自宅で料理とワインを合わせてみたい、そう思って調べてみると…。
どのサイトもなんやかんや小難しい話が書いてあって、結局断念しちゃったなんて事はありませんか?
今回はそんな方たちのために、ワインと料理のペアリングについて、日本一簡単な解説を目指したガイドをソムリエたちが作りました!
とにかくわかりやすさを優先して書いたので、ワインビギナーの方にも抵抗なく読んで頂けると思います。
気取らないワインと料理のマリアージュ、ぜひ楽しんでくださいね!
目次
ワインと料理のペアリングは難しいという誤解
一般的なワインの味の解説を見てみると、だいたい抽象的で謎の用語も多いです。
「オイリーな風味の果実味」
「クローヴなどのスパイスに腐葉土の香り」
「火打石を思わせるミネラリーなアロマ」
これらは本当にあるワインの表現ですが、基本的にイメージが沸きづらいし、ここまでいくと美味しそうな感じがしないような…。
日本人にとっていまだにワインの敷居が高いのは、こういった点も要因の一つかもしれません。
さらに料理とのペアリングを調べようとすると、ブドウ品種やら味の傾向やらがビッシリと書いてあるから…逆にワケがわからず難解に思えるんですよね。
でもそれって大きな誤解!
ワインと料理のペアリングって、全然難しくありません。
ヨーロッパをはじめ欧米の家庭では、日本人が缶ビールを飲むように気軽にワインを飲み、日常の一部として楽しんでいます。
そしてワインと合わせる料理についても、難しい事なんて考えていないはず。
なぜなら彼らは、ざっくりとした方向性さえ合っていれば、だいたいペアリングがうまくいくって事を知っているから。
ワインと料理の相性が70~90点なら、それでも十分に美味しい立派なペアリングだし、日本人でも以下を読めば誰だってクリアできるのです。
100点満点のマリアージュはプロの業なので、そこはレストランに任せておきましょう。
それでは難しい話を一切抜きにして、気軽なペアリングの基本を解説していきたいと思います!
ワインのペアリングの分類は4つ
ワインは奥が深いので、細かい事を言い出したらキリがないんです。
そこで今回は、無限にあるワインと料理のペアリングパターンを、大胆にもバッサリと4つに分類しちゃいました!
そして一緒に、それぞれのパターンにあてはまる、具体的な料理名を記載しておきました。
作ろうとしている料理がどんなワインと合うのか、これで一目瞭然におわかり頂けるはずです。
できるだけ多くの料理を挙げておきましたが、もし考えていた料理がなければ、なるべく傾向の似ている料理を探してみてくださいね。
このガイドに従っておけば、ペアリングに失敗するってことはほとんど無いはず。
実際に何回か試してみて、もし「もっと合うマリアージュを追求したい!」と感じてしまったら…それはワイン愛好家として次のレベルに進むべき段階です!
ワインと料理のペアリングパターン1.軽い赤ワイン
軽い赤ワインというのは、一般的に渋みが少なくて、フレッシュで飲みやすい赤ワインの事を指しています。
軽めの赤ワインに合わせる料理は、以下のようなメニューが代表的。
生ハム、肉じゃが、焼き鳥、マグロのづけ、ピザ、トマトソースのパスタ、ミートソースパスタ、手羽先の唐揚げ、ガーリックトースト、餃子、ソーセージのグリル、クセの少ないチーズ
もちろん軽い赤ワインの中にも、たくさんの銘柄が存在するわけですが、ややこしくなるので今回はそれ以上深堀りしません!
んで軽めの赤に合う料理はわかったけど、
「無数にある赤ワインの中でどれが軽めなのかわからん」
ってのが問題なんですよね。
そこで誰でもわかる軽めの赤ワインの選び方、お教え致します!
並んでいるラベルの中から、以下のいずれかの記載がある赤ワインを選ぶ、ただそれだけでOKです!
・PINOT NOIR(ピノ・ノワール)
・CHIANTI(キャンティ)
・BOURGOGNE(ブルゴーニュ)
ピノ・ノワールはブドウ品種の名前で、キャンティとブルゴーニュは産地の名前。
いずれもスーパーやネットショップでよく見かけるので、見つけるのも簡単だと思いますが、以下にいくつかオススメ銘柄をご紹介しておきますね。
軽い赤ワインのおすすめ銘柄
ブルゴーニュ ピノ・ノワール ビオ パスカル・ブシャール 赤
Bourgogne Pinot Noir Bio / Pascal Bouchard
実はブルゴーニュって、フランスを代表する高級ワイン産地。近年は災害の影響などで高騰が続いていて、基本が高かったのにさらに手が出しづらくなってるんです…。そんな中でもこのワインは、ブルゴーニュとしてはかなりお手頃価格。しかも近年注目の高まっている、オーガニック栽培のブドウで造られていて、繊細かつ優しい味わいが楽しめます。
ロッチャルタ キャンティ ウッジャーノ 赤
Roccialta Chianti / Uggiano
フランスと並び「二大ワイン大国」と呼ばれる事もあるイタリア。そんな銘醸地において、イタリアを代表するワインの筆頭格に挙がるのがキャンティです。イタリアの食べ物って言えば、パスタとかピザとかがまず思い浮かびますよね?このキャンティはまさに、イタリアンと合わせたい基本的な銘柄のひとつ。トマトソースのパスタやピザと、絶妙なマリアージュを発揮してくれます。
ワインと料理のペアリングパターン2.濃厚な赤ワイン
濃厚で飲みごたえがあって、渋みのしっかりとした赤ワインの飲み口は、「重い」とか「フルボディ」とか表現されたりします。
濃い赤ワインには、以下のような料理がマリアージュ。
焼き肉、ビーフシチュー、チャーシュー、角煮、すきやき、ステーキ、カツレツ、煮込みハンバーグ、スペアリブ、チーズ全般、豚肉の味噌炒め
ざっと見た印象からして、味の濃そうな肉料理ばかりですよね。
料理が濃い味だから、ペアリングするワインもそれに負けないパワーが必要というわけです。
濃い赤ワインの選び方も、細かい事を言えばいくらでも言えるのですが…今回は敢えて語りません!
ラベルに以下の記載がある赤ワインが、基本的に「濃い」傾向の目印です!
・BORDEAUX(ボルドー)
・CALIFORNIA(カリフォルニア)
ちなみに1,000円前後の安いワインだと、濃い赤ワインというのは種類が少ない傾向があります。
でもボルドーとカリフォルニアなら、これくらいの価格でもかなり渋みがあって、濃厚な味わいが楽しめるものも多いんですよ。
こちらも以下に、オススメ銘柄をご紹介します!
濃い赤ワインのおすすめ銘柄
シャトー・マルセリーヌ・キュヴェ・クートラン 赤
Chateau Marceline Cuvee Coutelin
ボルドーは先程のブルゴーニュと並んで、フランスを代表するワイン産地としてあまりにも有名。高級ワイン産地ではありますが、1,000円前後で入手できる銘柄も増えてきて、近年はスーパーやコンビニでも目にする機会が多くなりました。このワインはボルドーの中でも、ワンランク上のちょっといいボルドーワイン。濃厚で高級感あふれる味わいは、あまりワインを飲まない方でも惚れ込んでしまうかもしれません。
バーレスク ジンファンデル ブティノ アメリカ 赤
Burlesque Zinfandel / Boutinot
カリフォルニア州は、生産量・クオリティ共にアメリカで最高のワイン産地。アメリカの料理って、濃い味付けなイメージがありますよね?そういった味の嗜好を反映してか、ワインもかなりパワフルなものが多いんです。ジンファンデルというのはブドウの名前なのですが、これがワイン界でもトップクラスのパワー系品種!渋みよりも果実味のインパクトが強く、この味から抜け出せなくなるほどハマっちゃう方もいらっしゃいます。
ワインと料理のペアリングパターン3.爽やかな白ワイン
続いては白ワイン部門。
言葉通りスッキリ爽やかな味わいで、クセが少なく酸味のしっかりした白ワインのタイプです。
爽やか系白ワインは、以下のような料理とマリアージュ。
新鮮なお刺身、魚の塩焼き、お寿司、アクアパッツァ、ちゃんこ鍋、海鮮鍋、ブイヤベース、おでん、サラダ、煮物、野菜炒め、マリネ、和食全般
今回分類した4つのパターン中、ペアリングの幅が最も広く、もしかしたら相性が悪い料理の方が少ないかもしれませんね。
日本人の舌にも合いやすく、フルーティーで誰もが抵抗なく飲めるタイプでもあります。
そんな爽やか白ワインの選び方はこちら、ラベルに以下の記載があるものを選んでください。
・VERDICCHIO(ヴェルディッキオ)
・MUSCADET(ミュスカデ)
・SOAVE(ソアーヴェ)
・SAUVIGNON BLANC(ソーヴィニヨン・ブラン)
これらも入手しやすい上に、比較的手頃なお値段で買えるというのもポイントが高いところです!
爽やかな白ワインのおすすめ銘柄
サンタ・アンジェリカ ソーヴィニヨン・ブラン ラヴァナル 白
Santa Angelica / Ravanal
ソーヴィニヨン・ブランは、ハーブみたいな爽やかな味わいが特徴的なブドウ品種。原産地はフランスですが、今や世界各地で造られていて、人気の高いブドウの一つです。このサンタ・アンジェリカは、1,000円前後で飲めるコスパ抜群のチリワインシリーズ。余談になりますが、近年のチリワインの品質は飛躍的に向上し、低価格でもしっかり美味しい銘柄が増えてきています。
名前、めちゃくちゃ長いですよね(笑)最初は名前なんて覚えなくていいので、ぜひ一度飲んでみる事をオススメします。というのもこのヴェルディッキオ、生産国のイタリアでは「海のワイン」なんて呼ばれていて、現地の名物であるシーフード料理と相性抜群!もちろんお刺身やお寿司をはじめ、お魚大好きな日本人の料理とも、素晴らしいマリアージュを発揮してくれますよ。
ワインと料理のペアリングパターン4.濃厚な白ワイン
最後は濃厚な白ワインという事で、こちらも言葉通り濃厚な味わいを持つタイプ。
先ほどの爽やか系と比べると、同じ白ワインなのに傾向が正反対で、こんなにも違うものかと驚かれることでしょう!
濃厚タイプの白ワインは、以下のような料理とペアリングするのがおすすめです。
タルタルソース、揚げ物全般、クリームシチュー、グラタン、クセの少ないチーズ、ムニエル、ホタテのバター焼き、豆乳鍋、カルボナーラ、ラザニア
トロピカルでこってりとしたパワフルな味わいは、クリーミーなお料理と絶妙にマリアージュ。
4つのパターンの中では、選び方が一番難しいのですが…。
白ワインでラベルに以下の記載があるものを探してみてください!
・CALIFORNIA(カリフォルニア)
実は白ワインが濃厚タイプになるかどうかって、ラベルに記載されていない造り方の影響が大きいのです。
なのでソムリエたちでさえ、飲んでみなきゃわからないって場合も多いんですよね。
でもカリフォルニアの白ワインなら、たいていの銘柄は濃厚タイプに造られてるので、これを目印にしておけばほぼ間違いないと思います。
濃厚な白ワインのおすすめ銘柄
マックマニス シャルドネ マックマニス・ファミリー・ヴィンヤード 白
Mcmanis Family Chardonnay
カリフォルニアワインにもいろいろありますが、このマックマニスというワインは、一部の愛好家にもファンが多い人気シリーズ。典型的な濃厚タイプの白ワインで、まったり&こってりした味わいが、クリーム系のお料理と絶妙にマリアージュ。爽やか系の白ワインと飲み比べてみると、「同じ白ワインでもこんなに味が違うんだ!」という事がおわかり頂けると思います。
カレラ シャルドネ セントラル・コースト 白
Calera Chardonnay Central Coast
ワイン愛好家なら必ず知っているのがこのカレラ。カリフォルニアワインを代表する銘柄で、全てのワインが高いクオリティを誇っています。このワインはカレラの中でも基本的なスタンダードクラスですが、その味わいは濃厚なだけでなくどこか上品。バターを効かせたムニエルなどに、ちょっと品のある味付けをしてみると、より一層素晴らしいマリアージュが楽しめますよ!
これだけはやっちゃダメ、NGペアリング3選
ペアリングが難しくないってこと、おわかり頂けたと思います。
でもここで一つ注意!
どれだけ他の食材とマリアージュしたとしても、ワインという存在そのものと、基本的&致命的に合わないNG食材が存在します…。
知らないでペアリングしてしまいガッカリされないよう、この3つだけはチェックしておいてください!
納豆
これぞ最悪のマリアージュの一つ!
私たちは納豆と言えば、臭いものと認識して食べてるわけです。
ところがワインと一緒に食べると、不思議なことに慣れ親しんだ臭いが…
「納豆ってこんなに臭いんだ!」と、改めて気づかされるほどに何倍も何十倍にも拡大!
赤も白もスパークリングも、あらゆるワインとペアリング不可能(笑)
味付けなどを巧みにアレンジして、絶妙にペアリングする猛者の方もいらっしゃるようですが、これができるのは料理もワインも中級者以上でしょう。
一度経験してみるとわかりますが、やめておかれる事をおすすめ致します。
シメサバ
こちらも地獄のマリアージュ!
脂の乗ったシメサバ、美味しいですよね。
こんなにも美味しい食べ物だから、きっとワインに合うとも思いきや、一緒に食べる事ですべてが台無し!
サバの臭みだけが凄まじく強調され、サバの皮だけを口に詰め込まれたような最悪な気分になります…。
爽やか系白ワインのところで、ペアリングの一例にお刺身を挙げましたが、シメサバと合わせるのはかなり厳しいと思います。
鮮度にもよりますが、基本的に生の青魚と合わせるのは危険なので、最初はやめておいた方がいいですね。
一線を超えた辛口料理
最後は破壊のマリアージュ!
辛さがマイルドなキムチ鍋は、スパークリングワインと合わせると絶妙な相性です。
でもこれはあくまで、辛さが「マイルド」な場合の話。
個人差はあると思いますが、辛さの度合いが一定以上を超えてくると、あらゆるワインのペアリングが厳しくなってきます。
想像はつくと思いますが、ワインと激辛料理を合わせても辛さにやられて、香りも味もめちゃくちゃになってしまうんです。
私も辛いものが好きなので残念ですが…激辛とのペアリングにはビールを選んでおきましょう。