南半球にある人間よりも羊の方がたくさんいるニュージーランド。
自分たちのことを「キウイ」と呼ぶフレンドリーな人々の国で、ご存じの通り、自然がいっぱいです。そして、カフェやアート、クラフトビール造りの盛んな国でもあります。
もうひとつ忘れてはいけないのが、ワインです!
ニュージーランド・エアラインでは「白ワインと赤ワイン、どちらになさいますか?」ではなく、「ソービニヨン・ブランとピノ・ノワール、どちらになさいますか?」と聞かれるとか…。
全世界の生産量からいえば、ほんの1%にすぎないニュージーランドワインですが、ぶどうの栽培技術や日々進歩する醸造技術のおかげで、近年、国際的な評価が上がってきているニュージーランドのワイン。
そんなニュージーランドで造られるおすすめのワインをご紹介していきます。
ニュージーランドでおすすめのピノ・ノワール 5選
まずは赤ワインのピノ・ノワールから。
ニュージーランド北島にあるマーティンボロ。実はピノ・ノワールの聖地ともいえるフランス ブルゴーニュと、気候がとても似ていて、ピノ・ノワール栽培の最適地です。
ただマーティンボロには、まとまった土地がなかったため、広大な畑を求めていたある企業が、同じような気候の>南島マールボロでのピノ・ノワール栽培を始め,現在では一大産地となっています。最近では、南島の南東セントラル・オタゴでも凝縮感に富んだピノ・ノワールが造られています。
ニュージーランドワインのパイオニアが造るピノ・ノワール!
南島マールボロの南、ワイパラ・ヴァレーにあるワイナリー「シャーウッド・エステート」。ニュージーランド国内で、ピノ・ノワールを醸造しているワイナリーがたったの5軒だったころから、ピノ・ノワールを造り続けているパイオニア的な存在です。
ニュージーランドのピノ・ノワールらしく、とてもきれいな酸のワイン。アロマに、ベリー系の果実の香りに少し効かせたオーク樽の香り。ピノ・ノワール本来のエレガントさと親しみやすさをあわせ持つ、果実味と酸のバランスが取れた気軽に飲みたい1本です。
コスパ抜群!オーガニックピノ・ノワール!
ニュージーランド北島ホークスベイにあるワイナリー「カタヒ」が造る、ピノ・ノワールです。この「カタヒ」のチーフワインメーカーを努めるのは、ワインメーカーオブザイアー受賞歴のある「ロッド・マクドナルド」。彼は長年ホークスベイでワインを造り続けており、同じホークスベイでワインを造る日本人の「大沢ワインズ」でもワイン造りのアドバイスを行っています。
「レゼルヴ」でありながら、お財布に優しいお値段なのですが、そのお味は、お値段以上のもの!熟したベリーとほのかに鉄分を感じる香りと、抑えめに効かせたコーヒーやヴァニラなどの香り。果実の甘みもしっかりありながら、ピノ・ノワールならではの酸もしっかり感じられる骨格のしっかりとしたワインです。
カツオのタタキなどによく合いそうです。
「ニュージーランドワイン・プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」受賞歴のあるピノ・ノワール!
ピノ・ノワールの一大産地であるマールボロにある家族経営のワイナリーが造るピノ・ノワールです。実はこのワイン、当初ドラジェではお客様からの注文があった時に取寄せして販売していたのですが、あまりに人気があり、定番の取り扱いになったといういきさつがあるワイン。
柔らかな口当たりで、ダークベリーや木苺の柔らかな香り、ほのかに甘いオーク樽とスパイシーなニュアンスもある、シルキーなタンニンと優しい酸味がエレガントなワインです。
ニュージーランドで5本の指に入るワイナリーの造るピノ・ノワール!
ロバート・パーカー Jr.の「ニュージーランドTOP5ワイナリー」に選ばれた「ペガサス・ベイ」。その「ペガサス・ベイ」が手がけるバリューワインが、この「メイン・ディヴァイド」です。
ぶどう栽培からワイン造りに至るまで、人間の手を最小限にしか加えないことで、ぶどうの持つポテンシャルを十分に引き出したワイン造りをするペガサス・ベイの醸造方法は、バリューワインとはいえ全く一緒です。
その味わいはというと、ラム肉にも負けないほどパワフルでリッチ!
ラズベリーやブラックベリー、プラムなど、赤系黒系果実が混じりあう複雑なアロマと、チョコレートやヴァニラ、スパイスの香りが重なり合い、熟した果実味と酸のバランスが取れた、余韻の長い、しっかりとした味わいのワインです。
少し話はそれますが、ニュージーランドには700弱のワイナリーがあります。その9割を占めているのが、「ブティックワイナリー」と呼ばれる小規模で家族経営のワイナリー。きちんとしたセラードアー(ワイナリーに併設されている試飲直売所)を備えているところもあれば、自宅の応接間でテイスティングなんていうところもあるそうです。
ご紹介した「ペガサス・ベイ」は、ニュージーランド国内でも有数のブティックワイナリーとして知られています。併設されたレストランは、現地のグルメ&ワイン雑誌「クイジーン」誌で過去10年に7回も最優秀賞を受賞しているそうです。機会があれば、訪問してみたいですね!
理想のワインを追い求めて海を渡った日本人醸造家の造るピノ・ノワール!
「ピノ・ノワール ピアソンズ・ヴィンヤード」 コヤマ・ワインズ
ニュージーランドの日本人醸造家の中でも、評価の高いのが、神奈川県出身の小山竜宇氏。ニュージーランドの名門ワイナリー「マウント・フォード」でアシスタント・ワインメーカーを勤め後に独立、2009年に設立したのが「コヤマワインズ」です。その後、経営難など窮地に陥った古巣を救いたいと、2017年に「マウント・フォード」のオーナーにもなっています。
この「ピアソンズ・ヴィンヤード」は、フレッシュなラズベリーを思わせる華やかな香りで、ほのかにスパイシーなニュアンスも。柔らかな酸とタンニン、フルーティな果実味が楽しめる、優しい印象のワインです。
ニュージーランドでおすすめのソーヴィニヨン・ブラン 5選
ニュージーランドと言えば「ソーヴィニヨン・ブラン」でしょ?って方、多いのではないでしょうか?それもそのはず、ニュージーランドから輸出されているワインの70%はソーヴィニヨン・ブランの白ワインです。
ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランが、世界の脚光を浴びるようになったのは、マールボロにある「クラウディ・べイ」の1本が、ワイン専門誌ワインスペクテイターで、94点を獲得してからのこと。「最も美味しいソーヴィニヨン・ブラン」と絶賛され、フランスのロワールやボルドーと並んで、一躍ニュージーランドはソーヴィニヨン・ブランの聖地として認められるようになったのです。
これぞ、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブラン!という1本
「ストラタム ソーヴィニヨン・ブラン」 シャーウッド・エステート
先程のピノ・ノワールでもご紹介した「シャーウッド・エステート」が造るソーヴィニヨン・ブラン。ブティックワイナリーとしては珍しく、ぶどうの栽培からボトリングまで、妥協を許さない仕事で、すべて自社で行っています。
グーズベリーやグレープフルーツ、パッションフルーツの豊かな香りと刈ったばかりの青草のような爽やかな香り。味わいはフレッシュで溌溂としていながら、豊かで凝縮した果実味を存分に味わえます。魚介類のマリネやホタテのカルパッチョなどのシーフードと合わせて楽しめます。
マールボロ最奥地 嵐の大地から生まれるソーヴィニヨン・ブラン
マールボロエリアの最奥地、舗装もされていない道路の先に「ラブブロック」はあります。様々な動物や多種多様な植物と共生することを目指す、オーガニックファームにあるぶどう畑には台風並みの風が吹き荒れることもあり、厳しい環境で育ったぶどうはしっかりとした味わいのものになります。
桃やパッションフルーツ、シトラスの香り。白桃の味わいに力強いトロピカルフルーツとフレッシュな酸が感じられます。ハーブの香りが際立つ典型的なマールボロ・ソーヴィニヨン・ブランのスタイルではありませんが、凝縮したぶどうの個性とミネラルを感じる、なめらかな口当たりのワインで、今までご紹介したものとはひと味違う辛口のソーヴィニヨン・ブランです。
マールボロ産ソーヴィニヨン・ブランの魅力が満載!
「サザン・クロス マルボロー ソーヴィニヨン・ブラン」ワイン・ポートフォリオ
南半球を代表する星座、サザンクロス(南十字星)の名前が印象的なこのワイン、今やニュージーランドのみならず、その品質の高さから世界のトップ・ワイナリーとして知られる「モートン・エステート」、そこに在籍していたメンバーで作った「ワイン・ポートフォリオ」が手掛けています。
柑橘のアロマと香り豊かなブラッドオレンジ、ハーブなどの微かに青い香りと苦み、甘みを含んだ風味と、グースベリーやパッションフルーツのさわやかな酸味が口中いっぱいに広がります。果実味の豊かさを感じられるマールボロらしいソーヴィニヨン・ブランです。
日本人醸造家が作るエコロジカルなワイン!
『グリーンソングス』は、日本人栽培醸造家「コウヘイ」により2014年に設立されたワイナリー。東大を卒業後、ビジネスの世界に身を置いた後、リンカーン大学を、日本人としては初めて首席で卒業した輝かしい経歴を持つ氏。ワインの名前「アタマイAtamai」は、マオリ語で「フェアネス」を意味し、2006年設立の、地球環境に配慮した持続的な暮らしを共通の目的としたエコヴィレッジ「アタマイヴィレッジ」のぶどうを使用して造ったのが、グリーンソングスのワインです。
さわやかなグレープフルーツのな香りとフレッシュハーブの香りが印象的な、ドライに仕上げられたソーヴィニヨン・ブランですが、果実由来のほのかな甘みと共に、心地よい酸がじんわり染み入る落ち着いた余韻のソーヴィニヨン・ブランです。
ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを世に知らしめた達人の造る逸品!
マールボロにある「クラウディ・ベイ」への高評価から脚光をあびるようになった、ニュージーランドのソーヴィニヨンブラン。グレイワッキは、前述した「クラウディ・ベイ」で創業から25年間チーフ・ワイン・メーカーとして勤めたケヴィン・ジュッド氏が、2009年よりスタートしたブランドです。
この「ワイルド・ソーヴィニヨン」は、完熟したぶどうを使用し、野生酵母の自然な発酵で造っています。アプリコットやライムのマーマレード、クリームブリュレの様な甘苦いバニラ香やタイム、ローストしたセサミのニュアンス。豊かなコクと複雑な香りに満たされミネラルと共に余韻が長く残る、複雑で豊かな味わいのワインです。ロブスターやホタテのマリネなどとよく合います。
ピノ・ノワールでもソーヴィニヨン・ブランでもなく…おすすめ3選
近年、ワインの生産地としての評価が、うなぎのぼりのニュージーランド。
ピノ・ノワールとソービニヨン・ブラン以外の品種でも、良いワインがたくさん生産されるようになってきました。
そんな中、ぜひお試しいただきたい3本をご紹介します。
やっぱり泡が好き!な方へ。クラシックなマールボロ・ソーヴィニヨン・ブランの泡
「ソーヴィニヨン・ブラン スパークリング NV」 インヴィーヴォ
2008年のファーストリリースから、あっという間に世界市場に認められるまでに急成長した新世代のワイナリー「インヴィーヴォ」。2009年と2010年には、ロンドンで行われたInternational Wine and Spirits Competition(IWSC)にてニュージーランドワイン・プロデューサー・オブザイヤーに2年連続で輝いたのを皮切りに、この10年間で様々な賞を受賞しています。日本のリアルワインガイドの「旨安スパークリング」特集にも掲載されたことがあります。
彼らの造るスパークリングワインは、ライムやシトラスなどのきれいな果実味と酸味が活きていて、マールボロ・ソーヴィニヨン・ブランの個性そのままの泡のムースが口中に広がります。しっかり香りがあがるので、屋外でのBBQにも最適。サバなど香りの強い魚との相性も抜群です。
今、注目のエレガントなシラーならこれ!
最近ニュージーランドで注目の品種シラー。お隣のオーストラリアではシラーズと呼ばれ、黒コショウの香りなどスパイシーな印象を持つシラーですが、このシラーは一味違います。なんといってもきれいな酸で、本当にエレガントなシラーです。
ブラックベリーの香りと野ばらの香り。シラーらしく鉄分や生肉のような香りもありますが、ほのかにヴァニラが香ります。しっかりとした酸とベルベットのようなタンニン。 果実のさっぱりとした甘さと、ヴァニラの甘い香りが ふっと鼻にに抜ける、ピノ・ノワールとも見紛うばかりの、ピュアでエレガントな シラーです。
ネルソンの先駆者が造るゲヴェルツトラミネール!
「オールド・コーチ・ロード ゲヴュルツトラミネール」ヘルマン・サイフリード
南島の北端に位置するネルソン。緑豊かなこの地に1973年にオーストリア出身のヘルマン・サイフリードはワイナリーを作りました。当時まわりには1軒のワイナリーもなかったそうですが、今では年間10万ケースを生産するワイナリーになりました。ぶどうはすべて自社畑のものを使い、ワインは家族5人だけで造っているというから、驚きです。
ライチやジンジャー、ジャスミンのうっとりするような香り。ホワイトペッパーのスパイシーさと凝縮感ある果実味が溢れる オフドライスタイルのワインです。
スパイシーなアジア料理、カレーにぜひ合わせてみてください。
おしまいに
日本ではまだ紹介されていないワイナリーが、まだまだたくさんありそうなニュージーランド。どんなお宝が眠っているのか、これからがますます楽しみなニュージーランドのワインたち。
いろいろな品種やタイプを探して、飲んでみて、あなただけのお気に入りの1本を見つけてくださいね。
この記事が少しでもお役に立てたるなら、うれしいです。