【体験レポート】ドメーヌ・フーリエ水平テイスティング

  • LINEで送る

今や「入手困難なブルゴーニュワイン」の代名詞となった、ドメーヌ・フーリエ。

ワイン情報誌リアルワインガイドでは、「フーリエのワインを入手できた数少ない人へ心からおめでとうと言いたい」と言われている程。

生産量が極めて少なく毎年世界中で争奪戦が繰り広げられます。当店でも毎年新ヴィンテージのご案内を頂きますが、各種数本しか仕入れることができない「超がつく程のレアワイン」、それがフーリエなのです。

この度、そんなフーリエの当主ジャン・マリー・フーリエ氏が来日され、貴重な水平テイスティングセミナーが日本で開催されることになりました。

水平テイスティングとは、同じヴィンテージで異なる畑のワインを飲み比べるテイスティング方法で、畑の特徴やテロワールの違いなどを確認する事ができます。

それを、まさかあのフーリエでできるとは・・・。感動です。

このテイスティングセミナーでは、フーリエの最新ヴィンテージとなる2017年のワインをドメーヌもの、ネゴスもの計7アイテムを試飲させて頂きました。

「テロワリスト」とも呼ばれるジャン・マリー・フーリエ氏より、ジュヴレ・シャンベルタン村のテロワールについて、そして2017年の作柄について、詳しく解説して頂きました!

ジャン・マリー・フーリエとは?

まずはじめに、ジャン・マリー・フーリエ氏の経歴をご紹介しましょう。

ジュブレ・シャンベルタン村を中心に10ヘクタールの畑を所有する、ドメーヌ・フーリエ。創業は19世紀半ばの老舗ドメーヌです。

現当主のジャン・マリー・フーリエ氏は5代目となりますが、ドメーヌを引き継いだ23歳になるまでに、様々な経験をされています。

地元の農業大学を卒業後、ブルゴーニュ大学で醸造学を学び、その後はなんと「ブルゴーニュの神様」ことアンリ・ジャイエ氏の元でワイン造りを学びます。さらにアメリカへと渡り、オレゴンのジョセフ・ドルーアンでも修行しているのです。

こういった幅広い知識、経験を習得したジャン・マリー・フーリエ氏が、自身のワイン造りに目指したのは、「テロワール第一に自然のままの造り」でした。

自らを「テロワリスト」と名乗り、醸造のテクニックを求めず、ブドウ自身のパワーを信じ、自然に任せたワイン造りを行っています。

高度な技術に頼らず自然に任せていた、20世紀初頭の古き良きヴィニュロンの流儀を継承したワイン造りを目指しているのです。

ネゴシアン「ジャン・マリー・フーリエ」の開始

2011年より、「ジャン・マリー・フーリエ」という自身の名を冠したネゴシアンプロジェクトを開始しました。(ドメーヌものは「ドメーヌ・フーリエ」)

これだけテロワールを第一に考えるフーリエが、なぜネゴシアン業を?という疑問もありましたが、ジャン・マリー氏の考えるフーリエのネゴシアンについて、この様にご説明頂きました。

『ブルゴーニュの畑が高騰していて、新たに畑を購入する事は難しい状況だった。(おおよそ50~60年でようやく回収出来るくらいに土地が値上がりしているんだよ。)しかし、いち造り手としては、良い畑のワインを造りたいという思いもあった。そんな折に、良いパートナーに恵まれ、畑を購入することなく、ドメーヌからブドウを分けてもらい、フーリエで醸造することができるようになったんだ。』

『ネゴシアンといっても極小規模。ワインを買うネゴシアンが多い中で、私たちは収穫から手掛けているんだ。しかも畑はご近所だからね、状況は常に把握できるようにしているし、生産量もドメーヌの30%程度に留めているんだ。だから今回の水平テイスティングでは、ネゴシアンスタイルもドメーヌスタイルも同じだと言うことを感じてもらいたいね!』

ネゴシアンの畑は、シャンベルタン、マジ・シャンベルタン、ラトリシエール・シャンベルタン、エシェゾー、シャンボール・ミュジニー・レザムルーズ、ボンヌ・マールなど錚々たるクラスを手掛けていますが、生産量はごく僅か。1つのワインに対して2~3樽程度です。。

フーリエを代表する「クロ・サン・ジャック」のテロワール

ドメーヌ・フーリエの所有する畑の特徴の一つに、ブドウ樹が高樹齢であることが挙げられます。

自社畑の平均樹齢は50年を超えており、フーリエを代表するワイン「クロ・サン・ジャック」のものは、なんと100年を超えているものも。

「クロ・サン・ジャック」は、ジュヴレ・シャンベルタン一級の中でも別格、あるいは特級畑レベルとされています。

現在、この畑は5人の生産者(アルマン・ルソー、フーリエ、ルイ・ジャド、ピリュノ・クレール、シルヴィ・エスモナン)が所有していますが、斜面上部から下部にかけて縦に分割して所有しています。これは一貫した品質のワインを造る上では重要なことです。

畑の標高は320~200メートルとその差は120メートルにもなります。土壌の上部では白色の泥灰質ですが、下部では茶色っぽい粘土質になり、中央も多くの地層が重なり合っているのです。

この多様な土壌タイプの組み合わせにより、骨格、重量感、複雑性が産まれ、クロ・サン・ジャックがかくも完璧なワインになる理由なのです。

<垂直テイスティングセミナー:クロ・サン・ジャックのテロワールの説明>

「若い時も美味しく、熟成しても美味しい」フーリエのワイン造り

醸造においても、なるべく自然の力に寄り添う形で進められます。

除梗は100%行いますが、果粒は潰さないように発酵を開始させます。そうすると発酵から20日後くらいに果皮から果汁へと成分が移行していくそうです。こうして極端なタンニンを抽出する事なく、ブドウ由来のタンニンや旨味成分、香りが果汁へと浸透し、真のピノ・ノワールを表現できると考えているのです。

<垂直テイスティングセミナー:果皮から果汁へと成分が移行の説明>

そして極力人工的な温度管理はせず、なるべく自然の温度で浸漬や発酵を開始させます。熟成は新樽比率は20%に抑え、澱引きはせず、無濾過・無清澄で瓶詰めしています。

フーリエの醸造方法で特に特徴的なのは、亜硫酸を極力使用せず、二酸化炭素を多く残す手法にあります。醸造工程で発生した二酸化炭素により還元状態を保つことで酸化を防ぐ、という手法で、こうすることでフレッシュ感を長期間保つことができるそうです。

一般的に長期熟成にはタンニンが必要と言われていますが、フーリエはこの手法を採用することで、タンニン量が少なくても熟成させることができ、さらに若いうちに飲んでもフレッシュでシルキーなテクスチャーのワインが楽しめるのです。(ただし、若いうちは飲む前にデキャンタージュする事をお薦めしています。)

いざ、フーリエ2017年を水平テイスティング!

『2017年は綺麗な酸がたったエレガントな年だった。』

実は、2017年から新たな取組として「アンフォラ」を部分的に使用し始めたそうです。

今回試飲した、「コンブ・オー・モワンヌ」はトライアルでアンフォラを使用し醸造したもの。

『アンフォラを使用することで、フレッシュ感とピュアさを保つことができるんだ。木樽と違い、空にしていてもバクテリアに汚染もされない。温暖化でセラーの温度が上がる中で、期待できる方法だ。』

『2018年は、暑い年だったのでこのアンフォラの効果を試せる年になると思うよ。あと葉をあえて残して、実に影をつくる工夫もしたよ。アルコールが高すぎて14%以上になると天然酵母は死んでしまうんだ。だからそれを抑える工夫が必要になってくる。だって天然酵母は一つのテロワールだから。』

また温暖化はブルゴーニュの病害にも変化をもたらしているそうで、

『昔のブルゴーニュは気温よりも湿度の高さによるベト病に悩まされていたが、温暖化の影響でそれまでローヌで流行っていた、うどん粉病が今ブルゴーニュで流行っている。その対策も不可欠なんだよ。』

昔ながらの流儀を継承するフーリエであっても、時代や気候の変化で、昔と全く同じようにはできなくなっているようです。しかし彼のワインに対する哲学は一貫していて、「昔ながらの自然のままのワイン造り」を目指し、常にチャレンジし続けているのです。

ジャン・マリー・フーリエ氏のテロワールに対する思いを十分理解したところで・・・ではお待ちかねの7種の水平テイスティングです!

1)Gevrey Chambertin V.V.2017 (Domaine Fourrier)

フレッシュなフランボワーズ、グロゼイユなどの赤い果実とともに、スウィートスパイスのアロマ。
ジューシーな果実味とシルキーなタンニン。ジュヴレ・シャンベルタンのしっかりとした果実のパワーが感じられますが、ピュアで上品な味わいで、優しい余韻があります。「フーリエらしさ」を感じる事ができる、フレッシュで上品な一本です。

2)Gevrey Chambertin 1er Cru Cherbaudes V.V.2017 (Domaine Fourrier)

1940年植樹。クロ・ド・ベーゼのすぐ下にある畑で、以前は駐車場にされていた(!?)んだとか。
ピュアなレッドチェリーに、リコリス、ナツメグなどスパイス香が入り混じる。残存する二酸化炭素由来の還元した香りがまだ残っていましたが、味わいはフレッシュで透明感があり、シルキーなタンニンとの調和はさすがフーリエ、絶妙です。

3)Gevrey Chambertin 1er Cru Combe aux Moines V.V.2017 (Domaine Fourrier)

1928年植樹したブドウ樹の畑。
華やかな野バラの香りが印象的。レッドチェリー、鉄分を有する赤み肉の香りもほのかに感じられます。しっかりとしたタンニンが備わっていながら、平等に酸味もあるためバランスがよく、奥深く気品のある味わいです。

~アンフォラの使用について~
このワインの2017年は、トライヤルでアンフォラを使用し醸造したワインを15%使用しています。
『アンフォラを使用すると、タンニンは丸くなるが余韻は長くなり、アロマは豊かになる。地球温暖化の影響で、ここ40年で200km南下した地域の気候程の温度差になり、今後も醸造を工夫していかなければならないと思っている。
樽熟成も3ヶ月程短くしている。冬の間のカーヴの温度が高いと、熟成が早く進んでしまうから。
今回の取り組みから、今後アンフォラの比率を上げていった方がいいかもしれないと思っている。
私達の魅力の一つである、フレッシュさとピュアさ保つためには、今後様々が工夫が必要になってくる。』
と話していました。

4)Echezeaux Grand Cru V.V.2017 (Jean-Marie Fourrier)

ネゴシアンもので、2011年から造り始めたキュヴェ。65年の樹齢のブドウを使用しています。
硬質的でミネラルに富み、酸も豊か。厳格な印象です。

5)Latricieres Chambertin Grand Cru V.V.2017 (Jean-Marie Fourrier)

同じくネゴシアンもの。
『有名なドメーヌが持っていないのでその魅力があまり知られていないが、森のすぐ横の畑で夏も涼しいだよ。』
味わいは、はじめやや線の細い印象を受けましたが、それは決して悪い意味ではなく、繊細でありながら徐々に複雑が増していき奥行きがあります。全ての要素において調和がとれ、ミネラルも豊かです。元々フーリエのワインは繊細ですが、これは最も品があり女性的なワインでした。
ジャン・マリー氏いわく、
「ピノ・ノワールのミネラルを感じでもらう事ができるワイン。」とのこと。

6)Gevrey Chambertin 1er Cru Clos Saint Jacques V.V.2017 (Domaine Fourrier)

ドメーヌ・フーリエの最大にして最高の畑。もはや別格の品質を誇る「クロ・サン・ジャック」。
ダークチェリーに、トリュフ、牡丹を思わす華やかな香り。
シルキーなのに、様々な成分がつまった凝縮感があり、複雑で圧倒的なスケールです。芳醇でエレガンス、余韻も長く続くフィネスのワイン。

7)Chambertin Grand Cru V.V.2017 (Jean-Marie Fourrier)

樹齢80年くらいの古樹。
『シャンベルタンは力強いイメージのため、普通なら新樽でしっかりと熟成させる事が多い。しかしそうはしないで、5樽(新樽、1年、2年、3年、4年目)を使用しアッサンブラージュして造っている。』
流石、王者の貫禄というべきか。ずば抜けたポテンシャルの高さ。骨格をなすタンニンと、古樹由来の凝縮した旨味。それがフーリエの繊細さと上手く調和しています。熟成したらより真価を発揮するに違いないワイン。これには圧巻です!

ドラジェ取り扱いのフーリエのワインはこちら>>

最後に…

超一流の生産者であり、世界中の憧れの的でもあるジャン・マリー・フーリエ氏は、もっと気難しい方だとばかり思っていました。

しかし今回のセミナーを通じて感じた印象は、物腰が柔らかで真摯に受け答えしてくださる方で、こちらが理解できるまで丁寧に分かりやすく説明してくださいました。

ワインに対してピュアで純真で、柔らかな人。まさに、シャン・マリー・フーリエが造るワインそのものの様な人でした。

  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*