ソーヴィニヨン・ブラン好きのソムリエによるソーヴィニヨン・ブラン講座

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みなさんこんにちは。

ソーヴィニヨン・ブランによってワインの奥深い道へと引きずり込まれ、資格まで取得してしまったソムリエです。


改めてこんにちは。

ソーヴィニヨン・ブラン。このブドウ品種についてどういう感想をお持ちでしょうか。ハーブ香?猫のおしっこ?ジューシー?酸っぱい?ロワール?ニュージーランド?好き?嫌い?

それぞれの感想はあるでしょうが、この記事を見ている方は少なからず、興味がある。という方なのでしょう。そこでソーヴィニヨン・ブラン好きのソムリエによる、ソーヴィニヨン・ブラン好きのための、ソーヴィニョン・ブラン講座を始めたいと思います!

ソーヴィニヨン・ブランとは

というわけで、まずはソーヴィニヨン・ブランについて紐解いていくことにしましょう。

歴史

まずはソーヴィニヨン・ブランとは、どこからやってきたブドウなのか。ヴィティス・ヴィニフェラという「種」に属し、原産についてはボルドー説や、ロワール説があります。近年の遺伝子研究によって、ピノ・ノワールを核とする、大きな家系図の一端に含まれていることが分かりました。

ピノ・ノワールの子供、とされるサヴァニャンを親に持って生まれたのが、筆者が愛してやまないソーヴィニヨン・ブラン、というのが最近の通説で、このことによりロワールを原産とする説が、有力視されています。ちなみにこういう通説は数年後に、ころっと変わっていたりするので要注意です。

そしてボルドーのカベルネ・フランと自然交配して、生まれたのがカベルネ・ソーヴィニヨンで、現在のボルドーの栄光の歴史はソーヴィニヨン・ブランのおかげ、ともいえると思います。

現在、ソーヴィニヨン・ブランは原産地フランスから飛び出し、世界各地で活躍しています。基本的には冷涼産地で育てるのがいい、とされていますが、南米なんて暑い地域でも栽培されています。

特徴

そんなソーヴィニヨン・ブランの最大の特徴といえば、あの特徴的な香り!
緑色のフレッシュハーブの香り、グーズベリー(西洋スグリ)グレープフルーツやレモンの柑橘系の香り、行き過ぎると、猫のおしっことまで表現されます。

猫のおしっこは嗅いだことないのでわからないですけど、あの風通しの良い草原を思わせる爽やかな香り、目の前で絞ったような、柑橘系フルーツの目の覚めるような香り、この香りたちこそ、このソーヴィニヨン・ブランの魅力。病みつきポイント

この香りを科学的に研究した資料もあるにはあるのですが、そのあたりは割愛。興味のある方は、他の文献で調べてみて下さい。

味わいもこれまた完熟した、グレープフルーツやパッションフルーツのような果実味や、キリッとした酸味。鮮やかささえ感じるような、はっきりとした味わいの個性も特徴の一つ。

ひとたび口にすれば、弾けるような果実味が舌の上を踊り、鼻を抜け、喉を通りきるまで鮮烈なダンスを繰り広げてくれることでしょう。ここもまた病みつきポイント

ここまでで、鋭いワイン愛好家の方は気づいたと思いますが、私が今ソーヴィニヨン・ブランの特徴として説明しているのは、ニュージーランドの特徴です。そう。冒頭で話した、私をワインの道に引き込んだのが、この国のこのブドウなんです。

ソーヴィニヨン・ブランのふるさとでこそないニュージーランドですが、品種特性のお手本となるワインを生み出すことで、とても有名です。
ここまではっきりと品種個性があるソーヴィニヨン・ブランが、各銘醸地でどのようなワインに仕立てられているのか

次はそこにフォーカスしていきましょう。

ソーヴィニヨン・ブランの主な銘醸地

ニュージーランド

今でこそ、ソーヴィニヨン・ブランの「品種の見本」といわれるようなワインを生産している銘醸地ですが、ワイン造りの歴史自体は浅く、19世紀はじめにオーストラリアから、苗木が持ち込まれたのが始まり。

そこからニュージーランドがワインの生産地として、世界に注目されるようになったのは1980年代のこと。あの有名なマールボロ地区のソーヴィニヨン・ブランが、国際ワイン・コンペティションで最優秀賞を受賞したことで、ワインの銘醸地としての産声を上げます。

これをきっかけに、ニュージーランドワインが急成長。スクリューキャップの積極的な導入や亜硫酸の無添加など、先進的な醸造技術を研究していることなども相まり、一躍世界トップクラスのワイン銘醸地の仲間入りを果たします。

現在ではニュージーランド内の様々な地域でワイン栽培がおこなわれていますが、ことソーヴィニヨン・ブランにおいてはマールボロ地区が真っ先に頭に浮かぶことでしょう。

国内最大の栽培地域を有するうえ、全ブドウ畑の8割ほどが、ソーヴィニヨン・ブランを植えているという、まさにソーヴィニヨン・ブランの聖地

味わいは、上で示したように鮮やかで爽やか。ものによってはボディも強く、ただの白ワインとは比べ物にならないほど、様々な印象や風景を思い浮かべることができます。
正直に言えば、安いワインではないのですが、飲んだ事のない人がいるならば、真っ先におすすめしたくなるソーヴィニヨン・ブランです。

そんなニュージーランドのおすすめワインはこちらです!

マールボロ ソーヴィニヨン・ブラン 2018 インヴィーヴォ 白

ロワール

ソーヴィニヨン・ブランの原産地、とされているロワール地方。産地としては、サンセールやプイィ・フュメが、世界的な銘醸地として知られています。特徴としては、シレックスと呼ばれる石灰質土壌から発現する、シャブリにも似たミネラル感です。

ニュージーランドが彗星のごとく現れるまでは、古くからソーヴィニヨン・ブランの銘酒と言えば、サンセールかプイィ・フュメが定番でした。銘醸地としての歴史が古い、という事は名生産者が多くいるということ。

サンセールや、その川を挟んで向かいのプイィ・フュメには値段は張るものの、クオリティの高い生産者が多数いて、フランス星付きレストランのワインリストには常に入っている、という敏腕生産者もいます。

味わいとしては、ニュージーランドのものよりもクラシックで硬質。やはり柑橘系の果実の果実味に溢れていますが、より酸味の強いレモンやライムのニュアンス。引き締まった酸やミネラリーな余韻が特徴です。紳士的な印象の、より洗練された鋭いソーヴィニヨン・ブランです。

そんなロワールのおすすめワインはこちらです!

サンセール・ブラン ラ・グランド・コート 2018 パスカル・コタ 白

その他の銘醸地

その他にも、セミヨンや他の品種と一緒に一つのワインを形作り、バランスの取れた味わいを醸し出すボルドーブラン。これはおそらくワインを飲んだ事のある方なら、一度は飲んだ事あるのではないでしょうか?

顕著に特徴が出ているわけではないのですが、探せば秀逸なソーヴィニヨン・ブランの特徴が出たワインを見つけることもあるので、要チェックです。ただワイン全般に言えますが、ソーヴィニヨン・ブランらしいかどうかは、飲んでみるしか方法がないのが玉に瑕。

またチリのソーヴィニヨン・ブランも侮れないものがあります。暖かい南米の中にも、冷涼地域があり、そこで栽培されているのですが、ニュージーランドのものよりも、香りがずっと強く、パワフルでジューシーな印象があります。その分酸味が少し弱め。

ちなみに日本でもソーヴィニヨン・ブランが植えられていたりします。栽培面積は少なく、それに伴い生産本数も少ないですが、こだわりのワインが揃っているのもまた事実。一度検索してみてはいかがでしょうか。

普段のワイン講座なら、ここで締めの挨拶を言って終わりなのでしょうが、それでは気持ちが収まりません。次はソーヴィニヨン・ブラン好きの方におすすめのブドウ品種を、紹介しようと思います!

おすすめブドウ品種

ヴェルデホ

まずはここ、スペインのカスティーリャ・イ・レオン地方のDOルエダで多く栽培されているヴェルデホです。スペインの白ワインと言えば、アルバリーニョ!という方も多いと思います。(ちなみに筆者はアルバリーニョも好きです)

ですが実はスペインで、一番売れている白ワインはこのルエダ。スペインでは、白ワイン全体の40%ほどの流通量で圧倒的1位ながら、日本ではあまり知名度が無いように思えます。ちなみに第2位は、アルバリーニョで有名なリアス・バイシャスの9%。

そのルエダの主要品種、ヴェルデホ。砂地のような土壌のおかげでフィロキセラを生き残ったヴェルデホがかつて存在し、それから現在のように、白ワインをメインで造るようになったのだ、と聞きました。ちなみに筆者はルエダに研修に行ったことがありますが、まるで砂浜にぶどうの木が植わっているようでした。(上部写真)

香りは、ソーヴィニヨン・ブランよりも水分が少ないハーブ類、干し草やフェンネル、味わいは甘みを帯びた柑橘系の果実、中~強程度のボディに爽やかな酸味、そしてほのかな苦みが味を引き締めます。

香り豊かでフレッシュ&フルーティ。まさにソーヴィニヨン・ブランと同じ構造でよりフルーティな甘みのあるワイン、という印象です。
ちなみにルエダでは少数ですが、ソーヴィニヨン・ブランも植えられていて、とても美味しいのですが、日本にはあまり入ってきていませんので、見つけたら試してみて下さい。

そんなヴェルデホのおすすめワインはこちらです!

クネ ルエダ 2018 C.V.N.E.社 白

ピノ・グリ

次はピノ・グリ。ピノ・ノワールの突然変異種とされ、いわゆるグリ系(灰色)のブドウです。地域によってピノ・グリ、ピノ・グリージョ、グラウブルグンダーなどとも呼ばれ、世界各地で栽培されています。

その中でも、ニュージランドやイタリアのフリウリ、フランスのアルザスなど、冷涼地域で育てられ、比較的早めに収穫して軽やかな味わいに仕立てるものが、ソーヴィニヨン・ブラン好きの方にはおすすめです。

グレープフルーツや洋ナシ、黄桃などのアロマを持ち、糖度が上がりやすいため、豊かなボディのワインに仕上がります。仕立て方によっては、シャルドネに似たコクのあるタイプになったり、甘口になったりするワインになるので、要注意です。

そんなピノ・グリのおすすめワインはこちらです!

ピノ・グリ 2019 カタヒ 白

ケルナー

お次はケルナーです。ドイツが原産とされ、冬の寒さに強いものの、故郷のドイツでは栽培面積が減少している、ちょっとかわいそうなブドウ品種です。リースリングを親に持つため、特徴が似ていますが、よりフルーティと言えるでしょう。

実はドイツのケルナーはあまり見かけることがなく、筆者自身も単独で仕立てられたワインを飲んだことがないのですが、北海道で造られたケルナーを飲んだ事があります。そのワインのおいしさたるや。

レモンやグレープフルーツ、ハーブのアロマティックな香り、雪が降る冷涼産地ならではのキリっとした酸味や、適度なボリューム感のあるみずみずしいワインでした。北海道の余市と言えば、ケルナーというほど代表的な品種です。

そんなケルナーのおすすめワインはこちらです!

ケルナー 2018 キャメルファーム 白

その他

その他にも、日本の固有ブドウ品種である甲州の一部には、ソーヴィニヨン・ブランのような、柑橘系の香りが顕著なモノもありますし、ソーヴィニヨン・グリというあまり見かけない品種も、ソーヴィニヨン・ブランの亜種なだけあって似通っている部分があります。

ぜひ探して飲んでみて下さいね。

まとめ

ソーヴィニヨンブラン好きのソムリエによる、ソーヴィニヨン・ブラン好きのための、ソーヴィニヨン・ブラン講座、いかがでしたでしょうか。

ワインは知識があってこそ、と言う人もいますけれども、自分が好きなワインを楽しむ、といった気持ちが、何よりも大事だと思います。

そうやって楽しんだ後に、知識がついてくれば、今よりもっともっとワインを楽しむことができると思います。

ソーヴィニヨン・ブランをもっと知りたいなって時や、他のブドウ品種試してみたいなって時に、ソーヴィニヨン・ブラン好きのソムリエがなんか言ってたな・・・とこの記事を思い出してくれると、幸いです。

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