ワインがもっと美味しくなる!ソムリエおすすめ ワインの勉強法

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ソムリエおすすめワイン勉強法

「ワインを知っている人って、案外少ないのかもしれないね」

先日、知人がこんな話をしてくれました。

「取引先の方に『この間の会食で、すごく美味しいワインを出してもらったけど、なんだかわからなかった…』と聞いたので、写真を見せてもらったら、ブルゴーニュの1級や某有名なメゾンのシャンパーニュなど、ワインを知っていたら垂涎のワイン達だったんだよね…」

その話を聞いた時、正直、もったいないなぁと思ってしまいました。知識があれば、より深く味わうことができたのに…と。いろいろなお酒がありますが、どうせ飲むなら、知っている方が何倍も楽しいお酒がワイン。ワインは勉強することで、よりおいしく味わえます!

「ワインに興味あるけど、なんだか難しそう…」

「ワインが好きで、もっと知りたいけど、どうやって知識を深めればいいのかわからない」

そんなワイン初心者の方から、もっとワインに詳しくなりたい方、本格的に勉強したい方のために、ワインの勉強について、筆者なりにまとめてみました。

ワインを知ると、こんなメリットが!

教養としてのワイン

「ワインなんてただのお酒でしょ?ソムリエになりたいわけではないし、勉強しても無駄になるんじゃ…」なんて声も聞こえてきそうですが、今、ワインを知ることは「教養のひとつ」だとも言われています。ワインは、ビジネスや外交の場においても重要なコミュニケーションツールのひとつです。

今、世界のエグゼクティブ達がビジネストークで話題にあげるのは、アート、映画、音楽、そして「ワイン」なんだそう。民族や宗教など、多様な背景を持った人が集うグローバルなシーンにおいては、これらの話題は、ある意味「差し障りのない」話題なんだとか。日本でも、お相手のことがよくわからない時は、お天気の話題から入りますもんね…それと同じ感覚なのかもしれません。ゴールドマンサックスなどグローバル企業では、社内にワイン教育プログラムが取り入れられているほど、ワインはビジネスにおいて重要視されているそうです。

そして、外交の場においても、ワインが重要な役割を担うこともあります。外国の要人をもてなす饗宴でふるまわれる食事やワインには、ゲストを敬う意味はもちろん、政治的なメッセージが込められています。移民の多いアメリカ・ホワイトハウスの晩餐会では、ゲスト国からの移民が米国内で造ったワインを振る舞うことになっていることが慣例となっているそうです。

少し前の話になりますが、2006年の小泉元首相とブッシュ大統領のホワイトハウス晩餐会でふるまわれたワインは、クロ・ペガスの「シャルドネ・ミツコ・ヴィンヤード」。イアン・シュラム氏と日本出身の愛妻ミツコさんが1984年に設立したワイナリーのものでした。

これから世界との垣根がますます低くなることを考えると、ワインを知ることは必至になるのかもしれません。

ふだんの生活でも…世界が広がります!

先程申し上げたようなスケールの大きな話ではなくても、普段の生活においても、世界は広がります!

まず、自分好みのワインがわかるようになります。そうすると、食事や気分に合わせたり、シーンに合わせて、自由にワインを選べるようになる。これって素敵なことなんじゃないかなと思います。おすすめされるワインを楽しむのも、もちろんアリですが、選べるようになると格段に、ワインライフが楽しくなります。

そしてなぜか、ワインを勉強していると、ワイン好きな方とのご縁が繋がってくるような気がします。ちょっとワインの飲めるお店や、お試しで行ったワインスクール、そんなワイン好きが集まる場所から、飲み友達ができたなんて話も耳にします。知れば知るほど、わかっている者同士、語り合いたくなってしまう不思議なお酒「ワイン」のなせる業なのかもしれませんね。

ワインについて学ぼう!

ここからは、「ワインの勉強してみたくなったけど、何から始めればいいの?」そんな声に、筆者の経験も交えて、お話ししていきます。

ワインを理解するには、地理や歴史、言語や文化、宗教、理論的な分析など、実は包括的な知識が必要で、皆さんが想像していることと違うかもしれません。こんな風に書くと、少しハードルを上げてしまいますが、大丈夫!知るは楽しい、です。

「ワインを勉強してみよう」と考えた時、みなさん一番最初に思いつくのは、「ワインスクールに通う」ことなのではないかなと思います。

ワインスクールというと、ソムリエ資格を目指す方が通うところというイメージがありますが、ボルドーやブルゴーニュなどの産地に特化していたり、フードペアリングを学ぶワイン愛好家のためのクラスなど、多様な授業があります。やっぱりプロのメソッドで教えてもらうと吸収が違いますが、授業料はかなり高額です…。実際、びっくりするような金額のクラスもありますし。

そこで、できるだけお金をかけずに学ぶ方法をあげてみたいと思います。

いちばん簡単なのは…漫画!

「ワインって、なんだか敷居が高い」という方には…ワイン漫画をお勧めします!(笑)

ドラマ化もされ、紹介されたワインが瞬く間に高騰してしまう社会現象も巻き起こした、大人気のワイン漫画「神の雫」や、ワインは人の心を感動させる力があると信じ、真摯にワインに向き合う主人公を描いた「ソムリエール」、主人公が強い意志でワイナリーを守っていく姿を描いた「真湖のワイン」など、ストーリーを楽しみながら、気軽にワインの知識も得られる秀作がたくさんあります。

STEP1.「ぶどうの品種」を知ろう

では、少し本格的なワインの勉強法に入っていきましょう。

ワインを勉強するにあたって、まずは「ぶどうの品種を知る」ことが大切だと筆者は思います。

ご承知の通り、ワインはぶどうのみで造られたお酒です。ということは、品種ごとの味わいの違いが、ワインの味わいの違いに、大きく影響します。自分の好みを知る上でも、ぶどう品種を知ることはとっても大切です。

そこでお勧めしたい一冊が「ワイン一年生」という本!

千葉にあるバーのソムリエである小久保尊さん著のこちら、ぶどう品種たちが高校生に擬人化されています!キャラだったぶどうたちの漫画が織り込まれ、なんだか難しそうなワインをわかりやすく解説してくれるワイン本です。タイトル通り「ワイン1年生」の方にはもちろん、ワインを知っている方が読んでも楽しい本です。

「ワイン産地」を知ろう

ぶどう品種がわかったら、その次に知りたくなるのは「ワイン産地」です。同じぶどう品種でも、そのぶどうが育った場所によって、味わいが大きく変わってくるのが、ワインの面白いところでもあり、難しいところでもあります。

ワイン産地については、WEBで検索すると、ありとあらゆる情報が溢れています。どれを見たらいいのかわからない…そんな時におすすめしたいのが、ワインショップが作っている解説記事。私たちドラジェはもちろん、様々なショップさんのページには、浅すぎず、かといってマニアック過ぎない、必要十分な情報が掲載されていることがほとんどです。まずはこういったページを利用するのがよいのではないかと思います。

※「ワインショップ ドラジェ」の産地別解説記事はこちらから>>>

また、ワインスクール講師でもある杉山明日香さんの「ワインの教科書」(フランス編とイタリア編があり)という本も、実際に杉山さんの講義を受けているように、すんなりと読み進められる、おすすめの一冊です。

文字を読むのが苦手な方にお勧めしたいのが「Sommelier For Free」というYouTubeチャンネル。1本40分前後で各ワイン産地の特徴が学べます。ソムリエ試験を受ける方にもぴったりなこちらの動画は、産地だけではなく、ワインに関するいろいろなテーマが網羅されています。

「テイスティング」に挑戦!

品種、産地ときたら、お次はテイスティングです!

ワインの商品説明に書いてある「濃縮したダークチェリーやブラックベリーの香り。シナモンや甘草などのスパイスや、ドライフラワー、干し肉、そして樽熟成由来の甘やかなバニラのニュアンス…」というようなテイスティングコメンも、テイスティングを勉強すると、どういうタイプのワインなのかが、想像できるようになってきます。

テイスティングに使われる言葉は、いわば「ワインの世界の共通言語」。しかしながら、味わいの感じ方には個人差があるため、自分の基準を、ワインの世界の標準にあわせ、修正する必要があります。つまり「『ダークチェリー』と言われる香りはこれなんだ」という風に、学ぶ必要があるわけなんです。

ではテイスティングをどう学ぶのかというと、まずは型(=規範となる方式)を学ぶことが大切なのかな、と思います。筆者も独学であれこれ試しましたが、結局はワインを知っている人に習うのが一番の近道でした。身近にワインに詳しい方がいらしたら、ぜひ教えを乞うてください。ワインスクールに通って、プロの先生に習うのもよいと思います。

じっくりと学んでみたい方には、こちらの本が助けになるかもしれません。世界最優秀ソムリエコンクール日本代表の経歴を持つ谷 宣英さんの「ワイン テイスティング・バイブル」です。イラストや写真が豊富でとてもわかりやすく、テイスティングの基礎から応用まで、しっかり網羅されており、体系的にテイスティングを学ぶことができます。

また、「ソムリエ試験テイスティング対策セット」をはじめとする、テイスティングコメント付きのワインセットが、様々なショップで販売されていますので、そちらで勉強してみるのもよいのかなと思います。

※ドラジェの試験対策飲み比べセットはこちら

 赤ワインセット>>  白ワインセット>>

もうひとつ、テイスティングの力をつけるには、何よりも経験が必要!つまり、好き嫌いに関わらず、いろんなワインをどんどん飲んでみるのみです(笑)。

ワインの資格を取ってみよう!

勉強を進めてくると、自分の実力を試してみたくなってくる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで、ここからは、ワインの資格について、簡単にご紹介していきたいと思います。詳しい情報は、それぞれの資格や検定の名前で検索してみてください。

ワイン全般に関する資格・検定

ソムリエ資格・ワインエキスパート資格(J.S.A.ソムリエ・J.S.A.ワインエキスパート)

日本ソムリエ協会が認定する呼称資格。年に1回実施され、一次の筆記試験(CBT試験)の合格者は、二次のテイスティング試験へ、さらに三次の実技試験(エキスパート呼称はなし)へと進みます。年によってバラつきはありますが、合格率は30%~40%程度です。認定校などでの受講は必要なく、とにかく勉強して試験に臨みます。さらに上級のエクセレンス呼称(以前のシニア呼称から変更)もあります。

※エクセレンスの合格体験記はこちら>>【ソムリエ対策】エクセレンス取得者が語る、合格必勝法とは? ~筆記試験編~

「J.S.A.ワイン検定」ブロンズクラス・シルバークラス

こちらは、日本ソムリエ協会が主催する「ワインを学ぶための基礎知識」を修得するための検定試験。入門編のブロンズクラスは年2回、ブロンズクラス認定者向けのシルバークラスは年1回、コミュニティセンターやワインバーなど全国各地で開催されます。それぞれ90分・120分の講義を受けた後、ペーパーテストがあり、得点によって認定がされます。合格すると、認定バッジももらえますよ!

※「ソムリエ・ワインエキスパート資格」と「ワイン検定」について、詳しい情報は、日本ソムリエ協会のホームページをご確認ください。

WSET認定試験

ロンドンに本部を置く世界最大のワイン教育機関「WSET」が行う、教育プログラムの認定資格。レベル1から、より難易度の高いレベル4までがあり、レベル2が日本ソムリエ協会のソムリエ資格と同格だと言われています。

WSET認定校で開催される、各レベルの講座を受講後に認定試験があり、合格すると次のレベルへ進める仕組みになっています。WSET修了コースであるDiploma(レベル4)を取得すれば、ワイン界の最高峰資格であるマスターオブワインを目指すこともできる、世界に通用するワインの資格です。

ワイン産地別の資格・検定

次に、ワイン生産国や生産地域団体が、生産するワインの普及・消費拡大・認知度アップのために行っている認定資格や検定をご紹介します。じっくり腰を据えた勉強が必要なものから、WEBでお気軽にチャレンジできるものまで、ご紹介します。

イタリアソムリエ協会(AIS)認定ソムリエ

こちらは、イタリアの国家資格で、数年前から日本でも取得が可能になりました。イタリア本国か日本で行われるレベル1~3の各レベルの養成講座を受講後に試験資格取得試験を受験、すべての試験を合格すると、AIS認定公式ソムリエを名乗ることができます。ワインと食とのペアリングを大切にするイタリアらしく、最終のレベル3は、フードペアリングに重点を置いた講座の内容です。イタリア渡航しての受講も可能だそうで、取得には、なかなかの費用がかかる資格のようです。

ナパヴァレー・ワイン・エキスパート認定試験

ナパ・ヴァレー ヴィントナーズが主催する、ナパヴァレー・ワインに関する知識を測る試験。2年に一度開催され、次回は2025年の開催だそうです。

受験者全員が共通の試験問題にオンラインでチャレンジし、得点によって、ベーシックレベルの「ENTHUSIAST」から「EXPERT」「EDUCATOR」に認定されます。成績上位者10名程度が面接とテイスティングの2次試験へ進み、その中から「NAPA VALLEY WINE BEST EDUCATOR」 と「NAPA VALLEY WINE BEST SOMMELIER AMBASSADOR」 が1名ずつ選ばれます。

実際に試験を受けなくても、試験対策用にアップされるウェビナーは、有料で視聴可能なそうなので、ナパワインの知識をより深めたい方には、もってこいの教材です。

ドイツワインケナー・上級ケナー呼称資格

日本ドイツワイン協会連合会が主催する、ドイツ文化及びドイツワインに対する知識を審査する試験。毎年10月頃、東京と大阪で開催しています。筆記試験とテイスティング試験が同日に実施されます。ワインに関する問題だけでなく、ドイツの時事問題や美術や音楽などの文化に関する問題も出題され、ドイツへの理解が深まる試験です。

日本ワイン検定(日本ワインマスター・日本ワインアドバイザー呼称資格認定試験)

日本ワイン専門商社が中心となって実施している、日本ワインの検定試験。3級から1級があります。筆記試験とテイスティング試験があり(3級は筆記試験のみ)、筆記試験は通年受験が可能。テイスティングは東京・大阪会場で年2回以上の開催予定で、筆記試験とテイスティング試験のどちらを先に受けてもよいそうです。

シャンパーニュMOOC

こちらは、シャンパーニュ委員会のオンライン学習プログラム。シャンパーニュの醸造方法やテロワール、歴史など、4つのセクションに分かれていて、5時間以下で学習できる手軽なプログラムです。前述の4つのセクションは無料ですが、登録料49€を支払うと、5つ目のセクションの受講が可能になり、シャンパーニュ委員会が発行する「シャンパーニュMOOC修了証」が取得できます。

アフリカワイン検定

こちらは、南アフリカワイン協会WOSAが主催する、オンライン学習プログラム。PDFデータをダウンロードして、6つのセッションをひとつずつ学びます。セッション最後に出題されるクイズに合格すると、WOSAの名簿に「南アフリカワイン・フレンド」として登録され、Diploma(合格証)のダウンロードも可能です。

時間制限はありませんが、ブラウザを離れると再登録となり、始めからやり直しになってしまうので、注意してください。

おしまいに

ワインの勉強について、あれこれ書いてきましたが、いかがだったでしょうか。

偉そうなことを言っておりますが、かく言う筆者も日々勉強、勉強で、新しい知識の習得に努めています。ワインの世界は本当に奥が深い…。きっとゴールなんてないんでしょう。

ただこれだけは確かです!

ワインは勉強することで、よりおいしく味わえる、不思議な飲み物だということ

この記事をきっかけに、少しでもワインの世界への扉を開いていただけると、嬉しいです。

最後までご拝読いただき、ありがとうございました。

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