ピーマン香?カベルネ・フランの品種の特徴、産地、おすすめワイン

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ワインが好きで少しでもワインについて知識がある方なら、カベルネと言えばカベルネ・ソーヴィニヨンをイメージする人が多いと思います。カベルネ・ソーヴィニヨンは世界中で栽培されているフルボディタイプの黒ブドウ品種です。今回ご紹介するのはカベルネ・フランです。カベルネ・ソーヴィニヨンの知名度が高すぎるため、カベルネ・フランはその影に隠れてしまっている印象がありますが、現在カベルネ・フランに世界が注目しています。

先生
二人はカベルネ・フランってどんなイメージ?
生徒(初心者)
カベルネ・ソーヴィニヨンじゃなくて、カベルネ・フランですか?私は殆どよく分かりません。カベルネ・フランのワインって飲んだことあるのかな?
生徒(上級者)
私もボルドーワインに少量ブレンドされているというイメージが強いですね。
先生
確かにボルドーワインのブレンド用のイメージが強いよね。ただ、フランスでもロワールではカベルネ・フラン100%ワインがあるし、他の国でも少しずつカベルネ・フランの生産量は増えてきているよ。

カベルネ・フランの歴史

カベルネ・フランはワイン醸造に用いられる葡萄品種の一つで、現在世界中で栽培されています。主にフランスで栽培されていますが、年々世界各地で栽培面積が増えています。比較的涼しい環境でも育つという理由もあり、世界的に有名な品種となっています。

カベルネ・フランは先に紹介したカベルネ・ソーヴィニヨンの祖先であると言われており、現在、葡萄のルーツはスペインのバスク地方だと言われています。もともとはボルドー地方が原産と言われていた時代もありました。その歴史は古くボルドーワイン醸造用葡萄品種たち、たとえばカベルネ・ソーヴィニヨン等の交配親種となりました。

元来ワイン醸造の際の補助品種葡萄として、ブレンド用、つまりはわき役として使われることが多い葡萄のため、近年までその品質の高さに注目されることはありませんでした。

例えばボルドー右岸の地域ではメルロー種主体のワインと混ぜられ、一方、対岸の左岸地域ではカベルネ・ソーヴィニヨンを主体のワインにカベルネ・フランが全体の10%の割合で混ぜられることが多くなっています。

中世の古城で有名なロワール地方では、カベルネ・フランはロワール地方特有のブルトンという別名で呼ばれ、ワインのメイン葡萄として使われています。この地方は葡萄栽培条件としては厳しいと思われる冷涼な地域ですが、それでもカベルネ・フランは良く育つのです。カベルネ・フランは低い温度でも栽培が可能で、成長速度も速いということに加え、ロワール地方ならではのテロワールが素晴らしいカベルネ・フランの栽培を可能にしています。ロワール地方では、カベルネ・フラン種のみから醸造されたワインが生産されています。

生徒(初心者)
カベルネ・ソーヴィニヨンの祖先とは驚きです!
生徒(上級者)
私もてっきりカベルネ・ソーヴィニヨンの亜種のようなものかと思ってたので、カベルネ・フランが先とは知りませんでした…。

カベルネ・フラン種の多様性

カベルネ・フラン種の味わいはカベルネ・ソーヴィニヨン種よりもライトで飲みやすい口当たりです。それゆえに、ずっしりと力強いカベルネ・ソーヴィニヨン種を骨格とするワインに混ぜられることによって、ワインに軽やかさと、そのブレンド比率により各ワイナリーそれぞれのワインに魅力的な個性を与えてきました。

近年カベルネ・フラン種をワインの骨格としたワインが世界中から注目されているのは、これまでのカベルネ・ソーヴィニヨン種が主体のパワフルなワインを好むという文化から、パワフルさよりエレガントさを求める人も増えているというニーズの変化、そして世界中の多様な食文化にワインを合わせるという文化が世界中に浸透してきているためともいえます。

カベルネ・フラン種はベリーの果実味、そしてノイチゴやスミレのアロマがあります。先に述べたようにカベルネ・フランは冷涼な地域でもよく成長します。特に寒い年のカベルネ・フラン主体のワインはピーマンのニュアンスが加わると言われます。カベルネ・ソーヴィニヨンが濃厚なカシスのようと表現されるのに対しカベルネ・フランがよりデリケートな味と香りを持つことが理解できます。

生徒(初心者)
カベルネ・フランは軽くて飲みやすいんですね。
生徒(上級者)
ボルドーワインに少量ブレンドするのは、そうして味わいにバランスを与えているんですね。
先生
そうだね。でもボルドーのサンテミリオンのワインの中には、シュヴァル・ブランやル・ドームのように、カベルネ・フランの比率が50%を超すようなワインもあって、それらのワインは軽いというよりも十分なボリューム感がありながら、カベルネ・フランらしい妖艶なエレガントさも併せ持つ素晴らしいワインに仕上がっているよ。

シャトー・シュヴァル・ブラン
Chateau Cheval Blanc

ワイン情報

長年サンテミリオンの頂点に君臨し続けるシャトー・シュヴァル・ブラン。現在サンテミリオンの格付け最上級である第一特別級Aには、シュヴァル・ブランの他にオーゾンヌ、アンジェリュス、パヴィの合計4つのシャトーが名を連ねますが、サンテミリオン一番のワインといえば、このシュヴァル・ブランを上げる人が多いです。

シュヴァル・ブランの特徴の一つが、高いカベルネ・フランの使用比率。カベルネ・フランとメルローを半分ずつ使う事が多く、カベルネ・フランがメルローのしっとりとしたテクスチャーと重なり合い、飲後に長い余韻を作り出します。香りは一言で表すならエキゾチック。アニスなどの東洋系スパイスと赤いベリーのアロマがグラスから多層的に立ち上ります。熟成するとシガーのようなスパイシーな香りも加わり飲み手を魅了します。

ル・ドーム
Le Dome

ワイン情報

1996年がファーストヴィンテージという歴史の浅いワインながら、リリース後瞬く間にスターダムを駆け上がり、シンデレラワインとも言われたル・ドーム。シャトー・アンジェリュスとシャトー・グラン・メイヌに隣接した僅かな畑から造られるワインは、生産量が少なく、一時オークションで10万円以上の値を付ける程話題になりました。

元々「シュヴァル・ブランを超えるサンテミリオンを造る」というコンセプトで生まれたこのワインは、シュヴァル・ブラン同様にカベルネ・フランの比率が高く、多いときは約80%使用する事も。サンテミリオンの中でも最もカベルネ・フラン比率が高いシャトーの一つです。

世界中に広がるカベルネ・フラン

世界中の約80%のカベルネ・フラン種がフランス国内で栽培されており、中でもロワール地方でその多くが栽培されています。中部のAOCアンジュ、AOCシノン等ではカベルネ・フラン種はワインに混ぜるわき役としてではなく、カベルネ・フラン種100%でワインが造られています。

先述のボルドー地区、そして南西部ジロンド県、ドルドーニュ県での栽培面積も広く、これらの地域では主にカベルネ・フラン種は補助品種として栽培されています。近年、その他の地域でも栽培が開始されており、フランス国内におけるカベルネ・フラン栽培面積は年々増加しています。

今やカベルネ・フランは今や補助品種というカテゴリーでは括れなくなっています。多くの国がカベルネ・フラン種の魅力とその可能性に注目し栽培し、もしくは栽培を開始しています。例えば、ワイン大国イタリアでさえも、歴史あるカベルネ・ソーヴィニヨン栽培を止めて、新たにカベルネ・フランに切り替える生産者も多いといいます。イタリアと同じ状況が他のヨーロッパと各国にもあり、ヨーロッパ以外にもアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、南米等のニューワールド、そして日本でも山梨県でカベルネ・フランを栽培しているワイナリーがあります。

生徒(上級者)
私一度ロワールのカベルネ・フラン100%のワインを飲んだことがありますが、ピーマンのような香りがしました。
先生
たしかに、ロワールのカベルネ・フランはそういった香りが強い事があるね。ブドウが完熟しきれていない事が原因の一つで、寒い年などには出やすい傾向があるよ。
生徒(上級者)
カベルネ・フラン=ピーマンではないんですか?
先生
一概にそうでは無いよ。ボルドーのカベルネ・フランやニューワールドのものになると、そういうピーマン香は殆ど無い事も多いから、カベルネ・フラン=ピーマン香で片付けないで、色々と試してみると良いと思うよ。
生徒(上級者)
そうなんですね!分かりました、色んな産地のカベルネ・フランを飲んでみることにします!

シノン クロ・ド・レコー 2014 クーリー・デュテイユ 赤
Chinon Clos de l’Echo / Couly Dutheil

ワイン情報

ロワールのシノンにあるドメーヌ兼ネゴシアン。「クロ・ド・レコー」と「クロ・ド・ロリーヴ」という2つのモノポールを所有しています。中でも「クロ・ド・レコー」はミシュラン3つ星レストランのほぼ全店にてオンリストされており、ソムリエに根強い人気を持っています。

完熟したカベルネ・フランから造られるワインは、エレガントさを保ちつつも凝縮感があり、ロワールでありながらサンテミリオン等ボルドーのカベルネ・フランを彷彿させます。長期の熟成にも耐えられる、シノンの中でも最高峰のワインの一つです。

ホールクラスター カベルネ・フラン サンタ・バーバラ 2014 ブロック・セラーズ 赤
Whole Cluster Cabernet Franc Santa Barbara / Broc Cellars

ワイン情報

カリフォルニアのオーガニック生産者、ブロック・セラーズ。ブドウが持つ本来の素質や特性を発揮する為に、持続可能な農法および有機栽培またはビオディナミ農法によるブドウが不可欠と考えており、酸化防止剤も一切使用しません。

このキュベはカベルネ・フラン100%。フレッシュな苺、西瓜の皮、レッドペッパー、生き生きとした酸味を感じ、味わいはとてもスムーズ。このワインは3トンもある発酵槽で房ごと入れられ、土着の天然酵母を使用。

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