ワインと料理の極上マリアージュ!メーカーズディナー参加レポート!

  • LINEで送る
メーカーズディナー

「メーカーズディナー」という言葉を聞いたことはありますか?

メーカーズディナーとは、ワインの生産者やインポーターが主催する「ワインと食事を楽しむ会」のこと。

ワイン造りに関する様々な情報や、ワイン造りにかける想いを直に聞きながら、そのワインとピッタリの食事のマリアージュを楽しむことができるイベントなんです。

今回、筆者も生まれて初めて(!)メーカーズディナーに参加したので、その様子やメーカーズディナーのあれこれを皆様にもご紹介したいと思います!

メーカーズディナーとは?

メーカーズディナー

ワインのイベントというと百貨店での催事や試飲会、ワインフェスやセミナー(最近はオンラインセミナーもだいぶ定着してきましたね!)など、いろいろな形があります。

今回ご紹介するメーカーズディナーは、生産者やインポーターさんが主催する「ワインと食事を楽しむ会」。ワインだけでなくお食事も楽しむイベントとあって、少し上級者向きのワンランク上のワインイベントといえるかもしれません。

メーカーズディナーの良いところ

①生産者やインポーターさんの生の声を聞きながらワインを味わえる

今の時代、紙媒体やネットで商品の情報をいくらでも探せるようになり、ワイン名ひとつ検索しただけで膨大な量の検索結果がでてきます。しかしメーカーズディナーは、生産者の方の話を直に聞きながらワインを味わえることが何よりも魅力!ワイン造りに掛ける想いや裏側を聞くと、より一層ワインへの理解が深まります。

②そのワインに合ったお料理とのマリアージュを楽しめる

自宅でワインに合わせてお料理を決めたりマリアージュするのももちろん楽しいのですが、メーカーズディナーではそのワインと相性の良いお料理を、生産者やプロの方が選んで提供してくれます。ワインと料理のマリアージュは正解が一つではありませんが、自分では思いつかなかった組み合わせやお店ならではのマリアージュと出会わせてくれることもあり、楽しみ方が広がります!

③洗練された雰囲気を楽しめる

ワインに限らずですが、良いお酒・良い食事を楽しむのに環境ってとても重要ですよね。きちんと整えられたテーブルやカトラリー、磨かれたグラス、洗練されたお店の雰囲気。美しく盛り付けられたお料理をスマートにサービスしてもらうことで、非日常のラグジュアリーな気分を味わえます!

筆者もこれまで、試飲会やワインフェス、オンラインセミナーなどは参加したことがあるものの、メーカーズディナーについてはまったく未知の領域。開催のお知らせを見かけることがあっても「ちょっと敷居が高そう…」と思っていましたが、今回輸入元様主催のメーカーズディナーにお誘いいただく機会があり、思い切って参加してみることにしました!

初めてのメーカーズディナーレポ!

初メーカーズディナー

それでは、筆者が初体験したメーカーズディナーのレポートを、実際の写真と共にお伝えしたいと思います!

生産者はニュージーランドで活躍する日本人醸造家

今回参加したのは、ニュージーランドで活躍する日本人醸造家、寺口信生(てらぐちしのぶ)さんの来日メーカーズディナー。寺口さんは、現在約140名いる日本人のエノログ(ワイン醸造技術管理士)の中でも、唯一海外で活躍している注目の日本人醸造家なんです。

寺口信生さん

北海道札幌市出身の寺口さんは、大学で醸造を学んだ後、余市ワインに就職しワイン造りに従事。その後ニュージーランドに語学&醸造を学ぶため留学しますが、当時まだ日本はワイン黎明期ということもあって醸造家の夢を諦め誰もが知る有名高級スーパーマーケットのバイヤーとして活躍しました。

数年後にはその会社の輸入子会社の社長に就任。

しかしどうしてもワイン造りの夢を諦められなかったという寺口さん、約20年に渡って勤めた会社を去ることを決意し、2017年にニュージーランドに渡り念願のワイン醸造家に転身しました!

現在は、Mr.シャルドネと呼ばれる伝説の醸造家ジョン・ハンコック氏や、NZトップワインメーカーに4度選ばれた女性醸造家ミシェル・リチャードソン氏を擁し、ニュージーランド屈指の銘醸地ホークス・ベイに位置するブティック・ワイナリー「モアナ・パーク・エステート」でワイン造りに従事。

そして2022年、自身が手掛けるワイン「睦 MUTU」が日本初上陸を果たしました!

社長の座を捨ててまで醸造家になるという、まさに異色の経歴の持ち主なんです。

会場はニュージーランド料理専門店

マタカナ

今回の会場は、東麻布にある「MATAKANA(マタカナ)」さん。ニュージーランドの羊肉や数多くのニュージーランドワインを揃えるニュージーランド料理専門店です。

店内は地下ですが、採光の採れるテラスなどもあり天井も高く気持ちの良い空間。オープンキッチンでシェフの顔が見える抜け感のある店内で、これから提供される本日のワインがずらりとお出迎え!圧巻の本数です。

本日のワイン

まずは、ウェルカムドリンクとして冷えたロゼワインをいただきました。

このロゼワインも、寺口さんが働くモアナ・パーク・エステートで造っているものとのこと。(ボトル画像は撮りそこねてしまいました)この日は7月初旬の蒸し暑い日だったので、冷えたロゼワインがより一層美味しく感じられました。

ビーフジャーキー

ウェルカムドリンクのおつまみとして添えられたニュージーランド産のビーフジャーキー。とてもしっとりとしていて柔らかく、お肉の旨みが凝縮していました!

メーカーズディナースタート!

会場

続々と参加者の方々が会場に揃い、いよいよメーカーズディナーのスタートです!

先述の通り筆者はメーカーズディナー初参加でしたので、慣れない空気に最初は緊張しておりましたが、席に着き会が始まるとだんだんと緊張もほぐれワインとお料理への楽しみが膨らんできました。

まずは主催者であるインポーターさんと、生産者である寺口さんのご挨拶から。2022年日本でも販売開始したばかりの寺口さんのワインを、ニュージーランドのお料理とともにいただきます!

メニュー

1本目:MUTU 睦(ムツ)シャルドネ

シャルドネ

まず最初に提供されたのが、ホークス・ベイのシャルドネ100%の白ワイン、睦シャルドネ。

香りは柑橘やネクタリンのようなアロマにほのかにナッツなどの厚みを感じ、口に含むとたっぷりとした果実味にフレッシュな酸味が心地よく続きます。ボディにふくらみがあり、懐の深い味わい。

寺口さん曰く、「ムルソーのようなコクのある味わいを意識している」とのこと。その通りの複雑な層を感じさせながら、日本人の舌に合う絶妙なバランスを保っていました!

睦シャルドネ

MUTU 睦 シャルドネ ホークス・ベイ 
MUTU Chardonnay Hawkes Bay

睦シャルドネに合わせるお料理

サーモンのタルタル

合わせていただくお料理は、ニュージーランド産キングサーモンのタルタル。

日本の食卓に合うワインということで、刺し身や寿司にも良く合うという睦シャルドネですが、ここでは贅沢にニュージーランド産のサーモンと合わせていただくことが出来ました!サーモンに程よく乗った脂と酸味のあるタルタルソース、さらにジュレに仕込まれた枝豆の食感と旨みが相まってとても美味しい。こちらを食べた後にワインをいただくと、先程よりもワインの奥にある酸味がはっきりとして感じられ絶妙なマリアージュでした!

2本目:MUTU 睦(ムツ)メルロー/カベルネ・フラン

メルロー

続いて提供されたのは、メルロー主体にカベルネ・フランをブレンドしたボルドースタイルの赤ワイン、睦メルロー/カベルネ・フラン。実はホークス・ベイは、気候がボルドーに似ているのだそう。18ヶ月の樽熟成が効いていて、ブラックベリーやプラムの香りに樽由来の甘みと滑らかなタンニンが広がります。

「ニュージーランドで良く食べられるラム肉にももちろん合うのですが、醤油を使った和食やごぼうなど根菜料理にもよく合うんです」と寺口さん。メルローのふくよかな果実味でスルスル飲み進んでしまいます!

睦メルローカベルネ・フラン

MUTU 睦(ムツ)メルロー/カベルネ・フラン ホークス・ベイ
MUTU Merlot Cabernet Franc Hawkes Bay

睦メルロー/カベルネ・フランに合わせるお料理

牛フィレと穴子

ふくよかなメルロー/カベルネ・フランに合わせていただくのは、ニュージーランド産牧草牛のフィレと煮穴子のロッシーニ仕立て。

レアに焼き上げた牛フィレ肉は噛むほどしっかりと旨みを感じられ、ボルドースタイルのこの赤ワインにぴったり!この相性は間違いありませんね。赤身肉は脂身が多くないので、見た目に反して意外とぺろりといけてしまいました。

写真では隠れてしまいましたが、フィレ肉の下にあるのが煮穴子。身はふっくらとしていて、赤身肉に比べると優しく繊細な味わいで和食に近いところもあり、ともすると赤ワインに負けてしまいそうな気もするのですが…これが、メルロー/カベルネ・フランの柔らかい果実味とほのかなスパイシーさによく合っていました!鰻の蒲焼なんかも合いそうです。新たなマリアージュの世界を知ることが出来ました。

3本目:メッセンジャー プティ 2019

メッセンジャープティ

最後のワインは、寺口さんがMr.シャルドネことジョン・ハンコック氏らと共に造り上げる渾身作メッセンジャー・プティ。年産本数もごくわずかな限定醸造品です。

カベルネ・フラン75%、メルロー22%、マルベック3%の絶妙なブレンド比率。カシスや花のような香りにハーブやスパイスのアロマが加わり、新樽比率50%のオークの香りが複雑に重なります。ワイン名につけられた「プティ」は、まだまだこれで完成ではなく、これからも進化を続けていきたいという想いが込められているのだそう。

メッセンジャー プティに合わせるお料理

ラムチョップ

3本目に合わせるメイン料理は、ニュージランド産スプリングラムの炭火焼きとニュージランド産ホゲットのクレピネット(脂包み焼き)。

やはりニュージーランドと言えばラム肉!ということで、最後は待ちに待ったラムチョップです。スプリングラムはニュージーランドの春~初夏、一番栄養価の高い時期の牧草を食べて育った仔羊で、旬のラム肉とも言えるんだそう。臭みの全くないラム肉と重厚で華やかな赤ワインは至福のマリアージュです!

もうひとつのメインがホゲット。ホゲットという言葉を筆者は初めて聞いたのですが、ラムとマトンの間、つまり仔羊と成羊の間にあたる羊肉のことをホゲットというのだそうです。ラムの柔らかさ、マトンの旨みの両方をもっていて、味わい深く食べごたえもありつつ羊肉初心者でも食べやすいような味わいでした!添えられた粒マスタードをつけると肉の旨味にピリッとアクセントが効いてワインが進む大人のマリアージュになりました!

生産者 寺口さんの想い

寺口さん

ワインとお食事をたっぷり堪能し、あっという間に締めのお時間がきてしまいました。

最後に寺口さんからご挨拶。醸造家になる前も含めると30年近くワインに関する仕事に携わってきた中で、現在日本人醸造家が海外で活躍するようになっていることを嬉しく思っていると仰っていました。ワインはブドウ次第で毎年個性が変わるもの。その年その年のブドウの魅力をワインで表現して伝えていきたいとのことで、本当にワインが好きでワイン造りを楽しんでいる事が伝わってきました。今後の寺口さんの手掛けるワインがますます楽しみです!

おわりに

おわりに

ワインと料理のマリアージュを楽しめるメーカーズディナー。

ワインはやはり人の手で造る農産物。生産者の方の想いを聞くと、手塩にかけて育てたブドウから丁寧に造られるワインはより味わい深く感じられました。遠く離れた異国の地で、こうして日本人の方がワイン造りに挑戦しそれをいただけることに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

メーカーズディナーは初めての参加でしたが、とても勉強になり美味しいワインとお料理を楽しめる有意義な時間を過ごせました!

「メーカーズディナー」で検索してみると、一般の方が参加できるメーカーズディナーの情報も色々と見つけることが出来ますので、興味のある方はぜひ検索してみてくださいね。

今後も、皆さまが楽しめるワイン情報を発信していけたらと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

他にもいらっしゃいます!海外で活躍する日本人醸造家の記事はこちら>>

  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

人気の記事

コメントを残す

*