれた、ボルドーのスター品種。
ソーヴィニヨン・ブランからは草のようなグリーンな香り、カベルネ・フランからは黒スグリや鉛筆の香りを受け継ぎ、遺伝子の研究が進む前から共通点は指摘されていたそうです。
カベルネ(フラン)+ソーヴィニヨン(ブラン)=カベルネ・ソーヴィニヨン。覚えやすいところも、超人気国際品種たるゆえんでしょうか。

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カベルネ・フラン
ボルドーブレンドに認定されている代表品種のほとんどの品種の親が、このカベルネ・フラン。つまり今日のボルドーの骨格ともいえるでしょう。
ただ現在ボルドーではカベルネ・フランは下火となってしまっており、脇役に甘んじてしまっていますが、ロワールでは主要品種の座を守り続けているうえ、世界中で少しづつ栽培面積を増やしているという原点回帰の流れも散見されます。
ピーマン香といわれるベジタブルな香りが特徴で、ヨーロッパの人はとても好みらしいのですが、筆者はあまり好きではありません。
ただ周りのスタッフにはこのピーマン香がいいんじゃないか!とよく言われます。

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シノン シレーヌ シャルル・ジョゲ 赤

カベルネ・フラン銘醸地シノンを代表する生産者、シャルル・ジョゲ。かのロバート・パーカーも「シノンに良いイメージがなかったが、このドメーヌのワインを飲んでイメージが一変した」と評するほどの生産者です。シレーヌはスタンダード・キュヴェ。

カルメネール
元々はボルドー原産で、カベルネ・フランの子孫と言われています。
ボルドーでフィロキセラが流行し、その他の要因も重なって、カルメネールはほぼ全滅したような状況になったのですが、実はその前にメルローとしてチリや国外にわたっていたのが一部カルメネールだったことが判明し、復活を遂げた「七転び八起き」を地で行くブドウ品種。
チリでは補助品種として使われるほか、明確な特徴を持った単一品種のワインとして仕立てられることも多いです。
その特徴とは濃厚なブラックベリーやチョコレートの香り、なめらかな口当たり。まさにボルドーの系譜ですね。

メルロー
カベルネ・フランとマドレーヌ・ノワール・デ・シャラント(長い)を親に持つ現在のボルドーの主要品種。
ボルドー左岸ではメイン品種をカベルネ・ソーヴィニヨンに譲りますが、シャトー・ペトリュスを始め、右岸では押しも押されもしないメイン品種として、堂々とその真髄をワインに込めています。
その栽培のしやすさからボルドーだけでなく世界各地に栽培面積を広げており、日本だと長野が有名ですね。
柔らかな口当たりとベリー系の果実味が特徴で、カルメネールと間違えるのも仕方ないかもしれません。

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マドレーヌ・ノワール・デ・シャラント
表記の揺れなのか、複数の名前が確認できる謎品種。
それ以外全くの不明でした。

マルベック
「黒ワイン」の産地カオールとアルゼンチンで主に栽培されています。
マドレーヌ・ノワール・デ・シャラントとプルネラールの間に自然交配で生まれました。
ということはメルローとは片親違いの兄弟ということになりますね。
90%以上がアルゼンチンで栽培されていますが、カオールの他、ボルドーにもごく少量ながら残っています。
牛肉のステーキを食べる際の最強のお供としておススメです。

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カーサ・コレッタ レセルバ マルベック 赤

いまやアルゼンチンを代表するブドウ品種のマルベック。完熟したブラックベリーや黒カシスの黒系果実の濃厚なアロマ。甘味を伴った果実味とタンニンのバランスが良好なフルボディワインです。

プルネラール
マルベックの親であるということと故郷がガイヤック地方であること、くらいしか情報がない品種。
と思いきや単一品種で仕立てられているワインは存在する模様。ガイヤック地方の人は愛を持って、このブドウに接しているようです。

まとめ

家系図から見るワイン用ブドウの品種、いかがでしたでしょうか。

ピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨンの意外な遺伝的な近さ、グエ・ブランの暴れっぷり、全くもってみたことも聞いたこともない品種のオンパレード、ボルドー品種の一体感。

ワインを飲む際、こんな豆知識も少々のスパイスになって、よりワインのおいしさが際立つのではないでしょうか。

ところでひとつ思いついたことがあります。この家系図にあと数種類の品種と、産地と味わいの情報をもっと詳しくいれたら、ワインのセパージュを別角度から解明できるのではないか?と。

次回はセパージュの謎にも迫っていきたいと思います!こうご期待!

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