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シャトー・スミス・オー・ラフィット

Chateau Smith Haut Lafitte

元々グラーヴの赤の格付けシャトーですので、高い評価を得ていたシャトーではありますが、特に2000年以降のヴィンテージにおける評価は、それまでのスミス・オー・ラフィットの印象を覆すような、一段レベルが上がった印象。2009年ヴィンテージがパーカー100点満点を獲得したのは、ワイン業界でもかなり話題となりました。

今では格付けされている赤だけではなく、白ワインの品質も折り紙つき。グラーヴの中でもオー・ブリオン・ブラン、ラ・ミッション・オー・ブリオン・ブラン(旧ラヴィル・オー・ブリオン)を猛追しており、再度グラーヴの格付けがされれば、白も間違いなく格付けされるでしょう。

シャトー・スミス・オーラフィットの歴史


シャトー・スミス・オーラフィットの歴史は古く、1365年にはボスク家がこの地でぶどう栽培を行っていたという記録が残っておりますが、シャトーとしての名声を得るのは後のこと。

1720年、スコットランド人ジョージ・スミス氏がこのシャトーを購入。自身の館を造りワイン醸造に着手しました、そして自身の所有する船で主にイギリスへ輸出を行い、そのクオリティーの高さから名声を得ることになりました。シャトー名のスミス(=オーナーの名前)・オー・ラフィット(=この一帯に広がる“丘“)の名はこの頃に命名されました。

1842年、ボルドー市長でもありワイン醸造家でもあったデュフル・デュベルジェ氏は母から相続する形でオーナーとなり、この時代に、グラーヴ・クリュ・クラッセという称号がもたらされました。

1958年、ネゴシアンでもありメドック格付け第2級シャトー・ローザン・セグラのオーナーでもあるルイ・エシェノエ社が新たなオーナーとなりました。多額の投資を行い改修を進めました。中でも地下に2000樽も収納できるセラーはその代表です。

現オーナーのダニエル・カティアール氏はスキー元フランス代表でオリンピックにも出場経験のある人物、父の経営していたスーパーマーケット・チェーンを一代でフランスでもTOP10に入る企業へと成長させました。そのほかにもスポーツグッズ関連の店をフランス国内外で展開しました。しかし1990年、シャトー・スミス・オー・ラフィットを購入するため、それまでの利益全てを注ぎこんだのです。

ワイナリーを始めとする施設を2年かけて改修したのです。また、最先端の醸造技術だけでなく、伝統的な醸造技術、有機コンポストの導入、手摘みよる収穫の復活、選果をより厳しく行う、木製タンクの復活、シュール・リーでの樽熟成などを融合させたのです。その他30%ものぶどうを植え替えるなど積極的な改革を行っています。

シャトー・スミス・オー・ラフィットの評価


ロバート・パーカー氏は自身の書「ボルドー第4版」にて「ペサック・レオニャン最上のワインの一つ」「白も赤もスタイルは正統的な豊かさとエレガンス、フィネス、複合さが結合したものだ。ただ国際市場はきまぐれなものだ。そして私は、スミス・オー・ラフィットの最近のヴィンテージ価格は、このワインが世界にその品質を知られるようになれば必ず得られるはずの価格よりも、低めだと思っている」と評価しており、2009年ヴィンテージは100点満点の評価を得ています。

シャトー・スミス・オー・ラフィットは、今やグラーヴ地区全体、ペサック・レオニャンにおいて最高品質のワインの一つとして知られていますが、その高いクオリティーに価格が追いついていないのでお買い得なワインとも言われています。

自社で樽を製作している数少ないシャトーの一つ


シャトー・スミス・オー・ラフィットは、自社で樽を製作している数少ないシャトーの一つ。その他に自社で樽を作っているのは、マルゴー、オー・ブリオン、ラフィット、ペトリュスなどごく僅かで、どれもが超一流シャトーばかりです。

オーナー、ダニエル・カティアール自らオークを選定し1995年より自社樽と作っています。工房では年間450樽ほど作られ、スミス・オー・ラフィットで必要な樽の3分の2に相当します。残り3分の1は他の樽工房から購入します。これは、樽工房によって焼き付けの方法が微妙に異なるため、他社の樽を平行して使用することによる香りや味わいの複雑さを与える目的のためです。

フランスで唯一ISO14001を取得したワイナリー


また、フランスにおけるワイナリーにおいて唯一のISO14001を取得した環境保全に特化したワイナリーなのです。シャトーでは環境保全への取り組みへの考え方を「BIO PRECISION」と名付けました。最新醸造技術と自然環境とのバランスを保つことを目的とした取り組みで、次のような事を実践しています。

1、二酸化炭素のリサイクル
2、薬品、化学肥料の不使用
3、馬による畑の耕作
4、セラー屋上の緑地化

また、2000年にはタンクの全てを木製タンクに切り替え31基を所有しています。これは104ヘクタールの畑を所有しているシャトー・ラフィット・ロスチャイルドが29基に比べ、55ヘクタールに31基ですのでその比率の高さは歴然ですね。その他に一般的に行われるコラージュという清澄作業をほとんど行わず、ろ過も行いません。

専用のセラー、区画から造られる豪華なセカンド・ワイン


セカンドワインでの位置づけで「レ・オー・ド・スミス」という銘柄を造っていますが、あくまでも完成されたワインとして造りたい、として他のシャトーではなかなか無いセカンドワイン専用セラー、通称「ステルス・セラー」でワイン造りは行われています。また、セカンドワイン専用の畑が2区画もあります。

ぶどうは重さでつぶれないように7〜8kg程度しか入らない籠で収穫されます。収穫されたぶどうは新式光学選別機オプティカル・ソーティング・マシンという最先端の機械によって成熟した粒ばかりが選果され、さらに6〜8名のスタッフにより厳しく選果されます。ポンプなどを用いて運ばれるのではなく、重力式で運ばれるため、ぶどうにストレスがかかりません。もちろん熟成に使用される樽は自社製です。