【検証】ワインの温度を最も早く下げる方法は!?

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気候が暖かくなってくると、赤ワイン好きの方でも飲みたくなってしまう、白ワインやスパークリングワイン。キンキンに冷えたワインが、口も気分も爽快にしてくれますよね!

でも、カラッカラの乾いた喉で家に帰り、冷蔵庫を開けたら・・・「あ!ワインが冷えてない!!」

なんて経験はありませんか?

私がレストランでソムリエをしていた頃も、「冷えているはずのワインが冷えていない!」というトラブルに遭遇したことがあります。

ワインを急冷するにはどうしたらいいのか?

冷蔵庫?氷水??いやそれとも冷凍庫に突っ込んでしまおうか!?

ワインを愛飲する方ならば一度は経験した事がある、この「ワイン急冷問題」。

それを解決すべく、冷蔵庫、冷凍庫、氷水の3つの方法の中で最も早く冷えるのは、どの方法なのかを検証してみました!

ワインの適温とは?

実験する前に、まず知らなければならないことは、「ワインの適温とは何度か?」です。

冷却して、最終的に何度を目指せばいいのかを知らなければなりません。

ちなみに、赤ワインは常温、白ワインはキンキンに冷やすとよく言われていますが、この情報にはやや誤解があります。

まず赤ワインの常温とは、あくまでも中世ヨーロッパの平均気温のことを示しており、おおよそ「18℃」くらいです。

地球温暖化が進み、さらに高温多湿の日本の常温は「20~24℃」と高すぎで、適温とは言えません。

さらに言えば、赤ワインの中でもタイプによっては温度をやや低くした方がいいものや、白ワインもやや高めの温度の方が香りが広がり美味しく飲めるものもあります。

そういった温度管理は、ソムリエにとって重要な仕事のひとつ。提供時に最高の温度・状態でワインをサーヴィスする事ができれば、あたなのワインライフはもっと豊かになるはず!

それでは、ワインのタイプ毎の適温をご説明します。

[発泡性ワイン]
スパークリングワイン:6~8℃
シャンパーニュ スタンダード:6~8℃
シャンパーニュ プレステージ:8~12℃

 

[白ワイン]
甘口:6~8℃
辛口(ステンレス熟成タイプ):6~12℃
コクあり辛口(樽熟成タイプ):10~14℃
ヴァン・ジョーヌ(黄ワイン):14~16℃

 

[ロゼワイン]
やや甘口:6~8℃
辛口:8~10℃

 

[赤ワイン]
ライトボディ フレッシュ&フルーティ:12~14℃
ライトボディ 芳醇高級ワイン:16~18℃
フルボディ:18~20℃
ヴィンテージ・ポート::18~20℃

こちらを見てお分かりの通り、ワインの適温はかなり細かく分類されています。

さらに言うと、この基準にとどまらず、産地の慣習やワインのヴィンテージ、醸造方法、熟成状態、飲む季節(気温・湿度)、料理、TPOなどにもよっても異なるため、あくまでも「目安」と思っていただければと思います。

ただ、レストランで飲むわけではなく、ご自宅でワインを楽しむのであれば、そこまで神経質にならずに気軽にワインを飲みたいものです。

なので、白ワインやスパークリングワインならば、まずは6℃を目指しましょう!

冷却後ワインを外気に出せば徐々に温度は上がりますし、グラスに注いだだけでワインの温度は1℃上昇する、とも言われています。

最低温度に下げて、後は飲みながら、好みやその日の気分で、自分にとっての適温になったら、その温度をキープするようにすればよいのです。

3つの冷却方法のうちどれが一番早く冷える?

それでは、実験してみましょう!

[実験条件]
 ・ガラス瓶に入った750mlボトルの白ワインを使用。
 ・外気温:22℃
 ・ワイン内温度:21℃

1.冷蔵庫で冷却

冷蔵庫内の温度は、5℃。

長かった。。。6℃になるまでに、なんと4時間半以上かかりました!!

10℃までは、10分に1℃ペースで下降していきましたが、10℃あたりから牛歩のごとくなかなか下がってくれません。もうやめたい。。。お家に帰りたい。。。そんな葛藤と戦った280分でした。

ちなみに10分ごとに計測しなければならなかったため、その度に冷蔵庫を開け閉めしてしまったことと、職場の冷蔵庫はとても高性能とはいえない代物だったため、通常よりも冷えるのが遅いことが想定されます(不可抗力)。

ただひとつ言えることは、「冷蔵庫では急冷できない」ということ。

冷蔵庫を使用する際は、時間に余裕をもって冷やしましょう。

2.冷凍庫で冷却

冷凍庫内の温度は、-15℃。
またボトルを濡れたタオルで巻き、さらなる急冷を図ります。

おぉ!グングン冷えていきます。
冷蔵庫の後の実験だった事もあり、かなり早いペースに感じる!

結果、80分で6℃になりました。

(こちらも冷蔵庫同様開け閉めと冷蔵庫の性能の問題があるので、誤差についてはご了承ください。)

ただ冷凍庫の場合、最も注意しなければならないのが、冷やしたのを忘れて放置してしまうこと。入れっぱなしにするとボトルにヒビが入ったり、スパークリングだと破裂しかねない!?というリスクがあります。

また、ワインをマイナスの環境にさらしてしまうと、品質的に劣化する恐れがあるので、デリケートな古酒や高級ワインなどは冷凍庫での急冷は控えた方がよいでしょう。

3.氷水で冷却


ボトルの肩が氷水に浸かるくらいまでなみなみにする。

これが一番早く冷えました!

10℃までは1分に1℃ペースで下降し、その後下降曲線は緩やかになりますが、5℃は30分でなりました。

実際、レストランで急冷しなければならない時は、この方法を行っていました。また、スパークリングやデリケートな古酒などでなければ、開栓してボトルをくるくる回転させながら冷やしたりもします。

とにかく、この方法ならボトルのヒビ割れや劣化リスクもないし、早いし、最も良い方法ですね!

実は、この実験にはもう一つ重要な発見があります!

それは、何分間冷やせばワインの温度が何度になるのかが分かれば、いちいち温度計をワインに突っ込まなくても、だいたい望む温度になるからです。

この実験でいうと、もし10℃が適温の「コクあり辛口白ワイン」が飲みたかったら、氷水で10分冷やせばいいし、「スパークリング」が飲みたいならば、氷水で30分冷やせば適温の6℃になる訳です。

4.~番外編~ 常温でのワイン温度上昇

ちなみに、冷やしたワインを氷水から外し、常温で置いておいたら、どんな上昇曲線になるのだろうか?

冷蔵庫(5℃)に入れっぱなしだったワインを、外気(22℃)に出し時の事を想定して、計測してみました。


平均値は取れなかったのですが、

5℃から10℃になるには30分、15℃になるには80分、18℃になるには140分の時間を要しました。

つまり、冷蔵庫にワインを入れておき、

コクあり辛口白ワインが飲みたい場合は、開栓の30分前に冷蔵庫から出す
フルボディ赤ワインが飲みたい場合は、開栓の140分前に冷蔵庫から出す

という工夫をすれば、まあまあ適温のワインが飲めるということです。

ちょっとした知識があるだけで、まるでレストランのようなサーヴィスがご自宅で体験できるので、是非活用してみてください。

ワインと温度の関係

ここでふと思うのは、なぜワインは温度管理が必要なのか?という疑問です。

それは、「温度によってワインの香り・味がぜんぜん違うから」です。

ワインは、外観、香り、味わいの僅かな違いを楽しむ、とっても繊細なお酒です。

特に香りと味は、ワインの印象を大きく変えるファクターであり、この香りと味に大きな影響を与えるのが「温度」なのです。

温度の微妙な変化によって、ワインの状態は以下のようになります。

[温度を下げる]
・フレッシュ感が際立つ
・果実香などの第一アロマが際立つ
・ワインによって第二アロマが際立つ
・味わいがドライな印象になる
・酸味がよりシャープな印象になる
・バランスがよりスマートになる
・苦味、渋みが強く感じられる。

 

[温度を上げる]
・香りの広がりが大きくなる
・熟成感、複雑世が高まる
・甘味が強くなる
・酸味が柔らかくなる
・ふくよかなバランスとなる
・繊細さが抑えられる
・苦味、渋みがより快適な印象になる

例えば、ワイングラスの形状を思い出してください。

持ち手の脚の部分(ステム)は非常に長くなっていますね。

これはボウル(ワインが入る丸い形状の部分)から持ち手を離し、手の温度でワインの温度上昇を避けるためです。

せっかくソムリエが最高の温度で提供したにも関わらず、手で温度を上げてしまっては元も子もありません。

また、この温度変化の特徴知っていると、一口飲んで「香りが開いていないな。」とか、「ちょっと酸味が強すぎるな。」と感じたら、少しおいて温度を高くすることで改善されます。

逆に「甘ったるくて味がぼやけている」と思えば、少し冷やすと味わがキュッと締まりスマートな印象になります。

最後に・・・

今回はワインの温度については、深く掘り下げてみました。

ワインの温度管理をすることで、そのワインの長所を最大限に引き出し、短所を極力包み隠す事ができます。

この様に、一本のワインで様々な香りや味わいへと変化できるのもワインの魅力の一つなのです。

ちょっとしたことですが、このような上級テクニックを身につければ、もっと豊かなお家ワインをお楽しみ頂けるのではないでしょうか。

 

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