今、注目のワイン産地!南アフリカワイン おすすめ10選

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南アフリカワイン産地

突然ですが、南アフリカのワイン、お試しになったことありますか?

実は今、ひそかに熱いワイン産地、南アフリカ。著名なワイン評論家たちが、その品質を絶賛し、注目を集めているんです!

まだまだ未経験な方も多いのではないかと思われる南アフリカのワイン、飲んでみないともったいない!ということで、今回は南アフリカワインの魅力をお伝えしていきます。

南アフリカってどんなワイン産地?

自然に恵まれたワイン産地

アフリカ大陸、最南端にある南アフリカ。主要なワイン産地は、南緯30度前後に位置しています。北半球で言うと、地中海の南くらいでしょうか。穏やかな地中海性気候なのですが、主要なワイン産地である西ケープ州は、南極から冷たいベンゲラ海流の影響を受け、緯度の割には、冷涼な産地でもあります。

そして「南アフリカのワインは、自然にも体にも優しい」なんていうことも言われます。ぶどうの生育期である春から夏にかけて、「ケープドクター」と呼ばれる、乾燥した強風が南東から吹くため、防虫剤や防かび剤の使用が最小限に抑えられます。こういった自然の恩恵を受け、「自然にも体にも優しい」ワインが造られるのですね。

また、世界最古の土壌と呼ばれている、南アフリカの土壌は、鉱物が多く、養分が少ない土壌です。そのため、ぶどうの根は地中深くまで伸びていき、旧世界と呼ばれるヨーロッパのワイン産地に似た、ミネラルを感じる、凝縮した果実味のぶどうを収穫できます。

SDGs(持続可能なワイン造り)にいち早く取り組んできた産地

360年以上もの歴史がある、南アフリカのワイン産業。1965年2月2日には、「ケープのぶどうから最初のワインが造られた」ことを記録する日記があります。(ちなみに2月2日は「アフリカワインの日」として認定されています。)

1970年代には、アメリカよりも早く「原産地呼称制度(W.O. ワイン・オブ・オリジン)」が法定された、実は歴史ある古くからの産地です。しかも、今でこそ、ワイン造りにおいても当たり前となりつつある、SDGsにかなり早い時期から着目している、環境と人に配慮したワイン産地でもあるんです。

まず、今から100年ほど前、1918年には、ぶどうの生産や価格調整などを行う「KWV(南アフリカぶどう栽培者協同組合)」が設立され、ぶどう栽培農家を保護する取り組み(=人に優しい)が始まりました。

また1990年に設立された、現在の南アフリカワイン協会(WOSA)は、1994年にネルソン・マンデラ大統領のアパルトヘイト政策撤廃後、その政策のために世界市場から締め出され、低迷していた、南アフリカワインの輸出を全世界へ広げるという取り組みを行いながら、世界で最も環境に配慮したワイン生産国として「自然環境保護とワイン産業の共栄」をコンセプトに掲げました(=環境に優しい)。

1998年には、ガイドライン「環境と調和したワイン生産(IPW)」を制定し、減農薬や減酸化防止剤、リサイクルの徹底や水源の維持などを盛り込みました。そして今では、南アフリカにある95%以上のぶどう栽培農家やワイナリーで、このガイドラインに沿ったワイン造りを行っているんだそうです。

魅力ある生産者が増えているワイン産地

南アフリカで造られるワイン、約半分が海外市場に販売されています。そのうちの約3割は、バルクワインと呼ばれる、企業単位の大規模生産者の造るワインです。

現在は私企業となった「KWV(南アフリカぶどう栽培者協同組合)」や「シモンシッヒ」など、国際市場を意識し、国際品種を用いた大量生産型の大手ワイナリーがある一方で、生産地のテロワールにあった、個性あふれる自由なワイン造りをする、若い小規模生産者も増えてきています。彼らは、ヨーロッパのように代々ワイン造りをしていた家系ではない方も多く、異業種からの参入や、異国からやってくる方もいるそうです。

大規模生産者と小規模生産者が、バランスよく、それぞれの個性を生かした面白いワイン造りをしているのも、新世界 南アフリカならではの魅力のひとつなのではないでしょうか。

南アフリカワインの特徴

では、南アフリカワインの特徴を簡単にお伝えしましょう。

代表的なぶどう品種

南アフリカワインで特徴的な品種と言えば、赤ワインではピノ・タージュです。

これは、ピノ・ノワールと南仏でよく栽培されているサンソー(南アフリカではエルミタージュと呼びます)の交配品種。サンソーの持つスパイシーさと、ピノ・ノワールのチャーミングな果実味があり、豊富な酸味と果実味、なめらかなタンニン持ったワインが造られます。

そして白ワインの代表品種は、なんといってもシュナン・ブラン。フランス ロワール地方原産のぶどうです。

17世紀、ナントの勅令を受け、宗教迫害を逃れやってきた、ロワール出身のユグノー派の人々が持ちこんだと言われています。ロワールのシュナン・ブランとはひと味違った、果実味の豊かさがその特徴です。

オールド・ヴァイン

今、南アフリカンワインを語る上で、外せないキーワードがこの「オールド・ヴァイン」

オールド・ブッシュ・ヴァインとも呼ばれる、樹齢35年以上のぶどうの古木のことです。このぶどう樹は、地面を這うように仕立てており、灌漑を行わないため、ぶどうの根は地中深くまで伸びていきます。

今、この古木から造られるワインに、世界中の熱い注目が集まっています。この「オールド・ブッシュ・ヴァイン」に深い感銘を受け、太鼓判を押したのが、世界的なマスター・ソムリエ ジャンシス・ロビンソン女史。

彼女の後押しもあり、2016年には、元政治ジャーナリストだった栽培家のロサ・クルーガー氏が中心となって、この高樹齢の畑を保護する活動を行う組織「オールド・ヴァイン・プロジェクトOVP」が発足しました。

この「オールド・ブッシュ・ヴァイン」が、注目を集めている理由の一つは、非常に味わい深いぶどうが収穫できるということ。古木である故、必然的に収量の少なくなった果実に、地中深くまで伸びた根から吸い上げた養分が凝縮されます。そうして収穫されたぶどうから造られたワインは、様々な場面で高評価を受けているんです。

そして2018年、認定ぶどう畑の樹齢35年以上のぶどう樹から造られたワインには、世界初となる植樹年を記した認定シールの運用が始まりました※。しかしながら、シールの貼られていないオールド・ブッシュ・ヴァインもたくさんあります。

※認定シールがあるのは、2019ヴィンテージから。また、組織のメンバーでなかったり、メンバーであっても、認定されたワインでない場合には、シールが貼られていません。

オールド・ブッシュ・ヴァインの畑は、2020年時点で、南アフリカのぶどう畑全体のたった4%ほどの、3,691ヘクタール。国を挙げて、古木の保護に努めていることなどから、今後、その樹齢に達するぶどう樹は増えていきそうですね。オールド・ブッシュ・ヴァインのワインが、もっと日本に普及している日も、そう遠くないかもしれません。

ブレンドワイン

近年栽培の増えてきた国際品種の単一ワインもありますが、各々のぶどうの味わいをいいとこどりした、ブレンドワインが南アフリカワインの特徴の一つでもあります。

まずは、赤ワイン。

おすすめの南アフリカワイン10選

それでは、ソムリエおすすめの南アフリカワインのご紹介です。

先程のお話しにも登場した、オールド・ブッシュ・ヴァインから造られるワインや、南アフリカお得意のブレンドワイン、小規模生産者のワインや高評価ワインなどをご紹介しています。

白のオールド・ブッシュ・ヴァイン

ペルシュロン オールド・ブッシュ・ヴァイン シュナン・ブラン ヴィオニエ 2020 ブティノ 白

樹齢40~50年のオールド・ブッシュ・ヴァイン(古木)からとれたシュナン・ブランを使った白ワイン。オールド・ブッシュ・ヴァインの味わいの魅力である、しっかりと凝縮した果実味に、樹齢はまだ10年ほどのヴィオニエを少量ブレンドし、フレッシュな果実味と華やかさをプラス。2つのぶどうが溶け合って、芳醇で豊かな果実味のあるワインに仕上がっています。

赤のオールド・ブッシュ・ヴァイン

ペルシュロン オールド・ブッシュ・ヴァイン サンソー 2018 ブティノ 赤

樹齢40年の古木から造られたワイン。南アフリカ独自の品種ピノ・タージュの親品種サンソーから造られています。

ブレンドされたフランス南部でのワインではよく見かける品種ですが、サンソー100%というのは、南アフリカならではかもしれません。良く熟したチェリーを思わせる、爽やかな酸味を伴う果実味のこのワインは、複雑な余韻が心地よく続きます。

ローヌブレンドの赤ワイン

ペルシュロン シラーズ ムールヴェードル 2018 ブティノ 赤

シラーズとムールヴェードルを使用した、南アフリカお得意の「ローヌブレンド」の赤ワイン。

シラーらしいスパイシーさと豊かな果実の香り。果実味あふれる優しい飲み心地です。それぞれの品種の良いところを上手に表現した、バランスの良さと複雑さを兼ね備えたワインです。ほんの少しだけブレンドされた、ヴィオニエがさわやかさをプラスしています。

ボルドーブレンドの赤ワイン

ジャカランダ キュヴェ・ルージュ 2014 ジャカランダ・ワインズ 赤

ケープタウンから車で45分ほどのところにある、ウェリントン地区。2011年に独立したワイン産地として認められ、急成長している地域です。この地にワイナリーを起こしたのが、中国を中心に、ワイン貿易を生業としていたれいさー夫妻です。ワイン造りをしてみたいという熱が高じて、2009年にジャカランダの美しい花の咲くこのワイナリーを取得、ワイン造りを始めました。

このワインは、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、カベルネ・フランなど、おなじみのボルドー品種を使ったボルドーブレンドの1本。よく熟したジャミーな果実味とコショウのようなスパイスの香り、きれいな酸やミネラル感もある、飲みごたえがありながらも、親しみやすい赤ワインです。

南アフリカ最高峰のスパークリングワイン

グラハム・ベック ブリュット NV 白

オバマ大統領や、故ネルソン・マンデラ氏の就任式で振る舞われた南アフリカ最高峰のスパークリングワイン。

このスパークリングワインを造ったブラハム・ベックの醸造家ピーター・フェレイラ氏は、南アフリカスパークリングワインの重鎮と呼ばれる人物。理想とするスパークリングワインを造るため、泡の王様シャンパーニュに何度も足を運び、醸造技術を身につけ、シャンパーニュに関する研究論文まで発表した、まさに泡のエキスパートなんです。

このスパークリングワインは、シャンパーニュと同じ、瓶内二次発酵のワイン。ほのかなイーストの香り、なめらかできめ細かな泡と、柑橘系の果実味が一体となった、エレガントな味わいのスパークリングワインです。

頭脳派夫妻の造る赤ワイン

ジョーダン・ザ・プロぺクター シラー 2015 ジョーダン・ワイナリー 赤 

南アフリカでアパルトヘイトが行われていた1982年に先代が取得し、ぶどう栽培のみを行っていたワイナリーを引き継いだのは、地質学者のゲイリーと経済学者のキャシー夫妻。念願の醸造設備を整え、1992年からワイン造りを始めました。もともと、高品質のぶどうを栽培していたおかげで、翌年には、クラッシカルでエレガントなワインをリリースし、たちまち話題となりました。その後も、数々の受賞歴を持つ、名声あるワイナリーへ成長しています。

このワインは、穏やかな酸味を持つ、果実味たっぷりの程よく熟したシラー。タンニンはなめらかで、心地よい渋みや甘み、スパイシーな余韻を残す、素晴らしい赤ワインです。

南アフリカ独自品種 ピノ・タージュのワイン

コーヒー・ピノタージュ リミテッド・リリース 2019 トータス 赤

南アフリカ・ステレンボッシュ大学で交配された品種ピノ・タージュを使ったワイン。

ピノタージュは、しっかりと樽熟成させたフルボディタイプから、フルーティーでカジュアルなデイリータイプまで様々なタイプのワインがありますが、このワインは、しっかりと樽を利かせたフルボディのタイプ。その名の通り、深煎りローストのコーヒーの香りがしますよ。

香ばしい香りとともに、ハーブやスパイス、果実の香りもあります。よく熟した赤いベリーを思わせる、酸味を伴った豊かな果実味と、程よいタンニンが心地よいワインです。

あのパーカーをも唸らせたシャルドネ

ライムストーン・ヒル シャルドネ 2020 デ・ウェホフ 白

競走馬の飼育地やバラの生産地としても名高い、内陸のロバートソン地区。石灰質が豊富な土壌で、近年、高品質のシャルドネの産地として、注目されています。この地区の中でも、シャルドネの造り手の筆頭としてあげられるのが、この地で3代に渡るワイナリー「デ・ウェホフ」です。「これほどのフィネスを持ったシャルドネは、ほとんど存在しないのでは?」と、かのロバート・パーカー氏を唸らせた実力の持ち主です。

このワインは、デ・ウェホフのエントリークラスのもの。グレープフルーツやナッツの香り、エレガントで味わいのバランスが秀逸、フィニッシュに僅かな熟成香も感じられます。樽熟成こそしていませんが、複雑な要素が混じりあった、味わい深い白ワインです。

最も歴史ある産地の急成長ワイナリーのヴィオニエ

イーグルス・ネスト ヴィオニエ 2017 白 

17世紀からワイン造りを行い、ナポレオンにもワインを献上していた、ケープタウンの小地区コンスタンシアに1984年に誕生したワイナリーが、このイーグルス・ネスト。その名とラベルに描かれている、Verreaux(コシジロイヌワシ)の保全活動も行う、環境意識が高いワイナリーの多い南アフリカらしい造り手の一人です。

青りんごや洋梨、柑橘類などのピュアなフルーツの果実味と、ほのかな塩味や優しい甘み、微かな苦みも顔をのぞかせる、繊細できれいなワインです。2016ヴィンテージは、アフリカワインの格付けで知られるマスター・オブ・ワイン ティム・アトキンが91点を付けている、素晴らしい逸品です。

「ケープ・タウンのラトゥール」と絶賛された赤ワイン

ネイピア レッド・メダリオン 2015 ネイピア・ワイナリー 赤 

おしまいに

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