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ヴュー・シャトー・セルタン

Vieux Chateau Certan

「セルタン」とはフランスの古い言葉で砂漠という意味。その痩せた土地ゆえ作物が育たず税金が免除されたほどの地域だったため、このセルタンという名称が付いたのだそうです。

1700年代後半から、高い評価を誇るシャトー


ワイン造りの歴史は1700年代後半まで遡ります。スコットランド人のメイ家が所有するシャトーで元々「セルタン」の名でリリースされていた広大な面積を有するシャトーで、当時メドックの並み居る格付けシャトーと同等の価格で取引されていました。

しかし、フランス革命後は「シャトー・セルタン・ド・メイ」と「シャトー・セルタン・ジロー(1999年にムエックス社により買収され、一部区画はシャトー・ネナンに売却され、その他の残りの区画は現在、シャトー・オザンナ、シャトー・セルタン・マルゼルとしてリリースされています)」、そしてヴュー・シャトー・セルタンに分割されました。

そのヴュー・シャトー・セルタンのオーナーとなったのは1858年、パリの銀行家シャルル・ド・ブスケ氏でした。ブスケ氏はその際に館を新たに立て直したのですが、その館は現在のラベルにも描かれています。

ル・パンを所有するティエンポン家の所有に


1924年、シャトー・トロロン・モンドのオーナー兼ベルギーのネゴシアン、ジョルジュ・ティエンポン氏がこのシャトーを購入。その後、1943年からは息子レオン・ティエンポン氏がオーナーで指揮を執っていましたが、当時は樽の全てをネゴシアンの本拠地ベルギーに送り、そこで瓶詰め、販売を行っていたのでフランス国内でそのワインを目にすること、ましてフランス人からの評価を得ることはなかなか無かったそうです。

そして、1985年からはそれまでサン・テミリオンのシャトー・ラ・ガフリエールの支配人を経験した、現在の当主である孫のアレクサンドル・ティエンポン氏と引き継がれています。シャトー内における瓶詰め、販売までを行うようにするだけでなく、セカンドワイン「ラ・グラヴィェット・セルタン」を導入し、収量を減らし、栽培方法を緻密にしました。

また、計画的な摘芽を行い、グランヴァンのヴュー・シャトー・セルタンには新樽を100%使用しています。2003年にはセラーに空調設備を導入し、木製大桶には温度調整機を取り付けました。この一族は果たした功績は高く、ぶどう畑が完璧な状態に維持され、未来を見据えたシャトー運営がなされています。ボルドーにおいても稀有な存在です。

ヴュー・シャトー・セルタンの評価


1990年代は彗星のごとく登場した、同じティエンポン家が所有するル・パンの陰に隠れてしまいましたが、2000年代後半になって品質が向上し、再び注目を集めるようになりました。2014年ヴィンテージ・プリムールにてメドック格付け第1級シャトーやシャトー・シュヴァル・ブラン、シャトー・オー・ゾンヌといった銘酒を抑え、プロが選ぶ好きなワインのトップに選出されるなど、その評価は高まる一方のシャトーです。また、ロバート・パーカー氏もメドック格付け第2級相当のクオリティと高く評価しています。

ヴュー・シャトー・セルタンの特徴


ヴュー・シャトー・セルタンのぶどう畑はポムロールの中心である台地の頂上。アレクサンドル氏のいとこが所有するル・パンをはじめ、シャトー・ペトリュスやシャトー・ラフルール、シャトー・ラ・コンセイヤントなどに隣接しています。

23もの区画からなる約14haの広さのぶどう畑ですが、「重い粘土層」「粘土+砂利層」「砂利層」この3種類の土壌から形成されています。全面積の60%を占めるメルロは10haの広さにもなるシャトー周辺の重い粘土層に植えられ、4haは、シャトーからやや南に下ったところにあるル・パンから200mほど離れたところ、そしてシャトーの北側にあるシャトー・ラフルールの前にあり、35%を占めるカベルネ・フランは粘土+砂利層に、5%のカベルネ・ソーヴィニヨンは砂利層に植えられています。

このように、メルロが主なポムロールのシャトーながら、カベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニヨンが多めになっているのが特徴的です。そのためメドックの格付けシャトーを思わせる芳香と優雅さに溢れています。

最後に化学肥料は使われたのは1990年代初頭、薬剤は最小限の使用に留めています。

1956年の大冷害の後、ぶどう畑の2/3が植え替えられましたが、残りの1/3の区画は計画的な植え替えを行い1967年、1982年、1988年、1990年、1998年、2010年に植え替えられ、平均樹齢40〜50年の範囲内に維持されています。新しく植えられたぶどうの樹はグランヴァンに使用することができないため、その日が来るまで待たねばなりません。例えば1982年に植え替えられた区画がグランヴァンとして使用することができたのは2001年からで、それまではセカンドワイン用に使われていました。

醸造過程で行われるマロラティック発酵に関して、カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランはステンレスタンクにて行いますが、メルロに関しては、シャトー・ペトリュスが実践している樽でのマロラクティック醗酵を導入しています。

熟成においてはミディアムで内部を焼き付けた樽を使用し、約85%はセガンモロー社の樽、15%だけシルヴァン社製です。

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