ワインの「フルボディ」ってなに?いまさら聞けないコトバ解説します!

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「フルボディ」
ワインのラベルや説明、売り文句なんかで見たことある方も多いと思います。

よく目にしますが、実は結構あいまいな表現で、初心者の方はもちろんワインをよく飲む人にとっても、戸惑いや不安、疑念の元になっていることが多いはず。

今回はフルボディをはじめ、そのほかのボディの表現に関しても解説していきたいと思います!

ボディとは?

まずは、ワインにおけるボディとはどんな特徴を表しているのか、を簡単に解説していきたいと思います。

簡単に表現すれば、フルボディは口当たりが重く濃厚で、複雑な味わい、ライトボディは口当たりが軽く軽快で、フレッシュな味わい、ミディアムボディはその中間。と表現することができます。

ただあるひとはフルボディのボルドーだな、と感じたワインでも、人によってはミディアムボディか、と感じることもあります。(さすがにフルボディとライトボディの間にはこんなことは起きないと思いますが・・・)

つまり飲む人の経験値や好み、ともするとその日の体調によっても左右されてしまうことがあります。それを前提にして次からボディを決める要素の話をしていきます。

ちなみに、赤ワインにボディの表現を使うことが多いので勘違いしがちですが、白やロゼワインにも使っていい表現なので、安心してください!

ボディってどうやって決まるの?

ボディを決める要素は?

そんなことは言ったものの、やはりある程度の判断基準は欲しいもの。そこで大まかにボディを決める要素を紹介していきます。

主にボディを決める要素としては3つあります。

・アルコール度数
・ブドウ品種
・熟成に使われる樽

です。

その他にも収穫時や醸造時等に様々な要素があるのですが、おおよそこの3つで決まります。

アルコール度数

一般的にはアルコール度数が高い方が、フルボディになりやすいです。

そもそもアルコール度数の高低は、ワインの口当たりの重さやコクを左右する要素です。またアルコール度数を引き出すために長く発酵すると、味わいや渋みなどが強く抽出され、フルボディになりがちです。

一概には言えないのですが、アルコール度数が13%以上あるワインは、フルボディである傾向が強いです。

とはいえアルコール度数が高いだけでは、フルボディだと決められないのが少々難しいところ。低くてもフルボディの味わいを持つワインもあります。

ブドウ品種

次にブドウ品種です。品種もボディに大きく関係してくるところです。

ここで重要な要素となるのが、タンニン。ワインの渋みを左右するタンニンの量は、果皮や種子に由来するといわれ、これは品種ごとにある程度決まっているものです。

一般的に白ワインは果汁だけで発酵しますが、赤ワインは果皮や種子も入れて発酵することが多く、より多くのタンニンを抽出できます。

これが渋みとなってワインの一要素となり、フルボディのワインを形作る骨格となります。

タンニンの多い代表的なブドウ品種
・カベルネ・ソーヴィニヨン
・シラー
・メルロー

代表的なブドウ品種なので、国際品種を挙げましたが、土着の品種にもタンニンが強い品種は存在します。ネッビオーロやプリミティーヴォがそうですね!

ただこれも、このブドウ品種を使っているから、フルボディ!なんて決めつけられないもので、産地やワイナリーの考え方によって変わります。

熟成に使われる樽

3大要素の最後が熟成に使われている樽、です。よほど早飲みでなければ、ワインには熟成期間があり、その間を何に入れて過ごすかで、ボディが変わってくることがあります。

フルボディのワインによくみられるのが、木樽熟成のもの。ワインの醸造過程では得られない、樹の香りや独特のコク、風味が得られ、より複雑な味わいのするワインに変貌していきます。

ステンレスタンクや瓶内での熟成では、こういった特有の香りや味わいが付かないため、フルボディにはなりづらいのですが、これも一概には言えません。

ちなみに木樽でも種類や大きさによって変わってくることがあるのですが、これはこれでとても壮大で複雑な話になってくるので、今回は割愛します。

その他

もちろんこれ以外にも、ワインの味わいを強くするために行ういろいろな技術があり、代表的なものが以下です。

・アパッシメント製法
ワインを陰干しして水分を抜き、糖度の高いブドウを作り、そのブドウを用いてワインを醸造する技術。主にイタリアの銘酒アマローネで使われるため、アマローネ製法ともいわれます。

・スキンコンタクト
主に白ワインで用いられます。別名:マセラシオン・ペリキュレール
発酵前に果汁と分けずに果皮と接触させ、風味を抽出すること。果皮にしかない風味や香り、ある程度のボディが得られます。

・マロラクティック発酵
詳しいことは省略しますが、ワイン内の乳酸を増やす方法。特徴としてまろやかで酸味がやわらげられ、複雑性が増すワインが出来上がります。

要するに、先に書いた3大要素+αのバランスでボディの判断がなされる、と考えたほうが良いと思います。

代表的な銘柄

正直こんな風に説明されても、ふわっとしか理解できませんよね。なので代表的な銘柄を紹介していきます。

地域単位、原産地呼称単位、ブドウ品種などちょっと統一しづらいのですが、なんとなくワイン選びの参考になれば、幸いです!

ちなみに前に書いた通り、人によってボーダーラインは異なりますので、飲んだ時の感想が違っても許してください。

フルボディ

・メドック オー・メドック

ボルドーのなかでも格付シャトーが集合するメドックやオー・メドックは、フルボディの代表格ともいえるでしょう。

カベルネ・ソーヴィニヨンを主体にし、樽熟成を長期間施す、しっかりとしたコクと凝縮された風味、長い余韻を持ったボルドーはいつの時代も愛好家を魅了してやみません。

ただ近年ではそういった風潮から脱却し、エレガントでスムースなワインを志す生産者も存在し、一概にメドックだから間違いなくフルボディ、と言う判断はできない時代となってきています。

・スペイン リオハ

スペインのトップ銘醸地リオハ。近代ワイン作りのルーツがボルドーにあることから、やはりフルボディの代表格。

ただ主要品種がテンプラニーリョであることと、樽の主材がボルドーと違い、異なる香りが出るアメリカンオーク樽を使用することから、独自のワインが生み出されます。

また樽を使った赤はフルボディですが、樽を使わないとテンプラニーリョの果実味が前面に出た、ミディアムボディのワインになります。
ちなみにリオハの白は希少で、生産者により味わいがかなり異なります。

・カリフォルニア

カリフォルニアと一口に言っても、かなりの広い産地になりますが、おおむねフルボディのワインとなります。

ブドウの生育がかなり健全に進み糖度を蓄えるため、アルコール度数も果実味もしっかりとしたワインに仕上がります。そのため樽を使わずともフルボディのワインになりやすく、近年ではフルボディのファースト・チョイスともいえるでしょう。

カリフォルニア北部や海側にある畑のブドウを使った、または生産者の考えによってはエレガントなミディアムボディも存在します。

・オーストラリア

南半球に位置するオーストラリアも太陽に恵まれ、ブドウがしっかりと糖を蓄えます。カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーズを使ったフルボディのワインを多く見つけられます。

安い価格帯でも樽を使ったワインを見つけることができ、もともとのコストパフォーマンスの高さに伴い、フルボディで飲みごたえのあるワインもリーズナブルに手に入ります。

しかし南極に近いタスマニア島や銘醸地ヤラ・バレーを擁するヴィクトリア州は、世界でも指折りの冷涼地帯のため、酸が主張するライト~ミディアムボディのワインとなります。

・チリ

オーストラリアと同じ南半球にあるチリも、フルボディのワインが見つかる産地です。特にカベルネ・ソーヴィニヨンは、日本でも人気で数多くの銘柄が輸入されてきています。

ただ南北に長い国土から、多種多様なワインが生み出されるチリという国の都合上、細かい生産地を見ないとフルボディワインだけを見つけ出すのは難しいかもしれません。

おすすめなのは、コルチャグア・ヴァレー、アコンカグア・ヴァレー、マイポ・ヴァレーが温暖な生産地のため、フルボディのカベルネ・ソーヴィニヨンが作られます。

ミディアム

・グラーヴ、右岸ボルドー

オー・メドック地区からさらに上流にいったところにある産地グラーヴと、サン・テミリオンを代表とする右岸は、ボルドーの中でもミディアムボディの銘酒が多いところです。

メドック地区に比べると柔らかく軽やかな印象のグラーヴと、メルロー主体でしなやかで果実味の強い右岸は、左岸のフルボディボルドーほど骨格が強くないため、バランスが取れた味わいとなります。

ただ価格が高くなればなるほど、フルボディに近づいていく傾向もあるため、そこは要注意ポイントです。

・ブルゴーニュ全般

フランス二大銘醸地のひとつブルゴーニュは、ピノ・ノワールのトップ生産地。ピノ・ノワールは酸が特徴のため、ボルドーに比べミディアムボディのワインが多く見られます。

しかし小規模生産者が星の数ほど存在しているため、醸造方法や畑の位置、生産者の考えによってライト~フルボディまで点在し、しかもそれが判別しづらいということが最大の注意点。

ブルゴーニュ愛好家はそういう細やかな機微を楽しんでいるところがあるので、おおむねミディアムボディ、という認識でよいかと思います。
ちなみに白も同様に、多種多様なワインがあります。

・ニュージーランド

ソーヴィニヨン・ブランの銘醸地マールボロのあるニュージーランド。
実は地理的に南極に近いため冷涼で、ピノ・ノワールが良く育つミディアムボディ産地です。

比較的温暖な北島で、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローを主体にボルドー・ブレンドも作られていますが、スマートで酸味の効いたタイプが出来上がります。

ただいずれのワインも、果実味や旨味などが全くないわけではなく、秀逸なバランスが取れているので、ミディアムボディとしました。

・世界各国の冷涼地

すごくざっくりとした表現なんですが、世界各地に点在する冷涼産地では、ライト~ミディアムボディのワインが作られます。
いわゆる「クール・クライメット」のワインですね。

分かりやすいのが、先ほどフルボディ産地で出てきたオーストラリアのタスマニアやヤラ・ヴァレー、チリでのカサブランカ・ヴァレー、サン・アントニオ・ヴァレー、カリフォルニアでのロシアン・リヴァー・ヴァレー、カーネロス、サンタ・マリア・ヴァレーなどがあげられます。

ブドウ品種もワインの性質もそれぞれなのですが、バランスに優れたエレガントでスマートなワインが作られます。

ライトボディ

・ボジョレー

11月の第三木曜日に解禁されることで有名なボジョレー・ヌーヴォー。
このヌーヴォー自体、ライトボディの代表格ですが、ヌーヴォーじゃないボジョレーもライトボディに分類されます。

とはいってもそこまで流通しておらず、どこか不遇なAOCなのですが、実は和食に合うような柔らかさと滋味を持ったワインでもあります。個人的にはヌーヴォーじゃないボジョレーは、もっと流行ればいいのにな、と思っています!

ちなみに上位AOCのクリュ・デュ・ボジョレーは、同じブドウ品種を使っているにもかかわらず、ミディアムからフルボディほどの重たさを持っています。

・ガメイを使ったワイン全般

ボジョレーのようにガメイを使ったワインは、基本的にはライトボディのワインに仕上がることが多いです。

ブルゴーニュ内AOCコトー・ブルギニヨンはピノ・ノワールに加え、ガメイも使えるワインで、生産者の考えによってはライトボディになります。

そのほか、南仏やロワール、オーストラリアで散見されるガメイのワインですが、果実味が前面に出た親しみやすく、軽快なワインが多くあります。

・リーズナブルなピノ

もともとが酸味の強いピノ・ノワールなので、価格をリーズナブルにして生産量を多くすると、ライトボディに仕上がることがままあります。

どんな産地にも手に取りやすいピノ・ノワールはあると思うので、どこどこの産地にある、などは特定できないのですが、冷涼地に多い印象を受けます。

いずれにしても飲んでみないとわからない&ひとによってボーダーラインが違うので、そこまで気にすることでもないかと思います。

終わりに

ここまでフルボディ、ミディアムボディ、ライトボディについて解説してきましたが、理解は深められたでしょうか?皆様の知識の足しになっていれば幸いです。

何度も言いますが、ボディに関してはその人の経験、知識、舌の感度などの部分が大きくウェイトを占めますので、ひとつの目安程度にワイン選びに生かしてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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