飲むの?走るの?どっち?ワイン好きには堪らないワインマラソン!

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ワインマラソン

突然ですが、ワインマラソンってご存じですか?
筆者がワインマラソンを初めて知ったのは、某テレビ番組で「メドックマラソン」を見た時のこと。


格付けシャトーのワインがたくさん試飲できるなんて夢のよう!そして、すごく楽しそう!出てみたい!けど、ほとんど走ったことのない筆者。
今から練習したら、何年後かには参加できるのかな?ワイン飲みながら走るなんて、できることなの?そんな疑問を持ちつつ、ワインマラソンについて、いろいろと調べてみました。


数多あるワインマラソンの中でも、「走りながらワインが飲める」というポイントに照準を合わせて、ご紹介していきたいと思います。

ワイン好きランナーの憧れ メドックマラソン

いちばん有名なワインマラソンといえば、メドックマラソンです!

「世界で一番長いマラソン」という異名を持っているこのメドックマラソン。ぶどうの収穫直前の9月、カベルネ・ソーヴィニョンやメルローの実る、ぶどう畑の中を駆け抜けます。残念ながら、コロナ禍のため昨年の大会は中止になってしまいましたが、今年は2021年9月11日に開催される予定になっています。


マラソンの前日には、シャトーを借り切っての前夜祭パスタパーティ(もちろんワインが振るまわれます!)、そしてマラソンの翌日は、いろいろなシャトーを巡るエクスカーション(遠足)もあり、お楽しみはマラソン当日だけではありません。

 

そのコースはというと、ボルドー左岸ポイヤックをスタートし、サンテステフへ北上、スタート地点のポイヤックへ戻ってくるという42.195Km。途中、シャトーの中庭の砂利やぶどう畑のあぜ道を通ったりしながら、20余りの格付けシャトーに立ち寄りつつ、完走を目指すわけですが、立ち寄るシャトーが本当にすごい!

 

5級シャトーのバタイエから2級のシャトー・ピション・ロングヴィル・バロン、シャトー・モンローズ、そして五大シャトーのひとつシャトー・ラフィット・ロッチルトまで!普段は見学できないシャトーもあり、もし試飲がなかったとしても、ワイン好きにはたまらないコースです。

 

気になる参加賞なのですが、完走したランナー全員に、完走記念メダルや景品と、木箱入りのボルドーワイン(中身は開けてみてのお楽しみです!)が渡され、女性ランナーにはバラが1輪プレゼントされます。
そして優勝すると、体重分のボルドーワインがもらえます!

 


メドックマラソン、「マラソン」という名はついていますが、マラソンというよりもお祭りです(笑)。実際に走っている動画や写真を見ると、普通のランニングウェアだと恥ずかしいのではないかと思うほど、ほぼ全員仮装しています。

 

というのも、このメドックマラソン、1984年にお祭りとスポーツの融合をテーマに始まったマラソンで、「アニメヒーロー」や「歴史上の人物」など、毎年、テーマの決まった仮装が恒例になっています。ちなみに、2021年の仮装のテーマは「fait son cinema(映画の仮装)」。あなただったら、どんな仮装しますか…?

 

メドックマラソン、もうひとつの目玉は、格付けシャトーのワインを試飲できるエイドステーション。コースのそこかしこに給水所、ならぬ給ワイン所?があり、なんと20以上のシャトーのワインを試飲することができます。その中には、憧れのあの格付けシャトーも!このワインエイド、全部飲むとボトル1本分以上になるとか…。前夜祭のことも考えたら、本当に浴びるほどのワインを飲むことになりそうですね。エイドステーションには、もちろん、お水や果物もありますので、ご心配なく(笑)。


そして、最終盤の37Km地点からはグルメゾーン。ワインはもちろん、特産のオイスターやステーキ、チーズやアイスクリームまでもが振るまわれ、ちょっとしたコース料理のようです。

 


スポーツの大会というよりは、お祭りのようなメドックマラソン、参加するランナーは、およそ8,000人!フランス国内はもちろん、全世界からランナーが訪れ、日本人参加者も年々増加しているそうです。


6時間半という、制限時間の目安を伝えるタイムキーパーの看板には、フランス語・英語・スペイン語・イタリア語はもちろん、日本語での案内も!看板ひとつとっても、国際色の豊かさがわかりますね。

 

こんなに楽しそうなメドックマラソン、やはり大人気。
ランナーの募集開始が始まると、あっという間にエントリー締め切りになってしまうそうです。例年3月頃にエントリーが始まるそうなので、要チェックです。

調べてみると、旅行代理店が、参加枠を確保しているツアーも組まれていますので、個人でのエントリーが不安な方は、そちらで参加するのもいいかもしれません。

  
メドックマラソンは、エイドステーションを始めとして、ボランティアの参加が非常に多く、沿道の応援もにぎやかな、ランナーだけでなく見ている人も楽しいマラソンなんだそう。走るのが辛くなってくるコース中盤、沿道からは「Allez!アレー(がんばれ!)」と惜しみない声援が送られたり、バンドの演奏がそこかしこから聞こえてきたりと、初心者の方でも楽しみながら、完走することができるマラソンのようです。

 

冒頭の「世界一長いマラソン」と言われている訳…それはワインをたくさん飲む→まっすぐ走れない→結果、42.195km以上の距離を走ることになるから、です(笑)。
とはいえ、一応、れっきとしたマラソン大会なので、ワインには目もくれず、2時間半以内にゴールするランナーもいらっしゃいます。

 


それでは、エイドステーションにもなっている、ポイヤックとサンテステフのシャトーのワインを少しご紹介します。

 

まだまだ余裕の5Km地点 Chシャトー・レオヴィル・ポワフェレ

シャトー・レオヴィル・ポワフェレ

メドック格付け第2級サンジュリアンにある「レオヴィル3兄弟」のひとりです。2000年以降、ワイン・アドヴォケイト誌の評価は、どのヴィンテージも90点以上の高評価。カシスやブラックベリーのの濃縮した果実味とスパイシーな風味が味わえます。

 

ポイヤックの折り返し地点 Chグラン・ピュイ・ラコスト

シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト

グラン・ピュイ・ラコストは、その安定した品質と、圧倒的なコストパフォーマンスの高さで人気のシャトー。ロバート・パーカー氏も「ダイナミックで耐久力のある、フルボディのポイヤックを生産することで、確固たる定評がある。」と称賛しています。

 

憧れの5大シャトー Chラフィット・ロートシルト

シャトー・ラフィット・ロートシルト

五大シャトーの筆頭ともいえるのが、シャトー・ラフィット・ロートシルト。1855年、ボルドーワインの最初の格付けから1級であり続ける、ボルドーワインの頂点ともいえるシャトーです。5大シャトーの中でも最もエレガントと言われる、繊細な味わいが持ち味ですが、果実味の凝縮感やタンニンも豊富で、飲み頃までには10年以上の時間が必要な、偉大なワインです。

 

苦しくなってくる30km過ぎ…Chトロンコワ・ラランド

シャトー・トロンコワ・ラランド

サンテステフの2級シャトー、モンローズのオーナーが、もうひとつ同じ村の中に所有しているのが、このトロンコワ・ラランド。シャトーどうしもご近所、造っているのも同じ醸造チームという、モンローズの弟分のこのシャトー、その高いクオリティの割には、かなりお手頃な価格のワインです。

 

ここまで来ればゴールはもうすぐ Chモン・ローズ

シャトー・モンローズ

その力強い味わいから「サン・テステフのラトゥール」との異名もあるシャトー・モンローズ。かつては荒野だったその土地に自生するエリカが咲くころ、シャトーのある丘一帯が薔薇色に染まり、その景観がシャトー名の由来になったんだそうです。「格付けの見直しがあるなら、間違いなく1級シャトーに仲間入りするだろう」と、ロバート・パーカー氏に言わしめたその実力はお墨付きです。

モンローズのセカンドワインはこちら。

すぐお隣のシャトー・メイネイにも、マラソンでは立ち寄ります。

 

まだまだある!フランスのワインマラソン

フランスのワインマラソン、他にもありました。白ワインの美味しい冷涼産地のアルザスや、泡ワインの王様シャンパーニュ、日本ではヌーヴォでお馴染みのボジョレーでも、ワインマラソンがあります。
どのマラソンでも共通していたのは「仮装」と「ワインエイド」。
人生をとことん楽しみたいフランスの気質なのか、お祭りとしての要素が強いようです。

 

白ワイン好きにはたまらない!アルザスヴィンヤードマラソン


すっきりした味わいのアルザスワインがたくさん飲めそうな「アルザスヴィンヤードマラソン」。

こちらは、ぶどうの葉が青々と繁る毎年6月中旬、アルザスワイン街道の北にある村ドルリスハイムをスタートします。フルマラソンだけでなく、ハーフマラソンや10Kmのレースや子供向けのコースも用意された老若男女問わず参加できるマラソンです。

 

アルザスのマラソン、その醍醐味は、アルザスワインと一緒に、アルザスの名物料理をこれでもか、と味わえること。

公式ホームページを見ると、こんなごちそうが並んでいました。

フルマラソン ハーフマラソン エイド
3Km地点   ブリオッシュ&シルヴァネール
5Km地点   クグロフ&ピノ・ブラン
9.5Km地点   シュークルート&リースリング
14Km地点   タルト・フランベ&ロゼワイン
18Km地点   グリルしたソーセージ&ピノ・ブラン
21Km地点   コンフィチュール&ピノ・グリ
26Km地点 5Km地点 ニシン&リースリング
29Km地点 8Km地点 ナッツ&リースリング
31Km地点 10Km地点 マンステール・チーズ&ゲヴェルツトラミネール
37Km地点 16Km地点 パテ&ピノ・グリ
39Km地点 18Km地点 パン・デピス(スパイスの効いたパウンドケーキのようなお菓子)&ミュスカ
41.5Km地点 20Km地点 小さな焼き菓子&クレマン

こんなエイドが出てきたら、食べずにスルーするなんて…絶対に無理です!
完走したら、もちろんアルザスワインがプレゼントされます。 

 

エイドを提供していたこともあるワイナリーのワイン

アルザス リースリング グリンツベルグ  ローラン・シュミット 

可憐な花のエチケットが印象的なローラン・シュミットのボトル。その味わいは、フランスの「ミシュラン」3つ星、2つ星をはじめとした高級レストランの数々が採用しているお墨付き。冷涼産地ならではのすっきりとした酸味と熟した果実の甘みが心地よい、旨味のしっかりとしたリースリングです。

 

泡好きは大喜び!ラ・シャンプノワーズ


スパークリングワインが大好きな方には、こちらの大会はいかが?
スパークリングワインの王様シャンパーニュを飲みながら走る「ラ・シャンプノワーズ」。新緑の5月、ヴァレ・ド・ラ・マルヌの村ルイユをスタートし、シャンパン街道沿いの3つの村を通り、18Kmというちょっと微妙?な距離を走ります。

 

制限時間が3時間半と、他のマラソンに比べて少し長めなので、歩きながらでもゴールが可能。ぶどう畑の景色と途中で振まわれるシャンパンを楽しみながら、コースの途中では、ワインプレスやシャンパンカーヴの見学をすることもできます。参加者には抽選で170名にシャンパンがプレゼントされるそうです。

 

スタート地点のルイユ近くのシャンパーニュ・メゾン タルラン

タルラン ゼロ ブリュット・ナチュール NV 白 

1687年設立の歴史あるシャンパーニュ・メゾン タルラン。現当主のジャン=マリー・タルランは、CICV(シャンパーニュ委員会)技術部門の責任者を務めるほどの凄腕の生産者。
現在は、世界中のワイン産地を巡り、見聞を広げた息子ブノワの自由で柔軟な発想にヒントを得、大胆かつ洗練されたシャンパーニュを造り続けています。
このキュヴェは、タルランの主力キュヴェ。ドサージュ・ゼロのならではの、シャープな口当たりとしっかりとした果実味が味わえます。

 

 

日本にもあるワインマラソン

日本でも、ワイン造りの盛んな山梨県や山形県などでは、ワインマラソンが開催されています。こちらは完走したら、ボトルワインがもらえるタイプのマラソンです。メドックマラソンみたいに、エイドにワインが出てくる日本のワインマラソンってないのかな…と思ったら、ありました!

 

北海道余市で、7月に行われている「フルーツ&ワインマラニック」。ワインマラソンの本場、フランスほどたくさんではありませんが、特産の余市ワインをはじめ、さくらんぼやトマトなど地元で採れる新鮮な果物などをエイドで提供してくれます。もちろん、完走賞にはボトルワインがプレゼントされます。

 

そして、メドック市と姉妹都市の福岡市では、毎年11月に「福岡ボルドーワインマラソン」が開催されています。こちらは、何人かで走るリレーマラソンで、ご本家メドックマラソンとは違い、エイドにワインはありませんが、前夜祭に始まり、アフターパーティでは、福岡でしか飲むことのできないボルドーワインで乾杯など、楽しさはメドックに負けていないようです。

 

海外まで行けないって時には、国内で開催されている様々なワインマラソンに参加してみるのもいいですね!

おしまいに

ご紹介しきれなかったのですが、イタリアのワイン産地でも、「キャンティ・クラシコ・マラソン」「バルバレスコ・マラソン」、カリフォルニアの銘醸地ナパでは「ナパヴァレー・マラソン」など、世界中のワイン産地で開催されているワインマラソン、まだまだあるようです。

 

実際に行くことができなくても、WEB上で参加できるヴァーチャル・レースなどもあるようなので、お目当てのレースの開催地で造られているワインを用意して、走ってみるのも楽しいかもしれませんね!

 

 

 

 

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