フランケン

Franken

皆様ドイツの「フランケンワイン」をご存じでしょうか。ころんとした丸い形のボトルデザインのドイツワインです。このボトルは古代ローマ時代から受け継がれ、そのワインの正統性と独自性を示しています。フランケンが位置するロマンティック街道は、ドイツを代表する世界的に有名な観光地として知られています。

フランケンの土地柄と気候

フランケンはバイエルン州北部のドイツワイン生産地域の中でも最東端に位置し、ぶどう畑のほとんどは、マイン川を始めとするマイン川支流の南向きに向かった斜面に集まっています。西をシュペサート山地、東をシュタイガーヴァルトに囲まれた立地です。

その気候は、大西洋から遠いためか、大陸性気候の影響により夏は乾燥、冬の寒さは非常に厳しいです。年間平均日照時間は1,600〜1,750時間、年間平均気温は8.5〜9.0度と肌寒い地域です。

フランケンの土壌とぶどう畑の特徴

フランケン地方を代表する土壌は、雑色砂岩土壌が多く、中生代、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀などの石灰岩層がベースとなっています。マイン川が湾曲しているフォアカッハ一帯は、下層コイパー、砂がメインとなっています。

フランケン中流沿岸のマインドライエックエリアには、名だたる醸造所が密集しており、このエリアのブドウ畑は分厚い貝殻石灰岩土壌になっています。その中心の街であるヴュルツブルクは、有名なブドウ畑「シュタイン」の原点。フランケンワインが別名「シュタインワイン」と古くから呼ばれてた所以はここにあります。このヴュルツブルグのレジデンツ宮殿の地下にはケラーがあり、それは「ドイツでもっとも美しいケラー」といわれております。

フランケン地方で栽培されているぶどうは、白ワイン品種が全体の80％以上を占めています。中でも、ジルヴァーナー種はこの地域の伝統的な品種です。そして、フランケンで最も多く栽培されているぶどう品種は、ミュラー・トゥルガウで、その繊細なアロマが特徴です。フランケンの若手醸造家達が、このミュラー・トゥルガウを使い、現代のマーケティングに合わせたワインをどんどんリリースしており、新たなブームとなってきています。

また、白品種のバッフスがこのフランケン独特のワインとして特徴的なぶどうとされています。マインフィアエックというベライヒでは、シュペートブルグンダーという赤品種が多く栽培されています。

フランケンワインの特徴

冒頭で申し上げたように、フランケンワインの最も顕著な特徴はそのころんとした丸いフォルムのボトルで、このボトルをボックスボイテル「山羊の陰嚢（いんのう）」と呼ばれています。このボトルに入れて販売ができるワインと生産地区はドイツのワイン酒法でQVA以上と定められており、それ以外は使用できません。

フランケンワインの独創的な味わいは、そのキュートなフォルムのボトルとは裏腹に、引き締まった辛口の味わいが特徴です。寒暖差の激しいフランケンの気候と独特の土壌環境が、ぶどうの果実味とミネラル分を凝縮させています。

ドイツワインは甘口のワインが多く、その味の特徴はよく「女性的なワイン」と例えられますが、フランケンワインはドイツワインの中で、その気候が冷涼のため同系のぶどうに比べて糖度、アルコール度数が共に低く、香りやアロマもそう強くなく、テイストがキリと力強く辛い「男性的なワイン」とされています。

ドイツを代表する有名作家であったゲーテもこのフランケンワインをこよなく愛していたうちの一人でした。1860年頃当時、ゲーテが遠方から妻にあてた手紙に、他のワインは口に合わないので、すぐにいつも飲んでるフランケンワインを送ってくれと懇願したという稀少なエピソードがあり、そのエピソードは現代まで語り継がれています。

フランケンの評価と代表的な生産者

フランケン地方の代表的な醸造ワイナリーと言えば、「ポップ家」。そのワイン造りには定評があり、2015年にドイツ国家栄誉賞を受賞しているほどの栄誉を称えられています。ポップ家で造られたワインは、イギリスのエリザベス女王にも飲まれたということで、その品質の高さはお墨付きで、フランケンでも有数の銘醸畑なのです。

土壌はKeuperbodenといわれる赤灰色の粘土質（Tonhaltige)に石膏石と研磨用砂が混ざっており、この優れた土壌によって常に水分を含んだ、芳香なブドウを収穫することが出来るのです。リースリングとシルバーナーを使ったワイン造りがメインのワイナリーです。

このポップ家のワイン造りの受賞歴は多岐に渡っており、インターナショナル・シルバーナー賞最優秀賞、「ベストオブリースリング2014」の極甘口デザートワイン最優秀賞受賞、ワイン専門誌「Der Feinschmecker2014」では、最高のシルバーナー・カビネットはポップ家からと称賛されています。