毎日、暑い日が続いています!
夏と言えば、やっぱり冷え冷えのビール!というのは否めません…。そして夏の食材との相性が良いことも。
ただ、きりっと冷えたワインと楽しむ、夏の食事もオツなもの。ぶどう品種や生産地によって異なるキャラクターを持つワインとのペアリングは、ひと味違う美味しさに出会えるかもしれません!
今回は、暑い夏だからこそ、ぜひ試してほしい、夏の定番料理に合うワインをご紹介します。
目次
食事とワイン ペアリングの基本をおさらい
はじめに、簡単に食事とワインのペアリングの基本をおさらいしましょう。
まずは、赤ワインと白ワインを、「すっきり・さっぱり系」と「しっかり濃厚系」、それぞれ味わいの違いで、ざっくり4つに分けてみます。
・さっぱり系軽めの赤ワイン
・しっかり系濃厚な赤ワイン
・すっきりさっぱり系の軽やか白ワイン
・しっかり系芳醇な白ワイン
いちばん簡単なのは、「色」を合わせること。
感覚的にわかっていただけると思うのですが、白身魚や鶏肉、サラダなどの色の淡い食事には、やっぱり白ワインです。では「すっきり系」と「しっかり系」どちらを合わせるかとなると、「味付け」をどうするか、で決まってくるのではないかと思います。
同じ白身魚でも、レモンをキュッと絞ったマリネ仕立てにするなら「すっきり系」白ワイン、バターソースのソテーにするなら「しっかり系」白ワインを、といった具合です。
もう一つは「土地のものどうしを」ということ。どんなものにも言えるのですが、やっぱり同郷のものどうしは相性抜群です。
ワインの経験値が上がってくると、ぶどう品種や産地ごとの味わいがなんとなくわかってくるので、味の想像がしやすくなってくることは確かのですが、小難しいことは置いておいて、自分の感を信じて合わせてみるのも、大いにアリです!もし大失敗しても、それはそれで貴重な経験です(笑)。
ただ、どうしても困ってしまったら、やはり万能なのはスパークリングワイン!カバやクレマン・ダルザスなんかでしたら、守備範囲がとても広いです。
ペアリングについてわかりやすく解説しているこちらの記事も、ぜひ参考にしてみてください。(潔く?ワインとは絶対に合わない食材も載っています(笑))
>>「ワインと料理のペアリングは難しくない!マリアージュの基本を超シンプルに解説します!」
お食事の前に
まずは、こちらの食前酒はいかがでしょうか?
白桃とスパークリングワインで作るカクテル「ベリーニ」が、そのままボトルに入りました!気温30℃超えの暑い日に試飲したのですが、桃の果肉感があって、フレッシュ&フルーティな優しい味わい。業務中にもかかわらず、すっと飲んでしまいました(笑)。容量は、ちょうど飲みきりサイズの200ml。冷蔵庫に常備しておいて損はありません!
では、夏のお料理とワインのペアリング、ご紹介していきます。
セビーチェ
セビーチェは、南米ペルー生まれの魚介と野菜のマリネ。基本的には、新鮮な魚介と刻んだ野菜を、柑橘類の果汁で合えるだけのお料理です。
筆者がよく作るのは、ゆでだこやさっと湯がいたイカやエビと、セロリ、キュウリやトマト、刻んだコリアンダー(パクチー)を、レモン果汁とオリーブオイルで和えるだけの簡単レシピですが、これがワインのお供にぴったり。
さっぱりとした味わいはもちろんですが、火を使わないので、まさに夏向けのお料理です。
セビーチェに合わせたいワインはこちらです。
ヴェルディッキオ・スプマンテ・ブリュット NV カサルファルネート 白
「海のワイン」と呼ばれるヴェルディッキオで造ったスパークリングワイン。
このワインのすっきりとしたレモンを思わせる酸味と、セビーチェの柑橘の風味が好相性!溌剌とした泡が魚介の臭みを消してくれるので、お互いを引き立てあうペアリングです。
ラタトゥユ
トマトやナス、ズッキーニ、パプリカといった、彩り鮮やかな夏野菜たっぷりの南フランスの煮込み料理が、ラタトゥユ。そのままで食べたり、パスタにのせたり、お肉やお魚のソテーの付け合わせにしたりと、たくさん作ってアレンジ自在なのもうれしいお惣菜です。
ラタトゥユの生まれ故郷プロヴァンスでの定番のペアリングは、なんといってもロゼワイン。
ラベルも、まさに夏!な、こちらのロゼワインはいかがでしょうか?
ラベルが印象的なこちらのワイン、ボルドーのサンテミリオン・グラン・クリュに格付けされるシャトー・レヴュシェ のオーナーが、南仏に所有するぶどうを使って造っているロゼワインです。プロヴァンス地方では、セミは幸福のシンボルだそう。
グルナッシュ主体のこちらのロゼワイン、辛口ながら豊かな果実の風味が広がります。完熟野菜のみずみずしい甘みと抜群のペアリングです。
冷しゃぶサラダ
夏バテ気味で食欲のない時に、しっかりお肉も野菜もいただける冷しゃぶサラダ。
ご家庭によって、牛肉だったり豚バラ肉だったり、ポン酢派やごまダレ派の方がいたりと、アレンジはいろいろかと思いますが、今回は庶民的に、豚バラ肉のごまだれと決め打ちで、合うワインをご紹介します。
豚バラ肉の脂の甘みや、ごまだれの持つ香ばしさに合うワイン…果実味たっぷり、少し樽をきかせた芳醇系白ワインはいかがでしょう?
シュヴァリエ・ド・カイユス シャルドネ アルマ・セルシウス 白
南仏の優良生産者組合アルマ・セルシウスの造る、「コンクール・キラー」の異名を持つコスパ抜群の白ワイン。熟したりんごやパイナップルのようなトロピカルフルーツのアロマと、オレンジやレモンを思わせるフレッシュな酸味。ワインの持つ成熟した果実の甘みとお肉の持つ甘み、ほのかに感じる樽の感じがごまの香ばしさとぴったりです。
ゴーヤチャンプルー
夏野菜の代表ともいえるゴーヤ。ビタミンCたっぷりで、日差しをたっぷり浴びる夏に、積極的に取りたい野菜です。お肉やお豆腐、卵などと一緒に炒めるゴーヤチャンプルーは、それ一品だけで栄養バランス抜群の優秀なお惣菜!
ゴーヤ特有の苦みがあり、ワインと合わせるのは、なかなか難題です…。やっぱりビールでしょ?という意見があるかもしれませんが、ここはソムリエの意地で(笑)、おすすめするのはこちらのワインです。
こちらは、ニュージーランドのソーヴィニョン・ブラン。熟したパッションフルーツのアロマとさわやかなハーブ香で、飲む口がどんどん進んでしまう、(誤解を恐れずに言うなら)まるでビールのようなワインです。
造り手のアラン・スコット氏は、ニュージーランドのワイン産業ではレジェンドともいえる存在の方。今では息子のジョシュさんもワイン造りに参加しています。余談ですが、息子のジョシュ・スコット氏、ニュージーランドのクラフトビール界をけん引するビア・マイスターで、ビールとワインの二刀流の造り手さんです。
ゴーヤの持つ青々とした香りと、ワインが持つハーブの香りが相性抜群。卵やお肉の甘みとワインのトロピカルフルーツの甘みもぴったりです。
冷やし中華
「冷やし中華 始めました」
街中華の軒先に、こののぼりを見ると、夏が来たなと感じる夏の風物詩ですね!
こちらも先程の冷しゃぶと同じく、醤油ダレ派とごまだれ派が存在すると思いますが、今回は醤油ダレの冷やし中華に合うワインをセレクトしました。
果実味がたっぷりな、チリのソーヴィニョン・ブランはいかがでしょうか?
サンタ・アンジェリカ ソーヴィニヨン・ブラン 2021 ラヴァナル 白
こちらのソーヴィニヨン・ブランはトロピカルフルーツのような豊かな果実味が特徴。爽やかな酸味とのバランスも良く、デイリーワインとして重宝するコスパ抜群のワイン。
冷やし中華の醤油ダレの持つ果実の甘さを持つ酸味と、このワインの果実味、酸味がぴったり!おうちで作る気取らない冷やし中華に、コスパ最高のこのワインをきりっと冷やしていただいたら…ゆったりと夏のお食事が楽しめそうですね!
うなぎの蒲焼
「土用の丑に食べると、夏バテしない」と言われていることから、夏の季語にもなっているうなぎ。いろいろな食べ方があると思いますが、蒲焼にして食べるのが一般的なのではないでしょうか。
うなぎの蒲焼に合わせたいのは、ボルドー右岸のメルロー主体のワインです。
こちらのワインは、ボルドー右岸の高級産地サンテミリオンのもの。熟したカシスや野イチゴといった、メルローらしい果実味たっぷりなワイン。豊かな果実味と蒲焼の甘辛いタレとの相性が抜群なんです。また、ワインに感じるスイートスパイスや香ばしいカカオのニュアンスなども、蒲焼の少し焦げた炭火の風味や、山椒の風味と相まって、絶妙なペアリング!
実際にボルドーでも、うなぎを赤ワインで蒸し煮にするのはよくある調理法だそうで、L’amproie a la Bordelaise(ランプロワ・ア・ラ・ボルドレーズ ヤツメウナギの赤ワイン煮)という郷土料理もよく知られています。
カレー
もはや日本料理といっても過言ではない、インド料理カレー。年中いただくのですが、なぜか暑い夏になると、無性に食べたくなりませんか?ただ、カレーに合うワインもなかなかの難題です…が、聞き込みを続け、カレーに合うワインにたどり着きました(笑)。
唐辛子マークがたくさんついた辛いカレーに合わせるには、なかなかハードルが高いのですが、少し辛さがマイルドなカレーに合うワイン、こちらはいかがでしょうか?
アルザス ゲヴュルツトラミネール 2020 オルシュヴィレール 白
ほのかに甘いけれどもスパイシーなニュアンスも持つゲヴュルツトラミネールのワイン。確かな筋からの聞き込みとはいえ、筆者自身、半信半疑だったので、実際に試してみたところ…合うんです、これが!スパイシーなインドカレーに甘いチャツネを合わせる感覚です。
今回は、ほの甘い白ワインを合わせましたが、カレーに使われるスパイス、クローヴやブラック・ペッパーの香りを持つ赤ワインも、カレーとの相性が良いようですよ。
ぎょうざ
こちらも夏、というわけではなく、一年中いただくのですが、なんだか元気になりそうで、夏になるとなんとなく食べる頻度が上がります。
餃子にいちばん合うのはビール!というのは、誰もが認めること。間違いありません。ただ、ワンランク上のペアリングを目指すなら、シャンパーニュがおすすめです。
コント・ドラモット・ブリュット・ロゼ NV ジー・エイチ・マルテル ロゼ
こちらのシャンパーニュは、1869年創業の大手シャンパーニュメゾンG.H.マーテル社の手掛ける、ピノ・ノワール主体、味わいのしっかりしたもの。ベリーやアプリコットなどフルーティなアロマとフレッシュで余韻の長い果実味が楽しめます。
バランスの取れたコクのある果実味と酸味が、餃子の餡のキャベツの甘み、豚ひき肉のコクやつけダレと、絶妙な味わい。きめ細かい泡も、餃子の脂っこさを消してくれます。ちょっとおしゃれな餃子の楽しみ方、ぜひお試しください!
スペアリブのグリル
夏になると、気の置けない仲間どうしで、わいわいとバーベキューを楽しむ機会もあるのではないでしょうか?バーベキューと言えば、やっぱり、ガツンと肉、です。バーベキューの主役スペアリブのグリル、カジュアルに合わせるなら、こちらのワインはいかがでしょうか?
こちらは、南フランスで造られたカリニャン100%のワイン。このワインの持つ、よく熟したカシスやブルーベリーのような果実味とスパイシーなアロマが、バーベキューソースに通じるところがあり、抜群のペアリングです!
いきいきとしたフレッシュな酸味もありますので、スペアリブの脂っこさを洗い流してくれます。夏のバーベキューでどんどん開けられるお値段も魅力的。よく冷やして、お楽しみください!
アイスクリーム
最後の締めは、デザートです。夏のデザートと言えば、アイスクリーム。
そのままでももちろん美味しいのですが、ちょっと大人のデザートにアレンジしてみませんか?
ナクトゥ・ゴールド アイスワイン ハーフボトル 375ml ペーター・メルテス 白
アイスワインをアイスにかける、ダジャレみたいですが、これが格別なんです!樹になっている状態の凍ったぶどうを収穫して造られるアイスワイン、地球温暖化の影響からか、近年、なかなかぶどうが凍らず、造れない年もあるんだとか。そんな貴重なアイスワインをかけてしまうなんて、ちょっと贅沢ですが、ぜひ試してほしい味わいです。
このアイスワインは、白桃や柑橘類、パイナップルなどのアロマを持つ濃厚な甘い味わい。おなかいっぱいだったら、よく冷やしてそのままお召し上がりください(笑)。
おしまいに
夏の定番料理とワインのペアリング、いかがだったでしょうか?
今回はかなり、筆者の主観が強いセレクトだったかもしれません。
筆者の舌を信じていただけるなら…、ぜひぜひ試していただきたいペアリングばかりです。
今年はビールだけでなく、冷やしたワインをお供に、夏のお食事楽しんでくださいね!
この記事が、皆さんのワインライフにお役に立てると嬉しいです。