勝沼にあるワイナリー「白百合醸造」を訪問してみた!

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皆さん、ワイナリー訪問はしたことありますか?

私はいろいろな状況が重なって、訪れることができていなかったのですが、このたび念願かなって、かねてからお付き合いのある白百合醸造さんを訪問してきました!

やはり生産者の方と触れ合って、畑を見てから試飲をすると改めてワインの魅力に気づかされますね!

白百合醸造様HP:https://shirayuriwine.com/

勝沼ぶどう郷駅まで

私の住んでいる埼玉県某所から電車に揺られ一路、山梨県勝沼へ。約2時間半のゆるり鈍行旅。

東京から離れていく道のりながら、高尾くらいまではそれなりに出勤中と思しき人がいたりしましたが、高尾を過ぎると登山客や観光客が増えてきました。

中央本線長野方面行、昔ながらの4人掛けボックス席に座って、流れる景色が田園風景に変わっていくのを一通り楽しんで着いたのは「勝沼ぶどう郷駅」

いくつもある勝沼のワイナリー各所に行くには一番便利な駅で、勝沼ぶどうの丘という観光施設が近くにあり、膨大なワインを試飲できる試飲カーヴや、甲府盆地を一望できる展望台、景色バツグンの露天風呂が楽しめる温泉があるなど、一度は訪れてみてほしい場所です。お土産も買えます!

今回は、白百合醸造さんまでタクシーで向かいました。(徒歩ではかなりキツイと思います・・・)大和葡萄酒さんやグレイスワインさんの前を通って、到着です。

白百合醸造さんへ

ここでまずは白百合醸造さんの基本情報を。

1938年創業の白百合醸造。商品名にもある「ロリアン」とはフランス語で東洋を意味し、ヨーロッパに劣らぬ高水準のワイン作りを目指し、名づけられたそうです。

日本屈指の銘醸地「勝沼」に自社畑を持ち、そのほか昔から親交のある契約栽培農家と協力しながら、80年以上ワイン作りを続けています。2013年指定のGI山梨を付けたワインも作っています。

ブドウ品種としては、日本固有種の甲州、マスカット・ベリーAを始め、メルローやシャルドネなどの欧州系ブドウ品種をいくつか栽培しています。

ワイナリーの建屋からすぐそばに棚仕立ての甲州や垣根のシャルドネ、少し離れた小川沿いには垣根仕立てのメルロー

現代表の内田多加夫さんと共に、葉の形によってブドウの品種を見分ける方法や、時間によって風が吹き抜ける勝沼の地形、棚仕立ての剪定を説明いただきながら、畑の見学を行う贅沢さ。

ちょうどブドウの花が咲く時期で、花を観察することができました!初めてみましたが、こんな小さな花が咲くんですね!ちなみにマスカット・ベリーAとのことです。この小さくうすーい黄色いのが花です。

植え替えも行っていたようで、植えてからそんなに年数が経っていない、シャルドネの若木も見ることができました!

やはり畑を見て回る、というのはいつでもいい経験になりますね。ワインが農産物であるということを再認識できますし、なにより樹の生命力には圧倒されます。たくましい幹、生い茂る葉、生き生きとした蕾、可憐な花。勝沼の地に脈々と受け継がれています。

試飲

ブドウ畑を見た後は、ワインの試飲、という定番コース。これぞワイナリー訪問の醍醐味!

今回は白百合醸造さんのご厚意から、かなりの種類のワインを試飲させていただきました!

ロリアン 勝沼甲州

DWWA(デキャンター・ワールド・ワイン・アワード)2021でプラチナ賞を受賞したワイナリーのフラッグシップ!(2019ヴィンテージ)

日本のワイナリーが受賞するのは快挙で、ニュースになったことを覚えています!実は受賞したヴィンテージがすぐになくなってしまい、一時期欠品していたことも!

勝沼町で採れた甲州を100%使用。うまみを出すためシュール・リー製法を採用しています。これは発酵後、澱と一緒にある一定期間置いておく方法で、1980年ごろに甲州に採用され始めたのち、今では「辛口甲州」というジャンルでは定番ともいえる作り方です。

良質な甲州らしいカボスや柚子などの和柑橘の香りが主体。穏やかでおとなしい香り、と感じるかもしれませんが、むしろ日本ワインらしい優しさを感じられます。

味わいは香りとの一貫性のある和柑橘で、口の中でキュッと音が鳴るような爽やかな酸味と、甲州らしいほろほろと崩れていくような心地よい苦み。余韻に和出汁を思わせる旨味が顔を見せます。

甲州は、「薄い」とか「個性がない」とか言われることがありますが、この奥ゆかしい佇まいは、他の国のワインでは感じられないワン&オンリー。

また人気漫画「美味しんぼ」でも紹介されていることからわかるように、和食との相性バツグン!少し苦みのある野菜や山菜の天ぷらや白身のお寿司によく合います!私個人は焼き魚によく合わせていて、初夏のイサキが現在のベストです。

ロリアン セラーマスター 甲州


(2020年ヴィンテージより 山梨甲州に名称・ラベル変更)

こちらは山梨県で採れた甲州を使ったやや甘口のタイプ。スタンダードラインナップに位置づけされています。

シュール・リー製法などが知られる前の、クラシカルなスタイル。なのですが、むしろ今のワイントレンドに合っているかも、と思わせる逸品。

やや甘口とはいえ、べタッとした甘さは感じられず、酸味とのバランスが秀逸。まさにブドウをそのままかじっているかのようなナチュラルさを感じます。フルーティなワインがお好きなら、こちらのワインがおすすめです!

毎日飲むならこちらのワインで、肩ひじ張らずにスルスル飲め、魚の天ぷらなど少し脂分の感じる食事とのマリアージュが絶品。なんとひつまぶしとも合うとか!?

ロリアン 甲州樽発酵

山梨県産の甲州を小樽で発酵後、7か月のシュール・リーを施しました。最近はこのような作り方をするワイナリーも増えてきましたが、やはり甲州なら何でも樽を使えばいいわけではないらしく、白百合醸造さんでも毎年2000本ほどしか作っていないそうです。

樽由来のナッティな香りとジューシーな柑橘にどこか白桃のような甘やかな果実香も。先の2本よりは酸味の形が丸みを帯び、クリーミーな質感も感じられます。ミネラリーなニュアンスもあるため、バランスが取れています。

温度が低いと特徴が隠れてしまうため、やや高めの温度で楽しむのをおすすめします。8~10℃くらいでしょうか。

もちろん和食にも合うのですが、バターやクリームを使った料理、例えば長ネギのグラタンやパスタ、レモンソースのムニエルなど、アクセントに酸味や和食材を使うと、相性がぐっとレベルアップすると思います!

ロリアン 甲州 Vigne de Nakagawa

こちらはリタイア後にブドウを作りたいと思って、実際に作り始めた中川さんの畑の甲州を使用。いわゆるシングルヴィンヤードで、甲州市のお隣、山梨県笛吹市に畑があります。

明確に他のワインとは違う、鮮やかで薫り高い和柑橘の香りに加えて、グレープフルーツのようなアロマ。白い花のような甘い香りもあります。甲州らしい、爽やかな酸味と心地よい苦みはそのままで、ややボリューム感や深みを味わえます。

畑の土壌として、すこし専門的な話ですが、香りをつかさどる3MHという物質を多く持った香り高いブドウが出来上がるようです。

こちらのワインは、温度によって顔が変わるワイン、という印象。温度が低い時は鮮烈な柑橘系主体のワイン、温度が高いと深みや旨味を味わえる、1本丸ごと楽しんでほしいワインです!

ハーブを使ったチキンソテーやアジのマリネ、塩で食べるカキフライなどに合うそうです!

ロリアン 山梨 マスカット・ベーリーA

(画像は旧セラーマスター)

甲州と共に日本を代表するブドウ品種マスカット・ベリーA。もちろん白百合醸造さんも栽培していて、こちらは山梨県産ブドウを100%使用。

いちごやラズベリーなどの甘酸っぱいベリー系の香り。華やかで薫り高く口当たりがよいですが、酸味と果実味がバランスの良い1本です。

一言で表せば、ピュア。ただ他のワイナリーよりも骨格がしっかりとしていて、ワインとしての完成度が高いです。白百合醸造さんのマスカット・ベリーAはどれも完成度が高く、一度は飲んでほしいワインです。

野菜や鶏肉の煮物や赤身魚のお刺身とかと合いそうです!

ロリアン マスカット・ベリーA 樽熟成

こちらはオーク樽にて8か月熟成を施したタイプ。GI山梨を取得しています。

樽熟成に耐えうる酒質にするため、また味わいとして凝縮感を高めるため、セニエを行っており、一部果汁だけを抜き取ることによって、果皮や種の比率を上げています。

そのためワイン自体がかなり凝縮しており、はっきりとしたタンニンと果実味を味わえます。そこに樽由来の甘さやロースト香が乗っかるので、マスカット・ベリーAの中ではかなり重厚なスタイル、と言えるでしょう。

先ほどのピュアスタイルよりもしっかりとしているため、鳥の照り焼きや黒糖のような風味も感じるため、豚の角煮も合うと思います!

ロリアン メルロー 樽熟成

こちらは山梨県で栽培されている国際品種メルロー主体。年によって比率は異なりますが、プティ・ヴェルドも使っています。生産本数が少ない&熟成に時間がかかるため、実は結構希少。

オーク樽で14か月以上(年により変動あり)熟成させ、メルローらしい柔らかな果実味と酸味、タンニンのバランスが良く、スマートなスタイルです。

それでいてスケール感があり、試飲したのは2019でしたが、まだまだこれから良くなるぞー!といったポテンシャルを感じました!

ここまでくれば、日本ワインらしい和食と、というよりもステーキやシチューなど、赤ワインの王道マリアージュが楽しめますね!

ちなみに個人的イチオシは、このメルロー樽熟成です!

ロリアン TRIO

TRIO(三重奏)という名前のとおり、ブドウを3品種使ったワインです。その3種とはプティ・ヴェルド、メルロー、マスカット・ベリーAで、おそらく日本どころか、世界を見ても白百合醸造さんでしかつくっていないであろう珍セパージュ!

それぞれをオーク樽で熟成させた後にブレンド。ベリーAらしい華やかな香り、ボディはメルロー、濃い色調と骨格をなす酸味はプティ・ヴェルドといったように各々が個性を発揮する、まさに三重奏。

そのパートごとの個性を樽由来のクリーミーさや風味がまとめ上げ、見事なハーモニーを奏でています。抜栓してすぐよりは2~3時間ほど経ってから飲むのをおすすめします。

ごちそうすき焼きや肉肉しいステーキ、肉寿司なんかもよく合うと思います!

まとめ

机やパソコンに向かって情報を収集する、ということも大事ですが、やはり直接ワイナリーに出向いて、その土地の空気を肌で感じるということは、格別の体験を与えてくれると思います。百聞は一見に如かず、とも言いますしね。

ちなみにここだけの話&不定期だそうなので、あまり約束はできないのですが、通常だと販売されていない、とっても希少なバック・ヴィンテージが販売スペースに並んでいることもあります。

日本ワインはほんとにバック・ヴィンテージが出回らないので、ファンの方には垂涎モノのワインですね。私も2000年代の甲州(!?)を、思わず買ってしまいました。いまから開けるのが楽しみです!

そして白百合醸造さんは現代表のご子息、圭哉さんがブルゴーニュから帰国し、新しいことにも取り組まれていて、ちょうど私が行ったときは、冷蔵設備の新規工事を行っていました!

白百合醸造さんのこれからに期待をし、皆様がワイナリー訪問に興味を持ってくれれば幸いです。ここまでお読みいただきありがとうございました!

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