ソーヴィニヨン・ブランは白ワイン用のブドウとして世界中で約12万1000ヘクタール(2015年現在)栽培されている白ブドウ品種です。
ソーヴィニヨン・ブランの最大の特徴として、華やかで顕著な香りが挙げられます。気候や温度の違いによって差は出てきますが、一般的には緑色のハーブ、グーズベリー(西洋スグリ)、かんきつ類の香りと形容されます。
時に、「猫のおしっこ」と形容されることもありソーヴィニヨン・ブランを強く印象づける要素ともなっています。熟成が進むとゆでたアスパラガスと形容されます。味わいはきりっとした酸味が特徴的で、さわやかな印象のワインに仕上がります。
ソーヴィニヨン・ブランの製法の特徴
早飲みワインとして比較的早い時期に消費されることが多く、ステンレスタンクを用いて低温で発酵されることが多いです。低温発酵はソーヴィニヨン・ブランの最大の特徴の香りを引き出すための技法のひとつです。またスキンコンタクトと呼ばれる、果皮と果汁を長めに接触させる技法を用いて、ブドウの果皮からの香りを最大限に引き出します。
熟成がなされるタイプに仕上げる場合は、できあがったワイン果汁をオーク樽で熟成させます。生産者が頃合いを見て目指す味のワインに仕上げたのち、ワイン用瓶に詰めます。その後、瓶の熟成が進められていきます。
ソーヴィニヨン・ブランの気候の違いによる特徴
冷涼な産地では、色調は青みを帯びた淡いイエローで、熟成が進むにつれて黄金がかっていきます。香りは緑色のハーブ、レモン、青りんご、アスパラガスと表現されます。味わいはフレッシュな酸味、ミネラルを感じることができます。
温暖な産地では、色調は淡い黄色から濃い黄色で、黄金がかったつやがあります。香りはセージ、黄色いリンゴ、洋ナシ、パッションフルーツと表現されます。味わいはトロピカルフルーツをかじったような、はつらつとした果実味、いきいきとした酸味を感じることができます。
ソーヴィニヨン・ブランの主な産地
フランス・ロワール
ソーヴィニヨン・ブランの生産地域として一番に挙げられることが多いのがフランス・ロワール地方です。その中でもロワール川上流に位置するサンセールとプイィ・フュメは名を知られた生産地です。またトゥーレーヌも良作年にはサンセールとプイィ・フュメを凌駕するほど品質の高いワインが造られています。またカンシー、ルィィでも果実味豊かなものが造られています。
サンセール 2016 メルシー・ドゥー 白
Sancerre / Mercy Dieu
ワイン情報
バイィ・レヴェルディはサンセールの中でも最良と認められているビュエ村に1900年代からブドウ園を所有する造り手で、1988年にドメーヌを興し、元詰めを始めました。サンセール独特の石灰岩の土壌から、ソーヴィニョン・ブランの純粋でダイレクトなミネラル感たっぷりの、上品な酸味が特徴の辛口白ワインです。
サンセールらしい、石灰質をストレートに感じる活き活きとしたミネラル感溢れる味わいと、上品な酸味が特徴です。
フランス・ボルドー
ロワール地方のソーヴィニヨン・ブランが100%で造られるのに対し、ボルドー地方ではセミヨンとブレンドされます。果実味と酸味で軽快さをもったソーヴィニヨン・ブランに、セミヨンがボディを与えて立体的に仕上げます。特にグラーヴ地区ペサック・レオニャンは品質が高く熟成にも耐える白ワインを生み出しています。
アントル・ドゥ・メール ラ・ペリエール 2015 白
Entre Deux Mers La Peyriere
ワイン情報
ソーヴィニヨン・ブラン主体にセミヨン、ミュスカデルをブレンドしたボルドー・ブラン。
淡いレモンイエロー。白桃のような丸みのある果実の香り、ほのかセルフィーニュの香り。果実味主体で、厚みのあるフルーツが中心。フレッシュ&フルーティで気軽に飲めるボルドーブラン。
リヨン・コンクール金賞受賞
また、ボルドー地方のソーヴィニヨン・ブランで忘れてはならないのはソーテルヌ地区の甘口ワインです。特別な気候条件から、貴腐菌というカビ菌がブドウの表面に発生することで貴腐ワインと呼ばれる、黄金色の甘口ワインを生み出します。
フランス・ブルゴーニュ サン・ブリ
シャルドネの印象が強いブルゴーニュ地方ですが、サン・ブリではブルゴーニュ地方で唯一、ソーヴィニヨン・ブランからの白ワインが造られています。芳香性が高くフレッシュな酸味が特徴的でカキや甲殻類との相性は抜群です。
サン・ブリ ドメーヌ・ベルサン 白
Saint Bris / Domaine Bersan
ワイン情報
ブルゴーニュのシャブリ地区にあるソーヴィニヨン・ブランの産地「サン・ブリ」。
ヒヤシンスやバラ、芳香性の花を思わせるフレッシュな香りが開放的です。わずかにグレープフルーツ、柑橘類の香りもあります。 非常に凝縮した深遠なアロマがあります。口に含むと、フィニッシュまでしっかりと素晴らしい酸味がワインを支えています。
ニュージーランド
パッション・フルーツのような鮮烈な香りで、一度飲んだら忘れられないソーヴィニヨン・ブランを生み出しているのがニュージーランド南東の北端に位置するマールボロです。1980年代ごろからじわじわと評価を高めて、マールボロは世界に誇る国際基準ともいわれているソーヴィニヨン・ブランの生産地といわれています。
サザン・クロス マルボロー ソーヴィニヨン・ブラン 白
Southern Cross Sauvignon Blanc
ワイン情報
まさにニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランらしい白ワイン。
パッション・フルーツや青草を刈ったグリーンな香りなど、ソーヴィニヨン・ブランの特性が良く現れています。しっかりとした酸味が特徴の味わいは非常にすがすがしく、キリッと冷やして飲むのがオススメ。ピクニックなどの外出先や、晴れた日に庭先でついつい飲みたくなってしまう爽快白ワインです。
チリ
南米チリでも優秀なソーヴィニヨン・ブランが造られおり、チリの白ワイン用ブドウでは最も多く栽培されている(2013年現在)ブドウ品種です。カサブランカ地区は山脈から西に位置するため、涼しいな海風が吹き抜けて午後には気温が下がり、朝には霧が発生して、良質な白ワイン造りには欠かせない冷涼な気候をもっています。
タラパカ グラン・レゼルバ ソーヴィニヨン・ブラン 白
Tarapaca Gran Reserva Sauvignon Blanc
ワイン情報
チリ国内のプレミアムワイン市場でトップシェアを誇るタラパカ。グランレゼルバ・シリーズは、チリワインのクオリティの域を超えるような高品質なワイン。
色合いはグリーンがかった明るいイエロー。ピンクグレープフルーツ、ピーマン等のアロマに、イーストや火薬のような香ばしいニュアンスも。ネクタリンやグリーンペッパーの豊かなフレーバーが広がり、フィニッシュにはレモングラスのフレーバーを感じる。ミネラルに富んだ余韻が長く続く。
スペイン
スペインの中でも優良な白ワインを生産する地域としてルエダが知られています。ソーヴィニヨン・ブランを100%使用したものはラベルにルエダ ソーヴィニヨンと名乗ることができます。
オーストリア
シュタイヤーマルク州の中でも南部のズュートシュタイヤーマルクでは芳香性の高いソーヴィニヨン・ブランが生産されています。
オーストラリア
オーストラリア西部のマーガレットリヴァーでは、フランス・ボルドー地区に気候が似ているとの研究結果から、セミヨンとの良質なブレンドが造られています。