このワインの造り手「シャトー・ド・サントネイ」は、その名の通り、コート・ドールの南部サントネイ村に9世紀に建てられた、カラフルで美しいモザイク模様の屋根を持つ小さなお城です。


シャトー＝お城、といえば、王侯貴族の持ち物だったわけですが、この「シャトー・ド・サントネイ」、かつての主は「豪胆公」と呼ばれた、初代ブルゴーニュ公国のフィリップ・ル・アルディ。


この豪胆公ル・アルディ、ブルゴーニュワインの歴史において、重要な命令を出した人物。


どんな命令だったのかというと「ブルゴーニュ公国内にあるガメイを、すべてピノ・ノワールに植え替えるように！」というもの。


この時代、ワインは外交における重要なアイテムでした。 豪胆公ル・アルディは、収量が多くなり、凡庸な味わいになってしまうガメイで造られたワインではその役割を果たさないと考え、高貴なぶどうとされていたピノ・ノワールに植え替えさせたのです。（注：現在、ガメイからは高品質のワインが造られています）


彼の妻がフランドル女伯だったこともあり、フランドルの港から欧州中に輸出されたブルゴーニュ公国で造られた高品質のピノ・ノワールは、その知名度を高めました。


誤解を恐れずに言うと、

●ピノ・ノワールの聖地＝ブルゴーニュ

という図式は、豪胆公ル・アルディの勅命がなかったら、幻だったのかもしれないのです！


数百年の歴史を誇るシャトー・ド・サントネイですが、近年のブルゴーニュの地価高騰のあおりを受け、10年ほど前、相続のために自社畑を手放さざるを得ない事態に陥りました。


現在ではクレディ・アグリコールの傘下に入り、その安定した経営基盤から、積極的に設備投資をし、より質の高いワイン造りをするために発展を続けています。所有する畑は、18アペラシオン95ヘクタールの畑になりました。


「良いワインは良い畑から」という理念のもと、このシャトー・ド・サントネイでは、四半世紀にわたり、化学薬品の使用を減らしています。


そうした努力の結果、自然に配慮し、健全で個性豊かなぶどう栽培と衛生的な醸造による高品質ワインの生産を目指して1998年にボージョレ地区で誕生した、テラ・ヴィティス認証を2004年ブルゴーニュ地区で初めて取得、さらに2015年には、フランスの環境認証では最高レベルのＨＶＥレベル3を獲得しています。


また生物多様性の観点から、2016年にはぶどう畑の近くに養蜂場を作り、環境に敏感なみつばちにとって無害な環境、すなわち、人にとっても優しい環境であることを、常に確認しているそうです。


●環境に優しく
●土地の力を最大限に引き出すこと

に重きを置いて、シャトー・ド・サントネイでは、ワインが造られています。


このブルゴーニュ　ピノ・ノワールは、所有するコート・シャロネーズのいくつかの畑から収穫されたぶどうを使用したワイン。ラズベリーやブラックベリーのチャーミングなアロマがありながらしっかりとした果実味もあり、じんわり沁み入る、少し落ち着いた印象のあるワインです。


ブルゴーニュのピノ・ノワールをヨーロッパ中へ広めた王様の所有していた、歴史あるシャトーが造る、環境にもひとにも優しいピノ・ノワール。

この機会に、ぜひお試しください！