「ブドウはたくさんあるけど、ピノ・ノワールのワインだけは別格!」
「ピノ・ノワールのワインが好きで好きで、もうピノ・ノワール無しでは生きていけない!!」
…なんて、大げさに聞こえるかもしれませんね。
でも愛好家の中には、本気でそう思っておられる方も少なくないのです。
このブドウからは、人々を虜にする絶大な魅力を備えたワインが産まれるんですよ。
というわけで今回は、ワイン初心者~中級者の方々に、ピノ・ノワールの素晴らしさを徹底解説。
さらに「ピノ・ノワールならまずはコレ!」という、ソムリエ太鼓判のおすすめ銘柄もご紹介したいと思います!
目次
ピノ・ノワールのおすすめポイント1.繊細な味わい
数あるワイン用ブドウの中でも、圧倒的な支持を得ているピノ・ノワールという品種。
その美しい味わいに魅了されるのは、現代のワイン愛好家だけではありません。
古来より英雄ナポレオンをはじめ、時の権力者や王侯貴族の舌をうならせ、心をガッチリわしづかみにしてきたのです。
ピノ・ノワールで造られたワインは、よく「上品」とか「エレガント」と説明される事が多いですが、まさにその言葉が表す通りと言えるでしょう。
ワインに馴染みの無い方でも、一口飲めばその表現が納得できるはず。
グラスの中に注がれた、淡く美しい色から連想するイメージ通り、この上なく繊細で美しい味わいを楽しませてくれます。
チェリーやラズベリーなど、赤い小さな果実を連想させるような、華やかな香りが一般的。
味わいの面では、タンニンが少ない事で渋みが薄く、ライト~ミディアムボディのワインになる事が多いですね。
ピノ・ノワールのおすすめポイント2.料理との相性
お料理とのペアリングでは、ピノ・ノワールの繊細な味わいに合わせて、料理も個性が強すぎないものと合わせるのがおすすめです。
本場ブルゴーニュでは、郷土料理の赤ワイン煮込みや、ウォッシュタイプのチーズなどと合わせるのが定番。
意外に思われるかもしれませんが、マグロのお刺身や出汁を効かせた和食とも合うんです。
そんなペアリングの例を見てもわかる通り、実はピノ・ノワールって日本人の舌に合う品種と言われております。
日本人の味覚は鋭敏と言われてますから、このブドウならではの繊細で緻密な魅力を、深く理解する事ができるんでしょうね。
そしてピノ・ノワールを存分に味わうなら、ワイングラスも適したものがおすすめ。
華やかな香りを全力で堪能するために、先人の知恵が産み出したのが、大ぶりで丸い形をしたブルゴーニュグラスです。
普通のワイングラスでも十分美味しいですが、ワインのポテンシャルがより一層発揮できるので、ぜひ用意して試してみてください。
ピノ・ノワールのおすすめポイント3.希少性
世界にその名を轟かすロマネ・コンティも、ピノ・ノワールで造られるワインの代表格。
そういった超一流銘柄を筆頭に、愛好家の垂涎の的となるような、数々の高級ワインがピノ・ノワールから造られています。
気軽におすすめできる価格じゃなくなってしまうので、この記事ではご紹介しませんが、お金持ちの方はこちらも見てみてください。
一方でピノ・ノワールは栽培が難しく、ワインを造るのに一筋縄ではいかないという欠点があります。
気候は涼しくないとダメ、病気にかかりやすい、突然変異が頻繁に発生する…。
そんな性質から長きにわたって、「本場ブルゴーニュ地方以外では栽培できない」と考えられてきました。
生産技術が進歩した現在でさえ、どこでも栽培ができるわけではありません。
世界中に植えられるようにはなりましたが、上質なピノ・ノワールの銘醸地と胸を張って言える場所ともなれば、その数は決して多くないというのが現実。
今では有名になった生産者も、創業時は栽培に適した土地を必死で探し回り、やっとの思いで見つけたなんていうエピソードもよく聞きますね。
選ばれた場所でしか育たない、ピノ・ノワールはそんな希少なブドウなのです。
ピノ・ノワールのおすすめポイント4.多様な個性
ピノ・ノワールを語る上で、テロワールの話は外せません。
テロワールとは気候や地質などの総称で、ワインの味わいにはテロワール=畑の環境が大きく影響します。
他のブドウでもテロワールは重要視されますが、ピノ・ノワールは環境に敏感な事もあって、味わいに与える影響がとりわけ強いとされています。
このわずかな環境の違いに、生産者のスタイルが掛け算で加わる事で、その表情は千差万別に変化。
同じブドウからできているのに、銘柄ごとに香りも味わいも違うという点も、人々がピノ・ノワールにハマる理由なのでしょう。
皆様もいろいろ飲んでみて、その中から自分好みのピノ・ノワールを見つけて頂く事を強くおすすめします!
ピノ・ノワールのおすすめ産地・フランス編
ブルゴーニュ
ピノ・ノワールの本場であり、お手本であり、聖地であり、最高の銘醸地として君臨し続けてきた産地こそ、フランス・ブルゴーニュ地方。
そもそもピノ・ノワールというブドウの原産地が、このブルゴーニュ地方とされています。
生産される赤ワインは、ほとんどがピノ・ノワール100%を使用。
「コート・ドール=黄金の丘」と呼ばれる地域を中心に、付近一帯では高品質なブドウが生産され、数多くの名作ワインを産み出してきました。
ピノ好きを自称するワイン愛好家であれば、「ブルゴーニュはおすすめしない」なんて方はいないでしょう。
ブルゴーニュはピノ・ノワール愛好家にとって、今も昔も特別な場所なのです。
シャンパーニュ
世界最高峰のスパークリングワインとして名高いシャンパーニュ。
その原料となるブドウ品種は、限られた数種類しか認められていないのですが、主要品種の一つとなっているのがピノ・ノワールです。
普通の赤ワインだけでなく発泡ワインでも、ピノ・ノワールは世界有数のプレミアムワインを産み出しているというわけですね。
ちなみにピノ・ノワールだけで造ったシャンパーニュはブラン・ド・ノワールと呼ばれ、しっかりしたボディとコクがある味わいを産み出します。
発泡ワインは飲みやすいので、赤ワインが苦手な方でもおすすめできますね。
アルザス
フランスでありながら、ドイツの文化が随所に見られるアルザス。
生産されるワインのスタイルも、ドイツワインの影響を大きく受けており、細長い個性的なボトルが目を引きます。
そして後述の通り、ドイツもまたピノ・ノワールの銘醸地。
文化的な背景だけでなく、産地としてのポテンシャルも高いため、アルザス産の赤ワインはほとんどがピノ・ノワールなんです。
味わいは基本的にライトボディ、スイスイ飲めてしまうような軽やかさが特徴で、そういった飲み口がお好みなら特におすすめですよ。
ロワール
ロワール川流域に長く分布し、地域によって個性豊かなワインを産み出している一大ワイン産地。
そんな中でもピノ・ノワールの銘醸地として名高いのは、ロワール川上流部のサントル=ニヴェルネ地区です。
サンセールという白ワインが有名ではありますが、実はピノ・ノワールの赤ワインも上質という事は、意外と知らない方が多かったりします。
味わいはブルゴーニュに負けず劣らず繊細で、ミネラル豊かな味わいが特徴。
この地域のピノ・ノワールは、日本での流通量が少ないため、ネットショップ等で検討するのがおすすめです。
ピノ・ノワールのおすすめ産地・その他の国編
アメリカ
力強い味わいワインを多く産むアメリカでは、ピノ・ノワールにしては飲み応えのあるワインが造られています。
とはいえピノ・ノワールの魅力と言えば、何度も言うように繊細さ。
果実のパワーが主張しつつも、エレガントな印象もある独特なスタイルに、一度ハマると病みつきになる人が続出しています。
アメリカのワイン銘醸地と言えばカリフォルニア州が有名ですが、ここのピノ・ノワールは「カリ・ピノ」と呼ばれ、日本にもファンが多いです。
一方でアメリカのピノ・ノワールを飲むなら、外せないのがオレゴン州。
カリ・ピノよりもさらに繊細で、聖地ブルゴーニュのスタイルを彷彿とさせるような、完成度の高いワインを産み出す注目の産地なんです。
ニュージーランド
ソーヴィニヨン・ブランが有名ですが、ピノ・ノワールのクオリティも素晴らしいのがニュージーランド。
南半球でおすすめのピノ・ノワールと言えば、真っ先にこの国が挙げられる事も多いです。
2,000円前後で買える銘柄でも、十分に美味しくてコスパが高く、世界のピノ・ノワール好きに重宝されています。
ちなみにニュージーランドのピノ・ノワールが、本格的に生産されるようになったのは、なんと1980年代になってから。
近年のわずかな期間で世界中にその名声が広まり、あっという間に銘醸地の仲間入りを果たしたという、驚異的な実力を持つ産地なんですよ。
ドイツ
ワイン用ブドウが栽培できる北限とされるドイツ。
冷涼な気候を好むピノ・ノワールは、この土地でも素晴らしいワインを産み出します。
ドイツではピノ・ノワールを「シュペートブルグンダー」と呼んでいて、同国における赤ワインの主要品種の一つです。
寒すぎて果実が熟しにくい事もあり、タンニンは少なく軽いボディで、より繊細さが際立つ味わいのワインが一般的。
とはいえ最近は温暖化の影響で、しっかりと果実味のある銘柄も増えているようなので、まずは先入観なく飲んでみるのがおすすめです。
イタリア
フランスと並ぶワイン大国ながら、ピノ・ノワールの影がイマイチ薄いイタリア。
あまり知られていないだけで、実はクオリティの高い銘柄が隠れているんです。
おすすめ銘柄が多いのは、冷涼な気候条件を備える、北部の山岳地帯で造られるもの。
サンジョヴェーゼやネッビオーロ等のイメージが強い国ですが、その裏で美味しいピノ・ノワールが造られているのは、知っておいて損はない事実です。
ちなみにイタリアでは、ピノ・ノワールの事を「ピノ・ネロ」と呼ぶので、ラベルで選ぶ際には注意してくださいね。
ピノ・ノワールのおすすめワイン銘柄5選
近年誕生したばかり、聖地ブルゴーニュのコスパ抜群アペラシオン
ブルゴーニュ コート・ドール ピノ・ノワール パトリアッシュ・ペール・エ・フィス 赤
Bourgogne Cote D’Or Pinot Noir / Patriarche
「ブルゴーニュ コート・ドール」は、伝統あるピノ・ノワールの聖地・ブルゴーニュにおいて、2017年に誕生した新しい銘柄です。比較的安価にも関わらず、クオリティが高くて飲んでびっくり!ブルゴーニュワインの中心地である、コート・ドール産のブドウを使うのが条件なのだから、高品質なのは当然かもしれませんね。生産者のパトリアッシュは、200年以上の歴史がある老舗ネゴシアン。何を飲んでも一定レベル以上、という抜群の安定感に定評があります。
ニュージーランド産ピノ・ノワールの実力を、世界に知らしめた名作
アタ・ランギ ピノ・ノワール 赤
Ata Rangi Pinot Noir Martinborough
ニュージーランドのロマネ・コンティとまで言われ、同国最高峰の銘柄として名高いアタ・ランギ。現在では銘醸地として知られるマーティンボローに、初めてピノ・ノワールを植えたパイオニアで、ニュージー・ピノの名声を世界に知らしめました。かつて「ロマネ・コンティの畑から盗まれた苗木を譲り受けて畑に植えた」という、インパクト抜群のエピソードでも有名です。
カリ・ピノの代表的生産者が、愛娘の名を冠してリリースした傑作
オー・ボン・クリマ ピノ・ノワール イザベル 赤
Au Bon Climat Pinot Noir Isabell
カリフォルニア産ピノ・ノワールのワイナリーとして、最高峰の一つに数えられるオー・ボン・クリマ。醸造家のジム・クレンデネン氏は、「ブルゴーニュの神様」と呼ばれる伝説的生産者、アンリ・ジェイエの元で修行を積んだ人物です。彼が愛娘イザベルの名を冠したこのワインは、名作揃いのオー・ボン・クリマの中でも、特におすすめできる1本。カリ・ピノの素晴らしさがギュッと凝縮された、まさに傑作と呼ぶべき銘柄です。
ワインの王バローロの産地で造られる、年産3,000本の希少な逸品
アヴァンポスティ ピノ・ネロ イル・カシノネ 赤
Avamposti Pinot Nero / Il Cascinone
イタリア北部のピエモンテ州で造られる1本。ワインの王と讃えられるバローロを産む、イタリア有数の銘醸地として名高い産地です。冷涼な山岳地域に植えられたピノ・ネロ(ピノ・ノワールの異名)を使って、伝統と革新の融合というコンセプトで造られたこのワインは、1年でわずか3,000本しか生産されないという希少銘柄でもあります。イタリア産ピノ・ノワールの実力を、手頃な価格で楽しめる銘柄としておすすめですよ。
世界で絶賛される日本人醸造家が、どうしても造りたかったシャンパーニュ
ナイト ブラン・ド・ノワール ブリュット ルー・ベアティトゥディネム 白
Potentia / Simon Devaux & Lou Beatitudinem
フランスで大成功を収め、ついにNHKに密着取材まで受けてしまった日本人醸造家・仲田さんの造るシャンパーニュ。本来はブルゴーニュの生産者ですが、「どうしても造ってみたい」という希望により、シャンパーニュも産み出してしまいました。まさにブラン・ド・ノワールらしい、コクのある本格的な味わいは、本業の傍らで造ったとはとても思えない完成度。個性的なラベルの絵は、なんとスタジオジブリ宮崎駿監督のご子息が、このワインのために製作した版画なんです!
おわりに
ピノ・ノワールの素晴らしさについて、ご理解頂けましたでしょうか。
百聞は一飲に如かず、まずはピノ・ノワールのワインを飲んでみてください。
ここでおすすめした銘柄は、どれもクオリティ抜群の銘柄ばかりなので、きっとその魅力がお分かり頂けると思いますよ。
この記事を読んで頂いた皆様に、ピノ・ノワール愛好家になってもらえたらとっても嬉しいです!