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シャトー・ラ・フルール・ペトリュス

Chateau La Fleur Petrus

フルールは花、ペトリュスは聖ペテロ。シャトー・ラフルールとシャトー・ペトリュスの間に位置することから命名。しかし19世紀後半にはペトリュス・ラフルールと呼ばれていました。当時のオーナーはコンスタン家との記録があり、その後ピノー家、モントロワ家、ガレ家と20世紀前半まで多くのオーナーの手に渡りました。

ジャン・ピエール・ムエックス社


1950年、オーナーとなったジャン・ピエール・ムエックス社。現当主の祖父であったジャン・ピエール・ムエックス氏の時代です。現在ではボルドー右岸を中心に数多のシャトーを所有しているボルドー屈指のグループですが、初めて手に入れた畑がこのシャトー・ラ・フルール・ペトリュスなのです(1947年、偉大なワインであるシャトー・ペトリュスの独占販売権を手に入れ、1964年にはシャトー・ペトリュスの株式を獲得します)。

その時のぶどう畑の面積は僅か8ha。当初、ムエックス社の収穫を手伝う労働者が寝泊まりする宿として使われていました。1956年に見舞われた冬の凍結でほぼ壊滅状態になったぶどう畑の全面的ぶどうの植え替えを実施。1991年からはカリフォルニア大学デイヴィス校でぶどうの栽培と醸造を習得した次男、クリスチャン・ムエックス氏が引き継ぎます。

1994年隣接するシャトー・ル・ゲのぶどう畑の半分、古木が多くを占め良質な砂礫と粘土の構成による最良の区画4haを購入しました。またその際に残されていた中世の古い家を改修、新しいセラーを設立しました。

1999年、父ジャンは完全にワインビジネスから引退、1937年に自ら設立したジャン・ピエール・ムエックス社を去ります。そして2003年に永眠。現在、くしくもジャン・ピエール・ムエックス氏死去の2003年から孫に当たるエドアルド氏も運営に参加しています。

2005年クリスチャン・ムエックス氏がシャトー・ラ・プロヴィダンス獲得によってシャトー・セルタン・ド・メイと教会の間にある、粘土質の区画を獲得。2005年から2012年までこの区画のものはジャン・ピエール・ムエックス社の新作として「プロヴィダンス」の名で販売されていました。

2012年、ル・パンの近くにある、そのポテンシャルの高さゆえ、どうしてもこのシャトーを獲得したいと考え、シャトー・ギヨの年老いたオーナーを何年にもわたって説得、エドアルド・ムエックス氏によって非常に水はけのよい砂利質区画、ちょうどトロタノワとル・パンの間に追加したのです。追加した直後は、ル・パンのオーナーがしばらくの間その区画の面倒を見ていました。

そのブドウは非常に樹齢が高く植え替えも進んでいますが、2012年のシャトー・ラ・フルール・ペトリュスは新たに加わった区画全てのブドウを初めて使用したもので、やや出来の劣る区画のぶどうはプロヴィダンスの最後のヴィンテージとされました。徐々に畑の拡大が進み現在では18.7haまで広がっています。

2014年元々の区画にある古い二階建ての館の後継とするため、シャトー・ラ・プロヴィダンスのものだった大きな三階建ての館を迎賓館用に改築し、新しい醸造設備が設置されました。

シャトー・ラ・フルール・ペトリュスの評価


「砂利だけの土壌でできる最上のポムロール」と称えられています。「シャトー・ラ・フルール・ペトリュスは、ペトリュス、トロタノワ、オザンナ、ラフルール・ガザン、ラ・グラーヴといったジャン・ピエール・ムエックス社のほかのポムロールに比べ、重みや舌触りの面で軽さはあるが、しなやかでなめらかな、絹の様な舌触りとエレガンスゆえこれを高く評価している。」とされています。

ヒュー・ジョンソン氏は 「ペトリュスのすぐ脇にあり、同じムエックス運営になる面積13haの葡萄畑。濃密なプラムのフレーバーのある、すばらしい上質のワイン。最も粋なスタイル(そして最も高価な部類)のポムロール」と高評価でほぼ満点の4つ星評価を与えています。

シャトー・ラ・フルール・ペトリュスの特徴


格付けがないポムロールにあって、最も偉大なワインとされる、シャトー・ペトリュス。常にシャトー・ペトリュスに迫り、時にはそれを上回ることさえあるシャトー・ラフルール。このような素晴らしい両シャトーのちょうど真ん中に位置しているぶどう畑。「複雑さとパワーがシャトー・ペトリュス、複雑さとエレガンスがシャトー・ラフルール」と例えられ、二つの畑の特徴を融合させたワインにしています。

しかし、道路を挟んで向かい合っているシャトー・ペトリュスとは土壌が全く異なっています。ここの土壌は大きな砂利が多くて、石ころだらけという感じで粘土や砂はなく、標高33〜38mの高さで3つの区画に分けられます。

北側の区画の砂利は、素晴らしい優雅さをもたらします。夏に注がれる熱で知られている中心部の区画は、甘さとなる要素を多く蓄えます。南側では、柔らかく、緻密で、構造が明確で骨格がしっかりとした要素となります。このような土壌にメルロ91% 、カベルネ・フラン6% 、プティ・ヴェルド3%の割合で栽培しています。