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シャトー・ペデスクロー

Chateau Pedesclaux

ポイヤック村のメドック格付け第5級シャトー。1級シャトーの付近に畑を保有し、ガラス張りの超近代的な醸造設備を構えるシャトー・ペデスクロー。オーナーが変わるたびに改良を重ね、近年ますます魅力を発揮しているシャトーです。

ムートンの近くという絶好の立地


シャトー・ペデスクローは、1825年にピエール・ウルバン・ペデスクローによって設立されました。設立時に、ペデスクロー氏はシャトー・グラン・ピュイ・ラコストの畑の一部と、シャトー・ムートン・ロートシルトの畑の一部を取得したため、現在でも、シャトー・ムートン・ロートシルトやシャトー・ポンテ・カネなど、ポイヤックの中でも名だたるシャトーの近くという絶好の立地に畑を構えています。

その土壌も、上層部の砂利質が水はけを向上させ、下層部の粘土質が適度な水分を保持するというバランスに優れた土壌で、今日ではこのような恵まれたテロワールを活かしながらワイン造りを行っています。

シャトー・ペデスクローの復活劇


今でこそ質の高さに注目が集まるシャトー・ペデスクローですが、一時は所有者が定まらず、所有権が転々としていたことがありました。その間、シャトー・ペデスクローではワインの生産もストップし、シャトーも放置されてしまっていました。

そのような中、1950年にリシュアン・ジュグラの手に渡ったことで、シャトー・ペデスクローは復活への道を歩み始めることになります。ジュグラ氏は、まず荒れ放題となっていた畑やシャトーの改修、醸造施設の改善などを行い、ワインの品質は徐々に向上していきました。

1965年には、シャトー・ペデスクローはジュグラ氏の5人の子どもたちに受け継がれました。そして、1996年にはジュグラ氏の息子、ベルナールが更なる品質の向上を目指し、シャトーの近代化などの改革に取り組みました。しかしながら現実は厳しく、ワイン評論家たちの評価はそれほど芳しいものではありませんでした。

ロレンツェッティ氏による改革


メドックの格付け5級シャトーであるにも関わらず、評価が低迷していたシャトー・ペデスクローですが、2009年に転換期が訪れます。ジャッキー・ロレンツェッティがこのシャトーを取得したことを発端として、みるみるうちに品質が改善したのです。それは、ロレンツェッティ氏が巨額の投資と改良を行ったからでした。

まず、光学式選果機を導入し、それまでは手作業でブドウの選果を行っていたのを、機械が「望ましい顆粒」と「排除すべき顆粒」を選別してくれるようになりました。その結果、完璧なブドウ顆粒のみを得ることができるようになりました。

畑のブドウの樹の植え替えも行い、そのアプローチ方法もオーガニックへと変更し、一部の区画で切り替えが完了しました。

2010年には、重力を用いた「グラヴィティー・システム」を採用しました。ポンプやモーターを使って醸造過程の果汁やワインを移動させると、ワインに大きなストレスが加わってしまいますが、重力を用いることにより、ワインに極力ストレスやダメージを与えずにワイン造りが行えるようになりました。

また、ボルドーでは熟成中に澱引きが伝統的に3ヶ月に1回行われるのですが、ワインが必要以上の酸素に触れているのではないか、と考え、18ヶ月の熟成中に一度だけしか行わないようにしたり、ヴィンテージによっては一度も行わなかったりと、独自の手法を試みています。なお、メドックの他のシャトーもこの手法に着目し、追随する動きが出てきています。

超近代的な醸造設備でイメージも一新


こうしてかつての輝きを取り戻してきたシャトー・ペデスクローは、2011年にはラベルのデザインを変更し、イメージを一新させました。

また、2015年には近未来的なシャトー・コス・デストゥネルの新セラーを手がけたジャン・ミシェル・ウィルモットにより、新しいセラーと醸造設備が完成しました。ガラス張りの豪華な醸造所は、外見のきらびやかさだけではなく、実用性も伴った設備となっています。

現在はメドック格付け3級のシャトー・ディッサンの復活の立役者と言われる、エマニュエル・クルーズ氏がワイン造りに携わっているので、今後ますますの品質の向上が期待されています。

このように躍進の一途を辿っているシャトー・ペデスクローは、かつては酷評していたロバート・パーカー氏も、近年では90点台に近い点数を付けていたり、ワイン評論家のペッパーコーン氏が、「堅実で尊敬できるポイヤックを造ることで定評がある」とコメントするなど、軒並みその評価を高めています。

メルロー比率が高めの優しい印象のワイン


シャトー・ペデスクローのワインは、他のポイヤックのシャトーのワインに比べ、メルローの比率が高くなっています。メルローはワインに柔らかさやまろやかさをもたらすため、 カベルネ・ソーヴィニヨン主体のしっかりとした構造の典型的なポイヤックのスタイルとは少し異なり、口当たりも柔らかく、タンニンも穏やかで、上品かつ優しい印象のワインに仕上がっています。

ラズベリーやカシス、熟したプルーンの香りの中にハーブやスミレの花の香りが感じられ、豊かな果実味の中にスパイシーさも兼ね備えた、均整のとれた味わいです。

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