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シャトー・シガラ・ラボー
Chateau Sigalas-Rabaud
オー・ボンヌの南向き斜面という好立地で生産されるソーテルヌ格付け第1級シャトー。オーナーの変遷で、数奇な運命と辿るも、安定して高い評価のワイン作りを行っています。シャトー・シガラ・ラボーの歴史
シャトー・シガラ・ラボーは、1660年以前にこのシャトーを所有していたラボー家と1864年にシャトーを購入したシガラ家に由来しています。1863年、アンリ・ドゥルイエット・デ・シガラがこのシャトーを買収すると、続いて1855年の格付けで2級に格付けされていたシャトー・ペゾットを購入し、シガラ・ラボーに吸収しました。
その後の1903年、アンリの一人息子であるピエール・ガストン・ドゥルイエット・デ・シガラはエイドリアン・プロミにシガラ・ラボーの一部を売却し、エイドリアン・プロミはシャトー・ラボー・プロミを設立しました。
1930年、シャトー・シガラ・ラボーとシャトー・ラボー・プロミは、フェルナンド・ジネステにリースされます。フェルナンド・ジネステは2つのシャトーを共同で経営し、1930〜1940年に生産されたワインは2つのシャトー名を表記したエチケットを貼った、1本のワインとなり、分裂したシャトーは統合されました。
1950年になると、ジネステ家はシャトー・マルゴーを購入する為、このシャトーを手放します。しかし、シガラ家は全てを所有することを望んでおらず、所有権はデジャン家に移りました。1994年、ドメーヌ・コルディエール社がオーナーに加わりました。
シャトー・シガラ・ラボーの土壌、ワイン造り
シャトー・シガラ・ラボーは、オー・ボンヌの丘の南側斜面という好立地に14haの畑を構えます。この畑の土壌は、粘土と堆積した砂利が混ざりあっています。この堆積物は、ガロンヌ川から運ばれたもので、約60万年前のものです。この砂利と粘土がブドウに栄養を与えます。
また、ブドウ畑の北西にはシロン川が流れており、ボトリティス・シネレアの生育に不可欠な霧を発生させます。
シガラ・ラボーは、環境の保全と生物多様性の尊重を優先しています。テロワールの尊重と次の世代へと活きた土壌を引き継ぐ事を主眼に、畑を運営しています。具体的には、化学処理を避け、極めて有機的にブドウを栽培することです。土壌の働きを観察し、昆虫達を刺激するフェロモンが含まれる肥料の使用をやめ、ごく自然な環境を作り出しています。
作付け比率は、セミヨン85%、ソーヴィニヨン・ブラン15%でです。ブドウの樹の平均樹齢は45年で、1ha辺り約6,600本の密植を行っています。
収穫後は、バーティカル・プレスと空気圧プレスを併用しています。醸造はフレンチオークで行い、熟成は最低でも18か月以上。33%の新樽で行います。
シャトー・シガラ・ラボーの味わい
貴腐ワインは元々、「高貴なる腐敗」という原語を直訳して生まれた言葉です。起源は1650年頃、ハンガリーのトカイ地方だといわれています。
世界三大貴腐ワインとして有名なのは、ハンガリーのトカイ、ドイツのトロッケン・ベーレン・アウスレーゼ、そして、フランスはボルドーのソーテルヌと言われています。
貴腐菌(ボトリティス・シネレア)が単独繁殖したブドウは、果皮のワックスが分解され、水分が蒸発していくことで、凝縮されたブドウの味わいを楽しむことが出来ます。ブドウの糖度は屈折糖度計(BRIX)で、約30〜60度といわれていますが、一般的なイチゴジャムの糖度(BRIX)が約55度とされているので、貴腐ワインの糖度がいかに高いかが、分かります。しかし、ジャム(ショ糖添加)とは違い100%ブドウだけの甘味で作られています。
また、凝縮されたブドウは糖度だけが上がるのではなく、旨味やその他の香り成分も凝縮されていきます。また、ワイン醸造することで、ブドウ、酵母、熟成に由来する香りやグリセリンなどの副産物によって、滑らかな舌ざわりや、複雑な味わいとなっていきます。
世界三大貴腐ワインのうち、ソーテルヌだけが独特な特徴を持っています。それは、含有有機酸のうち、グルコン酸の酸度が高い事です。ハンガリーのトカイやドイツのトロッケン・ベーレン・アウスレーゼ等は、リンゴ酸や酒石酸が多く温度を低くして飲むと、その爽やかさが強調されるのに対して、グルコン酸の多いソーテルヌの貴腐ワインは概ね14℃が適温です。長い熟成をしているのもはもう少し温度を高くても良いでしょう。シャトー・シガラ・ラボーも同じく、14℃程が最も華やかな味わいを楽しめます。
また、15年〜25年ほどの熟成を楽しむこともできますが、シガラ・ラボーは若いうちから楽しむことが出来ます。
フードペアリングも、フォアグラや貝、甲殻類、チキンや刺身、寿司などとも相性が良く、様々なペアリングを楽しむことが出来ます。