ジンファンデルの品種の特徴

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「ジンファンデル(zinfandel)」は、アメリカ・カリフォルニアでは、カベルネソーヴィニヨンやメルローと並ぶ赤ワインの主要品種です。イタリアでは「プリミティーヴォ(primitivo)」と呼ばれ、南アフリカやオーストラリアでも栽培されています。

ジンファンデルとプリミティーヴォ

プリミティーヴォのルーツは、最古のブドウ品種のひとつ、クロアチア原産の「ツーリエンナーク・カーステランスキー」です。

2000年前にイタリアに渡ったこのブドウは、他の品種に比べ早く熟することから、イタリア語で「最初」を意味する「プリミティーヴォ」と呼ばれるようになりました。

一方、アメリカでのジンファンデルの歴史は、1822年にジョージ・ギフスというニューヨークの苗木商が、オーストラリアから輸入したのが最初とされています。

ロングアイランドのウィリアム・ロバート・プリンスが、ハンガリー産とされるこの黒ブドウの苗木を購入し「ブラック・ジンファーデル・オブ・ハンガリー」と名付けて販売していましたが、園芸家のジョン・フィスク・アレンがウィリアムに名前の改称を提案し「ジンファンデル」と名付けられました。

その後は「ジンファンデル」のほか「ブラック・セント・ピーターズ」という名称で東海岸でも栽培され、1849年ころにはカリフォルニアでも栽培されるようになります。

当時はゴールドラッシュの影響で木材やワイヤーなどの資材が不足していましたが、ジンファンデルは特別な設備や資材なしでも、伝統的な「ヘッド・プルー二ング」という技術を用いて栽培することが容易だったので、多く栽培されるようになり、カリフォルニアワインの主要品種となりました。

長い間、このジンファンデルとイタリアのプリミティーヴォは違う品種とみられていましたが、類似点に気づいた研究者らの30年に渡る研究や議論を経て、1990年代にようやくふたつのブドウが同じDNAを持つことが確認されました。

しかし同種のブドウでも、国や地域のテロワールによって違った個性を表しているので、「ジンファンデル」と「プリミティーヴォ」はそれぞれの名前で各地・各国のワインとなっています。

ジンファンデルの特徴

ジンファンデルはひと言でいえば、意外に手のかかるブドウといえるでしょう。

このブドウは乾燥に強くカリフォルニアの気候には適しているのですが、果皮が薄いため雨に弱く、しかも粒が密集しカビが生えやすいので、こまめな管理が必要なのです。

その上、ひと房の粒の大きさがバラバラで、一粒ずつ成熟に差がでることから、房全体の成熟の時期を見極めるのが難しいのも特徴です。

しかし、良く熟したジンファンデルから作られるワインは、深い色で力強く、凝縮感のある高品質ワインとなり、糖の含有量が高いことから15%以上とアルコール度数も高めで長期熟成にも向いています。

プーリア州などで栽培される、イタリアのプリミティーヴォは、非常に強い酸味を持つブドウで、IGP=地域特性表示ワイン(フランス産ワインの「ヴァン・ド・ペイ」に当たる)によく使われている品種ですが、DOP=保護原産地呼称ワインではそれほど多くはありません。

カリフォルニアで栽培されているジンファンデルは、イタリアのものほど酸味は強くなく、ナパヴァレーなど寒冷な地域で育ったジンファンデルはチェリーやラズベリーなど果実味が豊富な味わいで、温暖なソノマカウンティ―では、ベリー系の風味に黒コショウやクローブなどの強いスパイス香があるのが特徴です。

ホワイトジンファンデルとは

赤ワインと同じジンファンデルから作られる「ホワイトジンファンデル」とは、白ワインではなくやや甘口のロゼワインのことを指します。

これは、ジンファンデルの果皮を取り除いて白ワインと同じ製法で作られるのですが、この「ホワイトジンファンデル」は、偶然の出来事がきっかけで誕生しました。

1970年代、カリフォルニアのナパヴァレーで赤ワインを生産していたサッター・ホーム・ワイナリーでは、ワインの濃度をあげるために余分なジュースを取り除く作業をしていましたが、この時に出た余剰分のジュースを赤ワインとは別に発酵させ、これを「ホワイトジンファンデル」と名付けていました。

この「ホワイトジンファンデル」はその後、含まれる全ての糖分を消費する前に発酵が止まり、淡く色づいた甘みのあるワインとなっていました。

これをたまたま売り出してみたところ大変な人気となり、カリフォルニアでは、ジンファンデルの赤ワインの6倍を売り上げています。

また近年カリフォルニアでは、100年近い古樹から収穫した完熟したジンファンデルを樽熟成させ、クラシックなワイン作りに取り組むワイナリーが多く見られるようになりました。

これらは、オールドヴァイン・ジンファンデル、エンシェントヴァイン・ジンファンデル等として、ワイン愛好家からも支持を集めているのですが、これらのワインを生み出す古樹が残っているのは、ホワイトジンファンデルのおかげともいえます。

というのも、カリフォルニアワインでカベルネ・ソービニヨンやピノ・ノワールの需要が高まった時期に、ジンファンデルはそうした品種に植え代えられるところだったのですが、ホワイトジンファンデルが売れるようになったことで、ジンファンデルは引き続き栽培されることになり、古樹が守られてきたからです。

このようにジンファンデルは、カリフォルニアワインには欠かせない品種となっています。

 

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