暑い夏にごくごく飲みたい!ソムリエおすすめ微発泡ワイン

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微発泡ワイン

近頃ワイン売り場で時々見かける、栓が「王冠」のワイン


私も初めて出会った時、一瞬「?」となり、「王冠」=「ビール」という短絡な発想で、泡のワインなんだろうなぁとは思いました。家に帰って、飲んでみると…なんだか癒されるシュワシュワの優しい泡、ワインそのものも味わいもしっかり!ものすごく美味しい!

と、瞬く間に虜になってまったワインは、フランスの「ペティヤン」というものでした。フランスの「ペティヤン」以外にも、世界中で造られている微発泡ワインはまだまだあります。


ちょっとブームが来ているかもしれない?今回は、そんな「微発泡ワイン」をご紹介したいと思います。

そもそも「微発泡ワイン」とは?

ペティヤン

読んで字のごとく「炭酸が弱い」ワインなのですが、ではどれくらい弱いのかというと、泡ワインの王様「シャンパン」の瓶内気圧が5~6気圧、それより少し優しい泡ワイン「クレマン」は3.5気圧前後。では微発泡ワインはどれくらいかというと、2.5気圧以下のものという規定があります。一般的なビールは2気圧前後だそうなので、微発泡ワインは、ビールみたいな感覚でぐびぐびいけちゃうのかもしれません。(私事ですが、実は、炭酸が苦手な筆者。微発泡ワインの強すぎない泡の感じが非常に心地よいです。)

 

ひとくちに「微発泡ワイン」と言っても、様々なものがあります。
フランスには「ペティヤンPetillant」、イタリアには「フリッツァンテFrizzante」「ランブルスコLambrusco」、スペインには「チャコリTxakoli」、ドイツの「パールヴァインPearl Wein」、ポルトガルの「ヴィーニョヴェルデVinho Verde」などなど。最近では、カリフォルニアやオーストラリア、南アフリカ、日本のワイナリーの造る微発泡ワインも見かけるようになってきました。

 

「微発泡ワイン」ここがいい!

NZSB
「微発泡ワイン」、おだやかな泡立ちで優しい飲み口、低めのアルコール度数のものが多いです。ということは…するするっと気負いなく飲めるのが、微発泡ワインのいいところ!炭酸が苦手な方や、ワインがちょっと苦手な方にもおすすめなんです。

 

微発泡ゆえ、すぐに炭酸抜けちゃうのでは?という心配もありますが、やっぱり他のスパークリングワインに比べると、泡の持続時間は短いのは事実です。しかし、泡が抜けた後の「微発泡ワイン」もまた乙なもの。スティルワインとして飲んでも、また違った風味が楽しめる、ひと瓶で二度美味しいのも「微発泡ワイン」の魅力のひとつです。


では、各国の「微発泡ワイン」を紹介していきます。

フランスの微発泡ワイン「ペティヤンPetillant」

フランス語で「ペティヤンPetillant」は、「パチパチはねる」という意味。たしかに細かい泡が、パチパチはねてます。
フランス国内では、ペティヤンのAOCがあるロワール地方をはじめ、ブルゴーニュ地方やジュラ地方でも造られるようになってきました。

自然派のペティヤン「ペット・ナット Pet-Nat」

ロワール
ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)の造り手が多い、ロワール地方。彼らは、ぶどう栽培から醸造まで、できるだけ人の手を介入させないワイン造りを行います。自然派の生産者が造るペティヤンが「ペットナット」です。最近では、ドイツやオーストリア・オーストラリアやカルフォルニアでも、自然派のペティヤン「ペットナット」が造られています。

 

この「ペットナット」、普通のスパークリングワインの造り方とは少し違い、「メトッド・アンセストラル」という造り方で造られます。

 

ペティヤンの造り方「メトッド・アンセストラル」は、一次発酵中のワインを発酵途中で瓶詰めし、続きの発酵を瓶内で行うというもの。瓶詰めする時には、なにも加えません。野生酵母を使い、糖類の添加もしない、つまり自然の力に任せる訳です。そのため、瓶内におりが残っていたり、生産者の想定以上の発酵をしてしまうなんてこともよくあります。

 

対して、同じ瓶内発酵を行うスパークリングワイン(「瓶内二次発酵」という言葉をよく聞くと思いますが)シャンパーニュやクレマンは、アルコール発酵(一次発酵)の終わったワイン(原酒)に、酵母や糖分などを加え、再び瓶詰め後、瓶内で再び発酵させ、炭酸を得ます。

 

「メトッド・アンセストラル」で造られる「ペットナット」、どれも優しくて奥深い味わいなのですが、自然なゆえに個体差があるのも事実。どんなに気を付けても、吹きこぼれる確率が高いのも、ペットナットです。もしそんなペットナットにあたってしまった時は、「酵母が元気だったんだな」とおおらかな気持ちでいてあげてくださいね。

 

「ペットナット」を飲むときの注意事項


いざ開栓したら、吹きこぼれちゃった(泣)という惨事?を防ぐためにも、抜栓前に少しだけ注意が必要です。筆者は、楽しみにしていたペティヤン、半分なくなってしまったという過去があります。先日、社内で試飲した時も、吹きこぼれる吹きこぼれる…。


『開ける前には、しばらく静置したまま、よーーく冷やす!』
これを守れば、ほぼ大惨事にはならないはずです。45度に傾けて抜栓すると良いという記事も見かけましたが、抜栓の際は、万が一を考えて、お皿などを敷いておくことをお勧めします。

 

「ペットナット」ソムリエおすすめの3本

ソムリエ達べた惚れ!ぜひ飲んでほしいペットナット

ペティヤン・ロゼ ポウ・ブロウ・ウィズ 2018 レ・ヴァン・コンテ ロゼ Petillant Rose Pow Blop Wizz / Les Vins Cont?s

「ペティヤン・ロゼ ポウ・ブロウ・ウィズ」  レ・ヴァン・コンテ ロゼ  

パリの有名レストランでソムリエをしている時、自然派ワインにショックを受け、ソムリエをやめ、ボジョレーの自然派ワインの大御所マルセル・ラピエールのもとで、ワイン造りを学んだ造り手のオリヴィエ・ルマッソンさん。2002年から自身のワイナリーで生産を始め、年々、評価上がっている造り手さんです。

カベルネフランとコー(マルベック)で造られたこのペットナット、フレッシュな泡立ちのストロベリーピンク外観で、イチゴやアセロラ、プラム?梅干し?のような懐かしい感じのアロマも漂います。フレッシュフルーツをかじった時のような瑞々しくジューシーな口当たりと、きゅっと引き締めてくれる苦味で、いつまでも飲み続けたいと思わせるドライな味わいが心地の良い逸品です。当店のソムリエ達にもファンがたくさんいます。


シャンパーニュにも通じるコクとうまみのペットナット

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「ペティヤン ナチュレル ミリアール・デトワール NV」 ドメーヌ・ド・ラ・ギャルリエール

ロワール地方南トゥーレーヌにあるドメーヌ・ド・ラ・ギャルリエール。徹底したビオディナミの生産者で、毎日のリズム(大地の呼吸)、毎月のリズム(月の満ち欠け)、 毎年のリズム(太陽の動き、冬至、夏至、春分、秋分)を大切にし、自然の声に耳を傾け、ワイン造りを行っています。ともすれば、不安定な味わいになってしまうビオディナミのワイン、しかしこのドメーヌの造るものは、誰が飲んでも素直に美味しいと思ってもらえるワインです。
ワインの名前「ミリアール・デトワール」は「何億もの星」という意味。なんともロマンティックなネーミングです。シュナンブランらしい、かりんや蜜りんごのような香りと、イースト香。泡立ちも穏やかで、果実味・酸味のバランスがよく、コクがあり、少し飲みごたえのあるペットナットです。


オーガニックのカベルネ・フランを100%使用したペットナット

ビュル・ルージュ・ド・ミニエール ブルグイユ NV」 シャトー・ド・ミニエール 

カベルネ・フランの持つフィネスを存分に表現する稀有な地区の一つであるブルグイユの名門『シャトー・ド・ミニエール』。このドメーヌは、2世紀に渡り女性によって受け継がれてきました。畑仕事は、手作業で行われ、丁寧に育てられたぶどうを使って、ワインが造られています。
深いルビー色でややにごりのある外観。ラズベリーやカシス、桜の花を思わせる香りとカベルネ・フランらしいグリーンのトーンもあります。フレッシュさがありながらもしっかりした果実味で、かすかにスパイスのニュアンス。少し甘みも感じるので、デザートワインとしても楽しめそうです。

 

イタリアの微発泡ワイン「フリッツァンテ」と「ランブルスコ」

軽い飲み口の「フリッツァンテFrizzante」


イタリアを代表する微発泡ワインのひとつが、「フリッツァンテ(フリザンテという表記も見かけます)」。
こちらは、ステンレスタンク内で発酵させたワインに、少量の炭酸を注入して造る「シャルマ方式」の微発泡ワインです。軽い飲み口で、食前酒としてはもちろん、どんな食事にも合わせやすくて重宝します。


「フリッツァンテ」のワイン栓ですが、普通のスパークリングワインのキノコのような形のコルクではなく、スティルワインのコルクが使われているケースがほとんどです。一見わかりにくいかもしれませんが、ラベルに「Frizzante」という表記があったら、少しシュワっとするワインなんだなと思ってください。

 

ソムリエおすすめのフリッツァンテ

サルディーニャ島産まれ エビラベルのフリッツァンテ

アラゴスタ ヴェルメンティーノ フリッツァンテ NV サンタ・マリア・ラ・パルマ 白 <br>Aragosta Vermentino Frizzante / Santa Maria La Palma
「アラゴスタ ヴェルメンティーノ フリッツァンテ NV」 サンタ・マリア・ラ・パルマ

日本ではあまり見かけない、サルディーニャ島で造られたフリッツァンテ。サルディーニャ島でたくさん捕れるエビのラベルが印象的なこのワイン、当店スタッフの間では通称「エビのワイン」です(笑)。
このフリッツァンテ、レモンやグレープフルーツを思わせる柑橘系、トロピカルフルーツに青リンゴなど、 みずみずしい果物がめいいっぱい詰め込まれ、フレッシュフルーツをほおばった時のような、気分がリフレッシュされる味わいです。実は、このエビワイン、フリッツァンテだけでなく、スティルワインとスプマンテもあります。飲み比べしてみるのも一興です。

 

赤い微発泡ワイン「ランブルスコLambrusco」


もうひとつ、イタリアを代表する微発泡ワインといえば、「ランブルスコ」
甘口から辛口まで、イタリアでは実に300種類以上のランブルスコが造られています。


甘いイメージがあるランブルスコですが、近年、辛口のランブルスコも造られるようになり、フレッシュでフレンドリーなワインとして、注目されています。赤のランブルスコが多いですが、ロゼや白のランブルスコもあります。

 

「ランブルスコ」の故郷は、生ハム(プロシュート)やパルミジャーノ・レッジャーノ、ボロネーゼやラザニアで有名な、美食の州エミリオ・ロマーニャ州。よくイタリアを長靴に例えますが、長靴の履き口のあたりにある州です。

 

少し脂っこい郷土料理を、少し渋みも感じられるランブルスコの泡がさっぱりさせてくれる、まさにマリアージュ!その土地のものには、その地のワインが一番ですね。

 

黒ぶどう

ところで、この「ランブルスコ」という名前、使われている黒ぶどう品種の名前なんです。ランブルスコ種は、華やかな香りと酸味が魅力。ランブルスコ種にも亜種があり、ランブルスコ・ディ・ソルバ―ラ、ランブルスコ・グラスパロッサ、ランブルスコ・サラミーノ、ランブルスコ・マラーニなどがあり、味わいもそれぞれです。


ランブルスコを選ぶときに、目安にしてほしいのが、ラベルにある表示。
「Seccoセッコ」は辛口、「Amabileアマービレ」はやや甘口、「Dolceドルチェ」は甘口のランブルスコです。

 

ランブルスコの味わいはというと、微炭酸の泡と、軽やかな渋み、そしてフレッシュな果実味。低アルコールゆえ、飲み口も軽やか。こってりした料理やしっかり濃い味付けの料理にも合わせやすいです。そして甘口のランブルスコは、ほのかにぶどうの甘みが残り「大人のファンタグレープ」という感じ。お酒が苦手な方でも、美味しいと感じていただけるはずです。


筆者のおすすめは、なんと言っても「生ハムとランブルスコ」!生ハムの塩気とランブルスコのほのかな甘み…甘いものしょっぱいものの無限ループ、ますますランブルスコがすすみます(笑)!

 

ソムリエおすすめのランブルスコ

バーベキューのためのランブルスコ!

ランブルスコ キューイング NV 赤 <br>Lambrsco Q-Ing  スピード出荷
ランブルスコ キューイング NV 赤 

日本バーベキュー協会が認めたバーベキューのためのランブルスコです。バーベキューの本場アメリカでは、バーベキューのことを「Q」というそうで、「バーベキューをする」という意味の造語「キューイング Q-ing」が産まれました。始まりの合図「キュー」にもかけて、バーベキューの始めの乾杯から飲んでほしいということで、ネーミングされたそうです。
きめ細かな泡が口の中に残る油分を洗い流し、ほのかな渋みで、お肉や濃厚な味わいの料理と相性が抜群。バーベキューだけでなく、お肉料理全般ととてもよく合います。

 

あの「メディチ家」所有のワイナリー。正真正銘No.1のランブルスコ!!

ランブルスコ コンチェルト 2018 メディチエルメーテ 赤<br>Lambrusco Concerto Reggiano / Medici Ermete   スピード出荷


ランブルスコ コンチェルト 2018 メディチエルメーテ 赤 

イタリアで安ワインとして扱われてきたランブルスコのイメージを払拭したのが、このランブルスコの造り手メディチ・エルメーテ。2008年ヴィンテージのコンチェルトが、権威ある評価紙ガンベロ・ロッソ誌で最高評価「トレ・ビッキエーリ」を獲得すると、その後10年以上連続して同賞を獲得し続け、現在も記録更新中です。
フレッシュなブルーベリー、カシスなどの、ベリー系のフレッシュな果実の香り。優しい泡立ちと共に果実味と乳酸系のふくよかな風味が口に広がります。程よいタンニンと果実の凝縮感のバランスが良く、チーズたっぷりのピザなどのイタリアンをはじめ、ふだんの食事にも合わせやすいエレガントなランブルスコです。

 

スペインの微発泡ワイン「チャコリTxakoli」

DOチャコリ

フランスとの国境に近い、カンタブリア海をのぞむスペイン北部バスク地方で、昔から飲まれている地酒が「チャコリ」です。日本ではあまり馴染みのないチャコリですが、アメリカではその味わいに惚れ込んだソムリエ達の口コミで人気となり、ニューヨークでは毎年「チャコリフェスティバル」が開かれるなど、ちょっとしたブームになっているそうです。

 

ピンチョス

バスク地方もまた美食で有名なところ。世界屈指の美食の街として知られる、バスク地方の中心都市サン・セバスチャンのバルでは、ピンチョスと呼ばれるひと口サイズのおつまみや小皿料理と一緒に、チャコリが供されています。

 

バル巡りが楽しいサン・セバスチャンのバルでの名物パフォーマンスが、「エスカンシア」というボトルをグラスの数十センチ上から注ぐチャコリの注ぎ方。高い位置から注ぐことで、チャコリ特有のとがった感じの酸味を和らげ、飲みやすいチャコリになるそうです。おうちでチャレンジするときは、グラスのふちから、徐々にボトルを上げていく方法をお勧めします!(笑)

 

さて、チャコリの味わいはというと、海が近いこともあるのか少しの塩味とスダチのような爽やかな酸味ミネラル感たっぷり。軽くて飲みやすく、魚料理や和食にもぴったりな微発泡ワインです。

 

ソムリエおすすめのチャコリ

シーフードにぴったり!爽やかなチャコリ


エヌ・ケー・チャコリVol.2D.Oチャコリ・デ・ゲタリア[2017]エヌ・ケー・ワインズ<白><ワイン/スペイン>

エヌ・ケー・チャコリ Vol.2 D.O チャコリ・デ・ゲタリア 2017 エヌ・ケー・ワインズ

フランス国境にほど近いバスク地方の街サラウツにあるワイナリー。長年チャコリ用のぶどうを栽培してきましたが、30年ほど前に自身でワイナリーを設立、以来、認証はありませんが、ぶどう栽培から醸造まで、ビオディナミに基づき、すべて手作業でワイン造りを行っています。ラベルに書かれた「Nikiniki Nakanaka」という文字、スペインで友人同士の冷やかしなどに使われる言葉だそうです。
フレッシュな酸味と白い花の香りで、黄色いプラムのような果実味と、ほのかな潮の風味を感じるチャコリです。シーフードや、チキンなどとの相性は抜群です。

 

おしまいに

「微発泡ワイン」の魅力、お伝え出来ましたでしょうか?

キンキンに冷やした微発泡ワイン片手に、のんびりまったり…なんて、素敵すぎる時間!
少しぬるくなってきても、泡がなくなっても、またその味わいを楽しめる、何度でも美味しい微発泡ワイン、ぜひぜひ味わってみてくださいね。
くれぐれも飲みすぎには、注意です!(笑)

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