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カステッロ・ディ・フォンテルートリ

Fonterutoli

キャンティワインの名付け親!由緒ある貴族のワイナリー


カステッロ・ディ・フォンテルートリは、トスカーナ地方のカステッリーナ・イン・キャンティに近いフォンテルートリ村にあるワイナリーです。ここは11世紀からトスカーナの地でワインを造っていたマッツェイ家の24代目の当主が、現在も所有している歴史のあるワイナリーです。

1398年に公証人をしていた一族の先祖に当たるラポ・マッツェイ氏が、初めて「キャンティワイン」という名称を正式に公文書で用いたと言われます。いわば、キャンティワインの名付け親です。

1435年に一族の結婚により、フォンテルートリのお城を所有することになったマッツィ家が、その後、現在に至るまで所有地の畑やお城を当時のままに、代々受け継いできました。

マッツィ家の歴史的な人物に、フランクリン、アダムス、ワシントン、ルーズヴェルトといった歴代のアメリカ大統領の友人だったフィリッポ・マッツェイがいます。ジェファーソン大統領の有名な独立宣言にある平等、自由の概念は、フィリッポ・マッツェイの影響 だったと、J.Fケネディ大統領が自著の中で明らかにしています。

さらに、フィリッポの生誕250年を祝って、アメリカで記念切手が発行されるという栄誉を受けた人物でもあります。彼がアメリカ大統領たちにブドウ造りのノウハウを伝えた書簡も残っています。

村のワイン伝説


フォンテルートリ村は、現在ではシエナ・キャンティ・クラシコのエリアに位置しています。

この村には可愛らしい伝説があります。

12世紀頃、フィレンツェとシエナが間にあるキャンティ地区の争いを重ねていましたが、戦いに疲れ、それぞれの街から同時に出発した騎士が落ち合う場所を境界線とする取り決めをします。朝、最初に鶏が鳴いたら出発する約束だったのですが、フィレンツェ側は、黒い鶏に食べ物を与えず空腹にしていたので、普段より早く起き出して鳴きました。そのためシエナより早く出発したフィレンツェの騎士は、シエナからわずか10キロのフォンテルートリ村まで辿り着き、ここがフィレンツェの境界線になったのです。

キャンティ・クラシコのワインのシンボル、黒い鶏はこの伝説によるものです。

フォンテルートリのワイン畑と醸造


650ヘクタールにも及ぶマッツィ侯爵家の領地の中で、ブドウ畑が占める面積は「わずか」117ヘクタールに過ぎません。

畑は海抜220〜550mという高低差がバラエティに富んでいて、ここを5つの大きなエリアに分け、各エリア内で合計73の畑、さらに全部で120の小さな区画に分けて管理しています。石灰岩や砂岩のなどの岩が多い土地ですが、この違いをブドウ造りに生かしています。

ブドウ畑のまわりには、畑や野生の動物も生育している森など、まさに自然のハーモニーが生きている理想的な環境で育まれます。広大な畑ですが、収穫はすべて手摘みにこだわっています。

ワイン醸造を行うカンティーナは、ワイン造りのエキスパートである家族の一員により画期的なプロジェクトで作られています。

ブドウの醗酵は、自然の重力を活かした三段構成になっています。120の小さな区画ごとに収穫されたブドウは、他の区画と混ざることなく独立して発酵を行います。

100hlの容量の円錐型をしたステンレス製のタンクが74個もあり、その中で十分に醗酵させたワインは、15メートルの深さにある貯蔵庫の中にある3,000の木製樽に移して、しっかり熟成させます。自然を生かしたエコロジーなカンティーナの中は温度や湿度管理が行き届いた最先端のシステムを利用しています。

フォンテルートリのワイン


カステッロ・フォンティルートリ キャンティ・クラッシコ・グランセレツィオーネDOCG

ブドウ品種は、サン・ジョヴェーゼ92%、他マルヴァジーア・ネーラ、コロリーノが8%。20年以上もの熟成に耐えるように造られていて、このワイナリーを代表するワインです。

フォンテルートリ キャンティ・クラシコDOCG

ブドウ品種は、サン・ジョヴェーゼ90%、他マルヴァジーア・ネーラ、コロリーノ、メルロー10%。「カステッロ・フォンテルートリ」の弟分で、ワイナリーで中心をなすワインです。

シエピ トスカーナIGT

ブドウ品種は、サンジョヴェーゼ50%、メルロー50%。ガンベロロッソ誌で“イタリアワインのスタイルを変えた50のワイン”のひとつに選ばれたワイン。

Mix36 トスカーナIGT

ブドウ品種は、サンジョヴェーゼ100%。90年代にサンジョヴェーゼ種に関する精緻な研究を始めたこのワイナリーが、ここの古いブドウの木の遺伝子18を含む、合計36の異なる遺伝子を組み合わせたサン・ジョヴェーゼ100%で造られたオリジナルなワイン。

この他、1980年から作り始めている、スーパートスカーナのワイン「コンチェルト」。“毎日飲みたいスーパートスカーナ”というキャッチフレーズのワイン「ポッジョ・バディオラ」。そして偉大な先祖フィリッポ・マッツェイにちなんで造られたカベルネ・ソ―ヴィニヨン100%のトスカーナIGT「フィリッポ」の3種類があります。

ワイン事業の発展


カステッロ・ディ・フォンテルートリでは、先祖伝来のキャンティの地のほかに、まったく新しいブドウ畑を購入し、新たな事業の展開を図っています。

まず、90年代にトスカーナ州南部にあるマレンマ地区に70ヘクタールの海の見える土地を購入し、ベルグラルドというワイナリーを始めました。ここでは、従来のサンジョヴェーゼのほか、アリカンテ、ヴェルメンティーノ、カベルネ・ソ―ヴィニヨン、カベルネ・フラン、シラー他、多品種のブドウを栽培しています。

マレンマ・トスカーナDOCの「テヌータ・ベルグアルド」、「ティレーノ」。モレリーノ・スカンサーノDOCGの「ブロンゾーネ」。他にもトスカーナIGT、ヴェルメンティーノ・ディ・トスカーナIGTなどです。

また、2003年には、シチリア島南東部にあるノートに、ジゾラという50ヘクターというワイナリーを購入しました。ここでは、ブドウ以外にオリーブ、アーモンド、柑橘系の樹木も栽培しています。

ネロ・ダーヴォラに適したこの土地では、シチリアDOC、ノート・ロッソDOC、テーレ・シチリアIGTなどのワインを造っています。