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シャトー・ローザン・セグラ

Chateau Rauzan-Segla

世界的なラグジュアリーブランド「シャネル」のオーナー、ヴェルテメール家が所有する洗練されたマルゴーのエレガンスワイン。メドック格付け第2級に位置ずけれられいる、格式あるシャトーです。

1960年代〜70年代にかけて評価を落としていたものの、1980年代から最新の技術と巨額の投資により、見事に復活を成し遂げました。今では格付け第2級にふさわしい実力を持つシャトーとして認識されています。

シャトー・ローザン・セグラの歴史


シャトー・ローザン・セグラの歴史は、1661年にピエール・デ・メサレス・デ・ローザンが、ガシー家のワイナリーを購入したことから始まりました。このワイナリーは現在、シャトー・ローザン・セグラ、シャトー・ローザン・ガシー、シャトー・デスミライユ、シャトー・マルキ・ド・テルムの4つに分割されています。それぞれが現在も高い評価を受けていることからも、元々のポテンシャルが高い土壌であったことが伺えます。

ピエール・デ・メサレス・デ・ローザンは、このワイナリーを購入する以前は、シャトー・マルゴー、シャトー・ラトゥールでマネージャーを務めていました。また、ピエールはその後ポイヤックの畑も購入しました。この購入したポイヤックの畑は後にシャトー・ピションロングヴィル・バロン、シャトー・ピションロングヴィル・コンテス・ド・ラランドに分割されます。

1692年、ピエールが亡くなると、所有畑は3人の子供に相続されました。弟のテレーズがポイヤックの畑を承継し、兄2人はマルゴーの畑を承継します。その後、このマルゴーのワイナリーは婚姻などを経て、シャトー・デスミライユとシャトー・マルキ・ド・テルムが分離し、1763年にシャトー・ローザン・セグラとシャトー・ローザン・ガシーが正式に分割されました。

ローザン・セグラはこのころから世界中で高い評価を受けていて、第3代アメリカ大統領トーマス・ジェファーソンが1787年にボルドーを訪問し、シャトー・ローザン・セグラの品質に惚れ込み、数ケース注文したほどでした。

1866年、ローザン・セグラは、ユージン・デュラン・ダシエが購入し、彼の養子フレデリック・クルーズが引き継ぎます。クルーズはシャトーの改修や畑の改革を行い、ローザン・セグラの名声は一層高まっていきましたが、その後、フィロキセラや霜害でブドウは深刻なダメージを受け、ローザン・セグラのブドウ畑は多くの植え替えが必要でした。また、設備投資も必要な状態で、莫大な資金が必要になり、1960年、イギリスの海運会社John Holt Ltd.に売却されました。

一時的な低迷、シャネルによる大規模投資による華麗なる復活


1960年〜1970年代はローザン・セグラは低迷します。高いポテンシャルを感じると言わしめながら、果実感やタンニンがバランスを欠いている、との専門家の評価が相次ぎ、ボルドー2級としての格付けからは、かけ離れた評価でした。

1983年になると、改革を行います。ボルドー大学のエミール・ペイノー教授をコンサルタントとして迎え、1986年には20台ものステンレスタンクと近代化されたセラーを備えました。この改革が功を奏してローザン・セグラの評価は徐々に復活して行きます。

そして、1994年【シャネル】のオーナーであるヴェルテメール家に経営が移ると、巨額の資金を投じて更なる大改革を慣行します。ニューヨークのブルガリやフォーシーズンズホテル、銀座のルイ・ヴィトンやディオール、シャネルビルなどを手掛けた建築界の巨匠ピーター・マリノ氏がシャトーの改修を担当しました。

醸造タンクは大型のものから、小型のタンクに切り替え、より正確で繊細な醸造管理が可能になり、畑では度々悩まされていた排水不良による水害で被害を受けたブドウの植え替えや、排水ドレンの埋設を行います。

シャトーそのものから畑、醸造設備に至るほぼ全てで大規模な改革が行われ、ワインの品質は目覚ましく向上し、それに伴い、ワインの味わいや評価も以前の輝きを取り戻しました。

シャトー・ローザン・セグラのブドウ畑


作付け比率は、カベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロー30%、カベルネ・フラン7%、プティ・ヴェルド3%となっており、以前よりもカベルネ・フランやプティ・ヴェルドの作付けが多くなっていることも、品質向上の一助になっているようです。

所有畑は、カントナック高原にあるシャトーに隣接した区画がその主要部分ですが、マルゴーの村の近くやシャトー・マルゴーの近くにも畑を所有しています。メインの畑の土壌は、粘土質で砂利が混じっています。平均樹齢は35年。1ha辺り6,600〜10,000本と状況に応じた密植を行います。

醸造は35台のステンレスタンクで行います。このタンクには41hl〜220hlの大きさがあり状況に応じて使い分けます。マロラクテック発酵はバットで行い、ヴィンテージに応じて、平均18〜20か月の熟成を行います。新樽比率もヴィンテージによって異なりますが、概ね50〜60%です。

シャトー・ローザン・セグラの飲み頃、味わい


ローザン・セグラの飲み頃は、少なくとも12年〜15年の熟成がベストですが、まだ若いヴィンテージでしたら3〜4時間のデキャンタージュをすることで、若いローザン・セグラが持つ強いタンニンを和らげ、香りが花開き、マルゴーらしい柔らかな口当たりを楽しむことが出来ます。時間が経つごとに、複雑なスパイスや花の芳香、活き活きとしたフルーツ感と洗練された質感を楽しむことが出来るでしょう。